透明感と伸びのあるメロディですね。宇宙戦艦BLUEが水面から浮上して、カモメらしき海鳥を伴って飛び立って行くOPに合っていました。
原作の『BLUE DROP』は数千年オーダーのSFオムニバスなんですが、このアニメ版は正史として原作の一部に組み込まれてます。女性しか産まれなくなった種族が種の回復を企んで、地球を占領する直前の話。
思念凝結兵器による生体爆弾(美少女姿の爆弾)とか、エグい設定だなと感心しました。友好的に空から降ってきて、戸惑う地球人の前でにこりと笑った後にどかーん!
ハイレグ宇宙人(アルメ)達のシバリエル役の麻上洋子さんがハルルみたいで好きでしたが、私的にはツバエルの一生懸命さには負けるんだよなぁ(笑)。CVの後藤邑子さんが元気な頃だったよねぇ。
マザーバーン以下、総計19隻の寄せ集め艦隊は第一宇宙戦速で前進する。
第一は星系内で出せる安全限界、ギリギリのスピードである。
無論、やろうと思えば理論上は亜光速まで出るんだけど、狭い恒星系内ではあっと言う間に星系外までぶっ飛んでしまうし、細かい軌道も調整出来ずにデブリ(外宇宙と星系内では、圧倒的に遭遇密度が違う)なんかに、避ける余地も無く突っ込む危険性がある。
下手すると修正が効かずに、惑星や恒星に一直線だからね。
対Gの問題もある。徐々に加速するならともかく、突然、亜光速まで高加速したら、中の人間はたこせんべい(江ノ島名物)みたいに潰されてしまうよ。普通のGキャンセラーの性能で慣性を制御出来るのはせいぜい数Gなんだよね。
無論、惜しまず金を掛ければもっと高性能にも出来るけどさ、世の中には経済って物がある。
歩いて5分のお使いに、神谷声の御曹司みたいに自家用VTOLやF1マシンでお出かけする奴が居たら変人だし、自分用のアイスクリームを一日一個食べて保管する為だけに、毎日、電気を馬鹿食いする巨大冷凍倉庫を個人が借り切っている様なもんだ。
そしてウラシマ効果も関わってくるから、障害の少ない外宇宙でも亜光速飛行はあんまり利用しないのが基本だ。
星船に護衛されてる惑星日本の年下のお姉ちゃんが、下手するとぽこぽこ出来上がっちゃうからね。恒星間航行にはワープって手段があるんだから、亜光速飛行は機能こそ残ってるけど、緊急時以外使う他は廃れて久しい。
「ガイラー軍目視。最大望遠です!」
「成る程、ゲルモスだ」
光学系で視認可能になった敵の姿を捉えると、相手は確かにガイラー星軍であった。
一応、味方からの報告はあったものの、実際に自分の目で確認出来ると安心出来る。
「光学迷彩の可能性は……」
長い緑ストレートへアを揺らしながら、不安げに言うハツメ。
光学迷彩って、ホロビジョンで視覚を誤魔化す奴だな?
