ベガ大王ですが、何か?   作:ないしのかみ

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今回の作業用BGMは『魔導物語』から「トライアウト」です。
色々なバージョンがあるんですんが、敢えて初めて体験した98版の1丁目2番地3号の奴で(笑)。これを聞くと「ああ、魔導物語だなぁ」との気分に浸れます。

ちっちゃいアルル(幼稚園児)が、一生懸命卒園試験に挑むお話。パラメーターが一切表示されず、元気なのか死ぬ寸前なのかはキャラの顔を見て判断とゆー、初心者にはやや不親切で緊張感のあるシステムが特徴的でした。
「大丈夫だい」と平気な顔してるから、まだ行けるだろとHP補充しないで置くと、油断してると低レベルの頃、大ダメージ喰らってあっさり死ぬんだもん。成長するまでが辛かったなぁ。


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 眼下に白く、氷で覆われた惑星が広がっている。

 

「ここが惑星ウードウか」

「確かに何にも無さそうだねぇ」

 

 ファルコの二人が話し合っている横で、俺は「きゃっきゃっ」と歓声を上げるグレースの手を取って、はいはいの練習をさせていた。

 報告によるともう立ち歩き出来るとの話だけど、余り無理はさせたくない。

 

「殿下、円盤獣の発進準備が完了しました」

「敵の動きは?」

 

 髭面の大男、ブラッキー中将は禿頭を光らせながら首を振った。

 この惑星にはエネルギー反応など、普通の有人惑星で察知可能な熱反応がまるで見当たらないらしいのだ。

 

「本当に此処に敵は居るのでしょうか?」

「判らない。しかし、ツインの記録が本当ならば、ウードウ魔術団の本拠はここだ」

「グレース様まで随行する必要が……」

 

 俺を騎馬にして跨がる形で手を振り回す養女を見ながら、ブラッキーは眉を顰めた。

 ここにグレースを連れて来たのは、当然、訳がある。

 

「あるんだよ。護衛対象をバラバラに分散するよりも、こうして纏めて置いた方が対処しやすいからね」

「言えますが、相手は赤子ですぞ」

「おむつをしていても、既に首は据わってるんだ。大昔のヤーバンの英雄みたいでカッコイイじゃないか」

 

 遙かな過去、惑星を統一したと言う〝スペルキア・ガイゼス〟大王の事だ。

 大王は誕生時から馬に乗せられ、移動する父や幕僚と共に戦場から戦場を渡り歩き、「余には都はない。この世界全てが我の世界である」と豪語したという放浪王である。

 どっかの彗星帝国大帝みたいな物言いだけど、実際、ガイゼス大王は一箇所に留まる事無く、生涯にわたって征服活動を続け、死んだ時ですら鞍の上だったんだから、恐れ入る。

 

「グレース様を〝征服大王〟にでもするつもりですか?」

「一寸浪漫があるな。それ」

 

 幸い、グレースは俺と違って健康体であるらしい。

 最近は一時期に比べれば健康になって来たけど、相変わらず、俺の呼吸器系は爆弾を抱えたままだ。

 征服大王となって、銀河を駆け回る未来のカーチスさん、キャプテン未来みたいな存在にだってなれるに違いないが、ふと原作のグレース・マリア・フリードの事が脳裏に浮かんで、慌てて想像図を打ち消した。

 あーゆー、お転婆じゃじゃ馬姫はノーサンキューだ。

 脳裏に『おおーっ、愚かな人間共よ』とか響いた気がしたけれど、空耳だろう。うん。

 

「それより、先遣隊は到着したのかい」

「間もなくです。先遣隊の援護にギルギル隊が発進します」

 

 量産化され、数の揃えられた円盤獣かマザーバーン格納庫に鎮座する。

 原作と違い、毎回、違う形の機体なんかを出撃させる余裕はベガ軍にはないから、全てが先行量産型をブラッシュアップしたギルギルだ。

 マスプロでも改良は加えられ、機体ごとに仕様が少しずつ異なるのは、技術者としてズリルの意地だろう。

 ちなみに赤く塗ったり頭部に角を生やしてみたのは、俺のアドバイスだ。ま。三倍速くなったりはしないだろうけどね。

 

「先遣隊は重装備なんだね?」

「装甲兵を投入してます。容易くはやれませんぞ」

 

 自信を持って答えるブラッキー。 

 俺は「だといいんだけど……」と呟いて艦内を見回す。

 目立たないけど、先遣隊と同じ装甲兵が各所を警備している。

 

 戦車にも対抗可能な歩兵で、普通なら、艦内警備に配される類いの代物じゃない。

 艦内でその実力を発揮すれば、所持している火器が高威力過ぎるので、被害が甚大になるからだ。

 が、レーザーが効かないなら、爆発物を投射するか、大威力火器を発砲せざる得ない訳で、今回は被害の拡大には目を瞑り。とにかくウードウ魔術団の排除を優先した訳だが。

 

