ドラマの初期ED曲でしたね。捜査の時に良くかかる曲でもありました。
『Gメン』はライバル番組(?)の石原プロ系ドラマ(『太陽にほえろ』や『大都会』)と違い、同じ刑事ドラマでもハードボイルドで重く、陽に対する陰と言った印象があったりします。
いや、面白いんだけどね。
1975年に始まったから〝75〟なんだけど、人気のせいで80年代まで続いても75のまんまだった。でも、遂に1982年に新番組として『Gメン82』になるんだよね。しかし、続編のTVスペシャルのタイトルはやっぱり75のまんまだった(まぁ、7年間、全335話続いた『75』と、半年間で全17話放映の『82』じゃ、ネームバリューが違い過ぎるか)。
「我が名はドラグ将軍」
黒い鎧武者は名乗りを上げた。
あれ? 銀河帝王デスクロスは大ボスだから置いておくとして、恐魔要塞を率いる中ボスは別の名だった気がする。しかし、記憶がはっきりしない。
うーむ、『マシンザウラー』ってマイナーだからなぁ。
「貴様達、駄民であるムー人に鉄槌を下すべく現れた者である。
前衛をよくぞ打ち破った。まずはそれを賞賛してやろう」
こっちが悩んでる間にも、ドラグとか言う司令官だが将軍は勝手に喋りまくっている。
ドラグは指をパチンと鳴らし、「歓迎が足りなかった様だな。では、新たなる恐魔竜を贈ってやろう」と語ると同時に、敵母艦から再び機動兵器が飛び出した。
恐魔竜。
確か、敵の母星である惑星ゴルゴスに生息する宇宙生物だ。
機械的な物を有さない生き物の筈だけど、どいつもこいつも怪獣並みにでかく、宇宙空間でも平然と活動し、しかも恐竜サイボーグであるマシンザウラーと四つに組んで戦える代物だ。
恐らく、自然の産物では無く、遺伝子改造かなんかで人工的な手を加えた生物兵器なんじゃないかと、俺は個人的に疑ってるんだけどね。
敵の母艦から飛び出したのは、恐らくそれだろう。
「数が一つだけ?」
ゴルヒが首を傾げる。
「大きな口を叩いた割りに戦力が乏しいな」
彼女の台詞は、俺の代弁でもあった。
迫ってくる恐魔竜は見た目がヒマラヤの雪男風の奴で、膂力が強そうな格闘戦タイプである。
ガッタイガーが加速し、それに向かって行くのを見て、俺はそれを回避してあくまで敵母艦を追う様に命令した。
どうせ、足留めなんだろうと確信していたからだ。
「敵、機動兵器を射出!」
「何だって!」
敵母艦に追いつくべく、進路を変えた本艦の前に敵は新しい手駒を放出して来た。
やはり、こいつは足留め用だ。
一度に戦力を出すのでは無く、小出しに遅滞用の恐魔竜を放つ事で戦力の節約をしているのだ。
さっきみたいに複数を出せば、それだけ戦力が一箇所に集中してしまうから、戦闘を避けてコースを変えてくる敵に対応がしにくいからね。
「デュークは、まださっきの奴と戦闘中だな」
「最初に三体出したのは、こちらの戦力を測っていたと見るべきですね」
アラーノ中尉の答えに俺は頷くと「円盤獣ギルギルの発進を急げ」と命令した。
ようやく予算が下りたので、開発したオリジナルの円盤獣一号機である。
ズリルが設計だけはしてあったのでロールアウトまでは順調だったが、テストはまだ不十分であり、いきなりの実戦投入は早すぎる気がせんでもない。
しかし、目の前の恐魔獣に対してどの程度の戦果が与えられるのかの興味がある。
「ギルギル発進後、本艦はあくまで敵母艦を追うぞ」
「了解しました。ギルギル射出!」
亀にも似た形態の巨大メカが舷側から飛び出した。
さて『グレンダイザー』第1話みたいにあっさりとやられるなよ。
あっちはアニメだから、あれだけ円盤獣を湯水の様に繰り出してるけど(例え、一週間に一体でも俺から言わせりゃ「湯水の様に」である)、実際、ああ言う巨大兵器は目の玉が飛び出る程、為政者の立場で見たら金食い虫だってのを痛感したからだ。
あれ一体で、一寸した規模の病院か学校建てられるんだぞ。
公営住宅だって5、6棟は建ってしまうもんね。
軍備って奴が如何に大金を費して、しかも生産に関与しないかってのが判ったけど、同時に安全保障の為には軍備は不可欠だってのも知ってるから悩む所だ。
