まぁ、ナースンジェルこと、りりかを追いかける時にも使われてましたが(笑)。
『りりかSOS』は『セラムン』に端を発する戦闘美少女の中でも、余り評価されない作品ですが良く出来た佳作ですね。
デューイが好きだったと言うと、「また悪役かい!」と突っ込まれそうだな(笑)。今回、デュークの決意用BGMとしてこれを選んでみましたが、如何でしょうか?
「デューク、やはり行くのですか?」
テロンナ姫……いや既に姫ではなく、フリード星の王太子妃となった姉は、憂鬱そうな表情で語りかける。
夫であるデューク・フリードは目を閉じると、やがて顔を上げた。
曰く「行く。この怪物戦艦を始末するのには、今のフリード星の体制では無理だ。このまま戦え場、星系系自体が破滅しかねない」と。
「貴方が犠牲になる事は!」
「僕は王子だ。星を、故郷を守る義務がある」
それは毅然とした態度だった。何かを成し遂げようとする強い意志。
結婚式直後に見せていた、不安の入り交じった表情は既に無い。
「ベガ王子」
と、彼がこちらへ話を振り、俺ははっとなってデュークへ「はい」と返事をする。
「話が中断したが、改めて君にテロンナと我が子の事を頼みたい」
「何故です。それと尋ねたい事が……」
「尋ねたい事か。うぉっ、スパイカースピン!」
会話が中断するのは、ガッタイガーが怪物戦艦オリオンの虎とまた戦闘中だからである。
ロボイザーが合体し、機体外縁に装備されたカッターが怪物戦艦より伸びる、触手状の近接防衛兵器を引きちぎる。
あの分間100,000発を誇るメタルストームもどきの火線を、遮蔽物を利用して上手く避けているのが、一級の戦士である事の証明だ。
「ぼくの事を戦士と言いましたね?」
「ん、それが何か……ああ、そう言う事か」
操縦桿を目まぐるしく動かしながら、デュークフリードは「君はランダムの言葉を聞いていないのだったな」と呟いた。
ドン・ランダム。オストマルクの武人にして正体不明の敵、ワルガスダーに憑依された手先。
彼がデューク達に語った事だって?
「君はこの世界を救うかも知れぬ、キーパーソン的な存在なのだそうだよ」
「ぼくが、ですか?」
全く自覚がないぞ。
第一、自分は戦士と呼ばれる肉体や、能力、技量を自慢じゃないけど持っていない。
だから軍事、蛮勇を尊ぶヤーバンの中でも、王位継承は弟の方だと目されていて、武力に変わる方策を目指して努力している最中なのだ。
「ランダムの言葉だとそうなる。知っているかい。君はこの宇宙、いや、世界が真っ二つに分かれて戦っているのを?」
「いいえ……」
デュークは戦いながら説明する。
要約すると互いの存在を相容れぬ二大勢力があって、それは光と闇、正義と悪、白と黒の様な、互いを仇敵として永遠に争う存在がある。とか言う話だった。
『ダイナミック系の作品に良くある設定だな』
その時、咄嗟に頭に浮かんだのがこれだ。
ありと言えばありなんだけど、正直、話が大きすぎて信じられないと言うのが正確な所である。
だが、先程、敵にしたドラグ将軍率いる恐魔軍は、その論理に則ってフリード星、いや、ムーを滅ぼすべく襲って来たのだから、あながち、ホラという訳じゃ無いと思う。
「君はそれを解決出来る存在なのかも知れない。らしい」
「え?」
またまた冗談を、と言いかけたがフリード星の王子の瞳は真剣だ。
「だから戦士。らしいんだよ。その力が単なる武力ではあるのか、否かは知らないけどね」
「ワルガスダーの法螺話かも知れませんよ!」
「ああ」
デュークは分かっているという風に頷き、それを肯定した。
ドン・ランダム自体が俺にとっては胡散臭い人物であったからだ。ああ、当然、シャーマン部隊を初め、ベガ星の情報網を駆使して彼の事は探っている。
先のマルク本星の一件で、オストマルクへ情報部員がかなり食い込んだ効果もある。
だが、ドン・ランダムという男の私生活は謎に満ちており、彼の全てを掴んだとは言い難い。
彼がどうやって、ワルガスダーと接触したのか、マルク本星の、いや、東西マルクの秘儀に関して何か知っているのかまでは、まるで闇に包まれた様に解明されていないのだ。
「だけど、ドン・ランダムは〝オリオンの虎〟が訪れるのを予告していました」
姉上の声に俺は「予言ですか?」と思わず問い返すが、姉は黙って首を縦に振ると「そうです。敵の将軍がその名を言うより先に、ずばりそう言い当てていました」と言った。
未来予知。ランダムがそんな力を持っているとは少なくとも報告には上がっていない。無論、未来予知って力は未だ超能力の研究でも未知な部分あり、突然、そんな力に開花するって事例だって無いとは言い切れないけど、では奴が行っていた予言はなんなのだろうか?
