ベガ大王ですが、何か?   作:ないしのかみ

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今回の作業用BGMは『デュアル!ぱられルンルン物語』から、OP「DUAL!」です。
トリップしそうな、ポップなOPだなーと感じたんですよね。特にリミックス版を聴いているとその感じが凄い。

作品はまぁ、佳作。AICチックとでも表現出来るスタンダードなSFロボットアニメなんですが、パラレルワールド物って題材が面白かった。
古代遺跡がロボットの核でどうこうって設定は、一部、本作に影響があるかもなぁと思ってしまう。まぁ、羅螺さんちの面々が楽しかったなぁ。あと野沢雅子さんがおばあさんのキャラを演じてるのが新鮮かな(笑)。


115(閑話)

「ベガ星連合軍……。やりますね」

 

 離宮で中継を見ていたテロンナは感心していた。

 あの自尊心だけが高いフリード星を巻き込んで、共同組織を結成出来たのは奇跡とも言えるだろう。

 ベガの政治的才能がフリード星人の危機を煽り、困難な目的を達成したのを見て、ルビー星を長男へ譲った自分の判断が正しかったのを確認して、ほっと安堵する。

 

 これからの運営は厳しいとは思うが、それでもスタート地点へ立てたのだからまずは良しである。

 自分は既にヤーバンの人間ではないので、直接、統治には関われないだけに、弟が成果を上げてくれる事に最大限の声援を送ってやりたい気分であった。 

 

「デューク殿下の失踪が堪えたのでしょうね」

 

 不意に横から声を掛けてきた人物に、テロンナは顔を向ける。

 顔見知りらしく、意外と言う表情は見せてはいないが、警戒心はある様子で身構える。

 

「ガッタイガーの喪失も、フリード星がベガ殿下の申し出に乗った理由の一つでしょう」

 

 その人物、男は「おや」と言う顔を見せる。

 

「今更、何を……と言う態度ですな」

「当たり前です。どうやってここに入ったのですか?」

 

 その男は「想像にお任せしますよ。ま、ランダムと接触していた姫、おっと、今は皇太子妃でしたな。には説明しなくてもお判りだとは思いますがね」と不敵に笑った。

 テロンナは理解する。理解したからには次の行動は素早かった。

 

「目的はデューク失踪に関する件ですか?」

「ご理解が早くて助かります」

 

 皇太子妃に一礼する男。

 

「マリア姫の件も絡んでおりますよ」

「貴方は!」

 

 衝撃だった。

 マリアの事は極秘事項の筈で、それを知る者はベガや医師、側近の僅かな者を含めて十指に満たない筈なのに、この男は事も無げにそれを口にした。

 

「我々の諜報力を甘く見ないで頂きたい」

「……そうですね。確かにその通りでした」

 

 出産だの育児だので、政治や軍事の現場から相当離れていたのを痛感する。

 ここ半年、それらはテロンナの手を離れて弟らに一任していたからだ。無論、弟に相談されればアドバイスはするが、何処か遠い出来事の様に感じていたのは事実である。

 

「さて、貴方がドン・ランダムの後任と言う事なのかしら?」

「正確には違いますがね。奴程、俺はあの話に深入りしてませんから」

 

 やれやれと肩をすくめる男に、テロンナは「デュークの行き先が掴めたのですか」と単刀直入に突っ込む。

 男は真顔になると、「行くには準備が要りますぞ」と警告した。

 

「それは掴めたと言う事ですね?」

「認めましょう。しかし、今は言えません」

 

 続けて男は「今のマリア姫を連れて、旅には出れますまい」と痛い所を突いた。

 テロンナは押し黙る。

 

「まさか、マリア姫を置いて行けはしますまい?」

「そうでしたわね」

「計画では直ぐに旅立って頂きたかったのですが、貴女の妊娠はこちらにとってもアクシデントでした」

 

 未熟児だった姫は生育途中だ。

 無論、姫を置き去りにして一人で旅立ちと言う手もあるが、唯一、自らの手で育てた我が子を置き去りにするのは耐えられなかった。

 

「ランダムがデュークと共に行ってしまったのも、我々にとっての誤算でしたがね」

「デュークとランダムが?」

 

