ベガ大王ですが、何か?   作:ないしのかみ

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年末の飲み会で、冗談から駒から始まった連載です。
主人公はベガ大王、になる予定の少年です。
某「ああ、僕は憧れのロボットに乗ってる!」系の男の娘テイストなのは趣味です。


誕生編
1


 気が付いたら異星人になっていた。

 おいっ、今、流行りの転生物かよ。いや、記憶はあるんだよ。記憶は。

 えーと、俺は日本人で……。

 あ、俺って誰だ?

 思い出せねぇぇぇぇ。日本に生まれて生活してた記憶はあるのに、肝心な個人情報がずっぽりぬけてやがる。

 

 まてまて、じゃあ、今の俺は何者だ……。

 と、悩んでいる時に、部屋の扉がバタンと開けられて大柄の男がずんずん入って来た。

 

「ベガ王子よ。身体の方は何ともないか」

「ははっ、父上」

 

 うわぁ、口が勝手に喋りやがる。

 大柄の男。うわっ、見た覚えがあるぞ。大昔のアニメに出てきた悪役だ。

 確か『UFOロボグレンダイザー』だったっけ、そう、ベガ星連合軍の親玉ベガ大王だ。

 王子つー事は、俺はベガ大王の息子かよ!

 でも、あれ…ベガ大王には娘は居たけど、息子はいなかったんじゃ無かったっけ?

 

「そなたの身体の弱さを考えて、この辺境惑星へと送り込んだわしを許せ」

「いいえ、父上。この星、ベガ星は美しい所です」

 

 この場所はベガ星なのか。

 と、突如、頭に知識が流れ込んで来た。

 ベガ星。ヤーバン星連合に参加する構成星域の一つ。開拓されたばかりの辺境惑星でベガトロン鉱石が採掘される鉱山しかない。

 そして、目の前の大男はヤーバン大王。

 ヤーバン星連合を統率する帝王で、俺の父親に当たる。

 え………ベガ大王じゃ無いの?

 

「宇宙円盤大戦争…」

「どうした、王子よ」

 

 その単語に父上が訝しがって俺の顔を覗いてくるが、俺はそれどころでは無かった。

 その時、やはり扉がバタンと猛烈な勢いで開いて、もう一人の人物が室内へとやって来た。

 ここで、俺はある確信に至る。

 

「父上、ベガ」

「おお、テロンナ。我が娘よ」

 

 金髪でケバい化粧をした美女が訪問だ。

 うわぁ、この美女ってテロンナ姫だ。『宇宙円盤大戦争』に登場するヒロインじゃないか!

 

「テロンナ姉様」

「ああ、ベガ。お元気そうで何よりです」

 

 てっきり『グレンダイザー』かと思ってたけど、これ舞台はその前の『宇宙円盤』の方だったのか。ちなみに『宇宙円盤大戦争』とは、後の『UFOロボグレンダイザー』のプロトタイプ的な作品で主人公はデューク・フリードで一緒だが、敵の設定がベガ星連合じゃ無くて、ヤーバン星って所が相違である。

 登場主人公機も、円盤と合体するのは同じながらグレンダイザーじゃ無くて、ガッタイガーと言う奴だ。

 ちなみに、主人公機は円盤形はともかく、ロボの方はあんまり格好良くない。

 分離するロボットはロボイザーと言うんだけど、アメフト選手みたいで後の『闘士ゴーディアン』を彷彿させるスタイルと言えばお分かりになる方は、分かると思う。

 

「姉様はどうしてベガ星へ?」

「可愛い弟の顔を見に来ただけですよ。体調の方は良さそうね」

 

 姉弟なんだね。俺と彼女。 

 ん、可愛い?

 可愛いってか。

 俺は視線をそっと外して、自分の身体を確かめた。

 細くて青白い手足。肌はすべすべで肉体労働をやった事無い系だな。

 髪はストレートな銀髪。と言うか水晶色だ。しかも、長い。

 って、長いって比喩じゃ済まねぇぞ。何だ、この床をモップ掛け出来そうな長さは!

 ふと視界に、部屋備え付けの姿見が目に入った。

 

「あ…」

 

 美少女少年?

 そこにはBL小説に出てきそうな、女顔のほっそりとした体躯があった。

 

 

〈続く〉




ベガはベガでも、どこかの星の皇女風なのは…。あ、三石声ですよ(笑)。

『エロエロンナ物語』系の更新を優先しますので、更新ペースは月一程度とお考え下さい。

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