『うる星』歴代曲中、唯一の男性ボーカル。あたるが必死こいて自転車で逃げてたシーンを思い出します。最後に救急車の音が…(笑)。
元々、『コズミック・サイクラー』って曲で、番組内で挿入歌に使われて好評だった為、歌詞をアレンジしてEDに使われた物らしいです。聞き比べてみると歌詞がかなり違い、『うる星』用にアレンジされてるのが分かります。
この当時、押井監督演出の『うる星』は絶頂期だった気がしますね。
◆ ◆ ◆
どうやら、後退が開始された様子だった。
今年から単なる侍女から、侍女を兼ねた補佐官になったペガ付きの秘書になったばかりのハツメであったが、宇宙戦闘に付いてはまだまだ勉強中であった。
フリード星で基本的な教育を叩き込まれてはいたし、ここ数年で経験を重ねて大幅な成長をしていたが、やはり本物を聞くと見るとでは大違いであって、まだまだ自分の学習が足りないと痛感する。
「よしっ、下がりながらを砲撃を絶やすな!」
隣に立つ主、ベガ・ヤーバン第二殿下の透き通った声色が響く。
鈴を転がす様な美しいソプラノだ。ドレスを身に纏ってティアラを載せた素の姿は、何処から見ても美しい女性にしか見えないのだが、〝王子〟だから、当然、性別は男性だ。
「外周艦隊、砲撃開始っ!」
「勝った」
「勝ちましたな」
殿下と隣の母艦に座乗するブラッキー中将が口を揃えた。
だが、画面中の中将は髭面の口を歪めると「戦略的には……」と付け加えた。
別の大型モニターには三次元投影で敵艦隊と味方艦隊の位置関係が表示されていて、ガイラー星艦隊の後を突く形で、第一・第二外周艦隊の大軍が食い付きつつある。
「戦略的?」
「ああ、この戦いはベガ星連合軍の勝利だよ。
ガイラー軍はルビー星を電撃戦で攻撃する予定が、奴らは我々、本国艦隊の遅滞戦術で防がれてしまった。
この時点で奴らの目論見は失敗だ」
殿下が長い睫毛をしばたたかせながら、しかし、顔は真っ直ぐ正面を見詰めながら説明してくれる。暫しの沈黙、連続発射してるペガトロン砲の轟音が沈黙の中、耳に付く。
「が、戦術的……局地戦で見ると今、本国艦隊は僅か8隻しかいない。このままでは負ける」
「護衛艦〝エルヴァース〟轟沈!」
「訂正、たった今から7隻だ」
味方艦の轟沈に残念そうな声で呟くと、殿下は「ガイラー軍は敗北する前に、最後のあがきとして前面の本国艦隊の全滅を企てている筈だ。が、これに掛けられる時間は敵艦隊が外周艦隊に完全包囲される前、時間にして数分だけだろう」と続ける。
「今さえ耐え切れば、勝利ですね」
「ああ、お、やはり突撃してきたか」
要塞艦ゲルモスを中心に敵艦隊が突撃に移った。
一撃離脱戦法なのか、全ての敵艦(損傷している館は除く)がフルスピードで突進して来たが、途端に連続して爆発が起こり、航空機型の敵艦が翼を吹き飛ばされ、艦体に大穴が空いて行き足が止まる。
「敵艦、進撃停止」
「機雷原が効いたか。役に立ったなぁ」
どう言う事なのかは知らないが、ガイラー軍はこれで進撃を中止して、後方から迫り来る外周艦隊から防戦しつつ、ゲルモスを先頭にワープで戦場から撤退を開始した。
無論、全てが離脱出来た訳では無く、途中で爆沈された艦や、機関を損傷した敵艦は降伏して鹵獲された物もある。
殿下曰く「薄氷の踏んだ上での勝利だな」だそうで、下手すると本国艦隊は全滅していたらしい。
あの爆発は、あらかじめ後退戦に備えてミニフォー隊にステルス性の機雷を装備していたとの事で、予定進路上に偽装して散布していた結果であった。
急遽、用意したので8機分しか用意出来なかったそうだが、残骸に紛れて敵を待ち受けて、味方反応の無い対象が接近した時に内蔵された多連装短距離ミサイルを発射する〝対空地雷〟(と殿下から説明されたけど、彼女は良く分からなかった)みたいな浮遊型ランチャーだそうで、実戦はこれが初めての新兵器だったらしい。
