ベガ大王ですが、何か?   作:ないしのかみ

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今回の作業用BGMは『装甲騎兵ボトムズ』から「スクランブル」です。
特にクメン編だけに作られた曲では無いんですが、アルバム二番目に入ってる曲が如何にも最低野郎の戦闘曲として、とてもしっくりくるんですよね。

『ボトムズ』自体はATと言う動く棺桶(失礼)がメインメカである点が燃えましたね。いわゆる働く車やソフトスキン的な〝ダサ格好良い〟と言うデザインが、アニメ界に理解された最初の作品だと思います。
最初にアニメ誌でデザイン公開された時の評判の悪さを知ってる身にとっては、「デザインよりも演出法で、どんなメカでもカッコイイに化けるんだぞ」を地で体現してくれて、本当に嬉しかったですね。
自分はヒーロー然とした機体よりも、こうした道具に徹するメカの方が好きなんですよ。パンターよりもⅣ号戦車。それよりマーダーⅡやⅢみたいな、分捕り品のロシア野砲を載せ、如何にも「急造品ですが、何か?」の奴ね(笑)。
でも、ATは犬(ATM-09)よりも亀(ATH-14)だ!


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              ◆       ◆       ◆ 

 

 

「追いつくには時間が掛かるか」

 

 マザーバーンに到着直後、俺の命令を待たずに艦は宇宙港を飛び立った。

 緊急出港を命じていたのでそれに関しては文句は無い。

 第一艦橋に到着する頃には、艦は大気圏上層部まで到達していた。

 

「プリンツ・ブーチンが先行していますので、どうしても後追いになりますね」

「まぁ、奴の方が先に行動しているんだからな」

 

 艦橋で指揮を執るアラーノ中尉の説明に、仕方ないなと納得する。

 初動で宇宙港へ向かうまで手間取ったのは確かなのだ。

 

「手柄を取られる危険はあるね」

「手柄なんぞはどうでも構わないよ。でも、墜ちてしまうと後が面倒臭いんだよね」

 

 何故か、アラーノ中尉の隣に位置するゴルヒ・フォック少尉に対して、俺は本音を吐露する。

 無関係の戦闘でなら幾ら死んでも屁でも無いけど、俺が一緒の時の戦でやられてしまうと困るからだ。

 ベガ王子がわざと見殺しにした。とか、文句を言う奴がゾロゾロ出来そうだからね。

 

「ガッタイガーは善戦している様です」

「結構。ミニフォー隊を発進させて援護に向かわせろ」

 

 俺は前を見据えながら、アラーノ中尉に指示を下す。

 ミニフォー部隊の無人編隊が、四方の射出口から次々と射出されて行く。

 

「本艦は?」

「雑魚に構わず、敵の母艦を追え」

 

 敵の出した機動兵器の脅威は少ないと俺は判断する。

 なら、そいつを無視してガッタイガーらに任せ、敵の本体を追う方が急務だろう。

 

「こっちは戦力としては少ないんだ。目先の目標には目もくれるな」

 

 大王の旗艦キング・オブ・ヤーバン。俺のマザーバーン。姉のクインバーンと弟のプリンツ・ブーチンの他は、戦力として期待出来ない船ばかりである。

 この内、大王の旗艦はフリード星から動かず、迎撃に赴いたのは他の三艦。

 フリード星も若干の軍艦を急行させている様子だが、これもデューク・フリードのガッタイガー以外は余り宛てになりそうも無い警備艦クラスの小型艦ばかりだ。

 少ないリソースを目前の相手ばかりに投入する愚は避けるべきだろう。

 

「ブーチンは早速、目の前の敵に飛び付いてるけどな」

「ガッタイガーが、進路を変えました」

 

 フリード星の王子も戦略眼はあるみたいだ。

 味方の数が過剰と見た途端、残敵をブーチンに任せて敵母艦へ目標を変えたからだ。

 

「ミニフォー隊をガッタイガーの護衛に回せ」

「デューク殿下から通信です!」

「こっちに転送してくれ」

 

 それは直ちにコンソールに回され、フリード星の王子がバストアップで映る。

 彼は「このまま敵母艦へ突っ込むので、援護を頼む」と要請して来た。

 俺は既にミニフォー隊がそちらへ向かった事を告げ、「流石に一機では無謀」だと諫めた。

 

「しかし……、相手は天使だ」

「天使なる存在が、何だかは分からないけど、義兄上は魔神に何を告げられたんですか?」

「それは……」

 

 ヘルメットの向こう側にある、彫刻の様に端正な顔が歪んだ。

 そして《君だけには言っておこう》との念波が響いた。

 

《何をですか?》

 

