マミのライバル、綾瀬めぐみさんの本編中唯一の持ち歌です(いや、「すっぱい屋の梅干し」のCMソングは除きますよ)。2番まで歌詞があるけど全部を歌われた記憶は無かった気が(笑)。
恋歌なんだけど、CVの島津冴子さんの声のせいで大人っぼい唄ですね。
『マミ』は『ミンキーモモ』と並んで、第二次魔法少女ブームを起こした作品です。まぁ、本編よりもOVAの『ロンググッドバイ』の方が個人的にお気に入り、ぬぐみ役の女戦士が操る変形して鎧になるライトフライヤーが好きでしたねぇ。このOVAの主役は綾瀬めぐみなので、めぐみさんはきらきら輝いてましたね。
◆ ◆ ◆
「くっくっくっ……」
暗い部屋の中、主は小さく不気味に笑い声を上げていた。
彼の位置しているデスクには小さなモニター付きのコンソールになっているが、そのモニターはルビー星の惨状を先程から流し続けており、その映像を目にして狂気の笑いを浮かべているのかも知れない。
少なくとも補佐官として任に就いている彼女は、仕えている主のその姿に震えを感じていたが、その態度を表面的には微塵も見せずに押し殺していた。
「やぁ、やって来たのかい」
何も無い虚空からふわりっと影が動き、やがて片膝を着いて平伏した姿となる。
その姿は全身を白い長衣(ローブ)で身を包見、顔すらも判別が付かない不審者であった。
「作戦、おめでとうございます」
顔を上げ祝いの口上を述べる女(少なくとも声質は女性だった)ではあるが、肝心なそれには感情が全くこもっていない。
「ウードウ魔術団。良い働きをしてくれた様ですね」
「貴様達のお陰だよ」
「そう思って下さると助かります」
態度から見るに主は上機嫌な模様であった。
しかし、味方でもある同胞の足を引っ張る行為は如何なものかとも憂慮する。
主の統治下には無いとは言え、今、実際に血を流し生命を失っているのは同じヤーバン人なのだから。
「貴様らから提供された細胞が、ああも凶悪な生体兵器になるのは嬉しい誤算だったよ」
「被害が予想を超えていますからね」
確かに実際に与えている被害は、事前にシミュレーションした予想を遙かに上回っていた。
だが、主は「構わないよ。あの星が僕の物にはならないんだったら、ベガの策源地の一つに成り下がる位なら、いっそ、叩き壊してしまった方がマシさ」と言い切った。
「僕が前線を担当しているんだ。戦いもせず、後方でのうのうと暮らしているベガが、豊かな生活を享受してるなんて許されるかい?」
「……まぁ、お好きな様に。我々としてもベガ星連合軍の弱体化は歓迎すべき事です」
白ロープの言葉は利害が一致しているから、今は協力関係にいると物語っている。
おもむろに「では、ウードウ魔術団も当面は野放しにして構いませんか」と、尋ねて来る。
「任せるよ」
「では、彼らへの対処はこちらでやらせて頂きます」
「くくくっ、僕はあのババァとは縁が無い。いや、縁を持ってはいけないからね。
但し、グレースに関しては処置だけは報告を頼むよ」
深く頷くと、その人物は幻の様にかき消えた。
完全に気配が無くなったと確認出来た時、補佐役は安堵のため息を短く漏らした。
「ははは、お前でも緊張するんだな。メスカル」
デスクに座ったままの主は、彼女の名を呼んで面白そうに笑った。
しかし、当のメスカルは脂汗が額に流れるのを感じながら「は」としか答えられなかった。
ウードウ魔術団とか言う人外の者達もそうだが、今、主に面会していた人物も常識では計れない異質な者であったからである。
テレポート的な瞬間移動を行うエスパーなんて、超能力研究が進んだヤーバンであっても、実際に持つ者に遭遇する確率なんぞ、それこそ天文学的な数字に過ぎない。
「殿下、本当に奴らと手を組んで良いのでしょうか」
「使える手駒だよ。奴らがベガの勢力を削いでくれるなら、それで良い。
既に姉上も居ない。ここで奴に打撃を与えねば、僕は後継者レースに負ける」
目をランランと輝かせ、狂気の笑みを浮かべる主の表情に気後れする。それは『この御方は、既にベガ王子を憎むだけか目的になっているのか』と、心中を把握するのに充分な態度だった。
「僕はね。何としても勝ちたいんだよ。だから奴らとだって手を結ぶのさ!