「まぁ、時間が来ると自爆するけどね」
「へ、永続した方か経済的なのでは?」
「IFF(敵味方識別装置)を積んでないと無差別発砲するから、危なすぎるだろ。
ゴミ拾いに来たサルベージ屋が遭難続出とか、あまり耳にしたくないニュースだよ」
確かに、どこかへ流れていって民間航路にでも紛れたら危なそうだ。
説明途中で、外周艦隊の方から連絡が入る。
「殿下。外周艦隊司令、ブッシー少将であります」
「ご苦労」
「おうっ、貴様か」
禿頭で大柄な司令官のブッシー少将は、余り中央では見掛けない顔で、ハツメも見掛けたのは数回に過ぎない。
最後に見掛けたのは外周艦隊に着任する時に、水晶宮に出向いた時だろうか。
ブラッキー中将と同じ様な体形ながら、顔立ちは気弱で雰囲気も武人と言うより文官である。多分、書類仕事なんかは得意そうだ。
「鹵獲後の敵艦をどう致しましょう」
「こっちはボロボロだから、臨検は君らに任せる」
確かに本国艦隊は半分以下に戦力が落ち、本来だったら壊滅判定である。
殿下は「捕虜は虐殺するなよ。貴重な情報源だし、捕虜交換にも使える」と付け加え、「ゲルモスは取り逃がしたが、敵将……ゲルドンの情報が欲しいからね」と述べた。
やはり、味方殺しの真相を知りたいのだろうか。
「殿下。フシメの事も……」
ハツメは自分が気になっていた事を、おずおずと意見すると、殿下は顔を少ししかめ、「ああ、忘れちゃいない」と答えた。
「私も気になっていた所だ。もし、そのフシメとやらがフリード星の不死女と同一人物だったら……」
「はい」
フリード星貴族のフシメ(不死女)・シャマン。
シャーマン族の長であり、絶対者。今でこそヨナメ率いるベガ星系のシャーマン諸部族は離反しているが、まだまだその影響力は大きな物がある。
フリード星の一件以来、その動向は監視していた筈で、今まで沈黙を守っていたのだが。
「五年の歳月を待って、何か企みを発動させたか?」
「フシメは危険な女だと聞きます」
明確に言えないのは、上級シャーマンであるハツメも直接フシメと面会した事がないからである。ヨナメ以下、各部族の長クラスさえも良くて数回会見した程度だろう。
普段は自分の居城(数カ所あるらしい)に親衛隊と共に暮らしていると言われ、それたけヴェールに包まれて、実態が分からない存在なのである。
「フリード星の再調査が必要となりそうだな」
「殿下、緊急事態です」
そこへ突然、横合いから通信兵が会話に入って来た。
彼は敬礼すると「〝ラグパルナ〟が襲撃されたそうです」と通信文を殿下に手渡した。
殿下は「ご苦労」と言いつつ、優雅な仕草で素早く文面を読む。
「殿下?」
「〝ラグパルナ〟がウードウ魔術団に襲われた」
しかし、内容に比較して冷静な声だ。
「ええっ!」
「が、心配は要らない。ルビーナもルーペも無事だとの話だ」
マザーバーンは中破状態だし、他の艦も大なり小なり傷付いてる中、どうやって現場まで急行しようと計算し始めた矢先、殿下はあっさりとそう言ってのける。
「ど、どうやって切り抜けたのですか?」
「判らん。とにかく、外周艦隊から高速艦を借りよう」
先方のタキオン通信機の調子が悪く、通信文は最低限の情報に近い代物だったらしい。
そして慌ただしく殿下は、ルビー星へと赴くべく次々と命令を下し始めた。
〈続く〉
約2,700文字。
ブッシー将軍登場。原作キャラだけど、たった一話だけのゲストキャラだから知らない人は多そう。ブラッキー隊長より地位が下の将軍と言う謎キャラだし(笑)。
対空地雷は『エリ○88』に登場する謎兵器。それのステルス機雷版です。
どっかの軍事記事で、これの海底版を見た事もあったり。海底に設置されて魚雷を敵潜水艦に発射する奴。「設置後のメンテをどうやってするのだろう?」と首を捻った思い出があります。