奴隷売買と言われる物がある。
古代より存在し、この国にとっては伝統的な商業である。週末の金土の2日間にかけては「奴隷通り」と呼ばれるここから1ブロック離れた通りに大きなマーケットが開かれている。
人間は当然として、獣人、エルフ、下級魔人等、種族関係なく売買されている。
借金を作り「売春奴隷」となり果てた女、はたまた鉱山や集団農場等で酷使される「肉体奴隷」になる男。その他は戦争で負けた敗残兵。
奴隷になる理由や経緯はそんなものである。
俺は外国の製品を輸入し販売するそんな仕事柄であるため、ここ2年近くは外国で珍しいモノ集めをしていた。
ドラゴンの鱗、山奥の部族の秘薬。1個1000万ゴールドはする金と宝石のネックレス。そんな高額で売れる商品を取り扱っているものだから貴族と取引機会は山と言う程ある。
はっきり言って俺は大半の貴族が嫌いだ。自分の権力を振りかざし、平気で拷問にかけて領民を殺す。飢えて死にかけている農民から物を奪い取る。
そんな傲慢な奴らだ。
まぁ、俺の取引相手にはそんな奴一人もいないが・・。とにかく、そんな貴族は当たり前のように奴隷を持っている。
その奴隷はたいていこのマーケットから仕入れた奴隷だった。
今回俺の取引相手はそんな奴隷商人の一人。ボード・ヴェラードだ。彼は自称「なんでも販売屋」で、俺は彼に卸売りをしている。なんでもを自称する以上は奴隷にも手を出している。
奴隷通りの3番テント。いつもそこに店を出していた。
「お・に・い・さ・ん。ねね、ちょっと気持ちいいコト、してかない?」
奴隷通りに入る前から声をかけられる始末である。大体、こういったことは反応したら最後。それを無視して彼の店へすすむ。
(・・今の男じゃなかったか?)
そんなことを考えつつ、店に付く。家から数分でつく彼の店はほかの奴隷専門店よりも小さく、金額は平均より少し安い程度だ。
「ボード。いるか?」
「ああ、君か。丁度、客がいなくなったんだ。少し休憩を取ろうと思ってね。良いタイミングだ。」
くすんだ金髪のオールバックにあごひげ。見た目年齢は35近いが実は26の俺と同い年である。
商談の話に移る。南から直輸入された豆を使ったコーヒーを飲み、話は進む。
古代遺跡で見つかった長槍や珍しい置物などなど・・・。
彼からの支払いを受け取ったところでいきなり彼は神妙な顔つきになった。
「なぁ、ハンティングの話は聞いたことあるか?」
「
「やっぱり知らなかったか・・。獣狩りの方じゃない。異種族狩りだ。」
「異種族狩り・・?」
「ああ。辺境のピョイトの私兵がエルフや獣人の集落を襲って女子供を攫っているらしい。」
「あのピョイトか・・。」
辺境伯ピョイト・ポー。悪名高き貴族である。俺が嫌いな貴族をそのまま映したような男だ。
「噂によれば今日、この先の12番テントでその女子供の1部が売られるって話だ。」
「すまんがどっちにしろ興味はない。狩るという表現は気に食わないが別に俺が直接被害にあうわけでもない。」
「そうか・・。ま、頭の隅っこに入れておいてくれ。」
そんな時、ちょうど客が来たらしくボードは対応をしに出て行った。
「12番・・・か。」
俺は誰にも聞こえないような声で呟き、席を立つ。
客の対応をしているボードに声をかけ、彼の店から出ていく。
12番テント、ここから西に行けば見えるはずだ。
俺は少し歩く速度を速め向かった。
12番テントへ行くとなにやら少しばかりの人だかりができていた。
「さぁさぁさぁ、皆様、最後に現れるのは
司会の声が響く。
手かせをつけられ、防寒機能はまるでなさそうなぼろぼろの布切れだけを着せられ獣人は現れた。
「女・・・。」
出てきたのはまだ15にもなっていなさそうな少女だった。頭と尻からはオオカミやキツネに近いグレーの耳と尻尾が生えている。
出てきた瞬間、周囲からはブーイングの嵐だった。
「人間を汚す存在め!」「畜生以下よ!」「噂では迷った人間を食ってるらしいじゃねぇか!このゴミ屑!」
観客は
「痛っ・・!」
観客が投げた医師が彼女の足に、胴体に、そして顔に当たる。髪の付け根から血を流し絶望した表情でこちらを見ていた。
「おっとおっと、皆様、これ以上は困ります。これ以上やると言うのであれば是非買っていただきたい。値段は・・そうですな200万ゴールドほどにしましょうか。」
「バカヤロー!こんな人間の成り損ないにそんな出せるか!」
周りからもそうだそうだと声を上げている。
この国は人尊正統主義を掲げているだけあって余計蔑視が大きかった。
「ふぅむ・・困りましたねぇ。これ以上この奴隷を置いておくわけにはいかなくてですね・・。ここで買い手がつかないならば・・・殺すしかありませんね。」
その言葉に彼女は「ひっ」と怯えるような声を出す。
「ふん、それほど殺されたくなかったら自分で買い手がつくように努力してみてはどうですか?例えば・・・
地に頭をつける・・と言うのはこの世界において自身が最も下であるということを示すものであった。
彼女は膝を地につけ、そのまま上半身を近づけていく。
掌を頭の前に出し、小さな声でこう言った。
「お願い・・します。無様で・・品がなくて・・最底辺の私を・・どうか買ってください・・。」
「誰が手前なざ買うかよ!この獣人!」
「そうよ!そうよ!そんなんじゃモノ好きの貴族さえ買っていかないわ!」
彼女に浴びせられる罵倒。殺されるかもしれない恐怖にまみれまともに声も出せない彼女。
少なくとも俺はそれを見ていて心地良いなんて感じることはなかった。
俺は良く「人と感覚が違う」と他人から言われる。流石に糞やムカデみたいなものは汚く感じるが、俺は特に彼女の耳や尻尾を見ても何も感じることはなかった。
再び石を投げつけられ彼女は
「ごめんなさい、ごめんなさい。お願いします。買ってください・・。」
そう何回も繰り返している。
「誰もいませんかぁ?」
司会の男は確認を取る。彼女を買おうとするものは誰もいない。
「では獣か何かの生餌にでもなってもらいましょう。これで競売を終りょ「待った!」おやぁ?」
「待ってくれ。彼女を買おう。」
「これはこれは、なかなか面白い方だ・・。服を見たところそれ程裕福そうには思えませんが・・。」
「人を見かけで判断するなよ。200万。ここにある。」
ボードの取引で得た10万金貨20枚を手渡す。
「金は本物だが・・。良いでしょう。彼にこの獣人を売り渡します。」
俺は彼女の方を見る彼女は地面にへたり込んだまま、こちらを見上げていた。
その頬には涙が流れている。見物客は「なんだよ。最初からぐるか」みたいなことを呟き、散っていった。
「あ、あの・・ありがとうございます。」
彼女はこちらを向いて言った。その言葉からは俺がある種のサディストで虐待されるのではないか。そう言った感情がひしひしと伝わってきた。
「心配いらないよ。俺は君に痛い思いをさせたいわけじゃない。・・・君、名前は?」
「レイラ・・レイラ・ラギオールです。」
彼女はこちらを向き笑顔を作る。
・・・その日から、俺と獣人奴隷であるレイラとの生活が始まっていった・・。
え、俺の名前?別にそんなの無くてもいいだろう?
友人の要望をふんだんに取り入れた奴隷少女と甘々生活を送る話を始めました。
今後ともよろしくお願いいたします