Nameless Story 1人孤独に立ち向かわざるをえない者   作:ロイヤルかに玉

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運転免許学科試験にて

夜の道路は危険なので気をつけて運転しなければならない。

答え:×


理由:昼夜問わず気をつけて運転しなければならないから


紛らわしすぎる。
最後に『朝や昼は安全なので気をつけなくてもよい』とか付け足すべきなのでは……?

なんで運転免許取る為に問題考えた奴と心理戦せにゃならんのだ……?


これ以上、好き勝手させてなるものか……!

「さっき、ガルー3と言ってましたけど誰かがその人を倒したってことですよね?」

 

 隣を走るアリサが唐突に聞いてきたので事の経緯を説明することにした。

 

「当初はジャックと行動してたんだが、ガルー5とあのレーザ-野郎にガルー3かは知らんが敵3人と接触してな、ジャックと別れて行動したんだがガルー5が1人で俺と交戦。てっきりジャックの方に2人が行ったと思っていたんだが……」

 

「それじゃあ、ジャクソンが……」

 

「恐らく、レーザー野郎の言葉から察するにだがな。まあ、ジャックも相当の手練れだからな。あれぐらいやって貰わないと困る」

 

「後残る護衛は2人――ん、アナグラから通信……」

 

 アリサの通信機に連絡が入り、端末からサクヤさんの声が聞こえてきた。

 

『アリサ、無事⁉』

 

「はい、ユウも一緒に居るので問題ありません」

 

『ユウも一緒なの? 良かった、ユウのビーコン反応が消失したらジャクソンに連絡しても繋がらないし、あなた達とも急に連絡が取れなくなって……』

 

 また俺の反応消えたの? マジでこの腕輪不良品なんじゃねえのか?

 

「アリサ、榊博士に聞きたい事がある」

 

 人狼部隊(ルー・ガルー)の特異能力、恐らく何らかの研究が関わっているのは間違いない。

 榊博士なら何か知っているかもしれん。

 

 アリサが博士に繋いで通信機を貸してくれた。

 

「博士、聞こえますか?」

 

『ああ、アリサ君からある程度窺っているが……。ふむ、『アーサソール』と言う部隊は知っているかい?』

 

「なんすかそれ」

 

『表向きは接触禁忌種の討伐を専門とした部隊だよ』

 

 そういえば、偵察班の同僚がそんな事を言っていたような……。都市伝説って馬鹿にされてたが実在したのか……。

 

「その禁忌種討伐部隊がどう関係あるんです?」

 

『アーサソールはオラクル細胞を用いた技術による、人間の精神面への干渉技術確立のための……所謂モルモット部隊だ。人間の精神に干渉する強い捕喰場を持った接触禁忌種を討伐させることでデータを収集していんだ』

 

「じゃあ、その実験が成功した結果が……」

 

『研究成果やサンプルは全て失われた筈だが、何らかの形で研究データが残っていたんだろう。それをもとに遂に完成、更に応用したのだろう。偏食場とはアラガミが放つ偏食因子やオラクル細胞を不安定にさせるパルスだ。これを利用して体内の偏食因子やオラクル細胞に手を加えたと言うのが私の見解だ』

 

 実際に連中の気配を探れば、質は他の神機使いは勿論ユウナやソーマとも異なっている。その原因が偏食場だとすればまあ、合点がいくか。

 確かに肉体の硬化は様々なアラガミが活性化した際に行う事があるし、あのレーザーもサリエル種のものを縮小したような規模だが、追尾性は実際にサリエルのレーザーを彷彿とさせる。

 アラガミを操る能力も上位種が下位種を率いるのと同じだろう。

 

 

『博士、ユウナの反応を感知出来たわ! でも、これって……』

 

『これは……サクヤ君、ジャクソン君やソーマたちにも繋いでくれ』

 

 

 博士の言葉に焦りが見え、通信が繋がったとサクヤさんの声が聞こえる。

 

 

『全員、とにかく急いでほしい。ユウナ君の反応を感知出来たが、先程から目標エリアの近辺で移動を繰り返しているようなんだ。ただ、バイタルを始めとしたパラメーターが狂い始めている。特に偏食因子の乱れが強い。とにかく急いでくれ!』

 

「博士、それってどういう事ですか!? ユウナに何が……」

 

『偏食因子の乱れとは本来あってはならない事だ。確かに禁忌種のパルスは神機使いの偏食因子やオラクル細胞に影響するが、ユウナ君は他の神機使いと違って偏食因子、オラクル細胞共に安定をしておりそう易々と乱れる事はない。それが今乱れたと言う事はユウナ君の身に危険が迫っていると言うことだ』

 

『それに移動をしていると言う事は、何とか逃げ出せたようだが神機もない状態では危険だ』

 

「リーダー……!」

 

 端末にユウナの場所が示され、俺とアリサはその場所へ向かう。

 

 

 

 示された場所へ向かい、ユウナの捜索を始めるが彼女の気配が察知できない。気配を感知できない=それ程までに弱っているのが分かる。

 

 ジャック達も近くにいるようだが、合流した方が良いか?

