水着のお姉さんが農作業をしているけど、裏に回れば格闘術や体術で身体を鍛えるシャーマン達がちらほら。
あっちにはクナイを投げたり、麻を植えて、毎日跳んでる少女の姿も。
くノ一が集う忍びの里みたいな感じですかね。
ヨナメの格好は『ゴッドマジンガー』本編準拠です。
あの人とトドメは蛇頭のサークレット身に付けてるんだよね。多分、あれはハーク種の上級シャーマンとしての地位を表す物だと解釈してます。ハツメもその内付けるのでしょう。
ああ、今回も二千文字をオーバーした。
俺達はハツメを送り届ける為、シャーマン村の一つを訪れていた。
ハツメが出身の村で、このハークエ地区に点在する集落の一つである。
戸数は三十余りで大きくはないが、ヨナメによると平均的な物であるという。
都市の廃材か何かを材料にして建てられており、コンテナ改造の住居が目立つ。
「本当にシャーマンしか居ないのね」
テイルが呆れた口調で言う。
あの露出度の高い格好をしたお姉さんだらけである。顔立ちも背格好も似ており、何かのコピーで分身した様な感じさえ受ける。
良く見れば、成長途中の少女とかも居て、全てが同じでは無いのだが、育つと多分、見分けが付かなくなるだろう。
「シャーマン族はエータの中でも、シャーマンと言う特殊な分類の種ですから」
「つまり、製造過程がこのタイプに固定されているのか」
ヨナメは頷き、「身体能力、動体反応、感覚能力がその他型のエータと違って強化された種です」と述べる。
つまり、諜報や暗殺などの特殊用途用に特化しているらしい。そして女性しか居ないのは、つまり、夜伽などの特殊任務には女の方が都合が良いからだと言う。
「他にも擬似超能力が使えます。我々は呪術と称しておりますが」
「古文書に出て来るみたいな、古い言い方だね」
呪術か。太古の昔は超能力の事や、魔法なんかを一律そう呼んでいたらしいけど。
そう言えば『ゴッドマジンガー』を筆頭に、ダイナミック・プロ系の作品にはそんな力を使う輩が多いよなぁ。ピグマン子爵とか、デーモン族なんてもろにそれか。
呪術を仕えるから巫女、シャーマンなんだろうか。
「祖先がそう呼んでいたのです」
「祖先って?」
コンテナの床に敷物を敷いただけの室内で、ヨナメは語る。
シャーマン族は元々は別の惑星の住人だったらしい。遙か昔、フリード星の祖先に敗れ、隷属されて連れて来られた民族だったと言う。
「私やハツメの様な上級シャーマン、ハーク種はその民族の末裔です。
そしてエータである他のシャーマン族は、今のフリード星人が創造したエータとは別種で、呪術によって造られていると口伝が伝えております」
「ああ、だからハツメが最初にシャーマンとして気が付かなかったのね」
合点したとばかりにテイルが述べる。
ハツメはヨナメと同じく、オレンジ色の髪をして肌の浅黒い他のシャーマン族の特徴を持っていなかった。髪は濃い緑で目は赤く、肌は普通だ。
「はい。ハーク種は労奴。つまり、征服された民出身なのです。その中でもシャーマン族は特殊な生まれ、つまり呪術を操る力を持っているが故に、連れて来られたと考えられます。
フリード星人が我々上級シャーマンを必要としたからなのは、彼らの技術ではシャーマン族のエータを生み出せないからです」
「具体的には?」
「彼らの技術では、呪術を使うシャーマンが創造出来ぬのです」
超能力か。
確かに人造的にエスパーを生み出せるクローン技術は確立されてはいないし、有機アンドロイドもまだだろう。
そんな物の量産が成功してたら、ヤーバン軍は各地にエスパー戦隊を派遣しているって話になるし、ガイラー戦線で苦戦もしてないだろう。
「無論、我らもこのサークレットが無いと呪術は使えません。しかし…」
「ヨナメ様、村長がおいでになりました」
唐突にハツメの声がした。
