戦隊系ですね。テンポの良い曲ですが一番印象に残っているのは、OP映像で登場する戦隊母艦のゴーグルシーザーでした。OPには発進プロセスは省かれてましたけど、後楽園球場から発進するギミックは衝撃的です。いいのかい(笑)。
最近の戦隊は母艦がないので、懐かしいですね。
放映当時「総統タブ○」ごっこって奴が、近所の子供の間で流行りましたね。
いや、敵の一つ目の首領が壁の後ろで蠢いてるんだけど、手をパーに広げて薄い壁を激しく撫で回してるんですよ。で、両手を広げて、総統タ○ーの真似をして手を空中でぐるぐる回す奴とか一杯出現しました。ううむ、ローカルな話題だなぁ(笑)。
◆ ◆ ◆
結局、ルビーナの戴冠式は散々な結果に終わってしまった。
特にルビー星の首都、ルビーシティは損害が大きい。
宮殿たる紅玉宮が崩壊。政庁ビルも破壊され、二週間に渡って行政がストップする壊滅的なダメージだ。
ズリルや軍部の超人的な活躍で、何とか無政府状態の混乱をここまで鎮めたのだけど、お陰でズリル他の官僚が次々と過労で入院する羽目に陥ってしまった。
何とか軍を立て直した艦隊もまた、本国艦隊の壊滅を始め、甚大なダメージだ。
幸い、外周艦隊の被害が軽微だったから、何とか艦船をやりくりして再編したのだけど、マザーバーンの様な大型艦が圧倒的に足りないのが痛かった。
クインバーンを含め、ドックから出て来たばかりの両艦は、再びドック送りとなって三ヶ月は出てこられない状態になってしまった。
「改装もついでにするらしいな」
臨時政庁となった高層ビル。執務机の前で分厚い書類を目で追っていた俺は、半ばうんざりしながら報告文の中の文言を呟いていた。
軽装甲状態だった両艦に、ある程度の防御強化を施すとの一文だ。
元々、空母だけに防御面ではダメージコントロールの様な間接防御重視だったのが、今回の戦訓で砲撃戦にも対応出来る装甲板に追加するのだそうだ。
「お金も掛かりますね」
「そいつが一番、頭が痛い所だよ」
秘書のハツメの指摘に、俺は呻いた。
「今はマシになってるとは言え。ベガ星の経済って余り裕福じゃないからね」
軍事費もそうだが、今回は民間の、市民生活に与えるインフラ被害が酷い。
何とか秩序を取り戻す為、ルビー星は二週間も軍の統治下にあったのだから、その間の混乱と被害費用は天文学的な物となっている。
これに比べれば、軍艦のドック入りなんて簡単だ。まぁ、改造と言うけど、軽巡から重巡クラスに装甲がランクアップするだけなのだし、当然、重量増で機動性は落ちるのだが、今回の様に不意に砲撃戦に巻き込まれても、多少は対応が出来るのを目指すらしい。
「で、次の予定は?」
「あ、はい」
俺も遊んでは居られない。
江戸時代の「そうせい公」みたいに、全て「良きに計らえ」と他者に任せたら楽なんだろうけど、一応、統治者だから、色々と働かねばならないのだ。
本来なら、ルビー星の領主はルビーナなんだけども、五歳児に仕事が出来る訳はないし、実務を司る筈のガンダルが死亡してしまったので、ほぼ行政が麻痺してしまっているのだ。
「次の面会者は侍女長、ルーペ・ハズキ様です」
「ルーペ? 確か、黒いベルバランに関して報告を頼んでいたけど、今はルビーナ関連で忙しいから、報告は後で良いと通達していた筈だけど……」
とにかく通される、吊り目の侍女長。
「ルビーナ様は放心状態です。今回の件が余程、ショックだったみたいで……」
挨拶のそこそこ、ルーペ・ハヅキが報告する。
まぁ、五歳児に降りかかる災難としては刺激がありすぎるな。
「黒いベルバランか」
「いえ、どちらかと言えばオマケの方です」
「オマケ?」
詳しく聞くと〝ラグパルナ〟に飛来した黒いベルバランに、勝手に付いて来た小さな女の子がいたとの話である。
もう一人の怪人、エトワールとか言う女性の縮小コピーみたいな姿で歳はルビーナとほぼ同じ程度、そいつがルビーナに「役立たず!」と暴言を吐いたらしい。
「〝エトワール・プティット〟と名乗ってましたね」
「一寸待て、そいつも生身で宇宙空間を飛べるのか?」
