ベガ大王ですが、何か?   作:ないしのかみ

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今回の作業用BGMは『てこいれぷりんせす! ~僕が見えない君のため~』から、OP「魔法のチカラ」です。
久々のエロゲからですね。主人公が向こうの世界へ行くと透明人間にと言うシチュエーションが新鮮でした。原画がA-10センセで慣れていないと画に拒絶が出てしまうのが欠点かな。曲はどことなく爽やかでよろしい。

ハーレムゲーに見えて、実は背景が重いゲームなんだよね。登場する四人のお姫様達もそれぞれ事情を背負っていると言う。私は性格とあのイラストで、フランシェスカ姫一筋だったけど(CVが榊さんの中身だったのも、原因だな)。



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 馬に乗ったバトルホークは舷側のハッチから、数百メートル高度差も物ともせずに飛び出してしまった。

 俺はアラーノ大尉を呆気に取られて見送っていたが、はっと我に返る。

 

「姉上、説明をお願いします!」

 

 離宮との回線は繋がったままなので、俺はモニターに振り向くと説明を求めた。

 姉は、俺に向かって「大尉の事。鷹部隊の秘密を秘匿してきた事は謝ります」と謝罪した。

 

「アラーノの一族は代々、我が王家に仕えるバトルホーク一族なのです」

「そんな話、ぼくは一度も……」

「そりゃそうさ」

 

 耳にしていないと続けようとしたが、ツイン・テールがその通信に割って入って来た。

 にやりと笑いながら、「お前はヤーバン王家で、いや、変異前のお前は価値を認められて居るとでも思ってたのか?」と、衝撃的な発言をする。

 

「……確かにその通りです。戦士よ。

 ベガが戦士として覚醒しなければ、貴方は田舎星に住む病弱な弟として一生を過ごしたでしょう。誰からも省みられぬ、哀れな王子として」

「そーゆー訳だ。ベガ王子。バトルホークの話はベガ王家の機密だったが、それに触れられるだけの資格をお前さんが持ってなかったって話さ」

 

 まるでトドメを刺すが如く、俺に説明する男の娘。

 ゴージャスな金色の髪を揺らしながら、「もっとそれは、あんたの弟、ブーチン閣下も一緒だったがね」とツインが伝える。

 と言う事は、本来、ヤーバン王家を継ぐべき人間は、テロンナ姉様だけであると言うのか。

 

「そうです。しかし、事情が変わりました」

 

 俺の心中を察したかの様に、顔を上げた姉上が発言する。

 俺が戦士として覚醒した事。そしてデューク・フリードの運命が変わってし乗った事で、元王女テロンナは次期の王家をベガに継がせるのを決意したらしい。

 

「本来なら、私はフリード星の王妃となり、フリード星をヤーバン支配下に置いてデュークを傀儡とし、この宇宙を支配する予定でした。

 それが父、ヤーバン大王の描いたシナリオだった筈です」 

「ぼくが覚醒。姉上、教えて下さい。戦士とは何の事なのです?」

 

 戦士。そう、姉が当たり前の様に俺を指して言う単語。

 いや、姉だけでは無く、マルクの偽ラミアや、ワルガスダー、ブラックミスト達も俺の事をそう呼ぶ理由。

 俺はそいつが知りたかった。

 

「戦士だからです。貴方は病弱な弟の中へ降臨した戦士だからなのです」

「戦士、戦士……。ぼくはそんな存在じゃ無い」

「貴方はベガであって、ベガでは無い。そうですね?」

 

 姉は鋭い視線で俺の目を貫いた。

 確かにいつの間にか俺はベガ王子になっていた。でも、戦士だなんてちっとも思った事は。

 いや!

 この前、意識を失った時に出現した超人〝岩〟もどき。

 もしかして、あれが戦士なのか?

