ベガ大王ですが、何か?   作:ないしのかみ

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今回の作業用BGMは『異種族レビュアーズ』よりOP「イこうぜ☆パラダイス」です。
最新アニメだからCDもまた出てないのですが、Web映像からのりピートで聴いてしまった。とにかくエロい、第一声が「スケベが大好き!」だからね。

去年アニメ化するって噂を聞いた時、これ放映していいのかって程、エロい内容なのを危惧してました。チャレンジャーだのう。
まぁ、表現はぎりぎりR15なんだけどね。無事〝地上波〟で放映されたのでメデタシ、メデタシですな。取りあえず、フタナリ天使のドロップアウトが楽しくて読んでたり、中身「ガヴリ○ル」だからね(笑)。
異種族同士の価値観の違いとか、他に目から鱗の要素もあってお勧めです。


166(閑話)

「……貴方ねぇ」

 

 つかつかとルビーナは暴言を吐いた王子へと近付く。

 そして頬にビンタを一発、お見舞いした。

 

「他星の者に対してその態度は頂けないわね!」

 

頬が腫れ上がり、暫く呆然としていたデュークの瞳からじわっと涙が溢れた。

 やがて、「うわぁぁぁん。父上にだってぶたれた事がないのに!」と抗議なのかどうかも判らない言葉を発しながら、床に跪いて盛大に号泣し始める。

 

「シャーマンは貴方の星なら賤民だけど、我々は他星の民なのよ」

「うわぁぁん、うわぁぁん。コマリエ、コマリエーっ」」

 

 ルビーナは『昔の時の自分みたいだ』との感想を持った。

 自分もルーペに散々泣かされたけど、もう、とっくに我が儘はある程度卒業し、ただ地団駄を踏んで盛大に泣きまくる素朴な抗議は行わなくなっていたからだ。

 

「王子!」

 

 その泣き声に気が付いたのだろうか、一人の女官がこの部屋に入ってきた。

 デュークはその人物を見ると立ち上がり、抱擁する形でその旨へと飛び込んだのだが、事前ら学習していたルビーナ達には見覚えの無い顔であった。

 まぁ、閣僚とかフリード星の主要人物とかしか覚えて無く、王宮の職員とかは数が多すぎて覚える気も無かったのだが(でも、侍従長とか警備隊長クラスなら覚えた)。

 

「あいつらが、あいつらがぁーっ」

「はいはい。王子」

 

 女官に慰められぐずり泣き喚く王子から視線を外し、ルビーナは改めて部屋を見回す。

 ここは余り広くない応接間みたいな構造で、それ程、大勢で無い者達をもてなす用の部屋であるらしい。

 しかし、ソファは王子の寝床として玩具や毛布などが撒き散らされ、大きなテーブルセットの上にはお菓子や果物なんかが乱雑に置かれている。

 躾けのなっていない子供が、煩い大人から逃げ出し、玩具や間食なんかを持ち込んで隠れ家的にこの部屋に身を隠していたと言った所か?

 

「良く判りますね」

「あたしもそんな時期があったからね」

 

 主の言葉に「なるほど-」と、しみじみと呟くヤマメ。

 

「でも、まだ甘いわね」

「はい?」

「あたしの拠点は屋根裏で、こんなに簡単には発見される様な場所じゃ無かったわ」

 

 ルーペにバレない様に偽装工作は完璧を期していたと自慢するが、ヤマメは内心『いえ、残念ですがそれ侍女長には位置掴まれてましたよ』との言葉を飲み込んだ。

 

『直ぐ取り壊したりしたら、姫様がヘソを曲げるからって……。ずっと隠れ家も監視されていて、ルーペ侍女長の掌の上なのになぁ』

 

 ルビーナは時々、機嫌を悪くして隠れ家に潜り込んで過ごしていたのだが、部下に諜報を司るシャーマンが居るのだから、そんな工作は本当に児戯に等しく、隠れ家を作ったのを侍女長は把握した上で、ルビーナの為に敢えて知らぬ存ぜぬを決め込んでいたのだ。

 緊急時以外、気の済むまで放って置けば、やがて食糧も尽きて〝天の岩戸〟から顔を出すからと放置していたのである。

 

「にしても、酷いわね」

「はぁ」

「隠れ家って風情じゃ無いわ。多分、これは大人公認の汚しっぷりよ」

 

 その幼児性を指摘するルビー星の王女。

 耳にする限り、自分よりも一つ年上なのにこんなに身の回りを乱雑にして、周りを省みないのはその行動を正そうとする大人が、身の回りに誰も居なかったのに相違ない。

 