この客間、と言うには貧相だがの入口に上級シャーマンらしき老女が立っていた。
流石にあのシャーマン族の水着では無く、服装は貫頭衣だが、頭にヨナメと同じ蛇頭のサークレットを填めている。
縄のれんみたいなじゃらじゃらする調度品をかき分けて入ってくると、老女は俺に一礼する
「この村の長、トドメと申します」
「ヤーバン星王太子、ベガだ」
互いに挨拶を交わす。意外に声には若さがある。
ハツメは俺の言葉に驚いた顔をしていたが、長の方は顔色一つ変えずに「噂はヨナメ様より聞いておりました」と告げる。
ここは親ヨナメ派の村なのだろう。
「この度は、ハツメを助けて頂き、感謝致します」
「結果的にだよ。もしかしたら、見殺しにしたのかも知れない」
その可能性はないとは言えない。もし、豚の手下が屋敷へやって来なかったら…。
しかし、トドメは「結果的に助けて頂いたのは変わり有りません」と頭を下げた。
「ハツメはこの村で唯一の、若き上級シャーマンなのです」
「両親は? って、ぼくはシャーマン族がどうやって増えるのかは知らないけど」
「母は死亡しております。その後、このトドメが母親代わりになって育てておりました」
上級シャーマンを含めたハーク種は自然分娩、つまり、普通に男女がまぐわって生まれるそうだ。もっとも、シャーマンの子はシャーマン。つまり女しか生まれないので、別の村の男と関係を持つ必要がある。
だから、年頃になった上級シャーマンは子供を産む為に旅に出るそうである。
ハツメがあの屋敷に居たのも、その旅の最中であったらしい。別の街に居を構えて、さぁ、これから伴侶捜しと言う矢先であった。
中学生程度の若い娘が早すぎと思うんだけど、成人の基準が違うんだろうな。
日本だって昔なら、13歳程度で元服して大人ってのは珍しくないからね。
「伝承では別の村を襲って女は皆殺し、男は奴隷にして精を搾り取ったと聞きますが……」
トドメに代わってヨナメが付け足す。アマゾネスみたいな行動だな。
無論、今では無く、別惑星での話らしいけど。
「エータは呪術で生まれます。つまり、成人になったエータに〝孕めよ〟と上級シャーマンが念じれば、自然にシャーマンのお腹に子供が宿るのです。
この〝孕みの儀〟、出産して増えるのは工場で生産される他のエータと異なる特徴です」
つまり、上級シャーマンがキーになって、シャーマンにクローンみたいに単性生殖を促す訳か。
女性タイプである必要もここにあるのかな?
「その課程で超能力が使えるのか」
「原理は不明です」
そう語るヨナメの顔を見ながら、じゃ、ズリルJrって女の子なんだと俺は思った。
確か『グレンダイザー』原作じゃ息子であった筈だけど、シャーマンの子はシャーマンだって原則から行くと、そう言う結論になる。
「で、話を進めても良いですかな、殿下」
「ブラッキー」
「キラー男爵の屋敷での事件がどうなるかで変わってきましょう。目撃者は多い、シャーマンが関係している事は既に官憲に報告されていると思った方が良いでしょう」
まぁ、見物人も居たし、生存者は助けてしまったからね。
ブラッキーは口封じすべきだと主張したけど、俺はそれを却下していた。
あの豚と同じにはなりたくは無いからな。
「間もなく手が回ると考えた方が自然です。さて、殿下、我々はこれからどうすべきか?」
〈続く〉
エータを人造生命体だと書いたら、友人曰く「アザドー※だ」と言われてしまった。
こら、シャーマンのサークレットがアザドーのジャルンに見えて来るから止めろ(笑)。
※アザドー。
佐々木淳子『那由多』に出てくる人型クリーチャー。
頭にジャルンと呼ばれるサークレットを付けていて、これを外されると砂の様に崩壊する。当初は異星人かと思われていたが、後に合成生命体である事が判明する。