ベガ大王ですが、何か?   作:ないしのかみ

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ヤーバン獅子帝怒る。
大魔神が暴れ回るのを想像して下さい(笑)。


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「ズリル。どう思う?」

「デューク殿下以外には、我が星に好意を持っている者は少ないですな」

「その王子様に、ぼくは目を付けられたらしいね」

「ヤーバン人め、ですか」

 

 歓迎の宴の後、俺はあてがわれた部屋へと引っ込んでズリルらを呼んだ。

 先程のパーティの件もあるが、それとは別にヨナメが存在があった。

 それは情報収集の為である。ヨナメの言が本当だとすれば、彼女はフリード星の裏事情に詳しい筈だからだ。無論、彼女の今後の処遇についても話し合う必要もあった。

 

「殿下はフリード星人が、ヤーバン人に対する感情を知っているのですか?」

 

 侍女服を纏ったヨナメが口を開く。

 

「心の底では見下しているのだけど、力関係が上なので口に出せないみたいだね」

「そも、フリード星とヤーバンの接触は二世紀前に遡ります。当時のヤーバン軍が発見した緑の星。それがこのフリード星でした」

 

 ズリルが歴史の先生みたいに語り出した。

 最初、ヤーバンはこの星に高度な知性体が居るとは認識していなかったらしい。ベガ星の如く、文化的に遅れた住民が暮らす未開星であると思っていたのは、惑星上の発展具合が極めて歪であったせいだ。

 未開拓な自然が多すぎる。だが、実際に地表に降り立ち接触すると、フリード星には高度な文明が存在しているのが判明した。

 

「ヤーバンの基本は未開惑星は植民地化。ある程度文明の発展している星は保護国化。そして高度な文明惑星は同盟国化が基本です。当時の大王は当然、同盟国化を希望して使節を送りました」

 

 その外交団には、当時の大王。後世では〝獅子帝〟とも名高いガイザーが自らが参加する程であったと言う。「しかし」とズリルは口ごもる。

 フリード星がヤーバン一行に取った態度は傲岸不遜であった。

 あらゆる交渉は自分達が上でもヤーバンが下であると屈辱され、傲慢にも「宗主国である我らに従うのが義務。ヤーバン人なんぞはゴミ同然」と放言された大王は、烈火の如く怒った。

 この王宮で怒りのまま暴れまくったらしい。

 これがフリード星人が言う所の『獅子帝事件』である。

 

 当然フリード星人も応戦したが、大王スーツで武装して超能力を操るヤーバン大王に敵う訳がない。しかも、獅子帝は第一級のエスパーだったのだ。

 王宮を脱した大王の命を受けたヤーバンの機動部隊が全星を包囲し、逆らう者は片っ端から撃墜された。そして、反陽子弾頭を備えた惑星弾道弾による絶滅作戦が宣言され、一触即発の事態を迎えたのである。

 ヤーバンの圧倒的な武力を見せつけられて、フリード星の態度は一変した。

 全面的に謝罪し、和平を求めたのだ。

 無論、一番の元凶はフリード王家なのだが、奴らは人身御供として当時の外交担当者を処断したのだ。

 

「奴らには言葉は通じない。力のみが立場を分からせる道だ。と獅子帝は言い残してますな」

「そんな歴史があったのか」

 

 命乞いをしてきたフリード王家に対し、当時の大王は腐ってもフリード王家の権威がまだ使えると認め、自治権は与えるものの、朝貢国としての臣従を強制する。

 以来、フリード星はヤーバンの同盟国として嫌々ながらも臣従する立場になったのである。

 

「当時のヤーバンには、まだまだ征服すべき星々が多かったからでしょう。フリード星に関わっては居られない事情もあったと推察しますな」

「フリード星人は心の奥底で、未だこの仕置きに恨みを持っています。表面上は従ってはいますが、一歩、裏側に回れば……。特に最近のテロンナ姫との婚約に反発は強まっております」

 

 ヨナメの言葉に俺は頷く。父は半ば強引に王子デューク・フリードの婚約者として、幼いテロンナ姫を送り込んだからだ。

 フリード星の王妃にさせてしまえば、フリード王家をヤーバンの傀儡に出来るとの目論見である。反発はあったが、これを否と退ける力はフリード星には存在しない。

 

「政略結婚の道具に使われる姉上が哀れだけど、救いなのはデュークが居る事だよな。

 姉を好いてくれているのは確かだ」

 

 義兄になるかも知れない男を、俺はそう評価する。

 

「姫様も彼を愛している様子ですからな。しかし……」

「彼もフリード星人ですからね」

 

 ヨナメは唾棄すべき事の様にフリード星の王子に評価を下す。

 そこまでフリード王家を、現体制を憎んでいるのか?

 

「さて、フリード星の事は脇に置いて、ヨナメ。君の事を尋ねたい」

 

 俺は彼女を真っ直ぐ見詰めた。そして「君はこのぼくにフリード星の体制を滅ぼす様にと言った。その理由を再度、問いたいんだ」と。

 俺は視線を隣の補佐官へと移し、「ズリル。君は何処までこれを知っている?」とも問い質す。

 場合によっては、補佐官解任も含めて対処も考えねばならない。

 

「妻が間諜であるのは知っておりました。しかし、この様な事を殿下に言い出すとは、全く予想はしておりませんでした」

「ズリルは悪くはありません。彼がこの地位に就いたのは偶然に過ぎないからです」

 

 ほぼ同時に二人の声が重なった。

 

 

〈続く〉




一般的に大王って強いです。
あんなパワードスーツ(しかもカスタムメイドで超強力)着てるんだから当たり前だけど、戦車大隊がやって来ても勝てるかも知れません。
おまけに獅子帝ガイザーはエスパーだから、エネルギースーツ着たナガト皇帝(『超人ロック』)が暴れ回ってる様なもん。…勝てるかーい!

ガイザーはヤーバンのサラディンみたいな英雄ってポジ。あ、テムジンやらチンギスハーンは、もっと昔のヤーバン大王に相当する人物が居ます(笑)。

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