ヤマハメイトってビジネスバイクの歌なんですが、本家のヤマハにも「ヤマハメイトのうた」って言うCM曲があってややこしい。
ミクがヤマハ製(の楽器)なのでヤマハ繋がりですね。ホンダのスーパーカブを敵視してる(ディスってる)曲なので、カブ乗りには評判悪いかも(笑)。
メイトはシャフトドライブなので、今回はシャフトドライブ繋がりですね。
尤もメイト自身は、何年も前に終売してるんですけどね。
「久々だな……」
以前訪れた時よりどの程度経ったのか、真っ暗な空間を俺は見回していた。
体感時間で一年振り程度か、ぐにぐにする硬質ゴムの様な地面を踏みしめながら、俺はそいつを捜す。
「ブラックミスト、居るなら出て来い!」
声を上げるが、意に反して彼女は一向に姿を現さない。
俺が訝りながらも再度呼びかけた時、空間がざわっと不快な気を送って来た。
前方に何かが存在する気配だが、その存在がかなり大きな物であり、しかも、身の危険を感じる類いの代物である事を俺は直感的に感じ取った。
『やばい!』
次の瞬間、俺は脱兎の如く身を翻していた。
びりびりと危険であると言う信号が、神経を通じて脳に駆け上がってくる。
幻聴かも知れないが、自分の声で『止まるな、逃げろ』との警告が連呼され、早鐘みたいに心臓が脈打つ。
とにかく逃げろ。
遠くへ、遠くへ!
「6j5t?」
それが声を、いや、声の様な物を発したのが判った。
それは以前、耳にした事がある物だ。
確かブラックミストが途中で介在して、接触を断ち切った時に耳にした奴だ。
あの時、彼女は「聞いてはいけない」との警告を発したのだった。
「はぁーい!」
脳天気な声と共に横合いから現れ、走っている自分と併走しているのは三輪型のマシーン。
バニーガールが跨がっているのは、フィールドグレーに塗られた古典的な側車付きバイク。
いわゆるサイドカーと称される機械なんだけど、21世紀感覚からすりゃ半世紀以上は前に作られたらしい、見るからに古臭い代物だ。
「ブラックミスト!」
「乗って下サーイ!」
互いの声が交差する。
これ幸いとばかり、俺は勢いを付けると側車へ飛び乗った。
「今まで、何処に……」
「飛ばしマース!」
相変わらずのエセ外人調の言葉と共に、シャフトドライブが猛烈な唸りを上げる。
風圧で後ろへ飛びそうになる、黒いラビットヘッドシンボル(ウサミミ)を片手で押さえながら、サイドカーはぐんっと加速する。
闇の向こうにあった不気味な気配が、それと共に徐々に遠のいて行く。
走って、走って、体感的に数分だったのか、それとも半時間以上だったのかは覚えいないけど、とにかく俺とブラックミストは、危険が感じられない場所まで到達すると歩みを止めた。
「助かった……のか?」
停車のがくんとした振動を感じて、俺はバニーガールの方を見た。
黒いバニースーツを身に纏った娘は、はぁはぁと荒い息を吐きながらエンジンを切ると、その場に俯せになってぐったりとハンドルにもたれかかった。
「……多分デース」
その言葉が発せられると同時に、今までそこにあった筈のサイドカーが幻の様に消失し、俺と彼女は硬いゴムの様なあの地表に放り出されてしまった。
「これは」
「問いかけないで……。今は眠らせて欲しいネ」
続いて問いを発しようとする俺の気先を制するかの様に、ブラックミストは呟いた。
近付くと、すーすーと寝息を立てている。
「おい、こう見えても俺は男なんだぞ」
余りにも無防備な姿に思わず口走るけど、これは本音である。
男の娘と言う事で女装はしてはいるものの、本質的には自分は男であり、ゲイとかホモでは無くてノーマルだ。
つまり、女性に対して本質的な性欲だって持っているからだ。
そんな俺の前に、バニースーツという刺激的な格好をした女体が無防備で転がっているのだ。むらむらとイケナイ気持ちになって、襲ってしまったらどうするんだと言いたくもなる。
「……確か、前にこいつは、ここが俺の内的空間だと言っていたな」
となると、もしエッチな事をしても実際の肉体関係を結んだ事にはならないから、やりたい放題なんじゃなかろうか?
バックシームの網タイツに包まれた脚をハイヒールから舐める様に視線をズームさせ、俯せになった白いウサギ尻尾のあるヒップまで視点を移す。
レッグカットにから伸びる太股、丸みを帯びた臀部が肉感的で美味しそうだ。
思わず手が伸びそうになるけど、不意にブラックミストの頭が傾き、ストレートな長い黒髪がばさりと左右に分かれてその横顔が目に入った時、思わず動きが止まってしまった。
それは天女の様に美しかった。
俺は暫し息を呑み、思わず呟く。
「………fr@g」
しかし、その横顔は次の瞬間に霧散した。
美しいだって?
待て、一寸待て!
そう、ブラックミストの顔は、揺らぐ霞の様なもやもやに包まれて、目鼻立ちすらはっきりとしなくなってしまったのだ。
「俺は、何を」
俺は混乱していた。
一目で恋に落ちる様なと衝撃を受けた筈の美しい顔が、どんな顔だったのすら思い出せなかったからだ。
それどころか、何を呟いていたのかさえ思い出せず、記憶の欠落に愕然とする。
「くぅぅぅ」
呻きを伴ってバニーガールが身を起こした。
地べたにうつ伏せだった所から、まずは正座の格好になり、続いてふらつきながらも立ち上がろうとするが、力が入らないらしく、途中でがくりと片膝を地面に着けてしまう。
「大丈夫か」
「平気ネ。凄く疲れているけど、死にはしないヨ」
虚勢を張るバニーガールだけど、明らかに空元気っぽい。
俺は彼女の手を取って、まずは座る様に促した。
「無理に立つな。座ってろ」
ブラックミストは案外、素直にそれに従って「聞きたい事は?」と俺に尋ねてきた。
まずは彼女の身体の事だが、それに関しては「ここで活動するには、ミーではかなり体力が要るネ」との回答が返って来た。
「ここは俺の内的宇宙だそうだが……」
「そうデース。だから他者は活動するのに苦労シマース」
「て、事はお前さんは、俺の妄想の産物じゃ無いって話になるな」
バニーガールにそう言うと、彼女は肩を振るわせて笑いを堪えた。
だって、もしかすると俺がこいつを内的宇宙で作った存在かも知れないと、疑っていたのは事実だからだ。
「笑うな」
「御免なサーイ」
「そもそも、お前がバニーガールって格好してるのが悪い」
バニーガールは俺も好きなコスチュームだからだ。
シャーマンみたいな半裸のあれもなかなかだけど、バニーガールのバニースーツも捨てがたい魅力がある。だから、ブラックミストが俺の妄想から生まれた創造物かも知れないと疑うのは当然であったのだった。
「殿下の趣味に合わせたネ」
「本当か?」
何で、俺の嗜好を知ってるんだとも突っ込みたいが、それよりも知りたい事があった。
「単刀直入に聞く。今、ワルガスダーは何を企んでる?」
〈続く〉
約2,600文字。長くなりすぎたので、後半を次回回しにしました。
ブラックミスト再登場です。
彼女の髪型は典型的な和装日本美少女の定番、ぱっつん黒髪ロングです。
葉月とか言ってはいけません(笑)。
その顔立ちは……。美人?