ベガ大王ですが、何か?   作:ないしのかみ

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今回の作業用BGMは『ゴワッパー5ゴーダム』から「C7」です。
久々の戦闘曲です。アニメのBGMがサウンドトラックになる事など考えられなかった時代の曲なので、曲名も簡素にC7とあるだけの曲なんですが、長年、この曲を探していた自分はこの一曲の為に思わずCDを買ってしまった程でした。

『ゴワッパー5』はマイナーなアニメでタツノコ作品でも知名度が低いのですが、何かネーミングに独特のテイストがあって割りと好きでしたね。
火山を爆発させる「ドカンパー」。地震を発生させる「ユサブランカー」。津波を起こす「ハイザブン」と敵メカ名も笑えるし、何より地底魔人の雑魚キャラが砂に地底生物「チテイバー」仕込んで鯛焼き風に量産する、人造人間「ネンドロイド」だもん。
ゴワッパーのリーダーが女の子と言うのも当時は異色で、可愛かったですね。


168(閑話)

              ◆       ◆       ◆

 

 学校の視察を終えて、大使館へ帰還途中のルビーナ達。

 高級車の連なる隊列の中央では、当の王女がヤマメと会話していた。

 

「何か大使館の方で動きがあったらしいけど、何かしらね」

「侍女部隊の何名かが未帰還の模様です」

 

 それを聞いても、あたしは「ふーん」と言うだけだった。

 侍女は身近な存在だけれど、沢山存在する中で常に接しているのはほんの数人、このヤマメみたいな自分付きのシャーマンであるからだ。

 多くはルーペ配下の諜報任務に従事して、入れ替わりも激しいし、何をやっているかの報告もあたしを素通りして、義父とかシャーマンの元締めたるヤマメの母、ヨナメの方へ行ってしまう。

 

『早く領主として自立しなきゃね』

 

 最近、常々こう思うようになった。

 若年の領主は宰相とかに良いように使われる御神輿で、実務を伴わない飾り物に過ぎないからよ。

 せいぜい何もかも決定済みの書類に何も考えずサインをするか、めくら判を押すだけの決裁者の役割しか与えられないし、内容に反対を唱えようなら、様々な手を使って無視されるだけだろう。

 これは他の王族でも似た様な者だと思う。

 今は堂々と何でも決済してる義父だって、若い頃は側近のなすがままだったらしいし、デューク・フリードだって、官僚の手玉に取られてると思う。

 

「侍女部隊が動いたって事は、やはりフリード星内部の動きかしらね?」

「私には何も……。ただ、一つだけ心当たりはありますが」

 

 問うと若いシャーマンは「デューク殿下付きの侍女長です」と口にした。

 確か、コマリエ・ヴェグナーと言ったか、と顔を思い出す。

 あの出会いがあった後、改めて自分の歓迎会場で立場を変えて出会っていたが、先方はルビーナの姿を捉えても顔色一つ変えず、初対面の王女に対する態度で押し通した。

 それだけでは無く、デューク・フリードもあの我が儘放題の悪ガキでは無く、惑星大国の王子面で自分に接してきていた。

 

「あの猫かぶり、表面だけは相当訓練されているわね」

「あ、デューク殿下の事ですか」

「正解よ」

 

 あれが演技だと見破るのは難しかろう。

 対外的には表の本質を偽装して、完璧な貴公子を演じられるのに怖気を感じる。

 ルビーナだって、やれと言われれば王女の仮面を被る事はあるのだが、態度や立ち振る舞いに至るまで、あの部屋で見せた本質を完璧に見せないのは見事を通り越して不気味であった。

 

「完璧に女性をレディ・ファーストでエスコートするのよ」

「顔が引きつってませんか」

「思い出すだけで、怖気が走るのよ」

 

 実際、エスコートを受けながら顔に出ていないか心配した位だった。

 こちなも何とか猫を被り、ダンスの相手を務めたが……。

 

「学校でもあの態度なのかしら?」

「対外だから、そうかもしません」

 

 幸い、スケジュールの関係で今日は顔を合わせなかった。

 やはり、フリード王族には王族の専用視察があるらしいので、今回の学校訪問は一般生徒だけが参加していたのだが、そうなるとルビーナもフリード王家から見たら、低い格式だと舐められているのだろう。

 義父は余り気にしないし、ルビーナも特別扱いは肩が凝るので構わないが、臣下のヤマメは憤慨していた。

 

「いいじゃない。歓迎会とみたいにヤマメと一緒に回れなくなるより」

「それは、そうですが」

 

 公式行事には、王族と臣下の区別は付けるのが基本だ。

 如何に幼馴染みで友人であれ、護衛か何かで無い限りは同席は基本許されないから、ヤマメの同行は認められないが、この学校訪問は公式行事では無い。

 

「しかし、あのコマリエが居ましたね」

「あ、やはり気が付いた?」

 

 外の光景を眺めつつ、ルビーナが言う。

 

「一応、私もシャーマンですよ。それ位は気付きます」

「じゃ、資料を読み込んでると思うから質問するけど、コマリエ・ヴェグナーについて知っている事を述べよ」

 

 彼女はぺらぺらとコマリエが「フリード王家の肝いりで、殿下の養育係でもあります」と答える。

 ヴェグナー家は没落しては居るが。フリード貴族の名家だとも。

 

「ルーペ侍女長と同じような立場ですね」

「立場はルーペの方が上よ」

 

 一応、ルーペ・ハズキはベガとルビー両星の侍女長である。

 今はルビーナの養育係としてフリード星に出向扱いだが、フリード王家の王子付きなだけのコマリエに比べると、使える権限は遥かに大きい。

 

「王妃の推薦で侍女長に就任した。ここまでは資料にある通りね」

「あっ、やっぱり公式資料読んでましたね」

 

 ヤマメの非難を流して、王女は「それ以外の事。貴女は掴んでいる?」と質問する。

 それに動揺するヤマメ。

 これは裏資料の事を明らかに指しているからだ。

 

「しゃ、シャーマンとしての機密に当たります」

「ふん。やはりルーペが動いてたか、さっき未帰還になったシャーマンもそれ関連?」

「……」

 

 沈黙をイエスと判断して、ルビーナはため息を付いた。

 

「おかしいのよ。王妃が黒幕だとしてもデュークを乳母みたいに、赤の他人に預けるのかしら」

「コマリエが侍女長に就任したのは二年前、デューク殿下六つの時でしたね」

 

 一切合切の世話。乳母の役目だが幼少時から付きそっているのなら頷ける話だが、六歳児からと言うのは明らかに不自然だ。

 

「で、何かと符号が一致しない」

「二年前、あっ」

 

 それはルビーシティのテロ事件。その前後にコマリエが終任した。

 無論、単なる偶然なのかも知れないが、当事者であるルビーナは何か引っかかるのだ。

 

「で、私に話せる事は無いの?」

「済みません。お力になれません」

 

 機密上の問題もあるが、そもそも情報がろくに回されて来ないのも原因だった。

 あくまて見習いだから、正規のシャーマンとして扱われないのである。

 

「ただ関係ありませんが、級友の中に怪しい人物を見付けました」

「怪しいって……」

「あそこでコマリエ・ヴェグナーの存在に気が付いた者です」

 

 

〈続く〉  




約2,300文字。

寝過ごしたっ。
と言う事で、投稿時間が朝で無く昼になってしまった。
前日に数キロ歩き回ったのが原因だな。予約し忘れた(笑)。
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