マージョリーの空飛ぶ城に使われたBGMですね。続編にも出て来たけど、あの「ビューティキャッスル」結構好きでした。
内部が結構面倒だったけど(笑)。
『マール王国』シリーズは面白かった。日本一ソフトウェアはこの先どんどんシステムが進化して行くのだけど、正直、『ディスガイア』辺りでついて行けなくなって、ゲームリタイヤしてしまいました。
いや、年取るとクリアするのに単純な方が良いのよ(笑)。
「味方艦の集結状況は?」
「第一、第二外周艦隊が集結中です」
ルビー星系の宇宙艦艇は幾つかに分かれている。
本国に張り付いてる艦艇は実は僅かな数で、主力は星系内に遊弋している外周艦隊というのは、宇宙と言う戦場の為である。
宇宙空間には戦線と言う概念が成立しないのだ。
かつて北アフリカ戦線で戦ったロンメル将軍曰く、アフリカの様な砂漠戦では欧州で常識な長い戦線を引き、敵味方が互いに対峙する様な戦闘形式が通用しないのである。
広大な砂漠地帯には拠点となるべき町や港湾の他には、重要地点は存在しないからだ。
田舎町すらない単なる平地や森林を占拠しても、口に入る食糧(それがただの野草だとしても)や最低限の水を得られる可能性のある欧州と違い、無人の砂漠を占拠したって、食糧や水も得られないから何の価値も無い。
だから、砂漠戦は海戦に例えられるのだ。
広大な土地を占領するよりも、そこにある敵戦力の撃滅が優先される。
基地がある以外の土地が、艦隊戦では無視されるのと同じである。まぁ、制海権と言う観念の無い時代の思想ではあるけどね。
これは宇宙戦でも同じである。
全ての宇宙空間を膨大な味方艦で埋めるなんて不可能だ。
あ、どっかの宇宙海賊が戦っている植物生命体の惑星王朝やら、半径150万光年の包囲網を敷けるサムライ国家なんかはやれるのかな?
でも、現在のヤーバン軍では無理だ。
戦場は点と点。重要な惑星とか拠点以外は無価値だから、防衛用の艦隊は拠点のいずれかに駆け付ける中間位置に遊弋しているのが多い。
やって来る敵は別に星系外から列を成して攻めて来るのでは無く、ワープで星系の何処にでも瞬間転移して来るから、艦隊を拠点に固定配備するのは自殺行為だからね。
攻められた拠点は対空だの、対艦だのの防衛装備でその場を凌いで、外から来る救援艦隊を待つと言うのが基本戦法だ。
「集結には時間が掛かるな」
「数はこちらが勝るのですが……」
ブラッキーが言い淀むのには訳がある。
数が勝っていても、それが敵の前に立ちはだからねば意味が無い。
素人はワープで駆け付けろと言う意見を出すが、星系内の短距離ワープは誤差が大きく危険度が高いので、リスク回避の為に通常航行しか出来ないのだ。
「本国艦隊だけでやるしかないな」
「勝てるとも思えませんが」
今、手元に在るのはマザーバーンとクインバーンと言う母艦二隻。
そしてルビー星各地の基地にある護衛艦クラスの小型艦が十数隻と言った所である。
「勝たなくても良い。時間さえ稼げれば、終結した外周艦隊が後ろから突いてくれるだろう」
「半分以下の数的劣勢ですぞ」
まぁ、敵が六十としたらこっちは三分の一って所だ。
「だが、これ以上、ルビー星に打撃を受ける訳には行かないよ」
俺は心配顔の武官に笑いかけ「不退転の決意って奴を見せるしか無いな」、と声を掛ける。
只でさえ、ウードウ魔術団のせいで滅茶苦茶になっているのだから、これ以上の打撃は避けたいのが本音だった。
「もしガイラーが殲滅戦でも仕掛けてきたら大変だ」
「殲滅戦は、余りにも……」
「確かにね。でも、あらゆる可能性は考えておくべきだよ。ブラッキー」
