夜が明けるイメージの旋律から始まって雄大に曲が流れた後、静かなひとときになり、間奏でテンポがはやくなり、打って変わって激しい旋律となる、前半と後半の印象が全く異なるギャップが好きです。
最後の方は「全員の踊り」らしいんだけど、このテンポで踊れるのかいな(笑)。
聴いてると、もう追跡のテーマか戦闘曲と思う程です。某『銀英伝』の宇宙会戦でこのパートを、クライマックス時に流しても全く違和感がないぞ。
◆ ◆ ◆
「ルビーナ姫が行方不明です」
その報告が入って数時間。
俺は旗艦マザーバーンの艦内で、次々と入る報告に苛立っていた。
「殿下」
「ブラッキーか。状況はに何か変化は?」
大柄の武官が首を振る中、俺は再び地上で指揮を執る旨を伝えた。
敵が地下から襲って来るのだから、ルビー星の何処に居ても危険であるとの判断でフロマイデから衛星軌道まで打ち上げられてしまったが、こうも状況が不確かだと陣頭指揮を執りたくなる。
入ってくる報告は損害の詳細とかぱかりで、肝心なルビーナ姫の消息が一行に掴めないからだ。
「お止め下さい。殿下が助かったのも奇跡なのですから」
必死に制止するブラッキー。
この旗艦もルビー宇宙港に停泊中、敵の攻撃を受けて緊急出港したとの話を聞いて、俺は唖然とした。
敵は緑の化け物の他に、例のドローンと更に空飛ぶゴーレムまで投入したと言う。
「ドローン改造機は、我が連合軍の物なのだな」
「は、ヤーバンかその系列で製造された物に間違いありません」
俺に差し向けられた物の正体は、我がベガ星連合軍でも使用している訓練機である。
しかし、やや旧式化している為に新型のドローンと入れ替えて更新中の退役機であった。
だから、退役機を保管している各基地へと連絡を入れ、その保管状況を確かめると、数機が紛失して行方不明である事が確かめられた。
が、消えた機体の数が合わない。
ブラッキーの報告だと、マザーバーンにも十数機が襲いかかって来たのだが、それだけの数を揃える為にはベガ星連合軍から紛失した数では到底足りないのだ。
「何処か、他の軍区から流れてきた機体があるな」
「あの機体自体は我がヤーバンでも普及した機種です。ベガ星以外でも幾らでも転がっているでしょう」
その言を受けて、俺はある人物を脳裏に浮かべたが証拠は無い。
いや、用意周到の奴の工作なら証拠となるべき痕跡など残し派すまい。
「ゴーレムも出たのなら、ウードウ魔術団が参加しているのだな」
「記録があります。こいつです」
戦闘記録として残された映像が映し出される。
拡大し、スチルとして固定された映像はあんまり鮮明な物では無いが、中央に映る人影は槍を携えたタカの様な羽色のバードマンだった。
縮れ毛の黒人っぽい男の姿で、腰蓑を穿いただけで上半身は裸。
首の周りに髑髏の首飾り、脚はもろに鳥のそれで、背中から大きな翼が生え空中を飛んでいるから、鋭いかぎ爪が武器になりそうだ。
「それとこれをご覧下さい」
スチルから別の画像に変わる。さっきのバードマンの動画だった。
飛びながら槍を構え、槍の穂先が輝いたと思うと光弾を発射している。
「飛び道具を持っているのか!」
「はい。但し、エネルギー量は歩兵用レーザーガン程度です」
だが、歩兵用の一般的ライフルは馬鹿に出来ない威力がある。
対ビーム処理が無ければ、分厚い鉄板だって貫通してしまう威力があって、普通の人間だったら一発で即死してしまう程のパワーがある。
戦争映画とかではレーザーを数発喰らっても生きてる描写があるが、あれは海賊映画の大砲が爆発してるのと同じ様に(単なる鉄の砲丸が爆発する訳は無いのだ)、演出に過ぎない。
まぁ、百歩譲って軍人だったら、軍服の特殊処理で何とかしているのも知れないが、普通の服を着た民間人だったらまず駄目だろう。
「厄介だな。これまで奴らは地上を歩いて、飛び道具も持ってなかった」
「しかし、それだけでは無いのです。これは……」
「殿下っ、大変です!」
ブラッキーが口を開いたその時に、それを中断させる様な通信兵の絶叫が響いた。
俺は驚いて「何事か?」を聞き返すと、信じられぬ報告が耳朶を打った。
「ガンダル司政官、死亡っ!」
その言葉を理解するのに暫く掛かった。そして初めて口を突いた言葉が「冗談はよせ」だった。
ガンダルが死んだ?
おい、悪い冗談だぞ、行政官の長で一番最初に部下になった男なのだ。
原作でも終盤近くまで大怪我しながらも生き残った悪運の強い奴が、こんな時に呆気なく……。
「ガンダルは何処で発見されたのだ」
「紅玉宮の会場で遺体が発見されました」
ブラッキーの野太い声が響く中、俺は茫然自失していた。
最後に奴を目にしたのは、戴冠式に列席した姿だった。重鎮が集まる中、式の開始前に「肩が凝りますな」などと冗談も口にしていたのを覚えている。
俺が「仕事がきついなら、暫く休暇を取ったらどうか」と勧めたが、奴は笑って「まだまだ年寄りではありませんぞ」とか答えたのだ。
床を突き破って例のグリーンモンスターが出た時、式典に出た出席者の殆どがガンダル同様、帰らぬ人になっているのかも知れない。
「失礼します。ルビー星から小型艇が接近。本艦に着艦要請が来ています」
「今は非常事態だ。テロリストの偽装艇の可能性もある。無視しろ」
いつの間にか時間が経っていた様で、はっとして室内を見回すとそんな報告が上がっていた。
ブラッキーは着艦要請を却下したが、「しかし、ルビー星政府の専用機です。そして中将に直接目通りがしたいと……」との追加で、苛々しつつも回線を回させた。
「おおっ、やっと繋がった。ガデル兄貴」
「貴様、ベルデか?」
スクリーンに映った人物に俺は「あっ」と声を上げざる得なかった。
知っている顔立だった。
いや、初対面で知り合いって訳じゃ無いよ。
ルビー星の政庁に支給している制服こそ着ているが、細身の身体に吊り目の神経質そうな顔立ち、一番印象的なのはスキンヘッドと真っ黒い顔に尖った耳だ。
その姿は、この世界に存在していないと勝手に思い込んでいた『UFOロボグレンダイザー』版のスカルムーン攻撃隊長、ブラッキーその人であった!
〈続く〉
約2,300文字。
ガンダル退場。そしてブラッキー隊長(『グレンダイザー』バージョン)登場です。一応、先に出ている中将殿とは兄弟です。
『2199』リメイク版のタラン将軍状態ですな。