パンツァーブレードが斬り合いする戦闘曲ですね。『ガリアン』の戦いって飛び道具よりも斬り合いなので、殺陣がかっこよかった。対シールズ戦とかマーダル軍側を応援してましたね。圧倒的主人公メカに、遥かに劣る模造品で抵抗する姿が健気で(笑)。
『ガリアン』は何と言っても征服王マーダル。彼のドラマでした。一応、お子様のジョルディ王子も主人公ずらしてるんだけど、マーダルの前に小者同然。
でも、子供だからこそ、マーダルに対して何とか、母に対する思慕と正義で立ち向かえる構図が見えて、「ああ、高橋監督。これがドラマのストッパーになってるのか」と感心しました。
もし、世間ずれして物事が理解出来る青年期の王子だったら、どう考えてもジョジョはマーダルの同志になってしまいそうだもん。
囮のデコイに惑わされ、三方へ艦隊を分散させてしまっているガイラー軍は火力を正面に集中出来ず、正面以外の編隊にも散発的に主砲を撃つだけで火線は貧弱だ。
勿論、それでも被弾する機も出るのだけど、幸いに命中したのはデコイばかりで、実質的な損害は未だに皆無である。
「間もなく、敵主砲射程内に入ります」
「こちらは届かず、か」
残念だが、戦艦タイプを揃えている敵方の方が大口径砲を有しているので、こっちに対しては射程、威力共に優位である。
しかし、それも要塞艦ゲルモス一隻なので圧倒的不利かと言えばそうでもないし、この位置関係ならそうそう射撃は出来ないだろうと思った。
その時までは……。
「ゲルモス発砲っ!」
「誤射を恐れないのかよっ」
敵に艦首に埋め込まれている固定式の大型主砲が光芒を放った。
伸びるビームは戦闘空域を舐め、丁度、射線上に位置としていた空爆ロボを巻き込むと、そのまま我が艦隊にも襲いかかって来た。
狙いはそれ程正確では無く、数条の光条が後方へ流れて行く。
「味方被弾しました」
「第一次攻撃隊か。敵方の損害はどうなってる?」
空爆ロボも巻き込まれた筈だ。
「敵の通信を傍受。混乱している様子です」
「翻訳してこっちに流せ」
暫く時間が流れる。その間、第一次攻撃隊の被害が伝わる。
ミニフォー数機とギルギル二機が撃墜されたらしい。俺は敵の空爆ロボが大破しているのを確認すると、かろうじて撃墜を免れた円盤獣の残機をマザーバーンに帰還させる様に命令する。
交戦中に着艦は不可能だから、回収は後回しだけどね。
「ザザッ、ザッザー……ザ。な、何をする、ゲルドン」
「邪魔だ。ハミルタス、射線上に居るお前の不幸を呪うが良い」
「ザザザッ……やはり、貴様は……フシメの……」
「知らんな。そんな女の名は、さらばだ」
次の瞬間、ゲルモスの艦首から第二射が放たれた。
強力な主砲のビームは再び空間を裂き、大破しているガイラー軍の空爆ロボを貫くと、こちらの艦隊へと到達する。
「味方艦被弾。護衛艦ブリューナク大破。同、ウイルマ中破!」
「二隻だけか。ブリューナクに退艦命令。ウイルマは動けるなら後方へ退避せよ」
今度は無傷とは行かなかった様だ。
俺は損傷艦へ命令を下すと、味方に砲撃を受けた空爆ロボを見た。
バチバチと傷口からスパークを発していたが、無線から断末魔の悲鳴が上がると同時に爆散する。
『今の悲鳴はハミルタスだな』
俺は『グロイザーX』に登場する敵キャラを思い浮かべる。
地球へ飛来したガイラー星調査隊の隊長がキャプテンハミルタスで、部下のゲルドンに暗殺されてしまったのが全ての始まりであった。
ゲルドンは地球を侵略するべく、自ら帝王を名乗ってガイラー帝国を建国するのだが、まさか、その下克上シーンをこの目で直接見られるとは思わなかった。
『にしても、何故、フシメの名が出る?』
今の今まで、その名は記憶の彼方にあったが、フシメ、不死女とはフリード星に住むシャーマン族の長と同じ名であった。
もっとも、今、俺が率いているヨナメを長とするベガ星系シャーマン族とは敵対関係にあり、袂を分かち、既にフリード星から脱出をした我々にとって、気にしていない存在でもあった。
「で、殿下、今のは……」
「いや、ハツメ。名が同じだけで別人かも知れない」
同様にフシメの名前に反応したシャーマンの少女に返事を返す。その女とゲルドンとの関係は気になるものの、とにかく今は、艦隊戦の指揮を執らないとならない。
