ベガ大王ですが、何か?   作:ないしのかみ

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今回の作業用BGMは『バットマン』から「バットマン」です。
いや、1960年代のTV版の歌ね。「バットマン、バットマン」と連呼するあれ。何となく根暗の今のバットマンとは大違いで、尻から火を噴くジェットエンジンのバットマンカーで、颯爽と助手のロビンと一緒に豪邸から飛び出す方。殴ると「BOM!」とか「CRASH!」と画面に擬音がどーんと出る奴ね。

いやぁ、出て来る怪人どもが明るいのよ。ペンギンやキャットウーマンが何の悩みも無く悪事を企んで、それを正義の味方が殴って倒すの。特にナゾラー(邦名。原作ではリドラー)が理解不能で面白かった。ICBMで空に謎々を描く奴なんて「アメリカ人はぶっ飛んだキャラを考えるのぉ」と呆れながらも感心してた(笑)。
最近のバットマンはロビンの存在が抹消されてるのは、ホモ疑惑のせいだと聞いたけど果たして本当かな?



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「地獄からか。確かにそうだねぇ」

 

 レディ・ガンダルは嘲る様に言った。

 昔、そう、それは五年以上前に存在を抹消された女の顔では無い。

 

「私を甦らせてくれたジィル様に準じて、魔女になったのさ」

 

 如何にも愉快と行った風情で語る顔は『グレンダイザー』で見た後期タイプのレディ・ガンダル、マザーバーンから奪取の際に火傷を負い、整形した姿の顔立ちだった。

 主機の顔が割れて小さな女が登場するタイプでは無く、ガンダルの顔がメタモルフォーゼして表情が変わるタイプだが、それ以上に奴が喋った言葉に俺は驚く。

 

「魔女……だと?」

「驚いた様だね。そうさ、全くキバラ文明は素晴らしい!」

「そのまま死んでいれば良かった物を……」

 

 たまたまガンダルを殺してその遺体を乗っ取ったのか、それとも最初からその目的でグリーンモンスターを紅玉宮へ仕掛けたのか。

 

「本当ならば、この身体で甦るつもりでは無かった様だが、まぁ、馴染みの身体の方がしっくり来る」

「な……に」

「私の器となるべき、グレースとか言う小娘。そいつを取り逃がしたらしいからねぇ」

 

 嫌らしい笑みを浮かべる。

 俺はまだ浮かんでいるジィルの虚像へ向くと、「貴様。ルビーナをっ!」と思わず叫んでいた。

 レディ・ガンダルの魂をルビーナへ降ろし、精神交換を企んでいたとでも言うのか。

 

「ガンダル。喋りすぎだぞぇ」

 

 が、ジィルの方は明らかに不快な表情を浮かべており、その言葉も不機嫌だった。

 と、次の瞬間、悲鳴が響き渡る。

 頭部に何やら圧力を加えているのか、レディ・ガンダルが大きな身体を屈して「ひぃぃぃぃぃぃ」と頭を抱えていた。 

 

「苦しかろう。お前はわらわの下僕なのじゃ。生かすも殺すも我の手の内にある」

「うがぁぁぁぁぁ、お助け下さい。御慈悲をジィル様ぁぁぁ」

 

 激痛で転げ回るレディ・ガンダルを冷たく見下ろす巨大な顔。

 ジィルは「ベガ暗殺に失敗したお前は、既に用無しなのじゃ」とつまらなそうに言い放ち、「御慈悲を、助けて下さい。もう一度、冥府に行くのは嫌だぁ」と叫んでいる。

 

「装甲兵。レディ・ガンダルを捕縛せよ!」

 

 その命令を下したのがブラッキーだった。

 たちまち、十重二十重にパワードスーツを来た歩兵が展開する。

 

「殿下はお下がり下さい」

「ハツメ?」

「呪術による遠隔操作で、自爆する可能性があります」

 

 シャーマンの説明によると、肉体自体を生体爆弾として使用する危険があるのだそうだ。

 後に話を聞くと昔、シャーマンにも敵に抱きついて自爆する特攻部隊が存在したらしいのだが、まぁ、これは本題ではないので詳しい説明は省こう。

 

「全く、余計な情報を渡しおって。さて、ベガ王子」

「何だ。降伏の条件なら聞いてやるぞ」

 

