番組後半のククト星へ降りた後の曲ですね。前半はケンツやカチュアが人質となって皆が追いかける曲。後半はARVが押しかけて乱戦となる曲として印象深いです。新型のばってん印との戦闘が燃えましたね。
『バイファム』はSFテイスト溢れた作品でした。敵が正体不明、未知の異星人との接触が「ああ、SFしてる」と面白かったですね。路線変更で後半はククトニアンが沢山出て大分俗っぽくなるんだけど(ミューラァ左遷とか見てるとね)、まぁ「コーレ用いるとノーミソくるくる」のキャシャーンが、面白かったからいいか(笑)。
路線変更で異星人だから天才で、何らかの特殊能力持ってたカチュアが、ククトニアンって能力的に人間とほぼ変わらない設定になって、単なる凡人になっちゃったのは笑えたけどね。
◆ ◆ ◆
突然の事だった。
急遽変更された戴冠式の会場は万全の警備を敷いていた。
……筈だった。
戴冠式は無事に終わり、無事に「グレース」は「ルビーナ」へと名を変えた。
そして、皆の前に姿を現し、歓声を上げる民達の前で手を振る場面となった時に異変は起こった。
「くそぉ!」
品の無い仕草と台詞だが、叫ばずにはいられなかった。
突如、地面を割って出現した緑のモンスターを光剣を手に叩き斬る。
「きゃああああ」
緑の壁の向こうで起きるルビーナの悲鳴。駆け付けたいのは山々だが、視界も遮られ、礫を吐き続ける攻撃がこちらを向いている以上、まずは我が身を守るのを優先する必要があった。
「こいつは……!」
緑の怪物。いや、触手状にうねる植物群は見た事がある。
かつてのマルク本星で出会った偽ラミアであるが、こいつはそれに酷似していた。違うのは咲いた花の中から、植物の種だと思われる物をこっちに向けて吐いて来る事である。
そいつは鋭く尖り、床の石畳にも突き刺さる硬度と威力を持っているので、装甲服でも着てない限り、人間の身体なんか簡単に串刺しにしてしまうだろう。
幸い、発射頻度は低く、一回礫を放つと次弾装填までに数十秒はかかるらしいのだが、咲いた花の数でこいつをカバーしているので弾幕を張られると厄介だ。
しかし、俺だって前面にバリアを張る態度の小技は操れる。
「むんっ!」
無論、凄く疲れるんだけど、俺は裂帛の気合いで剣で花を薙ぎ払った。
幹ごと両断された緑の怪物は切断面から樹液を噴き出しながらプルブルと震え、切り落とされた方は地面に落ちて蛇みたいに身をくねらせたが、やがて動きを止める。
バリアを解除して周囲に停滞していた礫がばらぱらと落ちると同時に、俺は悲鳴が上がった方向へと駈けた。
そこら中の地面から突き出した植物が怪物の様にうねり、視界を遮っていたがここは紅玉宮の中庭だった筈だ。
「ルビーナ」
名前を連呼して進むと、視界に横倒しになった機動兵器が入って来た。
新型の小型円盤獣である。
儀仗兵宜しく、ベガ星の権威を誇示する為に会場に立たせていた奴だが、下から植物に突き上げられて見事に横転している。
一応無人機だが、今回は有事に備えてパイロットを配置していた筈だが……、と見るとパイロッらしき兵が倒された拍子に落下したらしく、機体の先の地上におねんねしている。
それだけなら良いんだけど、首が変な方向に曲がって事切れているのが最悪である。
「新鋭機もこうなっては……」
オートモードに切り替えるべきかと考え、俺は空いたままになっているコクピットの中を除いた。
内部はシンプルな造りで、席が一つに周りに操作関係のスイッチ・レバー類が配置され、左右の壁にモニターがある。
スイッチが液晶画面に触れるタッチパネルでは無く、実際に押し込む方式の接触型スイッチなのは違和感があるが、この世界の技術は『グレンダイザー』が放送されていた当時の未来に準じているらしく、昭和時代の物としか思えない物が当たり前の様にある。
『この前は、フラフープが大ヒットしたしな』
ルビーナのペットとして紹介された黒い異星生物、学名〝ボコられザル〟が大人気なのだそうで、いっそベガ政府が音頭取って商品化したらどうだろうと持ちか掛けられたが、俺がこれに〝ボッコちゃん〟と命名したら一大ブームになってしまったって言うのもある。
そーいや、こっちの子供の遊びってメンコーと言う厚紙を叩き付けて競う奴と、ゴマベーなる独楽をぶつけて遊ぶ勝負らしい。何処まで昭和なんだよ!
それはともかく、俺は素早く計器チェック(こいつも針がある零士メーターだ)すると機能は完璧で、機体が正常に稼働する事が分かった。
そのままオートモードに入れれば事は済むはずだが、それを押し留めて席へと座って手動モードに操作系を切り替えてみる。
「済まないね。君の機体を使わせて貰うぞ」
目の前、数メートル先で死んでいる元の持ち主に対して言葉を掛けると、俺は思い切って機体を立て直した。
軽い振動と共に機体が身を起こす。慣性制御が掛かっているらしく、急激な動きでも座っている限りは不快な振動なんかはキャンセルされる様だ。
あのパイロットだって席に座っていれば墜死なんかは避けられたのだが、コクピットハッチに乗っていた所を突然、襲われたのだろうか。
「行けるか!」
とにかくルビーナ捜しが優先だ。
飛行を命令すると、思考を読み取った機体が追随して勝手に飛び上がってくれる。
何とかガンダムのバイオセンサーみたいな機能だけど、これって円盤獣を始めとするこの世界の兵器ならば当然の技術なんだよね。
昭和館溢れる世界なのにと思っていたが、良く考えれば、番組本編も思考操縦が当たり前の世界じゃないと、デュークフリードだってグレンダイザーを手足の様な操れない。
そう『ロボットを本当に自在操る為には、レバーやハンドル操作じゃ無理だ』と気が付いた時、俺は目からウロコが何枚も落ちた気がしたものだ。
「うわっ」
上から確認すると紅玉宮の惨状は酷い物である。
緑、緑、緑、一面がジャングルになっていて、建物は飲み込まれて見る影も無い。
腕を動かして武装を確かめてみる。左右の腕先にベガトロンビーム砲が一門ずつあり、俺が主張した実体剣が格納されている。
ビームのエネルギーは充分だと確認し、モニターから見て人を誤射しない範囲で植物を焼き払う。
やはり火には弱いのか、それは掃射するとあっと言う間に燃え尽きた。
「ブラッキー、ブラッキー中将。聞こえるか」
武器が有効なのを確認後、作戦本部に一報を入れて司令官を呼び出す。
今、式典に参加予定の高官はガンダルとブラッキーの二人だったが、俺は警備の為に直接会場に居なかった男を呼び出した。
「殿下!」
「無事だったか、他の者達の安否は?」
「情報が錯綜中です。ルビーナ姫の事すらも」
無理も無いが、くそっ、無事でいてくれよルビーナ姫。
〈続く〉
約2,400文字。
ルビーナ行方不明。
主人公らしく、ベガをメカに乗せてみました。
つうか、こんな状況でもないと乗れないのが立場ですな。普通、乗ろうしたら「とんでもございません!」と誰かに止められるからね。