モンスター・アタック・チーム。通称、MAT(マット)の戦闘曲ですね。ひたすら「ワンダバダ、ワンダバダ…」と連呼するので、後にこの手の防衛チーム戦闘曲やメカが発進するシーンが、全て「ワンダバ」と呼ばれるきっかけになりました。
ウルトラシリーズの防衛チームでもMATは地味で人気が無い。まず、ヘマすると直ぐ「解散しろ」と政府に迫られて「解散マット」と揶揄される程、権限が低い。
生身の隊員がマツダコスモ…おっと、マットビハイクルにマットシュート、またはジープにバズーカで歩兵戦主体の頑張る乏しい戦力。
一応、マットアローとかマットジャイロみたいな航空戦力もあるけど、『セブン』の頃の防衛隊の豪華さには全く及ばない。でも私的には一番好きです。
一番ミリタリーっぽいし、もし自分が防衛隊員だったら、変な隊員服着てスカイホエールやラビットパンダとかには乗りたくないしなぁ(笑)。
◆ ◆ ◆
ベガ星連合軍。
うん、『UFOロボグレンダイザー』ではお馴染みの単語だね。
強大な軍事力を持つ星間国家、ベガ星を中心に数多の星々が集まった星間連合軍で当初はフリード星も参加していたらしいが、ベガ大王の意向に逆らったのか、それ以外の政治的要因があったのかは知らないが、フリード星はベガ星連合軍に攻め滅ぼされ、ここから全ての話が始まる。
『確かにフリード星も参加させたけどね』
姉の離宮から離れた俺は、ベガ星連合軍結成の式典会場を歩きながら思う。
原作のベガ星連合軍は、連合軍を名乗っていても実態はベガ星軍、いやベガ大王の私軍に近い代物であって他の惑星の軍をその武力で脅して強制参加させてる様な物であったが、俺が立ち上げたベガ星連合軍は純粋な惑星連合軍である。
まぁ、そうは言ってもベガ星軍自体がヤーバン軍の一部であって、独立組織じゃ無いんだけどさ、こいつばかりは仕方が無い。そんな事を宣言したら、父上から反乱軍に認定されちゃうからね。
来賓や観客は既に揃っている。
「それではベガ星連合軍代表のお言葉です。ベガ・ヤーバン殿下どうぞ!」
アナウンスと同時に用意された壇上へと進み、「ベガ星連合軍に参加して下さった諸星の方々に、まずはお礼を申し上げる」と挨拶すると万雷の拍手が巻き起こった。
連合軍の発足は先のフリード星事件がきっかけである。
謎の敵。この場合はドラグ将軍率いる恐魔軍だったけど、それにワルガスダーを含めた未知の敵対勢力に対抗すべく、友好的な惑星間で共同の防衛組織を作れないかと俺は提案したのだ。
地球で言うならNATOか、無きワルシャワ条約機構みたいな感じだな。
無論、反対もあった。
ブーチンなんかは「そんな組織は必要ない」と自軍の戦力に自信を見せていたし、ヤーバン軍でもタカ派の連中は不必要であって、「属国をつけあがらせるだけだ」との意見が相次いだ。
だが、俺は「軍事力の低い星々の防衛には必要だし、有事の際に相互防衛の建前から、ヤーバン軍の介入も可能である」との持論を展開して説き伏せた。
意外な事に、父上であるヤーバン大王が認めてくれた事が、僅か半年でこの構想が実現化されるきっかけとなった。
「防衛の為の連合軍か……。良かろう、二度と敵に後れを取るでないぞ」
その構想を耳にした時、父が呟いた言葉だ。
うん、先の恐魔軍との戦いで主力艦隊が壊滅したのを父は重大視していた様だ。
ヤーバン主力艦隊はかなりの戦力を有していたから、サポートの為の予備部隊なんぞ必要なく、単独で何でも出来ると信じられていたのだけど、あの時、軌道上の艦隊は一瞬で壊滅してしまったからだ。
主力艦隊が強力ゆえに近隣の諸部隊なんぞ存在せず、フリード星を護る戦力が旗艦三隻だけになった事態は、緊急事態に対する教訓になったみたいである。
「ベガ星、ルビー星、フリード星、ズリ星、オストマルク。当面はこの五カ国連合として、共同簿ええい体制を築き、宇宙の平和を守り抜こうではありませんか!」
今の所、この五つなのはベガ星の影響力の低さである。
俺の統治下にあるベガ、ルビー両星は当然として、フリード星は先の一件から、ズリ星はズリルの外交的説得によって、オストマルクは例の誘拐事件の影響からである。
同じマルク星系でもウエストマルクは不参加。
ブーチンはそっぽを向くし、他のヤーバン系惑星も様子見って事で態度を保留している。ま、参加の門戸は開いてるから、上手く機能すると分かれば、参加する星は増えるだろうと期待しているけどね。
因みにベガ星連合軍の最高司令官は、発起人であるベガ王子、つまり俺である。
しかし、一応そうなってるけど、実際の仕事は配下に任せて名義だけの御神輿になる予定である。ブーチンは知らないが、王子って稼業を続けていると意外と仕事が多くて、軍事だけに関わっては居られないからだ。
俺は姉とも協議して、バレンドスを副司令、実務的には司令官に任命する事にした。
ある意味、忠誠度を試す形になっていると同時に、大佐に昇進させて彼に報いた所もある。
俺は信用度という面からガンダルを推したかったんだけど、今のガンダルは軍人と言うより、政府官僚の大物として活躍しているので配置換えが難しかったんだよね。
急に軍務に配置換えしたら現場が混乱するし、餅は餅屋と言う事でそのままが良かろうと。
これはズリルも同様だ。奴も軍人と言うよりも開発部門担当の官僚なので、原作みたいに最前線へと配備する様な使い方は、勿体なくてとても出来なくなってしまっている。
まぁ、それでも両人は軍籍を保持しているから、いざとなったら前線指揮を執って貰おうかとも考えてるけど、今の彼らが某『機動戦士』に出る、南米のG将軍みたいな立ち位置になってるのに気が付いて愕然とした。
いや、有能なんだよ。でもその有能さが政治面に出る有能さだから、当時、『機動戦士』を見てた視聴者には戦士型のR将軍に比べ単なる無能に見えて、理解出来なかった類いの戦略的有能さなんだよね。
『多分、俺はガンダルやズリルを一師団長に戻す事は無いな』
ベガ星の国力を増大させる戦略的な力を持った人材を、わざわざ目の前の勝ち負けだけに終始する戦術レベルに落とすのは愚の骨頂であるからだ。
壇上からチラリと視線を走らせて、ベガ星の席に座るズリルとバレンドスの姿を確認する。
バレンドスは何か、事前に馬面……じゃない、ゴルヒ・フォック少尉と話していたみたいだけど、良からぬ事を考えているんじゃ無かろうな。
まぁ。かつての上司と部下だから、積もる話もあったんだろうけどさ。
そうこうする間に、俺は自分のスピーチを終了すると、フリード星の会場は先程の物とは比較にならない、割れんばかりの拍手が響き渡った。
〈続く〉
約2,300文字。
さぁ、遂にベガ星連合軍発足です。
でも寄り合い所帯。しかも内実はほとんどMATですね(笑)。
ここからあの強大な軍が出来るのかは、今後のベガの活躍次第になります。
姉とルビーナ、マリアの話は次話以降で。