ベガ大王ですが、何か?   作:ないしのかみ

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今回の作業用BGMは『聖戦士ダンバイン ー聖戦士伝説ー』から、OP「ダンバイン とぶ」です。
歌は流用なのだけど、バージョン違い三つある内の一つがテレビ版本編と映像が差し替えられてまして、リの国のオーラ・バトルシップが迫力満点なのですよ。

え、何でマイナーなPSゲーム版なんだって?
この前、久々に引っ張り出して遊んだからです。乗り換え後はガドラムが愛機でしたねぇ。部下もドラムロばっかりの真っ赤な、リの騎士団。ハンデとして乗る旧式機にビルバインにガラバやらブブリィ等、新鋭機を叩き落として行くのが快感です。
「畜生、騎士団長が強制乗り換えになると役に立たねぇ!」とぼやきながら、「アルダムで良いからそっちに乗ってくれ。裏切り者の息子(カオスルート設定)に制裁するんだ」と、ザン・ブラス(騎士団長)に歯がみしながらプレイです(笑)。
主人公の名をデフォから「ジェリド・メサ」に変えたら、シーラやドレイク達が「ジェリド王」や「聖戦士ジェリド」と呼んでくれたり、ショウや黒騎士が悔しそうに「くそぉ、俺はジェリドにすら勝てないのか」とか、泣き言を喚くので爆笑です。


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              ◆       ◆       ◆

 

「殿下。どうなさりました?」

 

 ぼーっとしているのが気になったのだろうか、隣に立つ女官が心配そうな表情で顔を覗き込んでいる。

 俺は閉じていた目を開き、片手でひらひらと手を振ってみせる。

 

「何でもないよ。ただ、昔の事を思い出していただけさ」

「なら宜しいのですが……」

 

 長い緑色のロングヘアを揺らしながら、彼女が途中で口をつぐんだ。

 俺は「五年前の事を思い出しただけさ」と呟くと、隣の女官、ハツメははっとなって手を口に当てる。

 

「姉上は何処か遠くへ行ってしまった」

「はい」

 

 あの日、幻魔要塞ヤマタノオロチに巻きつかれたまま、フリード星の離宮は光に包まれて何処かへ消えてしまった。

 消え方がガッタイガーと〝オリオンの虎〟が消失した時のそれと、ほぼ同種の発光現象で有り、後に記録が残った各種計器のデータからも、離宮が異次元に転移した物だと推定された。

 姉以下、バトルホークと呼ばれる鷹部隊の面々。テイル配下の侍女達を含む、百人余りの人間を引き連れてこの世界から消えてしまったのである。

 もっとも、同時に敵であるウードウ魔術団も巻き込まれて消失してしまったが、これは姉の方でもイレギュラーだったろう。

 

「惑星ウードウの方の戦いは、アステカイザーの参戦で勝利を得た」

「ジイルは行方不明ですが」

 

 幾つかのハニワ戦士。原理がどうなっているのか理解出来ないキバラ文明のゴーレムは、アステカイザーの活躍によって文字通り土に還るまで粉砕された。

 他に置いていった円盤獣部隊も活躍し、貴重な古代遺跡だったけど、容赦の無い爆撃でウードウ魔術団の拠点を叩き潰した。

 しかし、幹部と思われる赤い服を着た豹面の女、ジイルを取り逃がしている。

 

「とにかく勝利は得た。あれからウードウ魔術団なる組織が現れない事から、連中に壊滅的なダメージを与えたのだろうとの調査報告が上がっている」

「本当にそうだと良いのですが……姫様の件もありますし」

 

 グレースことルビーナ姫は健やかに成長し、今年からルビー星の惑星領主になる予定だ。

 俺が幼少時にベガ星を継いだ時と同じく、最初は名目上の存在で俺の送り込んだ補佐役の連中を取りまとめるだけの神輿に過ぎないんだけどな。

 そんなルビーナだけど恨みを持ったウードウ魔術団の標的にされているのかも知れず、頭の痛い問題ではある。

 

「ああ……。ほくだって奴らが壊滅したとは思ってないさ」

 

 何かあってもアステカイザーが駆け付けてくれるとは限らない。

 彼がウードウで戦ってくれたのは、まだ良く分からない〝女神ラミア〟の説得のお陰で、自主的に俺達を助けてくれた訳ではないのだ。

 オストマルクとは誘拐事件以来のパイプで、ベガ星連合軍に参加してくれたし、偽女神事件の捜査や関連資料なんかの提供もあるから、女神全体の謎の調査も遅々としたペースであるが前進はしている。

 だが、調べれば調べる程、謎も増えて行く悪循環に陥ってる。

 

『宗教関連がガンなんだよな』

 

