Nameless Story 1人孤独に立ち向かわざるをえない者   作:ロイヤルかに玉

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ゴッドイーターの新作は……まだか……。


ならばお前もクソメト絶対殺すマンだ

 

偵察班の部署へ戻って書類を片付けていると、同僚から一服付けろと缶コーヒー(ブラック)を手渡され、引き攣っている頬を悟られないように笑顔で受け取る。

 

 

に、苦すぎる……! 飲めたもんじゃない……! ぶっちゃけた話、もう香りから無理だ。口をつけようとしたときに苦い香りで反射的に顔を顰めそうになる。

なんでどいつもこいつもこんなもんを美味そうに飲めるんだ……? 砂糖、砂糖が欲しい。いや、砂糖入れるならいっそのことココアでよくね?

 

「そういや、本部から来た護衛の神機使い達って何者なんだ?明らかただ者じゃないオーラを醸し出してるけど」

 

「なんでも本部直轄の特殊部隊だとか……」

 

「へー本部ってすげぇな。そういや、禁忌種討伐専門の部隊も居るとかって聞いたな」

 

「おいおい、都市伝説だろ? そんな連中居るならアナグラに派遣しろって話だって」

 

「禁忌種なら俺達だって相手してるだろ?」

 

セクメト――じゃなくてクソメトにハガンコンゴウ、俺は交戦回数は少ないがテスカトリポカ、アイテール。そういやマータも禁忌種だったか。極東の連中は当たり前のように相手している。運悪く新兵が禁忌種に遭遇して喰われるなんて胸糞悪い事もあったか。

 

 その禁忌種はどうしたかって?

 

 そりゃ勿論、我らが極東最強の神薙隊長が単身で蹴散らしてきたよ。

 

 

「そうそう、俺この前ショートに乗り換えてな。タツミさんに鍛えてもらってんだ」

 

「ならばお前もクソメト絶対殺すマンだ」

 

「ええ……」(困惑)

 

 唐突な俺の発言にショートに乗り換えた彼が困惑した。

 当然と言えば当然だろうが、極東のショート使いはクソメト絶対殺すマンになる定めなのだ。この運命からは逃れられない。

 

「そういやお前元々、ショート使いだったか。しかしなんでだ?セクメトと相性最悪だろ」

 

「時がくればタツミが教えてくれる。震えて待て」

 

 存外嬉しいものだな、自分たちの技が受け継がれていくのは。今頃地獄で鬼と斬り 合っているであろう剣術バカの戦友や師も喜んでくれるだろうか。

 

 地獄で不敵に凶悪な笑みを浮かべながら鬼と斬り合ってる戦友の顔が自然と想像できる。

 

「ふー今日もハードだったぜェ……」

 

 偵察任務に出ていた同僚が髪を濡らして帰ってきた。

 帰投後すぐにシャワーを浴びて着替えてきたのだろう。制服も汚れていないのでその状態から考えれば。

 

「いやーお偉いさんの護衛してる部隊マジでやべェな」

 

 手に持っていたペットボトルのキャップを空けて中身を飲み干し、ドカッと勢いよく席に座って言った。

 

 人狼部隊(ルー・ガルー)が任務に同行でもしたのだろうか?

 一体どうしたのかと聞くと興奮気味に語りだした。

 

「元々単独で偵察してたんだけどさ、平原エリアでマータを確認してさ。報告したら近くに人狼部隊(ルー・ガルー)が居てな。そのまま討伐してもらうから追跡しろって指示を受けてさ。いざ、連中が到着したらどうなったと思う? ただの蹂躙さ。あいつらの連携が凄まじくてな。ぶっちゃけ連携は第1部隊よりも上手いぜ?」

 

「蹂躙なら第1部隊だって当たり前のようにしてるだろ?」

 

 同僚のツッコミに反論するように熱くなって語る。

 

「ただの連携じゃないんだよ! まるで心の中で打ち合わせしながら戦ってんじゃねえかって言うぐらい統制された動きなんだよ。何処を潰せば動きを封じられて、じゃあ誰がやるかだとか、各々の判断ってのは違うだろ筈だろ?なのに会話の1つもなしに全員悟ってるかのように動いてるんだ。やべぇってマジで!」

 

「なんか専用の通信網でもあるんじゃないのか?マジだったら本物の化け物だぜ?」

 

 そんな馬鹿なとでも言いたげな表情で興奮する彼を嗜める同僚の横で熱心に端末を操作している奴がこっちに端末を見せてきた。

 

「妙な連中なのに変わりねえぞ。ほら、本部のコンピューターにちょちょいっと仕掛けたが情報が何もない。ログを見る限り編集の痕跡もない。データ自体残さないっての訳ありだ。ここまで徹底するなんて余程だぞ」

 

 息をするように本部にハッキングを仕掛けるこいつは置いておいて……。だとしたら連中も相当だな。ジャックの言う通り本当に隙が無い連中だ。

 

 

「気にしたって仕方ねえさ。今は目の前にある紙の束を片付けちまおう」

 

「だな」

 

 

 そうだ、とにかく今は目の前の仕事を片付ける事を優先しよう。

 

 

 

 

「ふ―終わったー。ホントデスクワークは向いてねえわ」

 

 立ち上がって背筋を伸ばして大きく仰け反る。

 

「先行くぜー」

 

「ああ、お疲れー」

 

 

 部署を後にして歩いていると、先からジャックが声を掛けながら近づいて来た。

 

 

「終わったのか……って早速重りつけてんのかお前」

 

「まあな。少しでも鍛えないといけないんでな」

 

「ああ、そうそう。明日から防衛班のヘルプに入る事になったから、何かあったらよろしくな」

 

「仕事の事は博士と話したのか?」

 