「〝偽グレンダイザー〟じゃあるまいし」
その呟きに、隣に立つシャーマンは「贋物のグレンダイザー?」と不思議な顔をしながら問い返す。古来からヒーローの評判を落とす為の贋物出現は多いけど、『ああ、この世界にはまだ無かった機体だったな』と思い当たって、「いや、聞き流してくれ」と返答する。
「何故、光学迷彩を疑うんだい」
「……。不敬な事かも知れませんが、殿下のご兄弟の存在です」
「愚弟か」
頷くハツメを見て、俺は理由を思い当たる。
「ルビー星のテロ事件に使われたターゲット・ドローンはヤーバン軍の物でした。そしてまるで混乱のタイミングを合わせた様に、今回の敵艦隊の侵入。偶然でしょうか?」
彼女にはブーチン配下の軍が、ガイラー軍に偽装しているのではないかとの危惧があるのだろうが、正直、俺もその可能性を考えなかった訳では無い。
ウードウ魔術団と組んだ身内が存在するのは、否定したいが事実なんだからね。
「幾ら奴だって、流石に艦隊までは動員しないだろうよ」
「でも……」
「自分の勘が、あれは本物のガイラー軍だと告げているのさ」
俺は姉に教えられた通り、その勘を信じる事にしたのを説明し、「だが、間接的にブーチンの奴が情報漏洩とかで、手を回している事は有り得る」と告げる。
自分が直接手を下さなくとも、搦め手で俺に損害を与える陰謀は愚弟の得意なやり方である。
「今はそれより、目の前の敵をどう捌くかに集中しよう」
「はい」
「良い子だ。通信兵、ブラッキーを呼んでくれ」
ややあって、前面の大型パネルにひげ面の大男が映し出される。
クインバーンの方に搭乗しているブラッキー中将だ。
「殿下」
「挨拶は良い。敵の構成、どう見る?」
「ゲルモス級の要塞母艦が一隻。それ以外は中型艦ですな」
二十世紀的な昔の水上艦的分類だと戦艦に相当する大型艦は旗艦らしき一隻で、残りは巡洋艦以下の中小艦艇だと分析する。
どっかの銀河英雄伝の世界の艦隊構成と違い、何百隻もの戦艦や空母クラスの大型艦を揃えて数千隻単位の大艦隊同士がぶつかる様な事が無いのが、俺の知る限り、この世界の常識だ。
ミケーネ帝国みたいに全ての総国力を戦争に注ぎ込んだら、もしかすればそのスケールの宇宙艦隊や、うなる程の巨大機動兵器が揃えられるのかも知れないけどね。
強大な軍事国家に見えるヤーバンだけど、ミケーネ並に全てを戦争に国家予算を割いている訳じゃ無い。
だから艦艇の総数は国家規模として考えたら少ないし、建造が困難な大型艦は艦隊中に数隻が普通である。
「艦載機による航空攻撃が有効そうだな」
「その一手しかありますまい」
ブラッキーが同意するが、それには理由があった。
同じ大型艦ではあるが、こちらの母艦はどちらかと言えば空母なのに対し、ガイラー軍のゲルモスは戦艦タイプの要塞母艦である。
装甲と火力は向こうの方が高く、艦載機数はこっちの方が高い。
敵と撃ち合うと不利なのは明かなので、こちらとしては圧倒的に有利な艦載機によって戦力差を縮める必要があったのだ。
「第一次攻撃隊はクインバーンに任せる」
「マザーバーンでは無く?」
「忘れたのかブラッキー。こっちは先程、ガンダル追撃に出していた中隊を収納したばかりだ。
こいつを再整備の上、再出撃させるのに少々時間が掛かる」
ガイラー艦隊出現の報で、逃げたレディ・ガンダル追撃を打ち切らせたのだ。
お陰でレディ・ガンダルはまんまと行方を眩ませてしまったが、まぁこいつは仕方が無いだろう。たった中隊一個でも、欠けたまま出撃するのは戦力的に勿体ないとの判断だ。
「はっ、そうでした」
「出来るなら、ゲルモスは後回しでいい」
俺は中型艦以下の艦艇を率先して狙うのを指示する。
ゲルモスは重装甲の上に頑丈だから、ミニフォーのミサイルや小口径のベガトロン砲では効果が薄いから、それよりも損害を与え易い随伴艦を相手にすべきだと。
「では、健闘を祈る」
「はっ、王子」
ブラッキーは敬礼するから、俺も返礼をする。
第一次攻撃隊が出撃後、俺は慌ただしく整備作業中の整備班に指示を出した。
「え、本気ですか?」
「今なら、再搭載の手間は余り関係ないだろう」
ブリッジから格納庫に繋いだ通話で、俺は困惑気味の整備主任を説得する。
「確かにいずれにせよ、装備を改変せねばなりませんが……」
長距離探索用の装備は対艦攻撃仕様では無いから、対艦戦用にミサイルを搭載するとか装備を換装する必要がある。
「なら、頼む」
「但し、たった八機ですから効果は薄いですよ」
俺は「構わないさ。敵の足留めか、混乱を招きさえすれば御の字だよ」と告げると、受話器の向こうから嘆息を聞いた気がした。
〈続く〉
約2,600文字。
第一次攻撃隊発進。
『トラ・トラ・トラ』みたいですね。
さて、ベガの秘策(?)は上手く行くのかな。
たこせんべいは作る時の「きゅぅぅぅぅぅ」って音が、なんとなく残酷なんだけど、材料は冷凍タコなのでもう死んでるから、あれは悲鳴じゃ無いのだよね。