ある意味、『エヴァ』で一番有名なBGMかな。作戦開始時に良く使われていましたが、どーん、どんどんどんとドラムから始まる旋律で、緊迫感が増して行く感じがイイですね。ケーブル断線で内臓電池残量が減少して行くって感じで。
今は超有名な『エヴァ』も、放映当時は『ナディア』残党が注目していただけのマイナーアニメでした。途中でこの二作品(プラス『オネアミスの翼』)の繋がりに気付いてた人だけが、「おお、凄ぇっ!」と盛り上がってましたね。
途中で世間で騒がれ始めると、逆に醒めた目で見ている奴らが多かったのも『ナディア』残党だったかな。最終回の「おめでとう」に爆笑してましたからね。
◆ ◆ ◆
ルビーナが発見されたとの報が入ったのがついさっきだった。
ほぼ同時期にレディ・ガンダルの脱走が発覚し、マザーバーンが大騒ぎしている最中だった。
「地上へ降下しろ」
「フロマイデ基地へですか?」
俺は頷くと、操艦担当は続いて尋ねて来る。
すなわち「ガンダル閣下は如何します」である。
「レディ・ガンダルだ。奴はもう敵になった」
「はっ」
俺は閣下と呼ぶ部下の言葉を訂正させる。どんな方法を使ったのかは知らないが、レディ・ガンダルは明確な敵であったからだ。
それよりも行方不明のルビーナが発見されたとの情報の方が、俺にとって重要だった。
一刻も早く、会う必要があると俺は焦っていた。
「ミニフォー隊は一個中隊を出しましたが、レディ・ガンダルを補足出来るかどうかは……」
「ご苦労。期待出来ないか」
済まなそうに報告するのはブラッキー中将だ。
レディ・ガンダル逃走時に、艦内で内部破壊工作が行われて居たのが発覚したからである。
監視カメラや警報装置の回線が切られたり偽装されたり、レディ・ガンダルの脱出艇が離れたのに気が付いたが、発進直後のレーダーであったと言う始末である。
追撃隊の発進も直ぐには整えられず、また、内部工作員の存在によってパイロットに裏切り者が混ざっている可能性も否定出来ず、隊長機を除いて無人運用で出撃させねばならなかった。
当然だが、非戦闘時のAIでの判断は有人機に対して落ちるから、レディ・ガンダル捕縛の確立はかなり低くなると思わねばならない。
「元々、ミニフォーはAIコントロールの無人機だから、パイロットは少ないからな」
「は」
普通は四機で編制される小隊が二個、八機から成る中隊に僅か一機だけ、つまり中隊長機のみが有人機になる。
戦闘での人的被害を減らすと共に、ベガ星の懐事情を考慮した人件費削減もあるが、こうした戦闘任務以外は支障のあるシステムだと、今回痛感している。
「レディ・ガンダルの捕縛は余り気にしていない。
それよりも急いでルビーナと会いたいから、地上への降下を急いでくれ」
未だルビー星の方は混乱している。
あのグリーンモンスターの脅威が去っていないから、今、衛星軌道上なんて場所にマザーバーンが位置しているのも、ブラッキーが地上へ艦を移動させるのを渋っているのはその為なのだ。
「中将、フロマイデ基地からです」
「スクリーンに繋げ」
報告が入り、メインスクリーンに向こうの士官がぱぱっと映る。
俺がはっとして息を呑んだのは、士官らしい女性の隣にルビーナの姿があったからだ。
「中将。ルビーナ様がベガ殿下と直接、お話したいと」
「おおっ、姫様」
「ブラッキー中将。お義父様は?」
ルビーナの声が聞こえた途端、ぶしつけだが思わず俺は身を乗り出してしまった。
いや、領主なんだから、本来は後ろの玉座にどっしり構えて顔色一つ変えずに「おおっ、ルビーナ」とか大物らしい態度で泰然自若としていなきゃ駄目なんだけどな。
だけど、俺だってまだ二十歳前の若僧だ。父上みたいに大物っぽい態度は取れなかったんだ。
「ルビーナ、無事だったのか」
「お義父。黒いベルバランとエトワールに助けられて……」
誰だ、そりゃ?
