Nameless Story 1人孤独に立ち向かわざるをえない者   作:ロイヤルかに玉

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上司「1日だけど出張行ってくれ。コロナ持ってくんなよ」
ワイ「かしこまり!」


コロナ渦で出張とか頭おかC


機動力は何よりも優先すべきだ(個人的主観)

 

 ジャックから連絡を受けて5日後、奴が極東へ到着した。

 

 ヘリからジャックが荷物を片手に軽快に降りて、こちらへ気付くと手を上げる。

 

「よう、ユウ。今度はお前が出迎えか?」

 

「そういう事だな。支部長から案内するよう言われてるんでな。荷物の方はどうする?」

 

「ああ、持っていく。念のためな」

 

 強風に吹かれながらジャックを連れて屋内へ戻り、支部長室までの道中で何故今回極東へ来たのか聞いてみた。

 

「まあ、お偉いさんからの命令さ。この後、本部からもう2隻ヘリが来る手筈でな」

 

「もう2隻? なんでまた?」

 

「そのヘリに乗ってんのさ。極東を良く思ってないお偉いさんがな。もう一隻にはフェンリルの多額の投資をしているお人が乗っている」

 

「前話した人狼部隊(ルー・ガルー)と癒着してる奴か?」

 

「ああ。察しが良くて助かるぜ」

 

 博士、凄まじく面倒くさい事になっていますよ。これは榊博士の胃が捻じれる可能性が微粒子レベルで存在している。

 

「じゃあ何か?お前そのお偉いさんの護衛で来たのか?」

 

「おいおい冗談はよしこさんだぜ?俺は別件って扱いで来てるだけだよ。ちゃんと連中に気取られないように派遣って形で来てる。それに、奴ならしっかり人狼部隊を連れてくるはずだ。だから、用心しろよ?」

 

 

 ジャックとそんな話をしている内に支部長室に到着した。

 

「博士―ジャクソンを案内してきましたよ」

 

 

「ああ、入ってくれ。済まないがユウ君は少し席を外して欲しい」

 

 どうやらあまり知られたくない事を話すらしく、俺はお邪魔虫のようだ。

 

 

「いえ、俺もちょいと用事あるんで行かないといけないんで……」

 

「悪いなユウ。また後でな」

 

 ジャックと別れ、やり残した書類を片付ける為に部署へ向かう道中でリンドウさんに遭遇した。

 

「お、ユウ。ジャックの奴はもう来たのか?」

 

「今支部長室で博士とお話し中ですよ? リンドウさんこそ暇そうですね?」

 

「ああなに、今からお客さんが来るんでな。少し世話になった人だから出迎えぐらいはしないといけないと思ってな」

 

 どうやら本部からくるお偉いさんと以前交流があったらしく、そろそろヘリが到着するのでヘリポートへ向かうところだったとか。

 

 人狼部隊を連れてきているなら、一回連中の面を拝んでおくのも悪くないだろう。どんな連中なのか気になる。

 

 

 ヘリポートへ出て、ヘリを待つ間にリンドウさんにそのお偉いさんがどういった人物なのか訊ねる事にした。

 

「リンドウさん、その世話になった人ってのはどんな人なんですか?」

 

「んー? あーまあ……厄介な人だな」

 

「リンドウさんがそこまで言うなんて余程ですね」

 

「ああ。エイジス計画や、本部直轄の特殊部隊にも個人で出資していてな。だが、ただ出資するわけじゃなくエイジス計画の内情を知るためにシックザール元支部長の周囲に網を張っていてな。俺も以前、ある特殊部隊の監視・調査を任せられた事があってな。エイジス計画の調査をする際に情報提供もしてくれた」

 

「へー、投資する癖して信用はしていなかったと」

 

「ま、あえて泳がせるつもりだったんだろう。そしていざアーク計画が露呈し、混乱する上層部を収拾し、自分が厄介に思う連中をシックザール元支部長に与した裏切り者、特殊部隊を不正利用しようとした不届き者として処分して資産諸々を取り上げて実質握ったと言っても間違いじゃない。今や企業連合にも大きな影響力を持っている中々の切れ者さ」

 

 

 リンドウさんと話をしている内に雨宮教官もヘリポートへ来た。

 

 そして2隻のヘリが見え、着陸すると高そうなコートを着てスーツに身を肥えた男とフードを被った神機使いが2人出てきた。

 

 もう1隻のヘリからはこれまた高そうなコートにスーツを着た壮年の男性、そして同じくフードを被って顔を隠した神機使いが3人降りてきた。

 

 俺は警戒されないように遠巻きに呆けた顔をしながら見る。

 

 肥えた男がリンドウさんに近づいてきた。

 

