Nameless Story 1人孤独に立ち向かわざるをえない者   作:ロイヤルかに玉

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かなり前の話の前書きで出てきた友人Aがご入籍いたしました。
おめでとナス!


へ、変態だ―!!

「ふう、こんなもんか」

 

 体の調子を確認し、トレーニングを終了する。

 

 リンドウさんとサクヤさんの結婚式から数日、最早杖を突く必要も無くなり、今は時間を見つけてトレーニングを行い、鈍った体を元に戻そうとしていた。

 明日には仕事に戻れるとの事なので、たった今本格的に体を動かした。とりあえず久しぶりの仕事だ。今日はもう体を休めておこう。

 

 アレだな。大怪我すれば余程の緊急事態でもない限りは療養と言う名の休みが貰えるからこれからは偵察任務に出るたびに、何かしら致命傷を負えば休めるんじゃなかろうか?

 実際、学校出身の同期は確か学校に出るのが面倒くさくて足で壁を思い切り蹴りつけて骨折して休んだ事もあるとか言っていたか。

 

 いや、しかしな……。ただ休みたいがために骨を圧し折るだなんてやりたくないな。

 

 

 さて、今日の午後には医務室から退去だし……私物の片付けを済ませておくか。

 

 

 医務室へ戻り、筆記用具など私物を片付けている最中、コウタから貸してもらったバガラリーの単行本を返すのを忘れていたことに気づき、袋の中に並べて入れる。

 大方片付けたので私物を部署まで置きに行き、エントランスへ向かう。

 

 

「ヒバリちゃん、コウタって任務に出てるか?」

 

「いいえ、昨日の晩に任務へ出て明け方に帰投したのでアナグラ内に居ると思いますよ?外出の届も確認されていませんし。お呼びしてみますか?」

 

「いや、寝てるかもしれんしとりあえず部屋まで行ってみるわ。ありがとな」

 

 ヒバリちゃんに礼を言って新人区画へ向かい、コウタの部屋を目指す。

 もしかしたら寝てるかもしれんし、一回呼んでみて返事がなけりゃ出直そう。別に返すのはいつになっても構わないと言っていたしな。

 

 

「コウタ―、起きてるか?借りた本返しに来たんだが……」

 

「ああ、空いてるから入れよ」

 

「邪魔するぞー」

 

 扉を開き中に入るとコウタがターミナル前に立っており、何やら難しい顔をして画面とにらめっこしている。

 

「テーブルの上置いてくぞー。それでそんな難しい顔してどうしたんだ?」

 

「バレットエディットで新しくバレット作ってるんだけど中々上手くいかないんだよ」

 

 疲れた顔をしながらため息をついている。任務明けなのに精力的な事だ。

 

「ああ……あの頭がこんがらがっておかしくなるやつか」

 

 バレットエディットってのは銃型の神機を扱うガンナー達が強力な弾丸を作成するため、日々知恵を絞る苦行だ。一応銃身ごとに参考例等があるからそこから持ってきても良し。自分で一から作るのも良しだ。

 

「ところで、どんな弾を作るかイメージで来てるのか?」

 

「着弾して炸裂するようなやつと、後は弱点属性がばらけてる群れを倒すのに各属性の弾を同時にばら撒けるやつだな」

 

 中々複雑なバレットを作ろうとしているなコウタよ。着弾して炸裂……あ、ジーナが似たようなバレット使っていたか。

 

「後者はともかく前者ならジーナが似たようなバレットを持っていたはずだぞ?レシピ聞いた方が早いんじゃねえか?」

 

「マジで⁉ じゃあ時間ある時に聞いてみるか……」

 

 いつの間にか俺もバレットエディットに夢中になって男2人で無い知恵を絞りつつ時間を忘れて試行錯誤していた。

 

「此処こうしてみりゃいいんじゃね?」

 

「お、ちょっとプレビューしてみるか。あ、交差消滅だ。じゃあ発生時間を変えて……」

 

「別のモジュールと被るんじゃね? …………やっぱり交差消滅したな」

 

「じゃあ角度をつけて接触しないように……」

 

 なんだよ、中々面白いじゃねえか……。だがこれをほぼ毎日繰り返すのは御免だから嫌だな。やっぱ頭使う仕事は向いていないと言うのが実感できる。

 

 コウタと2人で悩み、一服して頭を休める為にジュースを飲みながら談笑していると、端末に連絡が入った。

 

「どうした?」

 