 自分の隠れ家は、少なくとも綺麗に使える様に自主的にルビーナ自身の手で清掃していた。

 いつもなら身の回りの世話は侍女とかの配下の仕事で、何もせずとも自動的に物事が進むが、アジトとなった隠れ家に侍女が来てくれる訳は無いから。出たゴミの片付けや、寝床の整備なんかはルビーナ自身がやらねばならない。

 子供が天井裏から布団を持ち出して、屋根に干すのは難題であったが、ルビーナは誰の手を借りずに一人で成し遂げ、それが知らず知らずに自信に繋がっていた。

 だが、この部屋の状況は……。

 

「貴女達、見た所、ルビー星の女官ね」

 

 凜とした声を発したのはブロンドの美女。例の女官だった。

 軍隊違って階級章はないので、その身分は判らないがこちらはゲスト側なので、ヤマメらは「はい」と答える。

 

「ヤマメと申します。今回、職務上の理由で事前に王宮を見学に参りました」

「ご苦労。私はデューク殿下付きの侍女長、コマリエ・ヴェグナーである」

 

 殿下付きの侍女長とは、王宮全体の業務を司る総侍従長(これがルビーナ側だったら、ルーペ・ハヅキが相当する)よりは地位が落ちるが、それなりの地位にあると言って良い。

 師団長よりは低位だが、師団と見立てれば大隊長と言う感じになるだろうけど、連隊長クラスならともかく、大隊長では覚えるリストからは外れていた。

 しかし、一応、ルビー星の女官でも見習いに過ぎないヤマメとは大違いであるし身分詐称中のルビーナだって同じである。

 

「そちらは?」

 

 身分を確認したコマリエは、もう一人……すなわちルビーナを指さして誰何する。

 だが、答えようとした刹那、デュークが「許さないぞ。下賤なシャーマンめ!」と口に出してきた。涙声だが、憎しみの感情が篭もっている。

 

「殿下」

「シャーマンなんか、幾ら殺しても構わないんだ」

 

 口から唾を飛ばして罵る王子。

 シャーマン族の瞳は独特だから、その正体は一発で判別が可能だが、ベガ星連合軍の名で〝当方に所属するシャーマン族は、貴星の身分制度には縛られない〟ことをフリード星に通達してあるのだが、幼い王子にはそれが伝わっていないのだろう。

 

「何の騒ぎです」

「あっ、侍女長」

 

 その時に現れたのは、二時間後に到着予定だったルーペだった。

 ルビーナは目を見開いていたが、ヤマメは『ああ、やはり』と直感する。

 隠し部屋の一件と同じで、この計画を全て把握しながらも危険が訪れない限り、ルーペは泳がせておいたのだろう。やはり掌の上であった訳だ。

 

「コマリエ侍女長。お久しぶりです」

「これはハズキ様」

 

 二人は顔見知りだったらしい。

 無論、言動からも判るが〝様〟付きのルーペの方が立場が上で、流石にデューク・フリードもその吊り目を見て押し黙った。

 

「そこの少年。私はこの所業を見なかった事にします」

 

 じろりと少年を睥睨する様な視線で見ながら、ルーペは続けた。

 

「僕は、王子っ」

「王子が学習中の授業をサボって、こんな場所に来ますか?」

 

 首をやれやれと振り、「有り得ません」と続ける。

 ルーペは「これが我が星の姫であったら、きついお仕置きを加えています」とも語り、反論しようとする少年の言動を封じて行く。

 そしてコマリエに向き直り、「後はそちらの仕事です」と付け加える。

 

「行きましょう」

 

 ぺこりと頭を下げるコマリエがデュークを伴って退出する中、「ヤマメ、貴女はデューク・フリード殿下に似た少年を見たけど、殿下では無い他人の空似だったのですね?」と尋ねて来た。

 

「あ、はい。不作法でみっともない殿下にあるまじき少年でした」

「そう、此処にデューク殿下は居ません」

 

 満足そうに頷いた後、コマリエが完全に退出したのを見計らいルーペの顔が険しくなる。

 

「さて姫様。何故、此処に居るのかの説明を……。いえ、貴女も姫様では無い少女Aでしたね」

 

 無表情で語る侍女長の顔が、ルビーナの心に恐怖を植え付けた。

 

 

〈続く〉




約2,800文字。

まだ幼少期ルビーナの閑話は続きます。ベガが再登場するのは何時だろ(笑)。
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