ベガ大王ですが、何か?   作:ないしのかみ

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今回の作業用BGMは『ムーの白鯨』より「要塞コンドル」です。
久々の戦闘曲ですね。コンドル要塞と戦う白鯨のイメージで作曲された物だと思いますが、アトランティスの戦闘機対ムーバル部隊の戦闘シーンの方が多かった様な(笑)。

マイナーな作品ですが結構好きです。主人公側は特に特徴の無い魅力に欠ける面々でしたが、ヒロインのマドーラが好みでしたね。アトランティスではプラトスかな。


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「あの方達は身を挺して、私を護って下さいました」

 

 熱弁を振るうルビーナ。

 俺は「そ、そうか」と語気に押される。

 

「殿下」

 

 そっと耳打ちするルーペに俺は驚愕した。

 語った内容があまりにも衝撃だったからだが、何とか顔には出さずに平静を保つ。

 

「特にオストマルク人の……シシに斬りかかれた時、エトワールが危機一髪を剣で防いでくれて」

「ふむ」

「でも、エトワールの事が身内らしいのが意外でしたわ」

 

 身内?

 オストマルク人がか。

 

「姉者とか呼んでおりました」

 

 側に居合わせたヤマメが補足する。

 エトワールって、あのパリの流れ星風のレオタード着たヒロインもどきだろう?

 幕末や維新に登場する人物とは関係なさそうな人物……いや、拳銃を構えた鞍馬山の天狗とか、逆刃刀持った剣豪が活躍する漫画の中に悪役として出て来るかも知れないな。

 包帯男の組織には大鎖鎌を操る男の娘とか、世界に冠たる優れた民族の将軍もどきが作ったフレッシュゴーレムだって登場したしな。

 

「シシにしては細身で、体力よりもスピードタイプだったわね。

 斬り捨てられると覚悟した時、エトワールが割り込んで来たのよ」

 

 その時、襲撃者が「姉者、何故(なにゆえ)に!」と叫んだらしい。

 その後も両者は会話を続けたらしいが、残念ながらルビーナ達はそれを聞く機会を失った。

 

「プティットの奴が邪魔をしたのよ」

「姫様、悪し様に罵ってはなりませんよ」

 

 ヤマメが諫めると、ルビーナは頬をぷくっと膨らませる。

 聞くと現れたエトワール・プティット、子供のエトワールもどきがやって来てルビーナを剣戟の場から引き離したのだと言う。

 その際、「さっさっと後退しなさい。お姫様!」と皮肉っぽく罵られたので、当人は邪魔された感じてしまったらしい。

 

『斬り捨てる気か、とすると……』

 

 俺は与えられた情報を整理する。

 ウードウ魔術団は、いや、レディ・ガンダルだけかも知れないがは、何の目的だがは知らないが、あくまでルビーナを無傷で捕獲する事を目指していた筈であった。

 しかし、オストマルク人は殺害を辞さない方法を取って来た。

 

『奴らは別口。ウードウ魔術団との仲間ではないのか?』

 

 だとすると厄介だが、この事件は既に二年前の出来事である。

 その間の事情も加味すると、案外、連中のテロは大した事が無いのかも知れぬ。

 

「で、肝心な黒いベルバランはどうした」

 

 気になる点はあったが、取りあえずそれを尋ねると、ルビーナは植物を枯らせる工作に回っていたと証言する。

 参戦はそれで遅れたそうであるのを、駆け付けたベルバラン本人から聞き出したのだそうだ。

 

「ふむ。オストマルク人にシャーマンが相手だったのか」

「手練れでした。しかし、植物の壁が枯れ果てると同時に、前後の車列が駆け付けると奴らは撤退しました」

「成る程」

 

 レディ・ガンダルの手勢は無生物のゴーレムが主体だからこそ、自らの損害を省みずに全滅するまで目的達成を諦めなかったが、どうやらこのオストマルク人達は自軍の数的な劣勢は自覚している様だ。

 つまり戦力が有限で、やられると代わりが存在しないって所だろう。

 

「全てを話していると夜が明けてしまうな。ルビーナ、就寝しなさい」

「まだ平気よ」

 

 夜も更けてきたのを考慮して俺は優しく諭したが、当の本人は子供らしく扱ったのに反発する。

 参ったなと困っていると、ルーペが「姫様」と口にする。

 びくんとルビーナの身体が震え、続いて有無を言わさず「ヤマメ、姫魔を送って行きなさい」との命令が響いて、呆気ない程素直に「おやすみなさーい」との挨拶と共にルビーナが部屋から退出する。

 

「魔法か」

「オートミールの朝食を食べたくないだけでしょう」

 

 あ、そう言う事だね。

 不味いが栄養価の高いオートミールの朝食攻撃は、俺も昔、ティルにやられた事がある。

 

「さて、姫が居なくなったから続けるが、さっきの話は本当か?」

「はい」

「何て事だよ……」

 

 それはさっき、耳打ちされた内容である。

 ルビーナは処女喪失しており、それも相手は黒いベルバランらしいのだ。

 

「間違いないのか?」

「姫様は否定してますが、恐らく……。初潮も来ていないのに、あそこが血塗れになるなぞ、有り得ますか」 

「……無いな」

 

 やはり、幾度か目の襲撃で保護した際、局所からの出血が見られたのだそうだ。

 真っ赤な下着がその証拠だ。

 その時、ルビーナを保護していたのが黒いベルバランで、二人切りになる機会がかなり長かったらしい。

 当然、その時に乱暴されて処女喪失した可能性がある。

 

「くそっ、ロリコン騎士め!」

 

 どうせなら身内、あのエトワール・プティットを相手にしろよ。

 ルビーナと同年代らしいだからさ。

 

「姫様の方から、黒いベルバランに迫った形跡もありますが……」

「ルビーナからかよ」

 

 その視点は欠けていたが、後から考えると至極まっとうな考えだった。

 思春期の女の子なら、恋の一つ二つは経験する年頃で有り、何度も何度も危険を救ってくれた怪人がその恋愛対象になるのも、そうおかしくはないのでは無いか?

 

「とにかく、その報告をまとめて出してくれ」

 

 当然ながら電子媒体では無く、直接、紙に打ち出された資料である。

 改変されてはたまらないからね。

 

「ああ、それと思い出した事があります。

 これも既に報告済みなのですが、多分、改変で本国には届いてないと思われますので」

「何だ?」

「オストマルク人の名前です。殿下には聞き覚えがあると存じますが……」

 

 侍女長が口にした名は、俺を打ちのめした。

 

「バク・ラリアード、ガン・マグナム、マグ・アンドロメダだと?」

 

 それはもう忘れかけ、二度と聞く事が無いと思った連中の名前だったからだ。

 

 

〈続く〉 




約2,300文字。

締め切りを大幅に破ってしまった。
難産でした。本当は処女喪失やバクたちの事は隠して、もう少し話を延長する予定でしたが、「このままでは話が遅々として進まない」と決意して改稿したからです。
書き直し三回。
果たして、その真相は?
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