『ブラッキーは報告書しか見ていないからな』

 

 その場でウードウの連中を目撃している自分には、装甲兵とて力量不足ではないかと心配するのだ。

 とにかく先遣隊は揚陸艇でツインが発掘していた遺跡、現状、この惑星で一番暖かい赤道付近にあったらしい場所へ向かっている。

 暖かいと行っても氷点下の世界だから、夏期にもしかしたら零度前後になるかも知れない程度の極寒なんだけどさ。

 

「円盤獣、発進」

 

 用意が出来たみたいで、マザーバーンの円盤獣が全て(四体)射出される。

 ウードウ魔術団の戦力が未知数だし、人間大の相手を繰り出す可能性が高いのに、円盤獣はちと大袈裟な気もするけど、どうしようも無い場合、拠点毎、力業で殲滅でもする気なんだろう。

 

「殿下。そろそろブリッジへ移動して下さい」

 

 グレースが背中に乗った重みが消えた。

 吊り目気味の瞳をこちらに向け、ハヅキ・ルーペがグレースを抱き抱えている。

 

「作戦指揮官が、いつまでも育児室に居るのは良くありません」

「ああ、ブラッキーは移動したのか」

「とっくのとうに。鷹部隊の士官もお待ちです」

 

 ハヅキは「グレース様の保育は、我々侍女にお任せを」とにっこり告げる。

 その笑顔に有無を言わせない様な、何とも言えぬ迫力が隠れているみたいにびびる。

 俺は四つん這いの姿勢から立ち上がると、ドレスに付いた埃を嫌う。

 

「ご同行します」

 

 すっと近寄ってくるのは、アラーノ大尉と馬面少尉だ。

 あ、済まない。

 何処をどう見ても馬面だから、ゴルヒ・フォックと素直に言えなくなっちまった。

 口を閉じて立ってるだけなら、蓮っ葉さも消えて美人なんだけどね。

 

「何か、あたいの顔に付いてる?」

「いや、馬面だなぁと」

 

 しげしげと顔を見ていたのに気が付いたのたのだろう。

 正直に印象を返答したら、「どーせあたいは、馬面だよっ」と頭の上の耳を激しく回してプンスカ怒ってしまったが、まぁ、からかい甲斐のある反応だ。

 アラーノら後ろから羽交い締めにされて、顔を真っ赤にして怒っている。

 そういや、気にした事がなかったが、どこの星出身なんだろうな。

 

「護衛のお役目を果たして下さい」

「ハヅキ、貴様は……」

 

 侍女との間でトラブルになっているらしいけど、取りあえず放置。

 

「戦況は?」

 

 二人を置き去りにして、俺は第1ブリッジへ入る。

 無論、俺の護衛役の二人も数秒遅れで慌てて付いて来ているよ。

 

「先遣隊が突入を開始しました」

 

 報告するのはシャーマンのハツメ。

 現在はグレースの養育からシャーマン系は外されている為、主に俺の補佐と秘書役が任務となっている。

 

「テロ鎮圧活動みたいだ」

 

 地面に接地するかせぬ内、揚陸艇から素早く降りるとテロリストに制圧された建物に押し入るみたいな体制で遺跡に突入して行く装甲兵。

 どう見たって、学術調査って雰囲気じゃないね。こりゃ。

 

「調査班は待機中なのかい」

「上空に滞空してます」

 

 対空砲火からの防御用に装甲を張って物々しい揚陸艇に比べると、如何にも民間機と言った風情の円盤が上空に待機している。

 最初に遺跡を制圧してから、科学者なんかの調査チームを降ろすんだけど、今頃、貴重な遺跡が滅茶苦茶に荒らされてないか、心配しているんだろうな。

 

「ブラッキーだ。敵の存在は……」

「敵らしき物が、ぐわっ」

 

 通信に悲鳴が混じる。

 ウードウ魔術団が姿を現したのは、その直後の事だった。

 

〈続く〉




約2,800文字。
話が『キングボンバ』っぽくなって来たぞ(笑)。

唐突ですが、本作『ベガ大王』に登場するキャラクター投稿を思い付きました。
つーか、今まで登場した連中、どんな奴が受けてるのか、人気があるのかって反応が無くて、今ひとつ、作者も判らない。
特に原作以外の、オリジナルキャラクターの好悪とか知りたい。

で、『感想』に気になるキャラクターを記入してくれると嬉しいです(複数可)。好きな、或いは嫌いな理由を添えてね。
「こんなキャラが見たい」って要望も募集(注、でも、採用されるとは限りません)。
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