ベガ大王ですが、何か?   作:ないしのかみ

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今回の作業用BGMは『流星人間ゾーン』からOP「流星人間ゾーン」です。
子門真人の声がいいですね。スピード感があってテンポが良い。シスコーンを食いまくってる朝食のイメージが強いけどね(笑)。
流星ミサイルマイトが外道な技で好きでした。

全然関係ないんですが、ゾーンファミリーの使う「マイティライナー」らしき実車を幼い頃に目撃した事があります。一般道を親の車に乗せられて居た時、霧が掛かった一般道だったんてすが、前方を走る車がヤツだった。
いや、親は全く気が付いてないんだけど自分は「あー言う車って、一般道も走るんだ」とびっくりです。ほんの数分間の出来事ですけどね。


167(閑話)

              ◆       ◆       ◆

 

 ルビーナに小言を言ってから数時間後、大使館でルーペ侍女長は報告を待っていた。

 やがて、幾人もの部下が帰還する。

 

「ご苦労」

「はっ、一般資料は既に知っているとは思いますが……」

 

 諜報活動なので黒いスリングショット姿の部下の前に、メイド服姿の侍女長が立っているのは違和感館があり、しかも大使館の一角と言うのが異様である。

 

「目は通してある。それで?」

 

 目の前で片膝を着くシャーマンに先を促す。

 一礼すると、彼女らの一人が胸元から記録クリスタルを取り出し、同様に形態再生機にセットする。

 

「ほぅ」

「記録が改竄されておりますが、何とか修復しました」

 

 目の前に映し出される立体画像は、ある人物の履歴である。

 名前、性別、年齢などは一見、全うなのが判るが、後半の履歴がおかしい。

 

「出身地が不明か。ここは改竄されたのだな?」

「今はフリード星貴族の出になっておりますが、ここは後から上書き避けれた痕跡があります」

「名は改竄はされておらぬが、少なくとも本名なのかも知れんな」

 

 だが、最初から偽名で登録すれば良いだけの話で、信用に値するとは当然言えない。

 

「ん、ムツメはどうした?」

「やられました」

 

 ルーペは人数が欠けているのに気が付き尋ねるが、シャーマンは淡々と「相手はフリード王家のデータバンクです。むしろ、ムツメ一人だけで損害が済んだのは僥倖と思うべきでは」と述べる。

 ルーペは嘆息し、片手で去れと彼らを追い払う。

 

「どう思う。シオメ」

「信用出来ませんね。ただ、コマリエ・ヴェグナーと言う女が、フリード王家の肝いりでデューク殿下の侍女長に抜擢されたのは事実です」

「表向きの資料では、何の問題も無い……か」

 

 帰還したシャーマンが退出した後、ルーペの前に現れた侍女が答える。

 虹彩が独特なのでやはりシャーマンだが、こちらはちゃんとメイド服を着て頭にヘッドドレスを載せている。

 

『何を考えている、フリード王家め』

 

 正体不明の女である。そんな怪しげな奴をどうして役職に就けたのか、ルーペ・ハズキは考えに沈んだ。

 フリード王妃の縁者だと公式記録には有り、その貴族家もあるにはあるが既に断絶しており、コマリエ以外のヴェグナー家は存在していないからだ。

 

「コマリエは両親を失って修道院に入っていたと言うが……、臭いな」

「はい。修道院は去年、火災に遭って全焼していますから、詳しい記録も関係者もありません」

 

 こうなるとここで入れ替わっていたのか、それとも本当に本人で修道院当時の所業を葬り去る為、記録を抹消したのか、それも判らず仕舞いである。

 

「ただ、コマリエが王宮に就職出来たのは王妃の推薦だというのは本当らしいです」

「あの王妃か」

「しかし、フリード王家は魔神教を忌み嫌っていたのでは」

 

 廊下でバタバタ聞こえる騒音を耳にしながら、侍女長はフリード星の宗教を考察する。

 フリード星で信仰される宗教は魔神教で、これを生活の根幹にしているフリード星人は殆ど居ない。

 何故なら、主神である魔神自体が祟り神の様な存在で、これの祟りから逃れる為に供物を用意して、その被害を我が身に被害が掛からぬ様にするのが主な考えだからだ。

 

「確かにおかしいかも知れませんが、元々、フリード王家は神官の家柄なのですよ」

「祟り神を鎮める為の、それなら納得も……」

 

 シオメが口に足した時、部屋の扉が乱暴に開いて先程のシャーマン達が押し入って来た。

 

「おや、お早いお帰りで」

「罠に掛けたな!」

 

 右腕を手首から先を失い、頭から血を流しているシャーマンが叫んだ。

 

「潜入ご苦労。お前達の雇い主は誰かな?」

「このっ!」

「偽ワカレメよ。上手く化けているが、お前の態度がドライ過ぎだった」

 

 偽ワカレメと呼ばれた片手女は、シオメの言葉に呆然とする。

 

「ムツメと本当のお前は仲が良くてな。

 とても、一人の部下を失っただけの態度で済まなかっただろう」

 

 任務故に感情を表に出しはしないが、指摘されてからあっけらかんと『ああ、部下が一人死にましたが、何か?』的な態度は取れないに違いなく、まずは損害の報告をルーペに述べて『ムツメを失いました私の責任です』と最初に報告するだろう。

 

「不死女のやり方なら、お前は合格点だったのだが」

「くっ」

 

 左手に光る爪を現出させ、それを武器にしようとするシャーマンだが一瞬後、部屋に配置されていた隠し銃座の掃射が、彼女を捕らえた。

 レーザーガンに貫かれ、赤い光と耳障りな音と共に消失してしまう。

 

「言い忘れていたが、侍女たる者、侍女服を着ずに私の前に現れるシャーマンは存在せぬ」

 

 ルーペ侍女長は消し炭さえ残らないシャーマンの最後を見ながら、そう呟いた。

 メイド服を着ていない時点で、正体はばれていたのが彼女らの誤算だったろう。

 

「ワカレメ、ムツメ、ナツメ、シノノメらは残念だった」

「いえ、それにしても恐ろしい呪術です」

「他人の記憶をコピーする技か。お前達には伝わっていないのだったな」

 

 彼女らは細かい所を更かせば、明らかにワカレメ達の記憶を持っていた。

 大使館の出入りが出来る時点で、完璧にセキュリティコードを唱えて通過出来たのだ

 確かに催眠学習という手も存在するが、にしても元になる記憶を脳髄から全て引き出す技は表向きは確認されていない。

 何故なら、確実に記憶を引き出された者は廃人と化すので、人道上の問題から研究は停まっているからである。

これを呪術で行えるのが、今、ここに逆潜入させられたシャーマンであった。

 

「残念ながら。あれは不死女の秘儀でした」

 

 こちらの持たぬ技術を独占しているからこそ、まだまだ本家のアドバンテージは高い。

 

「侍女長、敵排除を確認。結界を解きます」

 

 次に報告が入る。瞬間移動で逃げられると困るので、張っていた対呪術用の結界もようやく停止させられるみたいだ。

 

「私はベガ殿下の所で働きたいのに、当分はこの星で足留めみたいですね」

 

 ルビーナ付きになってしまった身の不運を、少しも嘆きたくなるルーペ・ハズキであった。 

 

 

〈続く〉




約2,400文字。

ルーペ編です。ベガが出ません(笑)。
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