「その力が本物である。少なくとも、私はそう確信したんだ」
「デューク!」
「テロンナ。安心おし、私は死にに行く訳じゃない」
ガッタイガーから、再び分離するロボイザー。
怪物戦艦の艦首へ向き、胸から必殺のグラビティ・バーンを叩き込む。
「怪物戦艦、艦首破損!」
「それだけなのか!?」
報告を受けた俺はオウム返しに問い返したが、残念ながらそいつは事実であった。
超重力弾を叩き込まれた〝オリオンの虎〟は、流石に無傷とは行かなくて破損したけど、何か特殊な防御力でも働いているのか、艦首が潰れただけだった。
威力は絶大ながら、一発撃つと次弾を用意するのに時間が掛かるのがグラビティ・バーンの欠点だ。すなわち、ガッタイガーによる次の攻撃は期待出来ない。
「よしっ、艦首を潰した!」
しかし、デュークは快哉の声を上げて敵艦へと突っ込んで行く。
幸い副砲とかの対空砲火も根こそぎやられたみたいで、しかも、相手を貪り食う〝口〟が潰された事で、何の危険も無く、ガッタイガーが至近距離まで接近して行く。
「後は頼んだ!」
フリード星の王子の声と共に、ガッタイガーから異様な光の波動が拡散して行く。
いや、これは見覚えあるパターンだ。
「さっき恐魔母艦が発していた光にそっくりじゃないか!」
「怪物戦艦よ。私と共にこの宇宙から去れ!」
「デュークぅぅぅぅぅぅ!」
三者三様の声が響き、異様な波動が周辺を包むと、怪物戦艦とガッタイガーは忽然とその姿を消したのである。
◆ ◆ ◆
デューク・フリードは還って来なかった。
怪物戦艦〝オリオンの虎〟を道連れに、何処か遠い所へと消え失せてしまったからだ。
「何処へ行ったのか、皆目見当が付きません」
「そう……。やはり、ね」
姉は俺の報告を聞いてため息をつく。
あれから一年近くが過ぎていた。
フリード星の王子が行方不明になったのは、当然、大問題となったが、一年経った現在、二ヶ月前に姉が産んだ男子が、デューク・フリードの名を継ぐ事となり、戦死扱いとなって落着した。
問題はヤーバン王家からの影響を遠ざける為か、「子育ては乳母が行う」のを理由に姉から、男児、二代目デュークが取り上げられてしまった事であろう。
恐らく、フリード星の流儀が叩き込まれた歪な性格が出来上がるのだろうと、俺も姉も予想している。だが、それてでも姉には希望があった。
それは……。
〈続く〉
約2,700文字。
とうとう、デューク・フリードが表舞台より姿を消しました。
ロスト編、最初の失踪者ですけど、生きているとだけは言っておきます。
全く関係ありませんが、『アトリエシリーズ二十周年記念作品』を知って、久々にゲームをやりたいと思ってしまいました。ザールブルグ三部作と、赤い爆弾魔にニンジン娘位までが知ってる範囲なんだけど、CVの那須さんとか神田さんの声聴いたら、懐かしくて堪らなくなってしまった。
最近、彼女達を見掛けないからなぁ。でも、PS4とか持ってねぇ(笑)。