70年代のアクション物って好きなんですよ。本作はナンセンスコメディの探偵物です。曲は歌詞ありと無しの両方があって、前者はOP。後者はEDに使われてましたね。
OPの映像は新宿のビル街を、黒子が延々とバク転してる映像がシュールでしたねぇ(笑)。
この後番組が、以前紹介した『Gメン75』になります。
今は旅番組なんかで見るだけの谷隼人と松岡きっこが結婚したのも、レギュラーで出ていたこの番組の影響。最後は地雷で二人一緒に吹っ飛んじゃうのが衝撃的ですが、この演出は結婚に当たってのはなむけだったそうで、「どうせなら、最終回でドラマチックに死んじゃったら?」との提案だったそうです。すげーな(笑)。
画面一杯に映る巨艦、怪物戦艦〝オリオンの虎〟。
知る人ぞ少ないが、それはダイナミック系の中でも、ある意味、カルト的な人気を誇る故石川 賢が描いた作品に登場する宇宙船である。
タイトルは《怪物宇宙船オリオンの虎》であり、ドラグ将軍が呼んでいた怪物戦艦ではないが、恐らく同一の物だろうと思う。
甲板に突き出した砲塔が並び、大古の水上戦艦を思わせる漆黒の艦影は、漫画で見たオリオンの虎そっくりだからだ。
『違いはサイズだな。パラドックスかよ。漫画本編よりも遥かに大きくなってやがる!』
俺は舌打ちする。
全長は推定約10,000m。某宇宙戦艦シリーズに出て来る白い彗星の本体である、超巨大戦艦並みのサイズなのである。原作に出て来る虎も大きかったが、規模は倍以上になっている。
「あれって……」
目の前で行われている光景に、馬面少尉が絶句する。
愚弟。ブーチンの攻撃は続いていたが、生半可な攻撃はまるで歯が立たない。
無論、相手も物理的な存在だからダメージは与えており(物理無効とかの存在じゃなくて助かる)、全くのノーダメージではなかろうが、それ以上に再生速度が半端ないのである。
「喰われてる。喰われてるよ、あれ……」
ゴルヒの悲鳴にも似た声に、隣のアラーノ中尉は彼女を抱き締める。
敵の反撃もまた激しく、弟の軍は次々と撃破されていたが、問題はそれによって残骸となった機体の破片を、怪物戦艦が残らず吸収している事であった。
喰う、との表現通り、艦首に開いた大きな開口部に吸い寄せられると、まるで顎の様になっている構造の部分が動いて、あたかも残骸をむさぼり食う様な光景が見えるのだ。
「相手を破壊、回収して自らを構成する素材として利用しているんだ」
「殿下、それは……」
アラーノに「僕の推測だけどね」と付け加えるが、原作の設定だとそうなのである。
あの怪物は宇宙を放浪し、数々の星間文明を喰いながら滅亡させ、しかも自らはどんどん強く、大きく育って行き、とうとう宇宙へ進出を開始した地球圏へ辿り着く。
以前の宇宙探検でこれと遭遇して、宇宙船を喰われた主人公とその父が、対オリオンの虎用の戦闘艦を準備して迎え撃つのがストーリーの骨子となっている。
まぁ、原作の説明はこの程度でいいや。とにかく、無限に成長する自己増殖型の怪物が相手なのだ。下手に構うと敵が強くなるだけで、何も良い事が無い。
「プリンツ・ブーチンが!」
「あの馬鹿……」
接近し過ぎたんだろう。弟の旗艦が怪物戦艦に食い付かれる。
あっと言う間に円盤型の巨艦が囓り取られたが、外から見る限り、被害は三分の一程度であり、弟の艦は身をよじる様な形で何とか逃れる。
無論、囓り取られた艦体は、むしゃむしと美味しく喰われて敵の艦内に消えてしまった。
「兄上、ベガも聞こえるか!」
「ブーチンか」
ややあって通信が入る。
映った光景はかなり酷い。ブリッジらしき場所にも被害は甚大そうで、愚弟は頭から血を流しながら、かろうじて副官、メスカルとか言ったか、に支えられる形でどうにか立っていた。
そこら中、負傷者だらけで非常灯の真っ赤な光に満ちている。