 だが手分けして探した方が効率も良い――ッ!

 

「ユウ」

 

「分かっている。そりゃ奴さんも血眼でユウナを探すだろう。こうして鉢合う可能性も十分にある」

 

 アリサが構え、俺もナイフと拳銃に手を掛けて同じ方向を睨む。

 そこには今までの刺客と同様、顔を隠した男が1人立っていた。

 

 

 男が手を構えた直後凄まじいスピードで跳び掛かってきた。

 

 こちらも跳び掛かり、奴の攻撃を己の腕で防いだ直後に男を蹴り落とす。

 男は軽い身のこなしで態勢を整え、その手にはスタングレネードが握られていた。

 

「ユウ!」

 

 アリサの叫び声と共に奴は地面へ叩きつけ、焦って腕で顔を覆う。

 炸裂音と光を感じながら後ろへ跳び、気配を注意深く探るが全く感じ取れない。

 

 目を開ければそこに既に男の姿は無く、アリサも周囲を見渡して警戒し、こちらも気配を探るが感知できない。

 

 

 俺達の始末よりもユウナの捜索を優先したか……。

 

 

 先を越されまいと捜索を再開しようと走り出したとき、遠くで銃声が鳴り音のした方向を向くと火属性のオラクル弾が空へ打ちあがっていた。

 奴らの罠か、あるいはコウタが……。

 だがコウタの物だとしたら奴らも気づく筈……俺達の到着が早い事に賭けたか……なら、やる事は1つ。

 

「アリサ、しっかり掴まってろ」

 

「え」

 

困惑するアリサを担いで思いっきり地面を踏み、飛ぶように駆ける。

 

「ちょ、ちょっとユウ⁉ 貴方はいつも……!」

 

「舌噛むぞ。俺は移動に専念する。周囲の警戒をしてくれ」

 

「ああもう‼ 分かりましたよ!」

 

 ヤケになった言葉を最後にアリサは黙り、徐々にオラクル弾が見えた地点に近くなってきた。

 

 人が4人の気配……これはユウナか……だがうち1つは歪な気配だ。恐らく人狼か。

 徐々に気配は近くなり、思考しながら走る。

 人狼は残り2人、不測の事態に陥って救難信号かは分からんが兎に角急ぐ。

 

 

「ッ!」

 

「リーダー!」

 

 ジャックとコウタに……鎌型の神機――ヴァリアントサイズを手にした女性とその後ろには肩から胸近くまで大きな傷を負って血を流すユウナが理事に腕を引かれて倒れていた。

 

 理事の奴、なんでこんな場所に……⁉ 俺達以外にアナグラを発ったヘリや車両なんて無い筈だろう……。

 くそ、どんな絡繰りか分からんが……まずい状況なのは確かだ。

 

 ジャックを見やると胴体から血を流し、膝をついて険しい表情をしていた。

 

 

 アリサが飛び出し、俺も高く跳んで上空から奇襲を仕掛けようとするが突然体が重く感じて思うように動けず無様に地面へ落ちる。

 

 

「ぐえっ!」

 

「ああ、お前もかユウ」

 

「アリサ!」

 

「なんですか、これ……偏食場……?」

 

 アリサも含め、全員が険しい顔をしており奴らへ向き直る。

 

 ヴァリアントサイズを構えた女は凶悪な笑みを浮かべて俺とアリサを見る。

 

 

「ハハッ、また馬鹿が来た。理事、こいつらどうします?」

 

「久しいねアミエーラ君。最も君は私の顔を見たのは初めてだろうが」

 

 理事がアリサへ気持ち悪い笑みを浮かべて話しかけるが、アリサは震える体に鞭を撃って神機を構える。

 

「私は話をしに来たわけじゃありません」

 

 理事を睨みつけてやる気満々だ。やるのは構わんが……この鬱陶しい体の重さは……。

 

「おいおい、この体が重いのは何だ? テメェもらしくねえ怪我してるな、ズッコケジャック」

 

「あの女の能力だろうよ。最初負傷したユウナを発見して運ぼうとした矢先にこの様だ」

 

「ちっ……お前もユウナも……その傷、放って置けば命に触るぞ」

 

「おい、もう1人来るぞ……?」

 

 何とかしなければと構えるが、そうしている間にコウタの言葉にハッとした時、理事の隣へ先程姿を晦ませた男が降り立った。その背には翼が生えており、それが奴の能力だと確信する。

 

 状況は最悪……。全く、なんでいつもハンデ背負った状態で戦らねえといけねぇんだろうな……!

