Nameless Story 1人孤独に立ち向かわざるをえない者   作:ロイヤルかに玉

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お久しぶりです。
皆さん、コロナワクチンは打ちましたか?
2回目を打ったら高熱で3日間ダウンしていました。

ちなみに友人は高熱でダウンしているのにも関わらず性欲を持て余したらしいです。

『ムラムラする→ぶっこく→汗を掻く→そのまま高熱が微熱まで下がる→翌日には平熱に下がった』との事。




せいぜい気をつけろ

 

 車両を出し、後ろにリンドウさんが乗り込んだのを確認してエンジンを始動させてアクセルを踏んでゲートまで移動する。

 

 すぐにジャックが神機を携えて待っていた。

 後ろに乗り込み、しっかり掴まれと言って思い切りアクセルを踏んでギアをチェンジして最高速で装甲壁へ向かう。

 

 既に他の神機使いやアラガミが交戦を始めており、リンドウさんが腕から神機のような得物を取り出して射撃を開始する。

 

 アラガミを躱しつつ装甲壁の外へ出るとまだウジャウジャと道を塞ぐようにアラガミが跋扈し、リンドウさんがボンネットの上に立って得物を構える。

 

「まっすぐ進め! 邪魔な奴は斬り倒す!」

 

 リンドウさんの言う通り、ハンドルは斬らずにアクセルを踏み込み、更にスピードを上げていき、襲い来るアラガミはリンドウさんが斬り飛ばす。

 返り血で車両を汚しながら突き進み、途中でリンドウさんはボンネットから地面を降り立った。

 

 直後に通信が入り、ジャックが応答する。

 

『俺はここでアリサたちを送ったら防衛に回る! 全員、必ず生きて帰ってこい!』

 

「「了解!」」

 

 ジャックと共に答え、そのまま更にスピードを上げていく。

 

 

 

 *

 

 途中でアナグラから通信が入り、応答する。

 

『2人共、聞こえる?』

 

 サクヤさんの声が聞こえ、応答する。

 

『2人共、目標地点までアラガミの少ないルートを案内するわ。多少遠回りになるけど、ソーマ達は射撃で応戦できるから早いルートを進ませる。目標地点を挟むようにするわ』

 

 

「じゃあ、俺達はとにかく急いで到着して連中の気を引かせている間にソーマたちに背後を突いて貰う作戦ってことですね」

 

『ええ、相手が未知数だからどこまで通用するのかは分からないけど……作戦に囚われず、臨機応変の対応も必要だから注意するようにして。3人も今アナグラを出たわ』

 

 

 コウタ達も出発したか。

 

「ジャック、ロシア支部から発った航空機は後どれくらいかかる?」

 

「機体の詳細は分からんが10時間前後じゃねえか?」

 

「なら、機関を最新式で色々魔改造したと仮定して到着まで後7時間とするか」

 

「お前いつもこっち側が不利になる事を前提に考えてるよな」

 

「実際に肝心な時に事が上手く運んだことがあるか? 俺は無いな」

 

「言われて見ればそうだな。ハンデ背負うのはいつもこっち側だ」

 

「だろ? そんな訳で更にスピード上げるぞ」

 

 同意を得て更にアクセルを踏み込んで悪路を突き進み、車両が跳ねるのを無視してハンドルを切る。

 

 

「あ、サクヤさんからだ。……此処左に回ってけってさ」

 

「了解だ」

 

 ジャックの指示に従ってハンドルを切って車を進ませて行き、目的地は段々近くなる。

 神機の最終調整をしながらジャックが話しかけてきた。

 

「まったく、面倒な男だ。悪知恵だけは一丁前とはこの事か」

 

「お偉いさんなんざ皆そうだろ?」

 

「元々、理事の野郎は極東支部を駒にするのが目的で今回の件に発展したんだ。思ったより榊博士が曲者で面倒くさくなったからせめてと思って神薙隊長に手を出したんだろう」

 

「理事の通信相手といい碌な奴いねえじゃねえか。そんなんだから本部なんざ信用できねぇんだよ。」

 

 ジャックと会話しながら運転していると、端末に連絡が入り手に取ろうとすると代わりにジャックが手に取って応答した。

 

 

 

『ジャクソン君、ユウ君! 急いでくれ!』

 

 榊博士が珍しく焦った声をして叫び、俺とジャックは突然の音量に顔を顰める。

 

 

『博士?何かあったんですか?』

 

 端末からコウタの声が聞こえた。あいつらとも回線が繋がっているようだ。

 

『とにかく急いでほしい。ユウナ君の反応を感知出来たが、バイタルを始めとしたパラメーターが狂い始めている。特に偏食因子の乱れが強いんだ!』

 

