うーむ、耳に「ばーか、ぱーか」だけが、どうしても残るなあ。ノリが良いな。
実は『東方』は余り知りません(笑)。巫女が居るけど、正統派じゃないので全く琴線に引っかからないのが、自分でもびっくりしてます。
変形巫女服でも認めていたのになぁ(笑)。
「運命かよ」
「少なくとも、ユーはそれに縛られてマース」
黒いバニーガールはそう言うとキョロキョロと辺りを見回した。
「何をしている?」
「いえ……。まさか3ugが意図的に」
ブラックミストは訳の分からない事を言う。
彼女が「とにかく、事態を面白くする為に状況を悪化させるのは避けねばなりまセーン」と宣言する。
一寸待て、誰が〝事態を面白くする〟んだよ?
「ウードウ魔術団はとある勢力と結びつきました。当面の敵はコレね!」
「何だって?」
バニーガールは俺の方につかつかと歩み寄ると、俺の顔をじっと見詰める。
相変わらず顔自体の輪郭はあるが、顔の細部は霞が掛かった様にぼんやりとしているが前髪が見えた。
今まで額の部分はどうなっているのか判らなかったのだが、どうやら目元まで前髪を下ろして覆っているのが判った。
その為に瞳や眉はどうなっているのか判断出来ないし、表情の変化も把握が難しいが、以前ののっぺらぼう状態よりは、遥かにマシな印象を受ける。
『何があった?』
数年前とは事情が違うのか、少しだけ変化してる事に俺は戸惑いを覚える。
ブラックミストがそれに気が付いたのか、否か。口元に笑みを浮かべる。
「いずれにせよユーが全てを思い出せば、運命のくびきからは解放されマース」
「何を思い出すんだ!」
と、黒いこの空間自体が身震いした様に、雷鳴の様な異音を伴って振動した。
バニースーツを著た女ははっとして、口を押さえると「言えマセーン」と言い切った。
質問に関する、はっきりとした拒絶。
それから話題を変えて、「警告シマース。これから事件は起きるけど、止める事は出来ないデース」と予言の様な話を続ける。
「ルビーナ関連か」
「そこで彼女は、運命的な出会いをするでショウ」
運命的? 恋人でも出るとかか。
と言っても、ルビーナはまだ五つ、いや、そろそろ六つだったか、の子供だぞ。恋愛関係とは考えずらいし、あのデューク・フリードはルビー星には来ない筈だったから、恋人の線からは外れるな。
「意味が分からないが」
「時間が来ればはっきりするでショウ。そして、答えを見付けるのは貴方自身の役目ネ」
ブラックミストがついと顔を上げ、片手を輿に当てたポーズで後を向いた。
顔を横に向けた際、目に涙の様な物が光ったのは気のせいか?
「貴方は戦士なのですから……」
◆ ◆ ◆
目を覚ました。
今までの様に空間から放り出されるとか、舞台から弾き出される様なドラマチックな事態が起こる事も無く、あの夢から現実へと引き戻された様だ。
バニーガールの最後の台詞「貴方は戦士……」云々が頭の中で響く。
「何だったんだ。一体……」
朝日を浴びて明るくなった紅玉宮の一室で、俺は寝台から身を起こす。
紅玉宮はルビー星の宮殿で、テロの影響で会場が変更された為、急遽、戴冠式の会場に使われる予定の場所に選定作業に入っている。
元々、姉上テロンナの、いや更に一代前の母上ルビーナ・ヤーバンが住居としていた建物だ。
姉上がフリード星に嫁いでから、ずっと主が不在だったが、グレースがルビーナへと名を受け継ぐ事で、新たにその新居になる事が決まっている豪奢な居城であった。
「正直、俺の水晶宮よりも立派だ」
最近では地位は逆転しているが、一昔前の勢力関係から見たら仕方が無いんだけどな。
田舎王子の静養宮殿と、一線級の経済惑星の経営宮では。
「殿下。お目覚めですか?」
「ああ」
ノックの音とハツメの声を確認してから返事をすると、床にも引き摺りそうな長い緑の髪を持った秘書が入室し、「おはようございます」と腰を折って挨拶する。
「スケジュールの確認をお願いします」
「ん、何か問題でもあったのかい」
ハツメは首を振りつつも「戴冠式の準備に作業が入りますので、多分、騒音が酷くなるでしょう。今の所、コレが問題と言えば、問題ですね」と告げる。
「来訪者は?」
「ガンダル様が昼前に訪れます。それとグレース様とブラッキー中将も遅くても午後には到着します」
ブラッキーが、今回の姫君護衛役だ。
「クインバーンを与えたんだから、ブラッキーも張り切っているだろう」
「新型の円盤獣を搭載しているそうですよ」
原作と違って量産前提なので、ベガ星連合軍と言えど新型円盤獣を次々開発する余裕は無いが、それでも経済状態が好転しているのでニューモデルは開発されつつある。
そう言えば、俺のアイディアを取り入れた小型円盤獣〝アシアシ〟とか言うのが出来たらしいな。
「殿下専用機を用意する動きもあるそうですよ」
「よせやい。フラッグシップってのは前線で戦わないもんだぞ」
普通は、ね。
戦争でネルソンとか、ロンメルクラスの提督や軍団長だったらまだ許せるけど、ナポレオンみたいに総大将自身が以前線へ出張るのは、本当は悪手だからだ。
やられると代わりが居ないからな。
だから将軍専用機はともかく、指導者専用機なんて言うのは愚の骨頂。
式典で飾り立ててただ立ってるのであれば、そこらの量産機でもゴテゴテ改装したハリボテで充分だろう?
莫大な予算を使う高性能専用機なんか、俺に言わせりゃ金の無駄だよ。
が、まだ俺は王子なので、ヤーバン全体から見たら全体指導者には当たらず、前線でも死んで良いクラスなんだけどね(笑)。
「そこらはズリル長官にお聞き下さい」
「奴が関わっているのか。行政官の仕事してりゃ良いのに……」
これも原作とは違い、ガンダルもズリルも軍人では無く官僚だ。
ズリルは一部、研究開発方面にもタッチしているが、これは息抜きみたいな物として公認している。書類仕事ぱヵかりだと、ストレスたまるだろうからね。
とにかく、今のベガ星連合軍は原作で行動隊長として出演していたブラッキーにバレンドス、ブッシなんかを司令官として起用しており、ボスクラスはもっと偉くなっている。
『行動隊長と言えば、ゴーマンが居たな』
最近、消息の知れぬ男を思い出す。
しかし、考えても仕方が無い事として頭を今後の予定に切り換えた。
「ウードウ魔術団とワルガスダーの動き、引き続き警戒する様に」
「はい」
とにかく今日、ルビーナがこの星に到着する。
〈続く〉
約2,500文字。
べが専用機は、奴が何と言おうとも登場予定。
で〝アシアシ〟は「出たな、円盤獣!」のオレンジ色したフリスビーです(笑)。