 

「す、凄い」

 

 ハツメの声に、俺ははっとなって我に返った。

 シャーマンの少女が見ている光景は、白馬に跨がってキパラ文明のゴーレムとやり合うバトルホークだった。

 ウードウ魔術団は象頭の〝ジャンボー〟以外にも、鳥人型の奴やサイの様な体型の連中を動員しているらしいが、離宮の屋根を軽快に駆け回る白馬を駆り、次々と討ち取って行く赤いタイツは獅子奮迅の働きを見せている。

 

「馬面がかなり上手く立ち回ってるな。やはり、ダビスタ人だけはある」

「ダビスタ人だって」

 

 惑星ダビスタ。

 馬に変身する異星人達が暮らしていた星だが、ヤーバンの攻撃で壊滅し、今は少数の生き残りが存在するのみだ。

 マルク本星で、傭兵部隊のサイボーグと戦った事がある。

 

「おや、王子。気が付いてなかったのか。ゴルヒ・フォックはダビスタ人だ」

 

 ツインに言われて、彼女の頭で動いていた耳を思い出す。

 そう言われれば、あれは馬の耳だった。

 

「サービスで教えてやろう。今の馬面はハーラ少尉の跡を継いだクイン・ホークだ」

「では、アラーノ兄弟は」

「ほら、鷹部隊の最後の一人がお出ましだ」

 

 黄色いタイツの大男が、馬鹿でかい斧を担いで現れる。

 もしかして、こいつはバンダー中尉か!

 

「鷹部隊……あ!」

 

 ふと気が付いた。鷹部隊、ファルコとは英語読みでホークだ。

 これがバトルホークの事を意味するしたら。ファルコは最初から、彼らを基幹とする特殊部隊であったのかも知れない。  

 

「しっかり時間を稼げよ。こちとら、最終段階なんだ」

 

 何の事だろうか、ツインが活躍する真っ赤なタイツ達を見ながらぼそりと呟く。

 姉上は「無論、ゴッドホークで身体を強化していますから、今のゴルヒ少尉は普通のダビスタ人以上の力を持っているでしょう」と解説をしてくれる。

 

「彼らがバトルホークだとして、何故、それをぼくに伝えてくれなかったのです」

「戦士よ。それは貴方が戦士では無かったのと、計画の変更にあります。だから、私の持っている全てを本当なら、ベガに譲渡すべきだったのにできませんでした」

 

 顔を伏せ、「ごめんなさい」と謝罪する。

 

「計画とは、何なのです」

「鷹部隊の権限を私の元に取り返したのも、侍女部隊の派遣を中途半端にしたりも、全て予言が大きく変更されたのが原因です。未知の可能性が挿入された結果、計画が狂ったのです」

 

 姉は憎々しげに「全ては〝オリオンの虎〟そして戦士、貴方のせいで!」と叫んだ。

 と……と言われても、俺が原因だなんて自覚が無いぞ。

 

「姫さん。そう言われても殿下にとってはいちゃもん付けにしかならぬよ」

「ああ、そうでした」

 

 ツイン・テールの言葉には我に返ったらしい姉が、しおらしくなる。

 白いワンピースの男の娘が後を継ぎ、「俺から、いや、こーゆー説明は、妹の方が得意だから任せるか」と言った途端、CGのモーフィングみたいに奴の輪郭がぶれた。

 髪型が変わり、側頭部にあったツインテールが消えて、太く、後ろに束ねられた一本の縦ロールに。顔も何処か気の抜けた様なズボラ美女から、吊り目気味のきりっとした顔立ちに。

 

「テイル・テール」

「お久しぶりです。殿下」

 

 侍女部隊の長、長らく俺の侍女長を務めてくれた女性がそこに出現していた。

 

 

〈続く〉




約2,400文字。

バトルホークに続いてネタバレ第二・三弾。
ダビスタ人。だから、ゴルヒは馬に変身出来ます。閑話でバレンドスに助けられた孤児なのは、ダビスタ星でのお話だったのですよ。

で、テイル・テールとツイン・テールが、同時に登場しなかったのはそんな訳です。
この世界ってのはガンダル司令的な、こう言った一つの身体に二つの人格って人間が多かったりします。
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