 不遜な態度で俺はジィルに言い放つが、敵もさる者で「グレースの件、どうやら我らが入手していないのを悟っているな?」と言われてしまった。

 うん、レディ・ガンダルのうっかり漏らした情報もあるが、その前に俺はルビーナがウードウ魔術団の手に堕ちていない事を掴んでいたからだ。

 

「ああ……」

「では、あの騎士が行った事も」

 

 お、あの事を知っているのか。

 まぁ、もう一方の当事者だから、知っていて当たり前か。 

 

「それが何者なのか。アステカイザーの様な第三勢力か、俺も知らない味方、かつてのバトル・ホークの様な存在なのかは知らないけどな」

「お主どもの手の者ではないと言うか。いや、その言葉は鵜呑みに出来ぬのぉ」

 

 どうやら奴は俺の言葉を信用せず、フェイクであると疑っている様子がありありと分かる。

 俺は宙に浮かぶでかい顔を睨み付け「それよりも貴様は誰と組んだ?」と、問い詰める。

 

「はて、何の事かのぉ」

「ターゲット・ドローンを誰から入手した。ウードウ魔術団だけの仕業ではあるまい?」

「同盟者がおるのは否定せぬ。

 そいつから事前に教えられた仮想敵の中に、確かワル……何とか言うのが居るらしいが」

 

 悪党公団ワルガスダーの事か。

 ウードウ魔術団とは接触していないから、彼らにとっては未知の勢力である筈だ。

 それを知って教えられる敵対者は、やはり愚弟が関わっているのか?

 

「ワルガスダーなら違うな。あれは奴らのやり方では無い。

 むしろ、オストマルクの武人辺りがやるかも知れんが、こいつも可能性は低いだろう。一番可能性がありそうなのは銀河帝王デスクロスだな」

 

 適当な話を振ってじりじりと後退する。

 銀河帝王デスクロスの話は半ば本当だが、デュークフリードと共に異次元に飛ばされたドラグ将軍や怪物戦艦以外の戦力は未確認だし、第一、俺は直接、銀河帝王の姿を目にした事は無い。

 もし、本当にデスクロスの本隊が現れたら、それこそ上へ下への大騒ぎになっているだろう。

 ベガ星連合軍が設立された本来の目的も、このデスクロス軍が再来した時に備えての事なんだからな。

 

「まぁ良い。少し長居をしすぎたわ。騎士の正体はその内分かろうが、その時、姫はわらわ達ウードウ魔術団の手に落ちているであろうよ」

「待てっ」

 

 気が付かれたか?

 しかし、どっかの何とか神話に出て来る円錐生物みたいに、ルビーナの精神を別人のそれと交換可能な技術がもしあるとすれば、大変な事になる。

 例の新兵器が格納庫に届くのを俺は待つしか無いのだが、先手を打たれたか。

 

「レディ・ガンダルとやらは暫く王子に預けよう。もっとも、仲間になったばかりだから有用な情報は何も持たぬぞ」

 

 それだけ言うとジィルの上半身はふっと消えた。

 折角準備させていた新兵器の効果を試す前に、奴は逃走した様だ。

 

「殿下!」

「ESPジャマーが無駄になったか」

 

 俺はため息を付いてブラッキーに向き直った。

 こいつは対ESP用の兵器だが、精神波を使う呪術とやらにも効果があると見て、急遽、マザーハーンに搭載して来た大袈裟な装置である。

 どれ位に大袈裟かと言えば、大きさが軽自動車なみのサイズがあって移動が困難な上、射程もせいぜい100mしかないのである。

 元々、大学の設置型実験装置なのだから、これでも小型化したといえるんだけどね。

 果たして効くのか効かないのか、ジィルにぶっ放してみたかった。

 

「レディ・ガンダルは?」

「捉えて独房に連行しています」

「どうやって蘇生させたのか、科学班に徹底調査を命じる」

 

 ブラッキーが「ははっ」と敬礼する中、俺は少し前の映像を思い出していた。

 そう、さっき話題に出ていた騎士だ。

 ゴーレムと剣を交えた騎士の格好をした連中が、マリアを抱えて空を飛んでいるとか信じられるかい?

 

 

〈続く〉




約2,600文字。

同盟者。
さーて、誰なのでしょうね。
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