頷く侍女長に俺は脱力した。
いや、ヤーバンでも生身に近い姿で宇宙空間を生存出来る装備はあるよ。でも、そんな機材は高価だし、実用的にも信頼度は高くない。
黒いベルバランとかは古代文明の何かを利用してると明言してるが、そんな小さな子供にまで恩恵が与えられるのかよ。
「とにかく、ベルバランとエトワールの活躍でウードウ魔術団のゴーレムは撃退されましたが、その後、プティットがルビーナ様に暴言を吐いたのです」
「まだ領主になったばかりだし、そんな事を言われる筋合いはないのだけどな」
戴冠式直後にさらわれ、まだ何も仕事をしていないのだから、いきなり役立たず呼ばわりは理不尽だろう。
「戦えない事を気にしておいででしたが、姫には姫の役目があると私が言っても素直に聞いてくれません。だから殿下、貴方の口から諭してくれませんか?」
「君はその為に此処へ来たのか?」
「はい。報告を兼ねてですが」
俺は机上から顔を上がるとルーペの方を見ると、侍女長は腰を曲げて深く一礼していた。
ルビーナの侍女長という立場だから、彼女だってこの事態に於いて忙しい筈だが、わざわざその為に面会をしてくれたのか。
「解った。機会を見て、ルビーナへ口は効いておこう」
「ありがとうございます。殿下」
「ルーペに聞いておきたい。黒いベルバランについてだ」
俺は脇に立つ、ハツメを呼んで資料を用意させる。
無論、それは黒いベルバランなる怪人に対する関連資料である。
「古代文明に関連する男なのは知っているが、正直、私は直接会った事が無いから、どんな奴なのかの印象を教えてくれないか」
ルーペに対して質問する。
今は無き、バトルホークだの、最近、姿を見せていないアステカイザーだのの仲間かと思うが、敵なのか味方なのか、どんな奴なのかが知りたい。
「紳士的な男でした。多少、気障っぽい所はありますが」
「ほう」
「感じとしてはアステカイザーよりも、バトルホークに近い印象を受けました」
エトワールとかプティトだのの仲間が居る所から、チーム寄りだったバトルホークに近いと言う所か。
しかし、その実力は本物であるらしい。
ウードウ魔術団を剣技でゴーレムを打ち破り、空間を馬で駆ける機動性は真の実力である。特にさっきの話を蒸し返す様で悪いが、目元にマスクを付けているにせよ、素顔で宇宙空間を我が物顔で飛び回るのは、かのバトルホークやアステカイザーをも成し遂げられられなかった事である。
「一番気になるのは、そのオマケだな」
「気が強い娘との印象を受けました。と言うか、ルビーナ様に反感を持っているのかも……」
「性格も気になるが、オマケまで宇宙を駈けるのが脅威だよ」
資料映像がモニターにエトワールプティットを映す。
これは〝ラグバルナ〟に残されていた外部モニター映像だ。
「奴が何の目的で、我らに味方するのかは……」
「ルビーナ様に同じ質問を問い質した所、それが現在では最良な選択なのだそうです。しかし、それ以上は……」
続いてルーペは「これは私的な推測なのですが」と前置きすると、「ベルバランはルビーナ様をグレースと呼んでいたとの事です。もしかすると旧ルビー星の関係者である関係があります」と告げる。
「旧?」
「先代ルビーナ様。もしくはテロンナ様に関わっていた者です」
となると、少なくとも五年以上前、いや、下手すると二十年以上前にも遡って調査をする必要があるな。いずれにせよ調査は必要だけど、現状では直ぐには取りかかれまい。
「ご苦労。ルビーナの元へ行くが良い」
「失礼します」
侍女長が長い黒髪を翻して退出する。
ルビー星の再建にはそれから数ヶ月。途中にフリード星への留学問題で揉めたものの、ルビーナがそれに出発したのは、それから一年余り後の事になる。
表面上は、ウードウ魔術団もワルガスダーもなりを潜め、ガイラー軍との戦いも遠い宇宙の出来事の様に感じられるこの間、ベガ星は確かに束の間の安息と平和を享受していた。
〈続く〉
約3,000文字。
戴冠編は実質、今回で終了です。
次回、閑話をやってから新章に移る予定です。