「勝てるでしょうか?」
不安そうな顔を見せるのはハツメ。
コウモリみたいに翼を広げる敵の恐魔竜が、こっちの円盤獣よりも強そうに見えるからだな。
「大丈夫。シャーマン族が関わってるんだ」
彼女を諭す様に安心させるが、半分、これは自分に対する自己暗示も兼ねていた。
円盤獣は原作と違って、奴隷にした人間の脳を載せるみたいなサイボーグ兵器では無い。
ズリルがシャーマン族の操縦データを元に改良したAIを載せているが、試験は良好な結果であっても、本番では予期しないアクシデントなんかが起きるのが予想出来るからだ。
これが初実戦なんだから、どんな結果が現れるのかは未知数である。
「ズリルの腕を信じよう」
「はい」
ギルギルのカバーが上下に開き、首や手足が現れて恐魔竜と格闘戦に入った時、弟の艦〝プリンツ・ブーチン〟から通信が入った。
俺は円盤獣の初実戦の経緯が見たかったので、舌打ちしつつもそのコールに出た。
シカトすると、後で色々面倒だからね。
画像はメインスクリーンに転送され、黒尽くめで銀髪の弟のバストショットが画面一杯に映し出される。
「無事だった様だね」
「兄上もな」
スクリーン越しの第一声は形式的な挨拶だった。
互いにその身を心配しているかの様な会話ではあったが、これは本音を隠した上辺だけの物であるのは理解している。
「で、何の連絡だ」
「僕が先行したいので針路を譲ってくれ」
「唐突な申し出だな」
弟の艦が加速しているのは掴んでいたが、敵母艦からの相対位置はマザーバーンの方が近い。
最初の恐魔竜相手に足留めを喰らっていたからこそ、俺が先行した筈なんだけどね。
「兄上は目の前の敵を撃破して欲しい」
「それは円盤獣に任せてあるが」
「さっき、ガッタイガーが敵を撃破した。このままでは大物をかっ攫われてしまう」
見るとミニフォー部隊とフリード星軍の援護もあって、デュークは無事にあの雪男風の奴を倒したらしい。
このままだと、手柄を全てフリード星人に取られてしまうと焦っているのだろう。
さて、どうする?
『まぁ、俺は敵を殺れるんたったら、今は誰が手柄を立てても構わないんだけど』
ヤーバン軍内部での功名争いだと〝ブーチンに後れを取った〟とか評価されるんでこうは行かないけど、この戦いはフリード星の内政問題って点が強く、特に名声が必要な場面じゃ無いからね。
『行きたきゃ行け。この戦争狂め!』
暫し考えた後、出した結論だった。
ま、うちの軍の被害も担当してくれるかも知れないから、戦いたい奴に行かせりゃ良いだろ。
「了解した」
「恩に着るぜ」
ブーチンは礼を、この時は本音の顔をして感謝を述べて通信を切る。
現金な奴だと感心する間もなく、ガッタイガーとフリード星の警備艦が脇を通り過ぎて行った。
僅かに遅れて〝プリンツ・ブーチン〟の青い船体が続く。
変針しつつ、こちらは速度を緩め、デュークの護衛に出したミニフォーの収容を急がせる。
「推進材を大分食ってる筈だ。ミニフォー隊の点検を急がせろ」
「了解」
報告では撃破された機数は三機。やっぱり貧乏な軍だから、円盤獣程ではないものの、予算的に痛い物がある。
収容した機体は損傷を調べ、燃料を補給して再出撃させるのだけど、点検に時間が掛かって即座に出すって訳には中々行かない。
「ギルギルが勝ったみたいです」
「え、あ、畜生。見るのを忘れてた!」
後に撮影していた動画を見るしか無いが、良い所を生で見損ねて俺は嘆いた。
恐魔竜に首出して噛み付いたシーンしか見てないぞ!
ハツメは「ギルギルも収容しますか?」と尋ねて来たから、許可を出してやる。
どうせ『急ぐ必要も無い』と思ったのだ。
しかし、それは俺の判断ミスだった。
〈続く〉
約2,900文字。もっと短く出来る筈なんだけどなぁ。
カスタム円盤獣登場です。
『グレンダイザー』のOPでお馴染みのギルギルさん。ぱかっと中心から上下に割れて引っ込めてた手足を出すって奴。何故か『スパロボ』では体当たりしか出来ないらしいけど、嚙み付けるし射撃武装だってあるんだよ。
プロトタイプだから、実戦に基づくアップデートはこれからですね。