俺は第一次攻撃隊に突撃命令を下し、続いて左右に展開した第二次攻撃隊にも攻撃を開始させた。艦載機による襲撃で、敵の攻勢を一点集中させない為だ。
「こっちの射程内へは?」
「あと三分は掛かります」
再びゲルモスが発砲して来る。
幸い、巨砲搭載艦は一隻しか存在しないから、間断なく撃ちまくるって事態にはならず、間を置いて発射して来るので端から見れば、のんびり見えるのかも知れないが、撃たれてる当人は気が気じゃない。
戦艦の主砲と同じく、一発でも当たると、小型艦なら轟沈しかねないからだ。
事実、19隻あったこちらの艦隊は、既に14隻まで減っている。
「ミニフォー部隊、ゲルモスに取り付きました」
「良し。これでこっちへの圧力が減る筈だ」
空襲可能な領域まで接近すれば、回転速射砲以外にミニフォーはミサイルも使える。
対ビームコーティングしている相手でも実体弾には比較的弱いから、小口径のベガトロン砲を受けても平然と飛んでいたゲルモスとて、無事では済むまいと計算する。
ただ、エネルギーさえ尽きなければ、ほぼ無限に撃てるベガトロン砲と違い、ミサイルは積み込んでいた分が無くなれば打ち止めだ。
まぁ、接近すれば、減衰していたビームも多少は威力が上がるから、ゲルモスも〝カエルの面にションベン〟風にこちらの攻撃を受け流す事も出来まい。
「射程圏到達」
「ブラッキー、主砲をゲルモスに集中しろ」
俺は吠えた。
マザーバーンとクインバーン、二隻の母艦に装備されたベガトロン砲が火を噴くと、火線がぐんぐん伸びて行く。
射程圏とは有効射程の意味だ。無論、最大射程という観念から言えば届くのだが、撃っても弾かれては何の意味も無い無駄弾になるから、敵にダメージを与えられる距離からの発砲が基本だ。
ゲルモスの主砲に比較すれば母艦のベガトロン砲は中口径砲だが、その代わりに発射頻度が高いので、次々と命中して行くのが視認出来た。
敵と違って射線内には味方有人機は居ないし、万が一、巻き込まれても人的被害が皆無なのはありがたい。
「重装甲だな」
「要塞艦ですからな」
有効打を与えるのが少なく、装甲で弾かれている。
うーん、この打たれ強さを見ているとブーチンが苦戦しているのも分かる気がするぞ。
が、ゲルモス以外の艦はかなりのダメージを与えて、敵艦の数を減らす事には成功している。小型艦もようやく射程内に入ったらしく、敵味方共に砲火を開いている。
暫く、この距離を保ちつつ、撃ち合いが続く。
艦載機の攻撃も混じっているので、劣勢だが圧倒的に不利って状況では無い。
ぐわっと、船体が揺れる。
「被弾したのか?」
「第三格納庫に火災発生。第二装甲板まで貫通されました!」
緊急事態を知らせる警報サイレンが艦内に鳴り響く。
「殿下っ!」
「大丈夫だ。この程度で沈むもんか」
青ざめるハツメを叱咤激励するが、半分は強がりを言って自分をも落ち着かせている空元気みたいな物である。だって艦載機を全機出していたのが幸いだと、内心焦っていたからだ。
もし、格納中だったら、下手するとミッドウェー海戦の再来になっていたかも知れないのだ。
「第一、第二外周艦隊の位置は?」
「敵後方から進撃中です」
こちらは敵を足留めして、集結中の外周艦隊にぶつけるのが目的だから、損害が出ても耐えるしか無い。
数値が流れる手元のモニターから顔を上げ、ちらりとスクリーン上の戦況を目視する。
ガイラー艦は大気圏内での機動性を高める為か、どっかの公国軍の攻撃空母かアストロゲーターの戦闘艦みたいな航空機型だが、そいつが爆沈して行くのを確認する。
こちらが一方的にやられている訳では無いのだ。
「敵、味方の残存艦は幾つだ」
「味方は8隻。敵は32隻です」
ハツメが読み上げる。
「頃合いだな。撤退信号を出して後退しろ」
全滅するまでここに留まる訳にも行かない。
俺は味方の外周艦隊が、敵艦隊の後を塞いだのを確認すると撤退信号を打ち上げた。
〈続く〉
約3,000文字。これでも戦闘はまだ途中で続きます。
空爆ロボは有人機です。ロボット形態に変形する前に撃ち落とされてしまいましたが、奴が弱い訳じゃ無くて、ゲルモスが強いんです。
つーか、ゲルモス。下手すると原作版より強いよ。宇宙要塞艦って名から伊勢級の戦闘空母に見立てたからね。その代わり、母艦機能は低下してます。
さて、ゲルドン君とフシメ登場。意外な登場人物ですね。
黒幕はもしかして……。