 こちらも念波に切り替えて質問する。

 テレパシーって奴は幸いにも、余り身体の負担にならない超能力なんだけど、やっぱり自分が虚弱体質故に長時間は続けたくは無い。

 まして距離が遠くなればなる程、それに比例して負担は増える。向こうもそれに気が付いたのか、ガッタイガーは速度を緩め、マザーバーンと併走する形になる。

 それでもかなり距離はあるんだけど、まぁ、数百キロ離れてやり取れするよりは遙かにマシだ。

 

《魔神に教えられた事。そしてオストマルクの武者が何を語ったのかをだ》

《ドン・ランダムに?》

 

 デュークは頷き、《彼はフリード星に対する呪いを教えてくれた》と告げる。

 

《呪いですか?》

《ああ、そしてこれから直ちにその報いが出現するだろうともね》

 

 しかし、聞く限りは胡散臭い内容だ。

 大体、オストマルク人がそんな情報を持っているのは不自然極まりない。

 それを伝えると、デュークは初めは自分もそう感じたとと告げる。

 

《君達の言う異星人。〝ワルガスダー〟だったか、それからの情報らしい》

《謀略の類いかも知れませんよ。で、一応尋ねますけど、その内容は?》

 

 デューク・フリードは目を閉じると、その内容を語り出した。

 それによるとフリード星人、いや、元になっているムーの人間は宇宙から見て悪の存在であると言う。

 一方、悪があるからには対になる存在があり、これに属する天使が間もなく、フリード星人を滅ぼす為に現れると予言されたらしい。

 

《対になるのが、善とは思えませんけどね》

 

 天使側、本当に天使なのかは知らないが、そっちから見て悪だと一方的に決めつけられているのだと思えなくも無い。

 俺に言わせれば、正義なんざ相対的な物であり、立場によって正邪なんか簡単に逆転する物だ。

 

《だが、ランダムの言う通り、敵は現れた》

《偶然かも……》

《魔神も言っていた。敵は天使デスクロス率いる恐魔軍だと》

《デスクロスですって?!》

 

 聞き覚えのある単語だった。

 確か『マシンザウラー』に登場する大ボスで、惑星ゴルゴスの支配者である。

 常に仮面にプロテクター姿なのでサイボーグなのか、アンドロイドなのか。はたまた巨大宇宙人なのかは明かされていない不気味で正体不明な存在だった。

 縮小・拡大自由らしく、劇中では人間にも化けており、化けた時に「出須久」(ですく)とか、名乗ってたのが面白かった。

 

『確かに奴なら、天使の姿をしているな』

 

 生身で大気圏突入/離脱し、恐竜サイボーグマシンザウラーとも戦える相手だが、『マシンザウラー』本編でゴルゴスの軍勢が何故、地球を襲うのかははっきりとはされていなかった。

 元地球人で、学会に無視されて敵に回ったゴルゴス将軍の怨嗟だけが、専ら侵略の理由だっただけの気がしないでも無い。

 まぁ、デスクロスの目的が明らかになる前に連載が終わってしまったのだろうけどね。

 

《ランダムの言う事によるとフリード星人の精神が醜いのも、惑星テーラで悪の精神に染められたからだと言う》

《で、そいつを消し去る為に天使が現れたと……》

 

 答えつつも俺は『胡散臭い話だな』との感想を持つ。

 確かにフリード星人の精神は卑しく、虚栄心と私利私欲の塊みたいな物だけどね。

 

《そして運命として、僕は恐らく……》

「ムー人よ。よくぞ、此処まで来た!」

 

 デュークの会話はその声で遮られる。

 これはテレパスではない。通常無線による音波である。

 

「どうした!」

「敵の電波が混信。出力が大きくてカット出来ません」

 

 敵からの通信だった。

 俺はコンソールの小さな画面から、強制的に介入して来た敵の通信が映るメインモニターへと視線を移した。

 画面には爬虫類の様な顔立ちをして、黒い面貌を付けた鎧武者が大写しになっている。

 

  

〈続く〉 




今回は約2,700文字。相変わらず超過。
最近、四日毎に更新が出来てますね。

さて、ベガ王子出撃編ですが、戦闘にまでは至らず。
天使とはデスクこと、銀河帝王デスクロスでした。
『デビルマン』勢の天使に比べたら、かなり脅威度は下がりそうですが、奴の正体って結局不明なんで、設定としてはオリジナルがかなり入ると思います。
ちなみに奴は『マシンザウラー』で、敵として唯一、玩具で立体化されてるんだけど、どう見たって悪に見えないんですよね。
むしろ、悪そうな怪獣(マシンザウラー)と戦うヒーロー側にしか見えない(笑)。
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