「撤退しろ」
「忠告感謝する。くそぉ、もっと戦力があれば……悔しいが、任せる」
「了解した」
それだけ言うと、俺は通信を切った。
弟の艦が無事に後退したのを確認した後、『さて、どうするか』と俺は困った。
具体的な作戦を立てられておらず、今の位置では戦闘空域までは若干掛かる。
まだ怪物戦艦は破壊した餌を食べるのに忙しいみたいだが、それが済めば……。
「ギルギルの整備が完了したそうです。殿下!」
笑顔で報告を上げてくれるのはバンダー少尉。
が、俺はかぶりを振った。
円盤獣の一機くらいじゃ、あの怪物戦艦に何のダメージを与える事は出来かねるからだ。
特に、副砲らしき無数のメタルストームもどきまで確認した後だと、生半可なメカでは接近する前に撃破されるのがオチだろう。
無人機だから人命は失われはしないけど、敵にわざわざ餌を与えて、ベガ星の財政を赤字にする愚をやるつもりはないぞ。
「ガッタイガー、いや、ロボイザーが立ち向かっている様子です」
悩んでいる間にも、次々と報告は飛び込んで来る。
「デュークに回線を開け!」
無謀だ。
幾らフリード星の守護神として建造されたスーパーロボでも、相手は怪物戦艦なのである。
「義兄上!」
「ベガ君か。君に我が妻、テロンナと生まれて来るの子供の事を頼みたい」
『待てや、そんな台詞を言うのは自決フラグだよ!』
このまま、デューク・フリードが自爆特攻でもしそうな感じの台詞を口にしたのに、俺が大いに慌てたのは言うまでもない。
キロ単位の巨大戦艦に対して、全長30mしかないデュークの愛機が挑んでいるのは端から見れば、滑稽極まりない光景である。
「特攻でもするつもりですか!」
「特攻か……ははっ、ある意味、そうかも知れないな」
デュークは俺の言葉に反応して、乾いた笑いを返したが「この怪物戦艦の性能は知っているのか?」と真面目な顔で問うて来た。
「大体の予想は……」
「流石は戦士だ。ランダムや魔神の言う通り、君はこの世を救う存在なのかも知れないな」
彼は〝オリオンの虎〟の説明を続ける。
どこかの宇宙で建造され、全ての文明を滅ぼすべ、宇宙に解き放たれた存在で、敵を滅ぼして自己増殖を続ける化け物であると。
過去、恐魔軍との戦いで捕らえられ、仮死状態になっていた物をドラグ将軍が解凍した存在である事。
「あれは恐魔軍の物では無かったのですか?」
「魔神が僕に教えてくれた知識ではね。ドラグ将軍はオリオンの虎と遭遇し、それを捕らえて無力化するのにかなりの犠牲を払ったらしい」
待てよ。その回答が恐魔竜なのかも知れないな。
恐魔竜は機械的な部分を持たない生物兵器だが、有機体だけに怪物戦艦に対して撃破されてもその残骸を再利用され、敵の強化に繋がる事は無いメリットがある。
何で、恐竜帝国のメカザウルスみたいに強化しないんだと訝ったけど、あの怪物戦艦と同種の敵が現れた時の為、恐魔竜はサイボーグ的な強化を施していないのかも知れない。
まぁ、全ては俺の推測だけどね。
「その封印を解いて敢えて放ったと言う事は、本機でフリード星系を潰しに掛かっていると見るべきだろう」
「でも、倒す方法は……」
「ある! ランダムの予言にあった方法だが……」
その時、唐突に「デューク!」との叫びが割って入った。
同時に姉上の姿が投影される。
〈続く〉
約2,600文字。
もう少し書こうと思いましたが、思い留まりました。
さて、知る人ぞ知るオリオンの虎登場です。白色彗星の超巨大戦艦パラドックス(ガトランティスはゲーム由来の名なので使いません)並に思いっきり巨大化してますけどね。
石川作品でも、思い入れのある作品の一つですね(『魔獣戦線』とかもあるけどね)。ダイナミック系なので、こうした永井先生以外も登場します。
それが、ベガですから(笑)。