「げっ、博士からの呼び出しだ。こちとら病み上がりだっての……」

 

 端末に入ったメールには榊博士から今すぐ支部長室にしてほしいと記載されており、恐らく仕事の話だと確信してげんなりする。

 

 

 

 コウタと別れ、部屋を後にして役員区画へ向かい、廊下を早歩きで進んで支部長室の前へ来たらノックする。

 

「博士―急用って何ですか?」

 

「ああ、来たね。とりあえず入ってくれ」

 

 促されてそのまま支部長室へ入る。

 

 

 

「実は、メディカルチェックで気になる点があってね」

 

「気になる点?」

 

「君の偏食因子が微弱だが不安定になっているんだ」

 

「ん? それってちょっとヤバイのでは……」

 

「ああ、大変よろしくないね。しかし、原因が分からない以上こちらも八歩塞がりでね。だから、より精密に検査するために本部へ行って貰いたいんだ」

 

「本部!? ええ……」

 

 マジで? めんどくせぇな! 

 なんだってあんなクソみてえな所に行かねえといけないんだよ。

 本部の人間あんまり好きじゃないんだよな。いや、全員嫌いって訳じゃねえがやっぱり本部ともなれば偉い奴がたくさん居るだろう?

 実際にフェンリルに入隊して数週間した時本部から偉い人が来てやれ礼儀が云々だとか文句つけやがって……。

 権力者がうざいのなんの。いやまあ、俺があんまり権力持ってる奴に対して勝手に敵対心持っているのが悪いんだけどさ。

 

 権力持った奴の横暴が罷り通る世の中で育ち、それで弱者が酷い目に遭っているのを見るとな……。

 治安を守る仕事をしている奴が、市民が逆らっただとかくだらねえ事で殴って挙句の果てに殴殺してそれを隠蔽したりだとか、クソみてえな一面ばかっり見ていたもんだからこんな偏見持ったって仕方ねえと思うんだ。

 

「すまないが、重大な問題なんだ。理論上、神機使い既にアラガミ化している状態なんだよ。ただ、制御されていると言うだけさ。制御が外れれば君たちの知識としてあるアラガミ化に派生する。その制御が不安定だと言う事はいつ爆発するか分からない爆弾なんだ。そんな危険な状態で対応策も練らずに野放しにするのは危険極まりない。アナグラ全員の命を危険に晒しているのと一緒だよ」

 

 

 いや、それは勿論わかっている。

 別に絶対本部になんぞ行きたくねえと言っている訳じゃない。

 

「了解です。大人しく検査を受けてきますよ」

 

「すまないね。苦労を掛けるよ」

 

 

 *

 

 

「はあ、参ったね……」

 

 出張申請書に記入しながら溜め息を吐く。めんどくさい。ただただ面倒くさい。出来る事ならバックレたいものだ。

 しかし何なんだろうな。偏食因子が不安定って。原因も分からないときたもんだ。

 ぶっちゃけ榊博士に分からないなら、誰にも分からないんじゃないか?

 精密な検査って言ったけど、これで分からなかったら俺は一体どうなるんだろうな。

 もしかしたら本部に残って原因が解明されるまで缶詰状態にでもされるのではなかろうか…………いやいや冗談じゃねえ。それだけはまっぴらごめんだ。

 

 

 頭を抱えていると、俺と同じ様に頭を抱えたリンドウさんがラウンジから出てきた。

 

 

「リンドウさん、頭抱えてどうしたんですか?」

 

「ああ、そう言うお前も頭抱えてるがどうしたんだ?」

 

「いや、ちょっと面倒事が舞い込んできましてね」

 

「そうか、俺は飲んでたらサクヤに『飲みながら羽根散らかすなコラ』って怒られてな。掃除するから出てけって言われた」

 

「で、ラウンジで飲んできたと?」

 

「ああ、そんなところだ」

 

 

 この人いつも飲んでるな。まだ時間的にお日様は高いぞ。

 戻ってきて早々堕落した生活に戻っているな。先日の結婚式でタキシード来てシャキッとした姿を見て恰好良いと思った俺の純情を返してもらいたい。

 

 向かいのソファーに腰を下ろして煙草を吸いながら溜息を吐く。

 

 

「なんだかんだ大変っすね。同棲生活」

 

「最初は慣れねえかも知れねえが、慣れれば手放せない日常さ」

 

 リンドウさんはサクヤさんの部屋で一緒に暮らしている。リンドウさんの元自室はユウナが使っており、ユウナは部屋を返そうとしていたが、リンドウさんはそれを断ってサクヤさんと同じ部屋で暮らす事になった。

