関東地方のローカルCMソングなんですけど、映像が人形アニメと良くマッチしていて、子供心に印象深い曲でした。
でも、ロバ製菓はバブル期に投機が失敗して会社が倒産して今は無いんですよね。「ぽんぽこ」売る本業は堅実で、かのホームラン王「ナボナ」とタメを張る東京銘菓だったのに。
ロバ製菓の専務だった方が、名前こそ違いますが埼玉県で「ぽんぽこ」の復刻品を発売しているとの事。でも、食べた事無い。引っ越し前に割合近所に工場あったらしいから、知ってたら買っていたのになぁ。
◆ ◆ ◆
翌日。
俺はルビーナの留学先に赴いていた。
もちろん、ベガ王子では無く十数人随行する関係者の一人としてだから、特別な扱いはして貰えないし、立場上は侍女なので、細々とした侍女としての仕事もこなさぬばならない。
視察という名目なので侍女だけでは無く、新たに派遣された武官なども混じっているが、彼らに対するサービスを任されたのだ。
『成る程、ルーペが言ってた通りだな』
実は俺のフリード星行きに彼女は反対していた。
現地は危険が多く、何が起こるのかの保証は出来ないからだ。
もし赴くのであれば敵の目を誤魔化す為に「公式な立場では、徹底的に下っ端の侍女として扱う事になりますよ」と警告したのだ。
俺は「それでいい」と決断を下したのだが、結果として俺は非公式の場でこそ王子として扱われるが、こうした公式の式典などでは単なる侍女、それも新入りの端女に身分が設定された。
ルーペはおろか、先輩格のシャーマンにすら〝様〟付きの敬称で呼ばねばならない。
で、身分制度の激しいフリード星での侍女の扱いは過酷であると言う現実を思い知る。
特に貴族階級の連中である。
「使えない奴ね」
「ぎゃあああああ!」
口汚く罵る女は、何とか言う(名前を忘れた)ルビーナの学友に選ばれた貴族の子女。
黙っていれば、そこそこ可愛くて愛らしいスタイルの幼女が鬼の形相をして、一般市民(シティナー)格の使用人を、手に持った棒で激しく殴りつける。
「ほほほほ、ごめんあそばせ。そら!」
「ぐぁ」
「情けない悲鳴を上げないで、優雅に耐えなさい」
折檻途中でルビーナの方に微笑んで社交辞令を述べるが、その手は止まっていない。
棒は電磁スティックの一種の様で、力の無い子供でも触れただけで高圧の電気ショックを与え、悶絶させるだけの威力を持った残忍な道具だが、この幼女は哀れな犠牲者を容赦なく、渾身の力で殴り続けている。
「たかが、粗相をしただけで……」
「お黙りっ」
たまりかねて俺は助け船を出してしまったが、これが拙かった。
心証を悪くした貴族のガキは、他家の使用人であるにも関わらずその矛先を俺に向けたからだ。
そこへ割って入ったのが侍女長だった。
「済みません、バロン様」
すっと俺とバロンなる幼女の間に身を乗り出して、平手で俺の頬を一閃する。
勿論、痛い。
が、あの電磁棒で殴られる事を思えば、痛みは遥かに少ないだろう。
ルーペは「謝りなさい」と俺に強要し、自らも頭を下げると共に俺の頭を掴んで強制的に下げさせる。
「おおっ、面白そうな余興だな」
「デューク様」
視界が地面を向いているので見えないが、周囲のざわめきで主賓が登場したのが分かる。
デューク・フリードだ。
無論、六年前に消えたあの男で無く、その名を継いだ子供である。
「問題になっているのは、うちの侍女ですが……」
ようやく視界が戻った時、ルビーナが毅然な態度を示した。
言い含める様に「今のこれはヤーバン王家の問題ですけど、賢明なデューク様はこれに首を突っ込みますか?」と、半ば脅迫の様にデューク・フリードと、バロンとか言うあの娘に言い放ったのである。