『博士、それってどういう事ですか!? リーダーに何が……』

 

 アリサが叫び、再びジャックと共に顔を顰める。

 ジャックに音量下げろとジェスチャーし、頷きながらジャックが端末を操作する。

 

 

『偏食因子の乱れとは本来あってはならない事だ。確かに禁忌種のパルスは神機使いの偏食因子やオラクル細胞に影響するが、ユウナ君は他の神機使いと違って偏食因子、オラクル細胞は共に安定をしており多少の偏喰場程度ならそう易々と乱れる事はない。それが乱れたと言う事は……ユウナ君の身に危険が迫っている可能性がある』

 

 

 博士の焦り様からも、とりあえずヤバいと言う事だけは分かった。

 

 

 

 急ぎたいのは山々だが……どうやらそう上手く行かないのが世の常だ。

 

 

 

 

「既に戦いは始まってるってか? ユウ、感づいてるな?」

 

『そちらで何かあったんですか?!』

 

 ジャックから端末を奪って口を開く。

 

「こっちは早速歓迎会だ。そっちも用心しろよ。切るぞ」

 

 端末の電源を落として懐にしまい、気配を探る。

 ジャックが神機を構え、俺もいつでも動けるように準備する。

 話に耽っている間に、既に目的地へ入っている。当然奴さんらは既に動いている。

 隠せていない殺気を全身で感じる。喰い殺す気満々なようで何よりだ。こちらも遠慮なく返り討ちにできると言うものだ。

 

 

 直後、後ろから何かが空を切りながら追ってきてすぐ真後ろまで迫ったところでジャックと共に高く跳んで車両から離脱した。

 

 車両が何かで貫かれ、爆発を起こして燃え盛る炎が辺りを照らす。

 

 着地して煙の昇る方を見ると、煙の中からチャージスピアを携え、フードを深く被り上質な布で体を覆った神機使いが姿を現した。

 

「物騒な歓迎だなおい、しかも……3人か」

 

 ジャックの言葉と共に背後には顔を隠した2人の神機使いが降り立った。

 2人はショートブレードを構えてこちらへ殺気を向ける。

 

「さて、2対3か。不利な状況、どうする軍師殿?」

 

 ジャックに質問すれば予測通りの答えが返ってきた。

 

 

「2手に別れれば良くね?」

 

 まあ、かつては硫黄香る島にて5人同時に相手取ったこともある。3人ぐらい捌けねえと上官にどやされちまう。

 

「最悪1対3になったらどうするんだ?」

 

「ガン逃げで遅延しまくって片方が神薙隊長を救出した後にとんずらだ」

 

「ま、3人ぐらいなら……。真人間の頃は硫黄臭ぇ中5人同時に相手取ったこともある。こういうパターンは慣れっこだな」

 

「心強い事で。確かに、たかが人間3人程度……空で性悪女(ヘルキャット)4匹に追いかけ回されるよりは遥かにマシだな――硫黄……?」

 

性悪女……空……? こいつ、まさか……。

 

 

「「おい、まさかお前――」」

 

 互いに台詞が被り、互いに全く同じタイミングで黙る。

 

「「…………………」」

 

 沈黙の後、俺とジャックは互いに異なる方向を向いた。

 そしてスタングレネードを手に持ち、安全ピンを外す。

 

「「せいぜい気をつけろ」」

 

 互いに異なる方向へ駆け、スタングレネードを後ろへ放り投げてそのまま飛ぶように走る。

 

 ジャックが凶悪な笑みを浮かべていたが、それは俺も同じだろう。

 戦友達よ、『海軍とは馬が合わん』って言ってたが、存外そうでもなさそうだぜ?      現に今は肩を並べて仲良く戦ってらぁ……!

 

 背後で炸裂音と光を感じ、出来るだけジャックと距離を離そうと走るが、駆けだして少しすればスピア使いが宙を舞いながら正面へ回り込んできた。

 ショート使い2人の気配は遠くに感じるので、ジャックの方へ行ったか。

 

 丸腰に1人、武器持ちに2人、理に適っていると言えばそうだが……1人で俺を止める気でいるのは些か舐められているようだ。

 

 チャージスピア使いはフードと布を脱ぎ捨てて得物を構える。

 スピアの先端が展開して更に尖り、力を溜めるような構えから突撃を仕掛けてくる。

 

「ッ!」

 