もしかしたら映像に映っていた騎士なのかも知れないと思ったが、それは後で尋ねようと質問を後回しにする事にしよう。
とにかく正面に駆け寄って無事を喜んだ後に、直ぐに迎えに行く旨を伝える。
「大袈裟すぎよ。お義父様」
「そうです殿下。ルビーナ様の方から来られるのが筋です」
ルーペが述べた通り、ルビーナだけを基地の円盤か何かに載せて、衛星軌道上で合流する方法の方が儀礼上では正当である。
地位の上ではルビーナは臣下。俺の方が格上なのだからね。
「しかし……」
「先程、発進させたミニフォー隊を見捨てるのですか」
畳み掛ける様に言う、ブラッキーの言に俺は黙り込む。
確かに母艦が移動したら、惑星間航行専門でワープ能力も無く、活動時間の限られる艦載機は帰還先が消えてしまう。
ミニフォーの稼働時間は推進剤の搭載量から、せいぜい数時間しかない。
「……分かった。だが、万が一の事がある。ルビーナの護衛は厳重にせよ」
「はっ、我がクインバーンを用意致します」
クインバーンは元は姉上の専用母艦。
今はブラッキーに下賜されている彼の旗艦だ。
本来ならばブラッキーはこのマザーバーンでは無く、クインバーンで指揮を執っている筈だったが警備の為、俺の艦で陣頭指揮を行っていたのだが、旗艦級を使ってここへ赴くのなら戦力として心強い。
少なくともミニフォーよりは、安全度は高いだろう。
「積もる話もある。なるべく早く、再会したいから急いでくれ」
「はい、義父上」
まだ繋がっている回線を通じて、俺はルビーナにそれを伝えると通信を切る。
まだ、地上の混乱は続いている。
問題は山積みでグリーンモンスターの排除。被害の混乱収拾も手が付いていない。
「政府関連の再編が必要だな」
「殿下、それに付いてですが……」
俺はブラッキーが耳打ちした情報に驚愕する。
口が渇いて思わず「水を」とルーペに告げて、ややあって差し出されたコップを乱暴に掴み、一気に飲み干してしまった。
「悪党公団が?」
「間違いありません」
何故だ。何故、ワルガスダーがここに現れる?
報告によると悪党公団ワルガスダーの揚陸艇がルビーシティに現れ、グリーンモンスターに対して攻撃を行ったとの報告だったのだ。
「何等かの化学弾頭を使ったらしいです」
「偽ラミアに対する攻撃と同種の物か?」
昔、ドン・ランダムが偽ラミアに撃ち込んだ攻撃を思い出す。
あの時同様、やはりグリーンモンスターもたちまち枯れ果てたらしい。
「僥倖と言うべきでしょうか。奴らの目的は不明ですが、植物の拡散は停まりました」
「嬉しい反面、我がベガ星連合軍としては悔しいな」
自分達の手で決着を付けられず、それが他者頼りだと言うのは悔しかった。
ルビー星の防衛網がガタガタだったせいもあり、ワルガスダーの艦艇がルビー星の大気圏内へと進入し、そのまま脱出しているのに呆れるしかなかった。
「クインバーンが発進する模様です」
「レーダーに反応。ワープアウト反応多数!」
ほぼ同時に報告が入る。
一つはルビーナの出立準備が整った事の知らせと、もう一つは多数のワープアウト反応だった。
「多数? 報告は正確にせよ」
「ジャミングが掛かっております。正確な数は不明です中将」
電子妨害を実施していると言う事は、少なくともこれは普通の船団では無い。
俺は「敵艦隊だ」と呟き、「正確じゃ無くても構わない。推定値は?」と尋ねると、オウム返しに「推定、約六十隻。プラスマイナス二十!」と直ちに返って来る。
「凄い数だ。ワルガスダーかな」
「いえ、反応からすると大型艦が混じっています。悪党公団は小型艦ばかりですから」
確かにワルガスダーの艦艇はあの青い十字形揚陸艇にしても、黄色い戦闘艇にしても小艦艇ばかりだった。
とすると、未知の相手でも無い限り……。
「ガイラー星軍か」
第八外征師団が戦っている主敵の名が、自然と口に出てしまう。
〈続く〉
約2,800文字。
弱り目に祟り目だね。ルビー星。
さて、ベガ星連合軍としてはガイラー星軍と初対決です(まぁ、第96話では戦ってるけど、この時点では初戦になります)。