「ああ、基本的に連中(人狼部隊)の話をするときは研究室だな。こっちの尻尾はすぐ捕まえられるが、奴らの尻尾はそう簡単に掴めないんでな」

 

 となれば基本的に作戦会議や話し合いは研究室でか。

 

「あのお偉いさん神薙隊長に夢中らしい。事あるごとに声かけて食事だのに誘ってらぁ」

 

「え、なにあの爺ロリコン?キモっ……」

 

「神薙を本部へ引っ張るつもりだろうな。そうすると極東の士気は下がるだろう。全く偉い癖しておつむが弱いのは良く分かんないな。ガキの頃は勉強して頭が良くなれば偉くなれるって教わったが」

 

 

 

 ジャックと話しながら役員区画を歩いていると先の廊下で戸が開き、件のお偉いさんが出てきた。

 

 ジャックは慌てて俺に隠れろとジェスチャーで伝え、素早く近くの観葉植物の陰に隠れた。

 何処からともなく人狼部隊が現れて理事の背後と横を守るように立ち、理事が歩き出すと共に奴らも足並みを揃えて歩き出した。

 

 

 共に様子を窺っていたジャックと顔を見合わせると、奴が理事の歩いて行った方を親指で指しながら頷き、俺も奴の意図を読み取って2人で遠くから追跡することにした。

 

 

 護衛の人狼部隊に気取られないように遠巻きに見ると、理事と護衛の内の1人が部屋に入っていき、残された4人は2人が扉の両脇に控え、もう2人は去って行った。

 

「今理事と入って言った奴、女だな」

 

「え、何お前分かんの?」

 

 どっかの白いバスター振り回している奴よりも深くフードを被り、体もマントで覆っているため体系は勿論性別すらも判別できない。にも関わらず遠くからぱっと見で断言するこいつの観察眼には驚かされた。

 

「間違いねえ。女の匂いがプンプンするぜ……! そして私腹を肥やした中年太りしたおっさんと一緒に若い女が2人きりで部屋に入る……これはもう確定だな」

 

「お前査問会に呼ばれるのそういうとこだぞ」

 

「ふん、査問会が怖くてスケベ根性発揮できるかってんだ」

 

「何ちょっとカッコ良いこと言ってんのお前。後胸張って言う事じゃないからな?」

 

 

 これ以上は見てても何も変わらないと言う事で俺とジャックはその場を後にし、結局ジャックは経過報告をしないといけないらしく研究室へ向かうと言い、俺もいつもの特等席で寛ごうとエントランスへ戻る事にした。

 

 

 

 途中でエレベーターを待っていると便所からドレスに身を包んだユウナが出てきて口元を押さえ、疲れたような顔をしていた。

 

「ユウナ、どうした顔色悪いが」

 

「本部から来たお客さんと会食してさ……。作法だとか意識すると慣れなくてね。なんだか疲れちゃって……ハァ……」

 

「お、おう……大変だな」

 

「ぶっちゃけ迷惑な話だよな。大方スカウトでもされただろう?」

 

 ジャックは誰もが思う事を口にして、俺とユウナは同意した。

 

 

「ジャクソンとユウ、知ってたの?」

 

「この前榊博士から偶然な……。博士も大分頭抱えてたが……」

 

 共にエレベーターに乗り込み、扉が閉まり上へ上がっていく。

 

「本部に来て直轄の部隊に所属して欲しいって開口一番で言われたよ……」

 

「神薙隊長、俺が言うのもアレだが……男ってのはただ女とパコりてぇだけだから気を許しちゃいけないぜ?」

 

「息をするようにセクハラ発言やめーやジャック」

 

「あー、ユウが前言ってた下ネタばかり言う人ってジャクソンの事?」

 

 そういえばユウナにはセクハラ発言ばっかりの野郎が居るって言ったことがあったか。

 

「お前も中々辛辣な紹介をしてくれるなユウよ」

 

「お前とつるんでいたせいで俺も査問会に呼ばれそうになったからな。あの時、雨宮教官に問いただされた際の俺の胃の捻じれ具合は尋常じゃなかったぞ」

 

「ちょっと当時の2人を見てみたい気がする。今度、リンドウさんに聞いてみよっと」

 

 ユウナが笑い、俺とジャックも静かに笑った。

 エレベーターから降りて3人で歩いていると、大きな窓ガラスが外の景色を映し出す。

 

 そういや、もうすぐで1年になるのか。早いもんだな……。俺こそ灰域が発生している世界で数日過ごして帰ってきたら大分時間が経っているからホントに早く感じる。

 外の景色を眺めながら歩いていると、薄くだが俺達3人の姿も映った。

 

「…………」

 

 ほぼ灰色に染まっている髪の毛が目立って気になる。まだ黒髪が残っているが、日が経つごとに灰色が増えて今は灰色の方が比率は多い。瞳も両目の色調が以前と比べれば「あれ? なんかちょっとだけ変わってね?」程度だが異なっており、徐々に体が作り替わっている居るような錯覚に襲われる。

 

 しかし、健康診断などで異常はない。面倒くさいから染めたと言う事にしている。

シュンに老いぼれ扱いされたか……白髪じゃねぇよクソガキ。まだテメェより若いっての。

 

「んじゃ、俺研究室寄るから」

 

 ジャックがそう言って去って行き、俺もエントランスに向かうためにユウナと別れようとすると、ユウナは俺の方――いや、外の景色か? 呆けるように見ていた。

 

「ユウナ、俺もエントランス行くからここで」

 

「え、ああ、うん。お疲れ様。また明日」

 

 軽く手を振って別れ、俺はエントランスの方へ向かって言った。

 

 

 




皆さん、コーヒーはブラック派ですか?
私はそもそも進んでコーヒーは飲まないですが。
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