「う……そもそもの原因は何か?」
「デューク様の侍女が、運んでいた料理の皿を粗相して、落としてしまったのです」
「ほぅ。で、それでルビーナの侍女とはどの様な関係が?」
それに対してルビーナの説明は続く。「それを〝やり過ぎ〟と意見を述べたファミア(俺の偽名だ)に、バロン様が激昂したのです」との説明に、デュークは深く考え込んだ。
「他星での考えでは、ナイーダの方がやりすぎだと申すのだな」
「はい。しかし、フリード星の問題であればそれは正しい事でしょう」
あっ、ナイーダ。
もしかしてこの貴族の子女は、『グレンダイザー』本編に登場したナイーダ・バロンか。
デュークの言葉で思い出す。確か、ヨナメの留学にも過去に関わっていた筈だ。
「しかし、賢明なデューク様には判りますわね?」
「無論だ。ここでヤーパン王家との友好は損ないたくは無いな。それは愚者の行う事だ」
損得を素早く計算するデューク。
つかつかと地に寝そべって、未だ呻いている自分の所の侍女へ近づく。
「全ての原因はこいつだな」
サンダルを履いた足をその頭に載せ、いたぶる様にぐりぐりと踏みつける。
その瞳に愉悦の光が宿っている事に気が付き、俺は恐怖した。
『た、楽しんでやがる』
サディストなのだろう。
いや、フリード星の貴族連中は多かれ、少なかれ、自分よりも立場が下の者に対してこう言う感情を持っているのだと認識しているのだが、幼いデュークまでも見事にそれに染まっているのか。
姉、テロンナが先代の意識を改革させたのが、如何に偉大なのが解る気がした。
「そこまでよっ!」
そこへ、鋭い警告が飛んだ。
何故か。ハープの様な音が流れる。
デュークの護衛である連中が「何処だ。何処だ。何処だ」と声を上げる中、うちの女性武官のミネオが「あそこだ!」と指を指す方向の先に居たのが、ベレー帽を被り、灰色のレオタードを着た女だった。
何故か、赤い小型の竪琴をかき鳴らし、逆光で校舎の上に仁王立ちをしている。
「エトワール・プティット!」
その正体を名指しするのはルビーナだが、残念。
子供のパチモノの方で、ルビーナが求める本物では無かったみたいだ。
「おのれ、我が都、フリーダムを騒がす怪人女。今日こそ捕まえてやる!」
デュークが吠えた時、俺の隣にはルーペが来て「ああやって、黒いベルバラン一味は正義の味方面をして、姫様の前に度々、姿を現しているのです」と小声で告げた。
「インパクトはあるな」
「フリード星の過酷な労働環境を批判していますからね。殿下に普通の教育を受けている姫様にとって、正義の体現者に映るのは仕方ありません」
逮捕しようとする大活劇が始まっている。
プティットは見掛けによらず素早く、校庭を駆け回って逃げ、時にはフリード星の官憲相手に立ち回り歩演じているが、俺の目から見ても生半可な腕では無いのが見て取れた。
ウードウ魔術団のゴーレムに襲われても、ある程度の自衛は可能じゃないかと思うレベルだ。
『多分、これがルビーナのコンプレックスか』
ライバル視している相手に対して、自分の技量がそこまで達しないのはストレスである。
俺も昔は、健康な身体で暴れ回る弟に羨望の眼差しを贈った事もあるから分かるぞ。
「やれやれ、追い詰めたぞ」
しかし、所詮は子供で多勢に無勢。
あと一歩と言う時に現れたのが、もう一人の怪人だった。
「黒いベルバラン、参上!」
〈続く〉
約2,600文字。
一寸出て来たミネオさんは、原作キャラです。
ルビー星の人ですから、ルビーナにぞっこんです。
『機械の人、零一』の美人だ、なのは悪のりです。