 

 

「やる気十分……。さて、早速で申し訳ないが……ここではアミエーラ君以外には死んでもらわなといけない」

 

 

 理事は俺とジャックとコウタを指差し嘲笑う。

 

「ソーマ君はある研究班から是非実験に付き合ってもらいたいらしくてね……ただし、モルモットとして。そして、アリサ君は……ユウナ君共々調教して儂のものになって貰おうか」

 

 気持ち悪い笑みを浮かべてアリサを見る理事。

 

「正直、君たちが此処まで来て護衛を3人も倒すとは驚きだよ……。それも、そこの一兵卒2人にねぇ! 全く腹立たしい!何のために能力を与えてやった⁉ 何のために特殊部隊の名を与え優遇したと思っている⁉」

 

 理事は突然怒りだし、隣の男を殴りつける。しかし男は何事もなかったように立っている。

 

「さて、ユウナ君。君も神機使いならその傷ぐらいすぐに塞がるだろう」

 

 理事はユウナへ近づき、体を触って姿をその肥えた体で覆うようにこちらから見えないように背を向け、何かを引き千切るような素振りをすると理事の横に女性用の下着が落ちた。

 

 正気か、このジジイ……⁉ あいつは怪我人だぞ……‼ 放って置けば命に触る怪我を負っている状態で暴行を加えられたら……。

 

「ッ…………!」

 

 

 声にならない悔しさを帯びた息が聞こえ、その瞬間にアリアが飛び出した。

 

「リーダーから離れて!」

 

 アリサが叫び、神機を振りかぶると今まで静かに佇んでいた男が動いた。

 男の背中から翼が飛び出し、それは刃物のように鋭く尖りそのままアリサへ向かうが咄嗟に装甲を展開して防ぐ。

 

「そう急くな、アリサ君。君も疲れているだろう?」

 

「仕方ないですよ理事。ガルー3が呼び出した大量のアラガミを私の効果範囲内で全滅させるほどの奮闘をしたのですから……疲れが出て当然ですよ」

 

 女が俺達の前に立ちふさがり、神機を地面へ突き刺す。

 

「それじゃ、本格的に鈍くなって貰おうかしら」

 

 女がそういって自分の肩を覆う布をはぎ取る。

 布で覆われていた箇所は歪だった。

 

 オラクルに侵食された肩にアラガミのコアがめり込んでおり、コアが急に光り始めると今まで体に感じていた重さが急に大きくなり、膝をつく。

 

「ク……!」

 

「う、重……!」

 

「動けねェ……くそ……!」

 

 全員が膝をその場に膝をついて息を荒くして何とか立とうとするも、立ち上がる事すらままならない。

 

「禁忌種と同等、いやそれ以上のパルスか……!」

 

 ジャックの言葉でこの女の能力はこちらのオラクルや偏食因子への干渉だと気づくが、既に気づいても遅い状況……あの女に近いジャックが押さえつけられたように険しい表情を浮かべて耐えている様子から察するに、あの女に近い程この能力は強く作用するか……。

 

「さて……アリサ君をこちらへ」

 

 理事の言葉に女は頷き、アリサへ近づくと神機を蹴り飛ばしてそのままアリサの引きずって理事の元まで連れていかれる。

 

「やめ……て、アリサは……関係ない……!」

 

 睨みつけるユウナの首を乱暴に掴みながら、理事は笑いながら言う。

 

「関係ない?いや、儂に目をつけられた時点で関係なくないのさ。君たちを孕ませた次は……そういえば受付の子も興味をそそる顔立ちだったか、ハハハハハ!」

 

 アリサの服も乱暴に掴んで理事は服を剥ごうとする。

 

「何、君たちも羞恥を感じるだろう。残りの3人に君たちの肌を見る権利など無い。ガルー1、ガルー2……殺せ」

 

「了解」

 

 ガルー2と呼ばれた女が答えジャックの首にヴァリアントサイズの刃を宛がい、ガルー1と呼ばれた男はコウタの前に立つ。

 背中から生える翼は槍のように変形してコウタと俺の脳天を狙う。

 

「や、やめてェ!」

 

 アリサの悲鳴が響き、それを聞いた理事は憎たらしい笑みを浮かべる。

 

「アリサ君、悲しむ必要はない。すぐに心地よい気分になる。安心すると良い。ガルー1、ガルー2、やれ!」

 

 ガルー1の翼はそれぞれ狙いをつけ、ガルー2はジャックに神機を振りかぶった。

 

 くそ、動け‼

 

 また戦友を失うなど冗談じゃない。これ以上、好き勝手させてなるものか……!

 何のために神機使いになった? 何のために化け物の細胞を体に取り入れた?

 何のために見切りの極致へ至った?

 

 鬼になる覚悟なんてとっくにできてる筈だろうが……! 

 

 

「後悔して死ぬが良い。一般神機使いの諸君!」

 

 理事が高らかに笑い、ユウナとアリサの表情は悲しみに支配され声が出せず涙を流し、2人共目を背けた。

 

 

 




試験とは……出題者との心理戦です。
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