もしものび太の能力がACだったら   作:焔崩し

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なんか違うプロット投稿してたのでなおしました…


第二話 旅立ちの鳥

 あの後僕らは主任ともう一人、アロンの案内によって宇宙船に乗ってポックル星という所に向かっていた。主任もアロンのようにネズミのような見た目になっていて暫く爆笑していたのはついでの話だ。

 その途中で僕らは情報を交換していた。特に僕と主任は僕らが本来いたアーマードコアが存在していた世界、そこで僕が死んだあとの話を聞いていた。

 

 主任はどうやらその世界での神の使いのようなAI的な存在であったからその後の歴史についても知っており、物のついでに聞いてみたのだ。

 主任から聞いた話によると俺、つまり黒い鳥の後継者となる者が現れ、再び世界をかき乱したらしい。死神部隊とか呼ばれる厨ニ病部隊やその頭である主任以上に頭のイカれた財団、Jという男とそいつが駆るN-WGⅨ/Ⅴという俺が生まれる前に世界を枯れさせたコジマ粒子を使用した機体、ホワイトグリントにかなり似た機体との激戦などを映像で見ていた。

 

「ど〜う?元祖黒い鳥としては」

 

「ノーコメント、というより前から思ってたんだけど黒い鳥ってどっから来たんだよ…」

 

 正直いつの間にかそんな異名付けられてたから何とも言えないよね。ただ自分がやりたいように動いてたらそうなっちゃったんだから。てか何黒い鳥の昔話って。別に全てを焼き尽くすとかそんな事できないからね?コジマ粒子使ってるわけでも無ければ僕が所有してたOWでそんな事出来そうなの…あったわ。それも複数形で

 

「まあ君のエンブレムから来てるからねぇ…ところでさっきから口調が不安定みたいだねぇ?」

 

「うるせぇお前といると調子狂うんだよ」

 

 そう。主任と話してると俺と僕の人格が混じって変に口調が安定しない。まあ幸いなのはどこぞのマイティーブラザーズみたいに魂?意思?が2つあるわけではないって事だよね。いや僕が俺と分裂して二人になったら戦力はだいぶエグいことになるよね。知ってる人からしたら黒い鳥二体分に主任でしょ?

 

「…できないかなぁ」

 

「いや急にどうしちゃったのかなぁ?残念ながらハングドマンは赤くならないし剣ももってないよ?」

 

「違うそうじゃない。声は似てるけどあそこまで外道じゃないでしょ貴方は」

 

「いやー、やっぱり君と話してると飽きないねぇ」

 

 はぁ…主任の相手面倒くさいなぁ…ドラえもん達とかなんか温かい目でこっち見てるし…というか

 

「ねえアロン?そろそろそっちの事情とか聞きたいんだけど…いいかな?」

 

「あ、そうでした。ではそろそろ説明させて頂きますね」

  

 アロン君それでいいの…?いやまあ主任と調子こいて話してた僕も悪いんだけどね?

 

「それではこれから僕達の星の現状についてお話します」

 

 どうやらアロン君達の種族の住む星、ポックル星が開拓業者としてやって来た宇宙海賊の連中に滅ぼされそうになってるらしい。ポックル星をエネルギー砲のエネルギーに使ってポックル星を照らしてるダイヤモンドの太陽を破壊、それを回収するらしい。

 そんなことされれば太陽が無くなるわけだから星は氷漬けになって氷の丸い球体の出来上がりになる。

 

 それを知ったアロン君はなんとかしようとしたけど宇宙海賊のメンバーに見つかって脱出しようとした所を主任に助けられ、そのまま一緒に行動してるみたいだ。

 

「どうか皆さんの、ヒーローの力を貸してください!」

 

 アロン君のお願いに対し、ジャイアンやスネ夫はどうやら撮影の続きだと思って引き受けてるみたいだけど…バーガー監督や主任の反応を見るに…

 

「おい、主任」

 

「ん?何かなぁルーキー」

 

 主任に小声で声を掛け、一応俺としての意識で話しかける。特に意味はないけど主任に対してはこっちのほうが気が楽だ

 

「これ、マジだろ?」

 

「そりゃもちろん。さっきまでの撮影とは違ってこれから行くのはマジの戦場。君には俺達に雇われる傭兵に一時的に戻ってもらう訳だ。それに…」

 

「…それに?」

 

 主任が一言間を置く。…一体なんだ?

