ベガ大王ですが、何か?   作:ないしのかみ

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今回の作業用BGMは『D.Cサイドエピソード』から、OP「銀の泡沫」です。
田村ゆかりさんの声が良いなぁ。『サイドエピソード』は文字通り番外編だけなので、本編知らずでも単品のみでOKなのが、私的には高得点。廃屋の幽霊話とか木琴ギャルの巨大化や、毒々海洋生物回などシュールな展開が、結構多くて楽しめました。

実は『D.C』本編の方は良くは知らず、持ってるのは安売りのワゴンセールで買った『サイドエピソード』のDVDのみだったりします(笑)。
鷺澤頼子さんのファンでしたね。CV担当の故・松来未祐さんの声が今は聞けないのが涙。


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「唐突ネ」

「答えろよ」

 

 黒いバニースーツを着た女は肩をすくめると、改めてこちらに向いて座り直した。

 そして「前にも言ったけど……」と、それはズルであると説明する。

 

「大体、ミーがそれを何で知っているのかと問い詰めたいデース」

「色々知ってそうだからな。お前が何者なのかは知らないけどな」

 

 うん。ブラックミストを名乗るこいつ、その正体は俺だって判らない。

 しかし、今まで言動の言葉の端々から、俺知らぬ何かの情報を知り得ており、それを秘匿している雰囲気がありありと感じられるのだ。

 

「では、何故、ミーの正体を問わないのデス?」

「簡単に答えちゃくれないだろう」

 

 ブラックミストは首を縦に振る。

 

「だろうと思った。だから、お前の正体は脇に置いて、知ってる事を答えて欲しいと思う訳だ」

「調査が行き詰まってるのデスか」

「特にドン・ランダムの事に関しては、だな」

 

 一番暗礁に乗り上げているのがこれだ。

 ドン・ランダム本人自身が次元の彼方か時間の果てだか、あの怪物戦艦と共にどっかへ消えてしまったので、追跡しようにも出来ないのである。

 無論、過去の足跡から当たりを付ける調査は続行しているが、姉上に尋ねた部分を含め、彼が何を考えて何をしようとしているのかの全体像は掴めない。

 姉曰く「これから起こる事を言い当てる、予言者の様であった」らしいが。

 

「ランダムは……ある勢力、ワルガスダーに取り込まれた男デース」

「それは知っている」

 

 彼女は亜食酢して横座りになると、長い黒髪を掻き上げながら「ユーはデューク・フリードから、何かを聞いていると思いマース」と告げた。

 思い当たる節はあるので頷いて「戦士が云々って奴かい?」と尋ねる。

 

「それもあるネ。だけど、今は関係なくてこの宇宙で起こっている勢力争いの事デース」

「二大勢力が激突しているとか言う話だろ」

 

 宇宙には互いの存在を相容れぬ二大勢力があって、それは光と闇、正義と悪、白と黒の様な、互いを仇敵として永遠に争う存在がある。らしい。

 

「その二大勢力のどちらでもない存在。その一つがワルガスダーと呼ばれる物ネ」

「じゃあ、奴らは何の為に動いているんだ」

 

 だが、その答えはシンブルだった。

 

「知りマセーン」

「おいっ!」

 

 余りにも無責任なバニーガールの答えに激昂する俺。

 しかし、ブラックミストは「ミーは当事者じゃあ無いネ」と言い放って、「ワルガスダーと同じ存在というならば、ミーも、ユーも同類デース」と断言する。

 

「なん……だと?」

「フリード星は大古にムー、つまり片方の勢力の支配下に入ってるネ。

 恐魔軍のドラク将軍らは、惑星テーラでムーと敵対していたドラゴニアと同じ勢力だったけど、ミーやユー、そしてドン・ランダムの母星マルクは、それとは無関係の勢力、つまりワルガスターと同類なのデスよ」

 

 そしてブラックミストは、巨大化したドラグ将軍に殴られたフリード星の警備艦を例に挙げる。 

 将軍が変身した電送人に殴られた艦の乗組員は全て正気を失って狂ってしまったが、ドン・ランダムは無事であった事をだ。

 

「オタクなユーは、『電送人バルバー』の能力を覚えている筈デース」

「あ、ええと……」

 

 言われて遠い記憶を手繰り寄せ、その知識を拾い出す。

 確か、バルバーに殴られた相手は悪の心が消失するって設定だった。

 作中でも主人公の『火花英児』こと、変身したバルバーに殴られた悪人は悪の心を失って改心してしまった。

 

「……悪の心が消失する」

「でも、初めから悪の心しか無かった相手はどうなると思いマスカ?」

「!」

 

 まさか、まさか敵対勢力に悪と定義されたフリード星人達の心は、電送人の一撃で崩壊してしまったのか!