 体を少し逸らして回避するが、奴は即座にバク転しつつこちらへ距離を詰めて槍を振るう。

 空中から薙ぐように振られた得物を下がりつつ回避して次の攻撃――突きを誘うが奴は着地から一気に接近し勢いよく槍を振り回してこちらの動きをけん制しつつ絶妙な体捌きで適切な距離で攻めてくる。

 

 舞うようにスピアを振り、隙を探すが攻勢に出るには高いリスクを背負う事になる。

 

 だからこそジャックから貰ったピストルの出番だろうが、衣服そのものが防弾であるなら意味はない。こちらの手を晒すだけになるので狙うなら布に守られていない急所だが……確実に当てるにはそれこそ十分な隙を突く必要がある。

 

 懐のピストルに手を掛け、何か仕掛けると警戒させつつ一方的な連続攻撃を往なすが急に攻撃のリズムを変えて素早くスピアを振る。

 途中で突きを繰り出してきたが、こちらが突きを蹴りで弾こうと身構えた瞬間に突きを中断し、軽快な足裁きで間合いを詰めて石突に相当する部分で殴りかかってきた。

 

 咄嗟に首を逸らし、やり過ごして反撃の突き蹴りを放つが穂で防ぎつつ距離を取られた。

 

「中々やるな」

 

 接近しつつ相手がスピアを振りかぶった瞬間を狙ってナイフを投擲してそのまま距離を詰めるが、ナイフを腕で受け止めて血を流したままスピアが横薙ぎされ、咄嗟に跳んで敵を飛び越える。

 

 しかし着地した瞬間、一瞬で距離を詰められて穂が頭を捉える軌道で振られた。

 

「ッ……怖気ろッ!」

 

 睨み、大声と共に殺気をぶつけるとほんの一瞬だけ迷いが生まれた事で回避が間に合った。

 

 子供騙しの威圧、精々動きを鈍らせるだけか。次は通用しないだろう。

 

「ッ……!」

 

 敵は数秒表情を険しくさせた直後、今までと同じく無表情となって更に苛烈に攻撃を仕掛けてくる。

 足払いや薙ぎによる連撃にフェイントを絡めて一切の隙を晒さすことなく迫り、後退しつつ往なして懐のピストルに手を掛けた直後、今までで特に早い横薙ぎを繰り出される。

 咄嗟だが態勢を低くして躱しつつ、ピストルを取り出して銃口を頭部へ向けて発砲する。

 

 

 キィン!

 

 

「ッ⁉」

 

 片方の手で頭部を守り、その手は黒く染まり光沢を放っていた。

 体を――硬質化……!? こいつ一体――!?

 

 そしてスピアを地面へ突き刺し、そのままスピアを支点に回し蹴りを繰り出された。

 ピストルを手放し足首を両手で掴みそのまま投げ飛ばし、すぐにピストルを拾おうとする。

 

しかし、奴は投げ飛ばされた直後にスピアの穂を展開して空中から急襲突きを仕掛けてきた。

 

 渾身の突き攻撃、これを待っていた。

 

最小限の体捌きで受け流した直後に片足で神機を蹴り上げ、急な力の方向転換に態勢を崩した相手に対して一気に接近して空いた腕で肘鉄を腹部に叩き込む。

 

 怯む隙を突いてピストルの銃口をスピアを握る手へ当て引き金を引く。

 

 男はスピアを手放して撃たれた手を庇いながら下がり膝をつき、隙を晒した男へ跳び掛かり顔を掴んで後頭部を地面へ叩きつけ、更に続けて拳を蟀谷に叩き込んだ。

 

 男は意識を失ってそのまま地面へ転がり、男の体を探り隠し持っている武器を全て回収し、肩を思い切り踏みつけ得物を振るえないようにする。

 

 

 命は勘弁してやるか。

 まあ、神機無しでアラガミが跋扈するこの場所から安全圏へにげれればの話だが……それでも片腕は使えるんだ特殊部隊名乗るならこれぐらいやって貰わねえとな。

 

 

 しかし、体を黒く染めて硬質化して防御……普通の神機使いとは確かに違う。刃で鋼を斬る技量があれば話は別だが……。

 体の部位を硬質化、つまり鋼の拳や蹴りが飛んでくるとは恐ろしい事この上ないな。堅牢な防御は攻撃に転じるとはよく言ったものだ。

 

 特殊部隊たる由縁の特異能力……。ジャックの奴も本当の意味での人外を2人同時に相手取るとは流石に分が悪いか。

 救援にいくか…………奴を信じてユウナの救出に向かうか……とにかく動かないと始まらない。

 

さっさと行くとするか。

 

 




前書きの話を病み上がりにされた私は勿論困惑した。
私は今年中に何回困惑すれば良いのだろうか……。
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