後半、対キカイダー用ロボとして登場するハカイダーの専用歌ですね。登場する度に流れていた印象があります。と言うより、サブロー専用歌かも(笑)。
ハカイダーは人気キャラだったので、後番組『キカイダー01』にも再登場するんだけど、頭の中身がギル教授に入れ替わってるせいか魅力が……。
類似品が三人も出て来ちゃったのも駄目でしたね。そしてシャドウの手下にまで成り下がっちゃった。
フリード星人ではなさそうなのは直ぐに判った。
彼らは頑なにフリード語しか使わないし、父方の言語だからルビーナも少し学習して知っているからだ。
「グリーンモンスターに対する対処も始まった様子だ」
黄色い騎士が呟いた言葉は標準語だった。
見ると青い十字形の小型艦艇が数隻、ルビーナ達の頭上を飛び越えて行く。
「グレース。すくのけせといた」
エトワールが何か話しかけてくるが、それが理解不能な顔をしている姫に気が付いて言葉を切り替える。
「ほんやくきが、こわれたみたい、なのね」
灰色レオタードの女性が紡ぎ出したのは、たどたどしい標準語。
「処理は済んだのか?」
ベネバランの問いにエトワールは首を振ると、白魚の様な手を掲げて目を閉じると何やらぶつぶつと唱え出した。それは言語なのだろうが、標準語では無いので意味は判らない。
しかし、耳障りの良い不思議な響き、その姿にルビーナにいい知れぬ気持ちがこみ上げてくる。
『何だろう』
まるで声楽の歌手が奏でる旋律を耳にしたみたいだった。
エトワールはゆっくりと両手を広げ、テルミンを演奏するかの如き動きで空間を掻き回すと、一瞬、ルビーナの乗っているバンの気配が変わった。
清浄な空気に包まれたとでも言うのだろうか、はっきりと空間の質がまるで違う物に変化したと言うか。
「ふうん、あの娘がグレースなのね」
呆然としている小さな姫の耳に響いたのは、それまで聞いた事の無い第三者の声。
声の主はと見ると、赤いアイマスクの少女が立っていた。
「あたしはエトワール・プティット。エトワールの妹分よ!」
「プティット、お前!」
黒いベルバランの叱責を無視して、誇らしげに語るのはやはり灰色のレオタードに漆黒のマント姿の小さなエトワールと言った風情の少女である。
背は低く、年齢はルビーナと同じ位だろうか?
「妹分と言うわりには、髪の色が違うのね」
エトワールの子供版に指摘するルビーナ。
確かに衣装はそっくりだがエトワールの髪が金なのに対して、ルビーナと同じ栗色である。
「エトワール姉様の呪唱に圧倒されたのね」
それに答えず一方的に言葉を紡ぎ、ふふんと鼻を鳴らす姿は生意気そうだ。
ルビーナはまだ学校へと行った事は無いが、もし、これが学生だったらクラスメイトでも余り仲良くなれそうも無い人物に見えた。
「呪唱ですって?」
「そうよ。ま、貴女には理解出来ないだろうけど」
プティットの口調にかちんと来るが、そこは小さくてもお姫様。
ルーペみたいにもう本性を知られてしまっている相手ならいざ知らず、初対面の他者に後に交渉材料に使われるかも知れない自分の素の姿を晒したりはしない。
ここでむかっ腹が立ったからって、素直に感情を表して反発するのは悪手だと考えて、敢えて感情を抑え込む。
『これでいいんでしょ、ルーペ。しっかり学習してるわよ』
頭の中で小言を述べるデフォルメ侍女長に、ルビーナはべーっと舌を出した。
ベルバランが「そこまでにしとけ、プティット」と口を出す。
「ま、安全祈願のお守りみたいな物だと思ってくれ」
「アズテクやキバラのそれに準じる?」
苦笑する騎士。
「うちの周りにもシャーマンが居るのよ。一種の呪術でしょう」
「参ったな、ベガ王子の養女だけはあるか」
観念した様にベルバランが「ああ、少なくともウードウ魔術団の探査魔術は妨害出来る物と思う。奴らの視界内に入らない限りはな」と告げる。