 怪物戦艦〝オリオンの虎〟を道連れに未帰還の夫が、オストマルクの武人と共だとの情報は初耳だった。

 男は「両人とも無事ですよ。怪物戦艦を仕留めるのに苦労したらしいですけどね」と告げる。

 

「ああっ!」

 

 歓喜の叫び。

 何はともあれ、無事が確認されたのは朗報である。

 

「……さて、マリア姫の事ですが」

 

              ◆       ◆       ◆  

 

「ふむ、忙しい……か」

 

 大佐の階級章を付けた男が呟く。

 窓の外にはフリード星の軍港が広がっているが、ルビー星にある己の基地よりも小規模であり、貧弱極まりない。

 

「まぁいい、番宣を止める件は了承した」

「大佐!」

 

 嬉しそうな声が上がるが、その女に「但し、最後の番組はしっかりとやれ」と釘を刺す。

 始めたからには尻切れトンボでは無く、けじめだけは付けさせるつもりであった。

 

「はいっ」

「元気が良いな。まぁ、俺もこれからは二足草鞋だ。ルビー星管区に関わる機会も少なくなる」

 

 バレンドス大佐は「大きくなったな、ゴルヒ」と呟いて頭を撫でた。

 白に近い銀髪の頭部にぴんと立つ馬耳。

 

「あれから16年か。早い物だ」

「大佐に拾われた事に感謝しております」

 

 大佐は廃墟で泣いていた難民達を思い出す。 

 本部の命令に逆らってまで、目の前の少尉を含む子供を助けたのは気まぐれだったのだろうかと自問するが、答えは出て来ない。

 だが、こいつらを孤児院に放り込み、後に軍人として鍛えたのは間違いなく自分だ。

 

「子飼いの部下が欲しかっただけだ。勘違いするなよ」

「はっ!」

 

 しかし、ゴルヒ・フォックは知っている。これは照れ隠しだと。

 冷徹な軍人との一般評だが、それだけでは無いと養女達は皆、知っているのだ。

 でなければ、最悪な扱いを受ける敗戦国の異星人を受け入れてくれる訳はないのである。

 

「で、ファルコ(鷹部隊)の居心地はどうだ?」

 

 大佐が彼女の配属替えした部隊の話を聞く。

 

「堅苦しいです。アラーノ達とは馬鹿やれるけど、他が……」

「一応、近衛(このえ)部隊だからな」 

 

 近衛は一般部隊とは違うエリートだ。

 王族の身辺警護を任せられるのだから、当たり前と言えば当たり前なのだが、型破りのゴルヒにとっては息苦しい雰囲気がある様子である。

 

「その中でも殿下付けなのだから、誇って良いぞ」

「いえ、その……」

 

 バレンドスは「何か?」と尋ねるが、「何でもありません」と答えを返すゴルヒ。

 守秘があるのだろうと察する。

 馬鹿でも軍人だから、この辺はきちんと叩き込んである。

 

「えーと……。何でもありませんけど、詳しくはテロンナ姫、いえテロンナ殿下にお尋ね下さい」

「テロンナ殿下に?」

 

 そう言えば、ファルコの一部がベガ王子の命令で、テロンナ殿下の元へ分派されていたな。と思い当たる。

 ふむ、何かありそうだ。

 

「分かった。尋ねてみよう」

 

 数日後、放送された『ばかチューブ』の最終放送は大いに盛り上がったらしい。

 

 

〈続く〉 




約2,400文字。駄目だ。2,000文字に収まらん。
てな訳で閑話です。
男に訪問されたテロンナは、夫の無事を知って安堵していますが、怪しい男はマリア王女を巡って何やら……。
バレンドスは実はコンスコ……じゃなくって、足長おじさんでした(笑)。

『ばかチューブ』終焉。本当は作中でもっと描写したかったけど、只でさえスローモーなのに、これ以上本編から脱線するのも不味かろうと言う事で。
『ばか』じゃなくて『ぱか』の方は、今でも盛り上がってるんだよなぁ。アプリの完成が全く見えないけどさ(笑)。

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