奴が地獄の使者でも、悪鬼羅刹でもね。判るかぁ、めすかるーぅぅぅ」
激昂した主が手でデスク上の小物類を払い、散乱したトレイや時計が床に散らばった。
割れたワイングラスの破砕音を耳にしながら、主、ブーチン第二王子を今は見守るしか無いとメスカルは居ずまいを正した。
◆ ◆ ◆
急降下して来るウードウ魔術団ホークマンは、背中の翼をすぼめて降下速度を稼いでいるらしい。対する黒いベルバランは、馬を相対させて停止位置で迎え撃つ気だ。
「何故、停まるの」
「敵がこちらを的だと錯覚させる為だ」
槍を突き出して来た敵を、ギリギリまで引きつけてすっと馬体を落下させるベルバラン。
突然の浮遊感を感じたルビーナが悲鳴を上げる中、再びメカホースに浮力を与えて馬首をぐるりと反転させる。
突き刺しやすい敵だと見誤ったウードウ魔術団の怪人は、突然の目標喪失に対処出来ず、ベルバランの上を高速で通過してしまうが、それを見逃す黄色の騎士では無かった。
「単純な奴だ」
侮蔑の言葉を吐きながら、レイピアが一閃すると袈裟懸けに斬られたホークマンが散華した。
文字通り、胴体が真っ二つに切断された相手は、ゴーレムの特性である自己再生もままならずに土塊となって分解する。
「やはり、ある程度でかいダメージを一気与えると、再生が追いつかなくなると言うアステカイザーからの言葉は真実だったみたいだな」
「アステカイザー?」
アズテク文明の戦士の名を呟く騎士に、姫は疑問の言葉を投げかけた。
今でも銀河各地に出没している正体不明の怪人と、この黒いベルバランとはどう言う関係なのか?
「知り合いだ。ウードウ魔術団に関する知識を教えて貰った、な」
「仲間なの」
いや、と首を振るベルバラン。
「残念ながら全ての利害は一致しない。ゲルマに関してだけは味方同士だが……」
「ゲルマって、異次元からの侵略者」
「そうとも限らないが、ああ、グレース姫。取りあえず安全な所までは送ろう」
馬首を巡らし、高度を下げながら疾走するメカホース。
紅玉宮の上空から離れ、市街地を抜けてあの怪物植物の被害に遭っていない地区まで進むと、目立つ飛行を止めて地上を駆けて行く。
「あの車を用意した。乗って行くがいい」
やがて到着したのは辺鄙な草むらだった。
何の変哲も無いバン型のイオノクラフトが停車しており、その隣に二人の人影が見えた。
「遅いぞ、ベルバラン」
やはり顔に目元を覆う黒いマスクを装着した若い男が文句を言う。
しかし、その男は黒いベルバランと違って奇天烈な格好をしておらず、普段着の上に前掛けをして長靴を履いた様な、商店主か何かの肉体労働者の姿をしていた。
「心配してたんだから」
声を掛けるもう一人の人物は、金髪の若い女性だった。
こちらも目元を覆うアイマスクをしていたが色違いの赤で、ベレー帽を被り、大袈裟なマントを羽織って灰色のレオタードを纏ったベルバランに負けず劣らずの奇妙な姿をしている。
腰には何故か、短いソリッドを吊していた。
「済まん。エトワール」
「バンに自動航法装置はセットしたわ」
エトワールと呼ばれた赤マスクは、バンのドアを開けてルビーナへ乗る様に促した。
メカホースから降ろされた姫は当惑していたが、「ルビーナよ。初めましてエトワールさん」と自己紹介する。
「お姫様にはふさわしくない車だけど、これが貴女を軍基地まで送り届けてくれる筈よ」
「何故、あたしを……」
「今、お姫様が無事なのが、我々の一番の選択だからよ」
バンのドアを開けて、エトワールは小さな姫に乗る様に促した。
結局、理由を聞きそびれたルビーナは従う他に選択肢はなく、しぶしぶ車に搭乗するが、ベルバランと他二名が交わした会話に耳を澄ませていた。
しかし、自分の所持している自動翻訳機が不調らしく、会話をまともに訳さなくなってしまった。
「えみにらいきほらーとちす。ちーちー!」
「なすいてせりし。ベルバラン!」
翻訳機と言っても補聴器にも似た小さな機器で、今日は戴冠式なので他惑星から来た要人と会話する為に特別に用意された物である。
でも殆どの会話は標準語と言うか、ヤーバン語で行われるから不必要に近いのだが、一応、過去の事例から用意されていた過去の遺物みたいな物だったし、実際、ルビーナは要らないと思っていた機器だった。
『標準語では無いわね。これ、何語?』
星間文明なのだから当然、惑星毎に言語が違っている事はあるが、多くの星では大抵はヤーバン文明圏で広く通用する標準言語が使われるのが通例なのだが、彼らの会話は地方言語だった。
と言う事は、直接支配惑星ではなく、彼らはフリード星みたいな属国か同盟星の人間なのか。
『名前の単語だけは分かるけど……あ、ベルバランだけ、標準語訛りがあるわね』
〈続く〉
約3,400文字。
少し、多くなってしまった。もう少し、閑話が続きます。
エトワール。いや『マール王国』に登場するお嬢様じゃないですよ。モデルは熊の村に住んでるピュアネス……じゃなくって、セーヌ河を走る星の人だけど、どっちかと言えば『美少女仮面』の方が近いかも(笑)。