 

 

「そういや、出張申請書を書いてるが何処に行くんだ?」

 

「本部ですよ。なんか俺の体内の偏食因子が微妙に不安定らしくて原因らしいものも見つからないから精密検査受けて来いって言われたんですよ」

 

「そりゃ、災難だな。身体に異常はないのか?」

 

「特にこれといった症状は無いですよ」

 

 

 申請書を書きながらリンドウさんと世間話に興じていると。リンドウさんの端末が音を発し、端末を確認した。

 

「おおっと、掃除終わって書類仕事があるから戻って来いってさ」

 

「それじゃ早く戻らないと余計な雷落とされますよ?」

 

「だな。んじゃなー」

 

 リンドウさんは立ち上がってエレベーターに乗り込んでいった。

 申請書も出来上がったので提出するために立ち上がり、受付へ向かった。

 

 

 *

 

 書類提出から2時間後に出発しろと言われて焦って最低限の荷物を確認する。

 まさか本部のヘリが来ていて、2時間後に帰るからついでに乗って行けと言われるとは思わなかった。まあ、無駄に手間を食うよりかはマシだよな。燃料だってただじゃねえし。

 

 荷物っつても持っていくの何て財布と証明書、検査の書類、多分使う事は無いだろうが護身用のナイフぐらいなものだ。ちなみに対アラガミ用ナイフはリッカに預けている。時間を見つけて修復作業をしていくとか言っていたので結構時間がかかるとは言っていたが、気長に待つとしよう。

 

 しかし、時間まで暇だな。グラビア本でも見て目の保養でもするか。本部に着いたら検査ばかりで自由時間なんてあるか分からんし。

 

 そんな訳で更衣室のロッカーの奥底に封印されていたムフフな本の封印を解き、適当な表紙を被せて屋上へ向かう。

 屋上へ出ると、手すりにもたれ掛って早速1ページ捲って読みふける。ボンキュッボンなグラマラスな女性の写真を堪能する。

 お、この人神機使いなのか……。下着姿に赤い腕輪がいい感じのアクセサリで中々……そろそろ可愛げのないムスコが元気にな――(。´・ω・)ん?

 

 

ムスコ「なんか来ねぇわ。無理だわ。なんか違うんだよなぁ……」

 

 (;゚Д゚)ええええええ⁉ うっそだろお前wこの前一発で滾ったじゃん!

 

 いや、だがムスコの言う通りだ。何か違う……! 全く滾ってこない……!

 まさか、これが大人になると言う事か……!

 ――否ッ!! それは大人になるのではなく、枯れると言うのだ!

 こんな事があっていいはずが……!

 

 胸と首が異常に熱くなり、眩暈がすると共に頭に声が響いた。

  

『もし他の人に靡いたら……滅茶苦茶にして私じゃないとダメな体にするからね?』

 

「ファッ⁉」

 

 い、今の幻聴……まさか……エレナ……⁉

 色々と事案だが……あの時の記憶を鮮明に思い出してみるか。一応行為一歩手前の所まで進んでしまったが……。

 思い出せ。女性と言うにはまだ幼く、今後の成長に期待できる少し柔らかいあの感触を……! 女性らしい体に変わろうとしているまだ未発達な……!

 

 

ムスコ「滾ってきたわアァアアアァァァァッ!!‼!‼!」

 

 

「へ、変態だ―!!」

 

 

 『悲報・ワイ、いつの間にかマジのロリコンになっていた模様』

 

 ま、マジかよ……。エレナ、もう既にダメな体になっているんだが……。他の人に靡くって写真でもNGなのか……。道理でこんな紙切れで興奮できない筈だ。やべぇな、この腐った性癖を墓場まで持って行けと……冗談キツいぜ。もし、ロリ―タ系の本を所持しているのをバレたらもう何もかも終わりなんだが。いや、そんな本を所持しなければいいだけの話ではあるんだが……ガス抜きもできないなんて生き地獄だぞ……。

 

ムスコ『悪いけどワイは既にあの子の虜だから他の女じゃ無理やで?』

 

 お前もう黙っとけ。




正月休み中、毎年酒飲んで寝ている筈が結婚祝いや出産祝い等のマナーを必死に調べる世間知らずの筆者の姿がそこにあった。


J( 'ー`)し「お前どうしたんや?」

1月4日、「おはよう」の代わりに母から出た質問であった。


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