 

「久しいな雨宮君。遅れたが、結婚おめでとう。奥方殿にもよろしく伝えておいてくれ」

 

「ありがとうございます」

 

 リンドウさんは露骨な苦笑いを浮かべながら言い、ツバキ教官がリンドウに不敬だと叱るように彼より前に出て頭を下げる。

 

「お久しぶりです。理事に就任されたとお聞きしました。おめでとうございます」

 

「おお、ツバキ君。ありがとう、皆の期待に応えられるように努める所存だよ。今後ともよろしく頼むよ」

 

 2人に手を上げ、ヘリポートを後にする理事と呼ばれた男に続いて神機使いと身なりの良い男がヘリポートから出て行った。

 

 

 

 

 

 

「ほお、これが一番重い重りか」

 

 実はジャックにトレーニング用に足首に付ける重りの中でも特に重い物を譲ってもらえないか聞き、あいつは快くOKしてくれた。そしてこちらへ来るついでに持ってきてくれたという訳だ。

 

 早速装着すると、かなりの負荷が足に掛かっている。トレーニングのみならず任務にでもつけていくか。いざと言うときすぐに外せるような仕様にもなっているらしく、ヤバいと思ったらすぐに外せばよい。

 正直、先日遭遇したハンニバルの変異種のスピードには驚いた。ギリギリで躱せた攻撃も多く、反応できても体が動かなければ意味はない。

 あのスピードから繰り出される連撃を余裕で回避できるぐらいにならないとな。

 機動力は何よりも優先すべきだ(個人的主観)

 

 

 そんな訳でブレンダン先生に組手の相手をしてもらえないか聞き、快諾して貰えたので今から一戦やるところだ。

 

「済まないブレンダン。忙しいだろうに」

 

「気にするな。お前との組手は良い特訓になる。こちらとしても願ってもない事だ」

 

「じゃあ、行くぜ」

 

「ああ、来い」

 

 

 互いに接近し拳を打ち込み、空いた手で迫る拳を受け止める。それはブレンダンも同じ。

 そこから下がりつつ回し蹴りを繰り出すがやり過ごされ、後隙を潰してそのまま裏拳を打ち込むが腕で防御され即座にブレンダンの左フックが迫り、受け流しつつ再び蹴りを繰り出すと見せかけ、拳を繰り出す。

 

「ふっ!」

 

 ブレンダンは体を捻って拳を躱して反撃に出ようとするが、空いた手で鉄槌打ちを繰り出す。

 

 ブレンダンは腕を交差、振り下ろした手首を挟まれて払いのけられ、肘打ちが迫る。

 

「っ!」

 

 咄嗟に後ろへ跳んでやり過ごした。

 

「ユウ、あまり動きにキレがない。不調か?」

 

 ブレンダンは俺の動きがいつもより遅いと感じたのか心配の言葉をかけてくる。

 恐らく重りのせいだろう。重りを付けた動きにまだ慣れていないのもあるが……。

 

「少し気怠さがな。気分転換の運動だ。少し加減してくれ」

 

「分かった。気分が悪くなったらすぐに言ってくれ」

 

 そのままブレンダンが踏み込んで肘を叩きつけてくるが腕で防御し、今度は連続で回し蹴りを仕掛けられ、一撃目を躱し2撃目を防御、そして素早くしゃがみんこんで足払いが仕掛けられ、咄嗟に跳んで足を振り下ろすもブレンダンはそのまま床に手を着いて跳び退く。

 

 すぐにブレンダンへ跳んで再び足を振り下ろすが交差させた腕で防がれ、素早くブレンダンの腕を足場代わりに軽く跳んで更に蹴りを肩目掛けて打つが足首を掴まれてそのまま放り投げられる。

 

 着地と共に受け身を取るも既にブレンダンが迫り、踏み込んでパンチを繰り出し顔を逸らしてギリギリで回避。

 反撃を打つが跳び退きながらガードされ再び距離が空く。

 

 再び接近と共に打撃を打ち込んで即座に足払いを掛けるとブレンダンが態勢を崩すが、すぐに受け身を取って追撃を躱し反撃を繰り出され、こちらも咄嗟に防御しつつパンチを打つがブレンダンが拳へ肘を叩きつけて弾かれた。

 

 直後に空いた手のパンチが迫り、拳を頭突きで迎撃してブレンダンが驚きつつ下がったのを見逃さずに体を捻りつつ跳び浴びせ蹴りを仕掛ける。防御が間に合わないと判断したのか、蹴りを肩で受けて衝撃を利用して後ろへ跳び退いた。

 

「はっ!」

 