星自体を壊滅させる殲滅戦は文明の発達した星間国家なら、殆どの場合考慮に入れる必要は無い。前にも言ったかと思うけど、国家が手に入れたいのはそこから採れる資源とか、富を生み出すインフラだからだ。
焦土と化した不毛の土地を奪っても、統治が大変なだけで旨味が無いから、惑星自体を殲滅させる事態にまで発展させるのは、余程の事が無い限りはやらない。
殲滅戦をやったなら、相手も同じく殲滅戦を仕掛けて来るかもしれないから、相互破壊の見地から互いに控えていると言う事情もある。
「敵が、惑星の都市に核攻撃の一発でも落とす可能性はある」
「ガイラーがそれをするでしょうか?」
「奴らは優勢じゃ無いからね」
今、対ガイラー戦線は一進一退の膠着状態だった。
劣勢でも無いが、さりとて優勢であるとは言えず、長引く戦争に下手するとガイラーでは厭戦気分が蔓延しているらしいとの情報も入っている。
だから、手っ取り早く戦果を国民に示す為に、派手な攻撃をする可能性もあった。
WW2の欧州で連合軍の爆撃で灰燼にさせられた〝ドレスデン爆撃〟と言う先例を、前世の記憶がある俺は知っている。
ドレスデンは戦略都市では無かった。単に戦果を示す為の生け贄として選ばれ、結果、一晩で述べ千機にも達する戦略爆撃機の爆撃に曝され、一夜で壊滅したのだった。
ヒトラーの鼻を明かす為、ゲーリングの「我が国土上空には敵機一機たりとも侵入も許さない」との大言壮語を覆す為との説もあるが、多いに士気が上がったのは、やはり連合国の国民だった。
それと同じ事がされる可能性があった。
もしかして〝都市の一つ位じゃ、大した報復はあるまい〟と考える輩がガイラーに居る可能性もあるし、現場の一兵士が突発的に核ミサイルを撃ち込む事態だってあるかも知れない。
だって核攻撃はボタンさえ押しゃ、極端な話、子供にだって出来るんだからな。
「だから、物理的に敵を絶対防衛網まで近づけるな」
「はっ、しかしクインバーンまで動員するとなるとルビーナ様が」
ああ、そう言えば、ルビーナはクインバーンに座乗中なんだな。今更、降ろす訳にも行かないがさりとて地上はウードウ魔術団の暗躍もあって危ないな。
「ブラッキーは済まないが、クインバーンに移って指揮をとってくれないか」
「ははっ、しかし殿下は?」
「マザーバーンは私の旗艦だぞ。このまま指揮を執る」
これが初実戦になるのだが、これでも一応、ヤーバン王族の一員として軍の指揮は習っている。
ブラッキーは怪訝そうな顔をしたが、それも一瞬で「仰せのままに」と一礼した。
うーん、俺の指揮能力を疑っているな、あれは……。
まぁ、病弱王子だった時代を知ってるのなら、無理も無い反応だと思うよ。
「姫様は如何致します?」
「そうだな……」
暫く思惑にふける。
死ぬかも知れない宇宙会戦に、五歳の幼子を付き合わせるのは危ないが、さりとて地上に帰すのもリスクが大きすぎる。
ここは戦力が減るのを覚悟して、艦隊から小型艦を割いてルビーナの警護に当たらせよう。
「招集した艦で一番価値の低いのは?」
「〝ラグパルナ〟ですな。老朽艦ですから」
「では、そいつにルビーナを移乗させ、この宙域に残置せよ」
実際、二十そこそこの現有戦力から小型艦だって一隻減ると戦力的にかなり痛いんだけど、背に腹は代えられない。
ブラッキーを乗せたミニフォーがクインバーンに到着すると同時に、同艦から入れ替わる形で内火艇が〝ラグパルナ〟に向けて発進したのを確認すると、俺は進撃命令を出した。
さぁ、いよいよ実戦だ。
〈続く〉
約2,700文字。
ラグパルナは拙作、エロエロンナ物語港湾都市編の『戦時標準船ラグパルナの生涯』から取った名で洒落です。