ベガ大王ですが、何か?   作:ないしのかみ

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今回の作業用BGMは『うた∽かた』から、OP「思いを奏でて」です。
真夏ちゃんと手を繋いで飛行しているシーンを思い出します。でも初期は露骨なパンチラ祭りだったなぁ(笑)。

シャーマンシスターミッチーが好きでした。いや、あのDVD付録小説とかはGONZOの作品らしく色々とギミックが凝っていましたね。本編以外の所で裏設定とか『キディ・グレイド』同様に。
でも、本編だけ見るとあのシーンはどう見ても『暴行』だけじゃ済まないシーンだよね。絶対『強〇』されているよなぁ。


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 それは戴冠式直前に起こった。

 屈強な男達で護衛されている筈の警備をかいくぐり、戴冠式場に強襲したのである。

 

「被害は?」

「ルビー星政庁舎の一部が爆破されました」

 

 ルビー星到着寸前の出来事で、詳細はまだ続報待ちとの前置きを告げて、「人的被害は多数。現在死者・行方不明者は五十名を超えます」とハツメは告げた。

 

 

「多いな。この分じゃ、時間が経つにつれて犠牲種数は拡大しそうだ」

「それより殿下。気になる事が……」

 

 秘書のシャーマンは、暗い顔を見せながら「どうも相手は、ウードウ魔術団であった模様です」との、衝撃的な内容を語り出した。

 古代アズテク文明に連なる、謎のキバラ文明に誕生した戦士達。しかし、彼らはここ五年、域を潜ませて表に出て来る事は無かった筈だった。

 

「あのジィルらしい女が指揮を執り、一撃離脱の形で現場を破壊したそうです」

「ゴーレムを引き連れていたのか」

 

 頷くハツメを見て、『警備関係者は手も足も出なかったろうな』と状況を察する。

 警備していたのは軍人でも無ければ、恐らく警察ですら無い一般の警備会社員だろう。それがパワードスーツでも着ていないと対抗不能な化け物達に、到底、叶う訳も無い。

 

「ガンダルに連絡を取ってくれ」

「了解しました殿下。秘話通信で接続致します」

 

 執務室のコンソールを操作して待つと、やがてルビー星の責任者がモニター上に現れる。

 

「これは殿下。ご機嫌麗しく」

「挨拶は良い。先のテロ事件についてだ」

「お耳に達しましたか」

 

 ガンダルは居ずまいを正す。

 

「ワープ中は通信遮断状態だったから、まだ最新情報は届いていない」

「は、では説明を……」

 

 彼は傍らの補佐官を呼び、そいつが現状で判別している情報を読み上げる。

 思った通り、犠牲者の数は増加していた。

 政庁舎の破損具合に対しては、正面玄関ホールが吹き飛んだ程度で中枢である施設は無事であるそうだ。

 これで官僚機構全滅と言う、最悪の事態は逃れられたのであるが、玄関の真上にあったバルコニーになっているテラスも瓦解してしまった。

 

「戴冠式のお披露目会場でしたな」

「冠を被った姫が手を振るな」

 

 数年前に俺もあそこでやった記憶がある。

 あそこが使えなくなったのは、三日後に迫る戴冠式に対して支障が出る。

 

「しまったな。警備費ををけちらなければ……一週間前から強化に入ってれば」

 

 明日から警備は軍の特殊部隊に交替の予定だった。

 

「いや殿下。平日の役所ロビーに装甲服が突っ立っているのは怖いですぞ」

「ああ、平日だったか」

 

 警備の為に臨時休日する予定だったが、三日間では無く、一週間も政庁を休むのは支障が出そうだから、平日として業務を行う事になるだろう。

 確かに、玄関前に厳つい兵隊が居て通る度に検閲を受けるのは精神的に悪そうである。

 

「ウードウの連中は捕まえたのか?」

「ジィルを除いて、奴らは自爆要員だったみたいです」

 

 襲撃者は突入すると、思い思いの場所に取り憑いて自爆したという。

 要はメガ〇テの爆弾ゴーレムだと言う事か。

 

「で、ジィルは」

「その場から転移しました。これぞ姉の復讐劇だと言い残し……」

 

 姉とはフリード星の離宮と共に消えた黒衣のゾォラの事かな。

 

「代替会場は?」

「全力で手配中です」

 

 俺は「判った。マザーバーンは一時間以内にルビー星に到着するから、後の話は到着後に」と伝えて、ガンダルとの通信を切る。 

 

「しかし、ルビーナの戴冠式を狙って動き出したか。何を考えている、ウードウ魔術団」

 

 奴らにとって、何の得があるのかが思い付かない。

 昔、何としてても取り返そうとした〝ボンバの像〟はあれから行方不明だ。

 恐らく、姉上の次元転移と共にどこかの世界へと消え失せてしまったのだろうが、となるとウードウの連中が目論む目的は何だ?

 

              ◆       ◆       ◆

 

 暗い空間。 

 いつもの様に、とは言うものの、ここ久方ぶりに訪れた場所だ。

 

「ハァーイ、お久しぶりデース」

「お前も変わらないね」

 

 ブラックミスト。

 彼女が言うには〝俺の内的宇宙〟で、俺は数年ぶりに黒衣のバニーガールと再会した。

 

「最近出て来ないから、忘れかけていたよ」

「3uqの監視力が強くなってきてるせいデース」

「何だそりゃ?」

 

 もしかして3uqとか言う奴が、昔、俺が聴いた声の主なのか?

 

「グレース姫の戴冠式。大変な事になりましたネ」

 

 しかし、バニーガールはそれを尋ねる前に、別の話題を俺に振ってきた。

 こいつ、何年も音信不通だった癖に、そんな事を何故、言う。

 

「ノープログレム。ウードウ魔術団の一件の時、介入手段は得ましたから、状況はほほ知ってマース」

「言ってる事は判らないけど、情報が筒抜けなのは気分が悪いな」

 

 不満そうな顔を見せたら、相変わらず表情は不明だけど、多分、苦笑した顔を造ってバニーガールは「まぁまあ、だからこそ、色々なアドバイスが得られマース」とかほざいて来た。

 

「この事件の背景、ウードウ単独が起こした事件では無いネ」

「黒幕がまだ居るのか」

 

 バニーガールは肯定すると、「ベガ王子の敵はウードウ魔術団だけではないネ」と意味深な事を言う。

 

「今まで作ってしまった敵。そして、これから立ちはだかる事になる相手。

 よりどりみどりデース」

「知らない相手から敵視されるのかよ」

「運命デース」

 

 しれっと簡単に運命だと言われてしまったぞ。

 

 

〈続く〉




約2,100文字。
久々にブラックミスト登場です。

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