 ブレンダンが一気に距離を詰めて肘打ちを繰り出し、咄嗟に防御するが即座に空いた手で掌底を打ち、ギリギリで躱すが次は体当たりを仕掛けられ、腰を落として受け止めようとするも思っていた以上に強い力でそのまま吹き飛ばされた。

 

 受け身を取って跳び退きつつ態勢を整えて着地する。

 

「流石だなブレンダン」

 

 重りをつけている分、咄嗟に繰り出された威力の劣る体当たりなら受け止め切れると思ったが、生まれついての体格に驕らず鍛え続けているブレンダンの力がかなり上手だったか……。

 

「ユウ、ここまでにしよう。あまり体に負担を掛けるものじゃない」

 

「ああ、そうしよう。良い運動になった。またよろしく頼む」

 

「こっちも良い鍛錬になった。また誘ってくれればいつでも相手をしよう」

 

 

 訓練室の壁に背をつけて床に座り込み、息を整える。

 流石に重いな。だが、この重りをつけて戦うと言うのも中々刺激があって良い。今度はジャック辺りに付き合ってもらうか。

 

「ユウ。俺はこの後、装甲壁周辺の見回りがある。先に行くぞ」

 

「そうか、気を付けてな」

 

 ブレンダンを見送り、俺も訓練終了の申請をして訓練場を後にして書類仕事を片付けようと思い偵察班の部署へ赴くが、役員区画を通る途中で妙な気配がした。

 

 

「…………」

 

 気配のする方向を見れば、フードを深く被って顔を隠している集団――人狼部隊が歩いてきた。すれ違いざまにふと見てみれば一番前を歩いている男がこちらへ視線を送ってきた。しかし、そのまま素通りして歩いて行った。

 

 やはり妙な連中だ。気配の質が少し普通の神機使いと違う。ソーマやユウナ、AGEともまた違う。だが、特殊な生い立ちである事は間違いないだろう。

 本能的に言えば、嫌な気配だ。正直、感じ取っていてあまり気持ちの良いものでは無い。

 

 

「ん?」

 

 端末に連絡が入り、通信に出てみればそれはリッカからだった。

 

 

『ユウ? ちょっと今時間ある?神機の事でちょっと』

 

「ああ、大丈夫だ。整備室でいいのか?」

 

『うん。許可は取ってあるからそのまま入ってきて良いよ』

 

 通信を切って、リッカの元へ向かう事にした。

 

 

 

 

「で、神機がどうかしたのか?」

 

「うん。ある程度再生の目途は立ったんだけど、ちょっとね……」

 

 重大な問題らしいが、とりあえず攻撃ができるなら何でも追いのだが。

 

「そうなのか?」

 

「神機はアーティフィシャルCNSで制御されているのは知ってるでしょ? 原因は分からないけど、妙なオラクルが混じっているせいでCNSの制御能力の一部機能が不安定なんだ」

 

「不安定?」

 

「博士にも相談したんだけど、八方塞でさ。幸い、負荷を減らせばある程度安定するからその方針で決めたんだけど……負荷を減らすのに削らないといけない箇所の相談だよ」

 

「ほーん、ある程度の制限があるってことか」

 

「その通り。ユウの場合は近接型だから……刀身部のオラクル細胞の集中率、神機開放状態での出力とかを上げないといけないからまず削れる要素は装甲かな?ユウの戦い方を見るに基本は回避でしょう? 一応神機開放状態の持続時間と刀身部のオラクル集中率を減らせばバックラー程度なら付けられるけど……」

 

 リッカが端末を操作して数値を入れると神機の能力が%表示で表される。装甲が無い場合とある場合で出力の差が大きい。

 バランスを取った場合の数値、出力に重点を置いた場合の数値、装甲をつけて安全性を考慮した場合の数値などそれぞれの方向での調整したときに出せる神機の能力を何通りか見せてもらった。

 

「正直に言えば総合的な数値で見ると装甲を付けた場合の出力は大体第1世代初期の出力よりも低いから、当時よりも強く進化しているアラガミと戦うには火力不足かな……。偏食傾向の更新は問題なくできるから攻撃が通用しないって事は無いだろうけど……」

 

「じゃあ装甲削って出力に振ってくれ。どうせ主な任務は偵察、アラガミと真正面からぶつかるってことはないだろうからな。装甲を削って身軽になったと思えば良いだろう」

 

「それじゃ、装甲部分を削って出力に重点を置いて調整するよ。まだ時間はかかるだろうけど、楽しみにしててね」

 

「ああ、期待している。済まないな。何から何まで」

 

 




変異株の感染も確認されてきましたが、早く収束して欲しい。
去年に続いて今年も連休を潰してくれた腐れコロナは首吊れ(直球)
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