 

「さっきの話に出てきた死神部隊、多分あいつらが雇われてる。なら、君は奴等に対して良いカウンター役になるでしょう?」

 

 死神部隊!?うそだろ!?その話に思わず俺は思考を固めしまうがすぐに再起動する。まあでも黒い鳥の再来とか言われてるやつが倒せたんだ。恐らく俺でも倒せるとは思う。けど、強敵であることに変わりはない。

 

「…主任、確か奴等の隊長は大昔の粒子…コジマ粒子を使った機体があるんだよな?」

 

「…ああさっきも言ったけど…N-WGⅨ/Ⅴ、昔使われたホワイトグリントって機体をイメージして作られた機体だ」

 

「お前が最終決戦時に乗ってた黒い機体、あれは生み出せないのか?」

 

「あー、EXUSIAね。あれは一応データの作成は終わってるけどまだ制作の方はできてないんだよねぇ。そもそも俺達のACの在り方自体変わってるからねぇ」

 

「在り方が変わった?」

 

 そこに興味持つよねぇと主任が言い、説明を始める。どうやら俺や主任が使用してるACはどれかと言うと今までの物とは違って魔法…じゃないけど、とりあえず現実に存在してるものではないらしい。

 通常ACは普通の兵器と同じく、人間の手によって鉄などを加工して作られる、言わば常に現実に存在する制作物。しかし、いま僕達が使ってるACは僕達の機体等のイメージを反映させて創る創造物っていう立ち位置になるらしい。

 

 つまり僕達のACは今、fateシリーズで言うところの宝具やDies iraeの聖遺物に最も近いもの、になるらしい。つまり…

 

「…僕達はアーチャーにでもなったのかな?」

 

「そういう訳じゃあないんだけどねぇ…ま、ACについてはそれぞれが保有する空想兵器、それこそその宝具みたいなもんだと思ってもらって結構。俺の場合はハングドマンだけではなく、前世で使ったEXUSIAがあるし、君の場合は今まで使ってきた機体のパーツは大体使える。オーバードウェポンを切り替えられたのもその影響ってわけ」

 

 なるほど…とりあえずは理解した。けどそのうえで一つおかしなことが一つある。僕がさっき使ったオーバードウェポン、グラインドブレードについてだ。あれは余りのエネルギー消費量に片腕をパージして無理やりエネルギーを供給する武装になってる。

 けど、さっきの戦闘ではそれがなく、両腕がある状態でヒュージキャノンまで発射できた。あれは一体…

 

「それと、君のAC、なんでかは分からないけどEXUSIAやN-WGⅨVと同じように昔の粒子…コジマ粒子のジェネレーターが追加されてるみたいだねぇ。恐らくその影響でオーバードウェポンの連続使用なんて恐ろしい真似ができたんじゃないかなぁ」

 

「は!?どういう事だ主任!?」

 

 僕は驚きの余りつい大声で叫んでしまう。その声でびっくりしたのか皆こっちを見ているけどそんなことは気にしてられない。何故かつて世界を荒野に変えた粒子のジェネレーターが俺の機体に装備されてるのか全く理解が出来ない。

 

「あー、推論でしかないけど聞く?」

 

「構わん。話してくれ」

 

 完全に頭が俺に切り替わり、表情が固くなるのがわかる。主任もさっきまではまだおふざけモードだったが今では最後に会った時と同じような真面目モードになっている。恐らくそれ程重要な話になるのだろう。

 

「そんじゃあ早速…まず、君が生まれるもっと前の時代、ACが常に空を飛び、海も普通に存在していた時代だ。その時代にはコジマ粒子と呼ばれる粒子が使われた機体が主力になっていた。そのせいで世界が荒れ果てたのはわかるよね?」

