すぎやまこういちが作曲し、NHK交響楽団が演奏した事で有名ですね。総裁Xと言うかギャラクターの壮大さを感じる旋律で、特に後半部分はブラックホール作戦の分子爆弾投下シーンなんかに使われてると最適なのです(実際は使われてません)。
このアルバムは使い勝手が良かったらしく、後の続編『ガッチャマンⅡ』にも流用されていましたね。
自分がこの曲を知ったのはLP発売時でしたが、こればっかりをテープに録音して繰り返し聞いていた様な気も(笑)。
◆ ◆ ◆
「ほう、それでどうなったんだ」
俺は過去を語るルビーナの言を一旦止めさせて、問い返していた。
それは全く初耳のエビソードだったからである。
「報告はベガ星にも送ってある筈だけど……まさか」
「そのまさかだな」
ルビーナ留学当時だから、これは数年前の出来事である。
と言う事は、通信妨害や情報書き換えが発生していたのは最近の事では無いと言う話だ。
『ウードウ魔術団の仕業だとしても、何が目的だ』
特にルビーナに手を出してきているのは判っている。
特にレディ・ガンダル辺りが執着している情報は昔からあった。
肉体を精神交換されると対処に困るのは当たり前なのだが、それは俺、ベガに対しての嫌がらせだけが目的なのだろうかと、最近考える様になった。
密かに精神交換を行ってルビーナの肉体で俺に近づき、暗殺を企てると言った分かり易い使用法も無論、考えられるだろう。
だが……。
『既にルビーナを誘拐し、精神交換を行おうと言う試みは何度も実行され、それは悉く失敗している』
脳裏に浮かぶのは黒いベルバラン一派である。
何故か、ルビーナの元に現れて、ウードウ魔術団の魔手を防いでくれた。
まぁ、ベルバランの目的は不明であるが、ここは素直に感謝しておこう。
問題は奴ら、ウードウ魔術団が懲りもせず、何度もルビーナ誘拐を企む事である。
『奇策というヤツは、最初の一回だけが有効で、目的を見破られたら愚策なのだがな』
例えそれが成功したとしても、奴らが企む作戦は全て筒抜け、手の内は丸分かりなのである。
ルビーナが乗っ取られていると判明しているのなら、本人のフリをして俺に接触しようとする作戦は当然、役にたたない筈なのだ。
『では、奴らは何故、そんな作戦を愚直に実行するんだ?』
実はルビーナ誘拐は何かから目を逸らす為の陽動か。
それても、何か別の目的でもあるのか。
「義父様」
「あ、済まん。続けてくれ」
少し、意識が現実から外れて長考モードに陥ってしまった様だ。
確か、話は円形のサークルがルビーナの専用車を取り囲んだ場面だったか。
「その地形造成。お得意の呪術かと思ったのだけど、その正体は別物だったわ」
「何だったのだ」
ルビーナは目を閉じると息を整え、「植物よ」と呟いた。
「な……に」
「忘れもしない。あれはルビーシティを壊滅に追いやった奴だわ」
幼いルビーナにトラウマを与えたあの事件。
お陰で、彼女は緑。特に花へ拒絶反応を示す様になってしまった、
「で、どう切り抜けたのか」
「黒いベルバランです。奴が現れました」
それに答えたのは、いつの間にか現れたルーペだった。
今まで控えていたのだが、ここらが自分の出番かと思ったのだろう。
「何を知っている?」
ルビーナに説明をさせず、侍女長が出て来たと言う事は王女の知らぬ情報を握っているからだろう。
俺はスカートの衣擦れ音を出しながら振り返る。
離宮の執務室は安物の建材を多用している様で、位置を少し変えただけでも床音が大きい。
「ワルガスダーです。例の特殊弾頭を用いました」
「ほぅ。やはりか」
ルビーシティでも使用された例の化学兵器だ。
これが使われたのは、偽ラミア騒動とルビーシティ動乱だったが、今回でそ三回目と言う事になる。
化け物植物を一発で枯らしてしまう分子爆弾みたいな物だが、構造が特殊らしく、まだベガ星連合軍でも解析が不可能な代物だった。
悪党公団ワルガスダーの兵器だが、これから判る様に技術力ではまたまだ隔世の感があると、ズリルが嘆いていたのを思い出す。
「で、ベルバランと連携していたのか?」
「直接的にはありませんでしたが、遠くから援護刺激したのは奴らの揚陸艇でした」
お馴染みの青い十字型の中型艇だ。
「これでベルバランがワルガスダー一味と同じ穴の狢だと、益々、確信が深まりましたね」
控えていた侍女のサンメが口に出した。
が、俺は頷くものの、ペルバランと怪人アステカイザーとの関係がまだ不透明な事が気になっていた。
ルビーナの話だとアステカイザーとの間に、何等かの協定が結ばれたらしいが、ヤツは徹底的にゲルマの手先たるワルガスダーを忌み嫌っていた筈だ。
黒いベルバランと、いや、ワルガスダーとの間に何があった?
「問題はその後です」
「そう。へんな連中が現れたのよ」
勢い込んで叫ぶ魔は、今まで話の主導権を奪われていたルビーナ。
「誰だ?」
「判らないけど、実体剣を持って私を襲ってきたわ」
相手はゴーレムではないのか。
ん、何か既視感(デ・ジャヴ)があるな。
『まさか……』
ルーペが鋭い目つきで頷き、相手の正体をを告げる。
「ソリッドを構えたサムライでした」
「ちょっ……オストマルク人かよっ」
〈続く〉
約1.900文字。久々に2.000文字以内に収めたぞ。
8話振りの正伝です。
ここらで敵がウードウ魔術団だけではなくなります。
ワンパターンなルビーナ襲撃を続ける目的も、やがてはっきりするのですが……。さて?