少なくともベルバランの組織が、古代技術を持っているのはこれで確信出来た。
「では……」
「おっと、今は話している時間は無い。ここに施した術の有効時間は短いのだよ」
畳み掛ける様に言って、乱暴にドアを閉める。
窓を開き、ルビーナは更に会話を続けようと試みるが、ペルバランが「窓は開けるな。出来るだけ奥に入っていなさい」と注意される。
そして車は自動で動き出していた。
ベルバランと数名が見守る中、何の変哲も無い商用車はあっと言う間に視界から消える。
「護衛は必要ではなくって」
「駄目だ。我々が側に居る方が連中に目を付けられる」
エトワールの問いに否定を入れる黄色い騎士。
自分達が発している特殊な波動は、呪術的な探知手段を持っている相手からは逆探知可能だ。まして、今はウードウ魔術団の他にも敵が居るのだから、尚更であった。
「大変な連中の恨みを買っているのね」
「ベガ王子の覇道がなす歪みだよ。裏にはブーチン殿下もおられるに違いない」
「まぁ、いいわ。今は道化を演じ続けましょう」
エトワールの言葉に頷く騎士。
自分達が決して主役になれぬ、道化なのを胸に刻んで。
◆ ◆ ◆
「ガンダル殿」
マザーバーンの一角にある独房で、ゆっくりと閉じていた瞳を開いて自分を呼ぶ声に反応する。
照明は低めに落とされているが、かろうじてレディ・ガンダルは呼びかけている相手を視認した。
「ガンダル殿」
「ふん。殿か、貴様は自分を私と同格とでも思ってるのか?」
相手は慌てて「ガンダル様」と言い直した。
「レディ・ガンダルだ。もう一人の奴と一緒にするな」
「ではレディ・ガンダル。脱走のお手引きを務めさせて貰います」
「警備はザルではない筈だが?」
「ご安心を、潜在的な同志は沢山居るのですよ」
しかし、警備を誤魔化せるのも短時間でしか無いと奴は語り、その間に逃走すべきだと伝えて来る。同時に電子ロックが解除され、表示が〝閉鎖〟から〝解錠〟に変化する。
「見た事のある顔だな。確か……」
「それはどうでも良いのです。急ぎましょう」
グズグズしている暇は無いのは確かだった。
古典的な牢を出て、奴の先導に従って廊下を走り、曲がりくねった通路の突き当たりにあったエレベーターホールに到着する。
「この四番昇降機以外は使わないで下さい」
「何故だ」
「監視カメラが生きております。
そのまま格納庫から、ルビー星の公用艇が生きていますので、それでお逃げ下さい」
それはガンダルの棺を運んで来た小艇だ。
アイドリング状態のままだから、手間を掛けずに再始動出来る筈だと男は付け足す。
「行くのは構わぬが、行き先はあるのか?」
ここで脱出をしたからと言って、行き先には宛てが用意されているのか?
レディ・ガンダルの質問に奴はにっと笑いながら、階ボタンを押す。
「ウードウ魔術団次第ですな」
「随分と投げやりだな」
扉が閉まり、軽い振動と共にエレペーターは上昇を開始した。
「元々、ウードウ魔術団の手で甦ったのだから、脱走後はそちらを頼るのが筋でしょう。
我々はレディ・ガンダルが捕虜となっていると困るから助け出したまでの事」
そして「別の手を使って機密保持をすべきでしたかな」とうそぶく。
それでガンダルは『口封じに殺される方が望みか、か。ブーチン王子らしい』と悟ると同時に、エレベーターは目的階へと到着した様だ。
「それではご武運を」
「お前はここまでなのか」
「これ以上、ご一緒は出来かねます。さ、あの艇ですぞ」
レディ・ガンダルが脱走したのが中央作戦室に届いたのは、それから二分後の出来事だった。
〈続く〉
約2,800文字。
コミケの為に締め切りを破ってしまった。
しかし、四日連続はきついよ。C96。
いやー、列で待機中に熱中症か何かで倒れた奴を連続で見てしまった。例年なら一人か二人程度なのに、今回は五回位見たし、救急車もすっ飛んできたなぁ。