 

 主任の問に無言で首を降る。俺達の居た世界は荒野となった。

 

「これまた復習になるけどその時代にはホワイトグリントと呼ばれる機体が存在していた。これ実は二パターン存在していてね、一つはジョシュアと呼ばれていたパイロットが乗っていた言わば初期型。一号機と言ってもいいね。多分このジョシュアが死神部隊のJと思われるんだけど…それとは別で二号機にあたるホワイトグリント、それのパイロットは君かもしれないんだよ、黒い鳥」

 

「は?どういうことだそれは」

 

「ホワイトグリントの二号機…パイロットはアナトリアの傭兵って呼ばれてたunknown(正体不明)の人間でね?その生まれ変わりが黒い鳥(世界を滅ぼした力)なのかもしれないっていうのが俺とキャロリンの推測ってわけ。それなら色々と納得がいくしね」

 

 納得がいく…?それはどういう事だ。一体何についての納得が…疑問に思ったのが表情に出たのか、主任は話を続ける

 

「君は初めてEXUSIAと戦ったときのこと、覚えてるかなぁ?」

 

「勿論だあんなコジマ粒子を使用した機体…ん?」

 

「そういうこと。君たちの時代には消え去ったはずのコジマ粒子。その名称を知っていただけでなく君はその動きにすぐに対応してみせた。まるでその動きを知っているかのように」

 

 主任に言われ、ようやく俺も納得した。確かに俺はあのとき直感的にコジマ粒子だと認識したし、動きにも反射的に対応してみせた。普通あの時代のACはあのような動きが出来ないので普通に考えれば対応出来る筈がない。つまり…

 

「俺が…アナトリアの傭兵…?なら何故俺のACはそのホワイトグリントではないんだ?」

 

「それは恐らく、黒い鳥としての記憶が強いからだねぇ。でも体や魂のどっかにはアナトリアの傭兵としての記憶が刻み込まれてる。ひょっとしたら戦ってる内に思い出すだろうね…アナトリアの傭兵としての記憶が」

 

 俺は思わず頭を抱える。黒い鳥とか呼ばれてるだけでもだいぶ頭が痛くなる話なのに…アナトリアの傭兵とまで呼びれていた?流石に冗談がきつい…が、まあいいさ。過去の話だ、スルーしよう。それよりも気になるのはコジマ粒子だ。

 

「主任、コジマ粒子は世界を汚染し、枯れさせた力だ。そんなのポックル星で使って問題なのか?」

 

「それについても問題ないみたいだね。恐らくこれはこの世界でコジマ粒子を使用してるから無害のエネルギーになってるってだけで元の世界で使ってたら当然環境は汚染されるよ」

 

 なるほど…この世界では無害のエネルギー源になっているのか。それなら助かるな。変に環境を気にする必要はないのだから。

 

「そうか、了解した。記憶が戻るかは知らないしそもそも本当に俺がアナトリアの傭兵だったのかも分からないが…やれる事はやるさ。黒い鳥としてな」

 

 そう言って少し笑う。主任も鳩が豆鉄砲食らったみたいに一瞬固まったがすぐに腹を抱えて笑い出す。やっぱりいつは真面目な方が違和感があるな。いつものように、というのも変な話だが笑ってないとそれはそれで違和感があるからな。

 

「ハハハ!イイねぇ…そうこなくっちゃ面白くないじゃない?んじゃ、おじさんも頑張っちゃいますかねー!」

 

「お前は少しは自重してくれても良いんだがな…」

 

 俺は正直に言う。もう少し大人しくしてくれ、と…だがまあ敵だと面倒くさいが味方なら心強い。改めて俺はそう認識した。

 

「あのー、のび太…くん?」

 

 あ、ドラえもん達に色々説明しなきゃ。…大変だなぁ…




ご迷惑おかけしました…

2018/04/21文の追加と編集をしました

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