 ではドン・ランダムが無事だったのは、その心を持っていなかったからなのか。

 

「無論、善悪なんてのは相対的な物デース。フリード星人の属する勢力がいわゆる〝悪〟とは決めつけるのは、余りにも相手方の一方的な見方ネ」

「いや、俺から見たら、フリード星人は悪徳に塗れてると思うけどな」

 

 今までの経験から、正直、悪印象は確かにあるんだよなぁ。

 しかし、バニーガールはぶんぶんと首を横に振り、「それは教育次第で何とでもなるネ」と否定した。

 本質的な物の見方からすれば、バルバー達の定義する〝悪〟とは、自分達と異なる性質を持った存在に対してぶつける蔑称に過ぎないのだと説く。

 

「六つの神が合体するロボットの、プラス・マイナス超能力者みたいな物ネ」

「あれかよ」

 

 彼女は分かり易い例えを出した。

 あのBLに大人気だった、合体したら動かないロボットアニメの第二部だ。

 確か超能力者間にヒラエルキーがあって、プラスのテレパシー波を持つ連中がマイナスの連中を差別して弾圧してるんだけど、実はテレパシーのパターンが違うだけで本質的には同じ人間なんだよね。

 まぁ、作品のテーマとして肌の色がとか、信じている宗教が、とかの差異をカリカチュアした設定なんだろうけどさ。

 

「だから、ランダムは助かったという訳か」

「それだけではなく、マルクの人間とワルガスダーの目的は、多分、同じ物だと思いマース」

 

 女神ラミアがマルク両星へ与えた任務。

 この宇宙にゲルマが現れた際、宇宙の平和を保つ事。

 

「ラミアにとっては、あれがゲルマだったのか」

「……でも、これはミーの推測ネ。

 本当にラミアとワルガスダーが同じ目的なのかは判りマセーン」

 

 理由として、ワルガスダーの行動は予測が付かないからだと言う。

 単に敵対勢力排除のみならず、ヤーバン軍相手にもその牙を向けてくる理由が不明であるかららしい。

 例の、偽ラミアを掃討した理由も分かっていない。

 

「一つ言える事はワルガスダー、つまりドン・ランダムは別の場所で新たなる計画を練っていると言う事ネ」

「転移した先でか?」

 

 大きく頷くバニーガール。

 はっとして、辺りを見回して「それはデューク・フリードを、いえ、ユーの家族をも巻き込む事になるでショウ」と慌てて告げる。

 

「どうしたんだ」

「とうとう、時間が来たネ。

 とにかくお姉さん一家の動向に、充分気を付けなサーイ」

 

 腰から銀鎖の懐中時計をちゃらりと手に取り、時間切れを告げる。

 何の時間切れなのか問う前に、ごぉっと辺りの空気が揺れた。

 

「あれは……」

「さっきの奴に追いつかれたネ」 

 

 黒い大きな気配。  

 俺が焦って振り向くと、あの危険を告げた存在がすぐそこまで迫って来る感覚がした。

 

「大丈夫デース。あれは貴方に危害は加えないと思いマース」

「本当かよ」

「目的は異物であるミーを排除する為ネ」

 

 異物?

 それを問う前に、ブラックミストはバイバイとでも告げる様に手を振る。

 

「ミーが離脱すれば、自然にユーもここから離れられマース」

 

 すっと目の前が暗くなる。

 視界が途切れ……。

 

 

〈続く〉




約2,700文字。
内的宇宙でのお話。
フリード星人が悪ではないとの理由は、悪徳塗れの環境であっても、佐々木デュークみたいにまともに教育されれば真人間が出来上がるからです。

蛇足で『六神合体』のお話。
私的にはマルメ〇星編の方が好きでした。もし、ギ〇ンの娘がプラスで総帥を継ぎ、CV同じハマ〇ン・カーンみたいになってたら萌える、と当時思った自分は変なのかな(笑)。
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