 口伝。曖昧な記述。長い間の年月を経て改竄された記録。

 そして秘儀と言う伝統の前に、部外者には語られない伝承。女神関連の調査はこれらの困難にぶち当たっていた。

 オスト・ウエスト両星の女神の教えなる物が、組織的な宗教組織によって成り立っていないのも調査を困難にしている原因だった。

 女神の教えは生活文化の様な物で、マルクの人間なら自然と身に付けた慣習みたいな物だからだ。日本人が曖昧に、何だか知らないけど超常的力を持った存在を信じ、「お天道様が見ている」と感じているのにも似ている。

 だからマルクには、頂点として君臨する法王庁とか総本山なんて物はない。

 巫女になるのにも天からの掲示が本人へ降りて来て、運命を受け入れて巫女となるのであり、聖職者になりたいと自ら志願して、どこかの教会や寺で修行する物ではないのだ。

 

「とにかく、今はアステカイザーには頼れない」

「出現頻度も減ってますから」

 

 この五年で目撃された例は、ほんの数件である。

 奴が目の敵にする悪党公団ワルガスダーの活動も、同様に鈍っているからなのだろうか?

 代わりに俺の仕事が増えて、ガイラー星軍との正面戦争に投入される事が多くなった。

 ベガ星連合軍に所属する星、ズリ星などの諸惑星がガイラー軍の脅威にさらされた結果、なし崩し的に盟主であるベガ王子が陣頭指揮を執る必要性に迫られたからである。

 

「ミニフォー隊帰還します」

「あ、殿下。ご期待の物が入手出来たみたいですよ」

 

 ハツメに代わってヨナメが嬉しそうに報告する。

 艦長のヤマメも含めて、俺の周辺は女性、しかもシャーマン部隊の割合が強くなってしまった。

 ファルコが実質的に姉と共に消えてしまったのと、使える人材が前線に投入され、後方を担当する余剰人員がシャーマンしかなかったのが原因だ。

 戦争やってて正規軍に力を入れさせる得ないんだから、私的な護衛部隊は後回しにされるのは自明の理だった。

 シャーマン、そしてテイルの残した侍女部隊の残余が、俺担当の部隊として再編されたのは、まぁ、そんな事情である。

 

『原作のベガ親衛隊って、よっぽど人的余裕があったんだな』

 

 最近はベガ星域の経済圏が拡大してるのが救いだったから、昔みたいに貧困できゅうきゅうしてはいないけど、やっぱり軍事ってのは巨大な消費マシーンだ。

 資金、人材、資源を際限なく飲み込むうわばみの癖に、生産に寄与しない金食い虫なので困る。

 

『ガイラーとは早めに決着を付けるか、講和したい物だけど』

 

 講和が可能なら、いっそベガ星連合軍に取り込みたいなぁと思う。

 或いは第二次世界大戦前の〝ネイヴァルホリディ〟(海軍休日)みたいに、互いに軍縮するとか……。

 

「殿下。殿下」

 

 一寸長考してしまったらしい。

 ヨナメの声に顔を上げると、ハツメが色とりどりの鉱石をワゴンに乗せて持ってくる。

 ルビーナの土産に指定した、この星域特産クリスタルだ。

 

「素晴らしいですね。一つ、私も欲しいです」

「ハツメ!」

 

 ヨナメの叱責を受ける若いシャーマンに苦笑する。

 若いと言ってもあれから五年。

 シャーマンの少女は年相応に成長し、子供の面影は消えてシャーマン族特有の出る所は出て、引っ込む所は引っ込んでいる妖艶さを内包した体形になりつつある。

 改めてクリスタルを見ると確かに綺麗な色合いで、女性なら手に入れて身を飾りたいと欲するのも無理は無い。

 

「大きめの石はルビーナには持て余すだろう。加工に回して宝玉にでもしてくれ」

「幾つかは未加工で残しますか?」

 

 ヨナメの問いに視線を走らせ、掌サイズの小さな鉱石を幾つか指定する。

 角柱が放射状に飛び出しているので、そのまま飾ってもリビングの置物として栄えそうだからだ。

 

「交替の第126戦団が到着しました」

「引き継ぎ手続きに入れ、終わり次第、針路をベガ星へ向けろ」

 

 単なる視察の予定だったのだが、突然、ガイラー軍の奇襲で戦闘に入り、とにかく一週間近く前線を支え続けたが、やっと帰れる。

 俺はマザーバーンと麾下の艦隊を故郷へと向けさせたのだった。

 

〈続く〉




約2,800文字。

ロスト編終了です。
実は殆どベガの回想だったんですね。怪物戦艦、ウードウ魔術団や消えてしまった一同なんかは、後日、登場予定ですが、さあ、どんな形で現れるのか。
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