ベガ大王ですが、何か?   作:ないしのかみ

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また、二千文字超過。
いかん、いかん。
今回、死者が多数が出ます。ネームドキャラも死にます。
ご注意下さい。

エータに関する裏設定は、活動報告の方へ『ベガ大王、エータに関する話』に書いてありますので、興味があるならご一読下さい。


27

 火星ロボ、もとい警備ロボの目玉(昔のアメ車のテールランプみたいな、砲弾型で飛び出している)がぎんっと光ると、がたがたと身を震わせて、ばたんと胸を開いた。

 お約束の様に胸の中には2門のレーザーガンが設置されている。

 

「危ないっ!」

 

 唐突にシャーマンが飛び出して来て俺の前に身を投げ出すのと、発砲が同時だった。

 悲鳴と共に焼け焦げた匂いが広がる。

 どさりとシャーマンが俺の身代わりとなって倒れ、もう一人の同僚が「ヨツメ!」と絶叫する。

 

「だ、男爵。認識ビーコンを持たぬ我らもっ」

「うわぁ、逃げろぉ」

 

 豚の取り巻き達が蜘蛛の子を散らす様に逃げて行くが、それを見逃す警備ロボでは無い。

 胸を彼らに向けると「ヒロピロピロ」とユーモラスな機械音を口から発して、無慈悲に射撃の的にする。

 

「止めろ、貴様の仲間も撃ち殺されてるぞ」

「ほほほっ、ワシを守れなかった無能なシティナーやハークの者共も死ぬがいい」

 

 俺の言葉を豚は無視した。

 こいつは部下をも人間扱いしていない。

 

「殿下、動いてはなりませんぞ。動体センサーで動きの速い者を優先して射撃している模様です」

 

 ブラッキーが叫びながら、懐から護身用のごつい拳銃を取り出した。

 ずびっとその銃口からレーザーが飛び出すと、一体の火星ロボが頭を爆散させて動きを止めた。

 しめたっ、耐レーザー装甲はなされていないらしい。

 俺はそれに光明を見いだして、そろそろと前進を続ける。狙いは、ああ、こいつだ。

 

「止めろ男爵。今すぐにロボを停止させるんだ」

 

 地面に転がっていたラッパ銃を手に取ると、俺はその馬鹿でかい銃口を豚へと向ける。

 火薬が湿っていないか不安だったが、今はこいつで脅迫するしかない。

 だが、男爵はにんまり笑いながら、小型のレーザーピストルを取り出した。

 

「にょほほほっ、その銃で当てる事が出来るのかのぅ。この距離で?」

 

 距離は約15m。

 レーザーやブラスターとかなら楽勝なんだけど、滑腔式の火薬銃だから確かに不安は否めない。

 唯一の救いはパーカッション式だから、フリントロック式みたいな発砲の遅延が生じない位か。

 

「よかろう、決闘じゃ、古来の…」

 

 お言葉に甘えて、奴の言葉が終わらぬ内に先制の一発を放つ。

 が、弾は見事に外れた。

 火薬式の先込銃なんて訓練してない者が、そうそう当たるもんじゃ無い。

 

「殿下っ」

 

 ヨナメが叫ぶと跳んだ。

 短距離だが瞬間移動である。俺を横っ飛びで抱えると再び、転移する。

 次の瞬間、豚のレーザーがさっきまで居た空間を薙ぎ払った。

 

「ウォォォッ、シャーマンめ!」

「違うけどね」

 

 声のした方へ首を向けると、テイルが豚男爵の手を捻子上げていた。

 ぼとりと落ちた銃を蹴飛ばすと、その懐からロボのコントローラーを奪って停止させる。

 

「助かった」

 

 俺はヨナメに礼を述べた。いつの間にか色違いだが、紫色したシャーマン族のコスチュームに身を包み、蛇頭の付いたサークレットをしていた。

 

「いえ、対応が遅れてしまいました」

「君もエスパーだったのか」

「擬似能力者です。このサークレットが無ければ呪術を使えません」

 

 とにかく、まず最初にやるべき事はヨツメの容体を確かめる事だ。

 二人のシャーマン。カナメとハツメが彼女を抱き起こしている。

 俺が近付くのに気が付いたのか、カナメが「殿下が来たわよ」と同僚に語りかけている。

 

「ご、無事で…」

「ああ、君は命の恩人だ」

 

 身体は撃ち抜かれていた。

 レーザーなので出血は無いが、ビームが左右にぶれた分、広範囲を焼き尽くしている。

 ヨツメは「良かった。殿下……、我々シャーマンの未……来を……」

 そこまで言うと、ヨツメはがくりと力を失って息絶える。高音が響いて身体が赤い光と共に消えて行く。

 衣装と装身具だけがそこに残った。

 

「ヨツメは殿下に感謝していました」

 

 遺品を手に取りながら、カナメが喋り始めた。

 

「初めて高位の者に人間として扱われた。民を慈しむ貴方を支え、何時の日か我々を解放して欲しい。それがヨツメが殿下を助けた理由です」

 

 カナメは嘆息すると「済みません。出過ぎた事を申してしまいました」と謝り、ハツメに「持っていなさい」と水色の額飾りを渡す。

 

「殿下。此奴をどう仕置きしますか?」

 

 ブラッキーの言葉に振り向く。

 縄で縛り上げたキラー男爵が無様に転がされている。そうか、この豚が居たんだった。

 

「死者は?」

「二十数人ですな。屋敷内の方には生きた者は居ますが、庭に出ていた連中は的にされていたエータを含めて全滅です」

 

 そう言えば、忍び込んだ時に当て身を食らわせた奴らが居たっけ?

 気絶してるから、動体センサーに引っかからずに済んだのか。

 

「警備ロボの攻撃範囲は屋敷の敷地内限定だな?」

「普通はそうです」

 

 ブラッキーの言葉に俺は安心した。流石にそこら中で暴れ回られたら困る。

 

「ブラッキー、ヨナメ、カナメ、敷地内の生き残りを外に運び出してやれ」

 

 それを命じて改めて庭を見回す。

 誤射を恐れたのか柵の外に留まっている群衆は既におらず、庭は停止した火星ロボと死体で満ちている。

 シティナーとハーク。

 見分け方は服装だが、ハークエの、ハークの方はエータと違って死体が残るんだな。と俺は改めて認識を新たにし、何やら呻いている豚男爵へ近寄った。

 テイルからリモコンを受け取って、俺は男爵の胸にあった認識ビーコンのバッヂをもぎ取った。

 

「これがお前の命綱か」

 

 暫く手の中で転がしていたが、それを思いっきり遠投する。

 庭の端にあった池に、バッヂは水音を立てて落ちた。

 

「ぼくらが屋敷を出た後にロボを再稼働させる」

 

 キラー男爵の目に恐怖が宿る。

 

「池に落ちた認識票を拾えれば、上手く行けば助かるかも知れないぞ」

 

 うーうー言いながら、首を激しく振って抗議するが知るもんか。

 俺は片手を挙げて、奴に別れ告げ、ハツメを伴ってそのまま屋敷を出るとスイッチを入れた。

 

 

〈続く〉




「それは何時生まれたのか誰も知らない。
 暗い音の無い世界で一つ細胞が別れて増えて行き、数多の生き物が生まれた。

 彼らは勿論人間では無い。また、動物でも無い。
 だが、その美しい身体の中には巫女の血が隠されているのだ。
 その生き物。それは人間になれなかった、シャーマン一族である」

とか『妖怪人間ベム』みたいな予告ですが、次回の舞台はシャーマン村です。
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