ベガ大王ですが、何か?   作:ないしのかみ

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ちなみに光量子やベガトロン関係のお話は『グレンダイザー』での設定じゃなく、本作オリジナル設定です。

本作ではベガトロン鉱石発見以前のヤーバン軍は、大出力エンジンの力業でワーブを行って恒星間を跳躍していました。
反物質エンジンとか光子力エンジンを使っていたのですが、ベガトロン鉱石発見で遙かに小出力の核融合炉でもワープ可能になってしまいました。ビバ、触媒!



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「そう言えばテイル。君の兄さんの事だけど…」

 

 俺が口にした途端、彼女が露骨に顔を歪めた。

 いや、『そんなに嫌うなよ』と心中で呟いたが、テイルはくるりと後ろを向いてしまった。

 

「兄に関しての事は聞きたくありません」

「それは個人なら許されるが、侍女長としては職務怠慢だぞ」

 

 横から口を挟んだのはズリルだった。

 テイルははっとして振り返ると、「はい、補佐官」と口ごもりつつも、縦ロールになっているポニーテールを揺らして頭を下げた。

 

「済みません。感情的になっていました」

「……続けていいかな?」

 

 俺は報告書を取り出して要点を伝える。

 調査に入ってから二ヶ月。かなり頻繁に行方をくらます困った人だが(と言うか、現場に顔を出すのは殆ど無く、やって来るとしても重役出勤だ)、上げられた報告書は立派な物だった。

 

「例のクリスタル。光量子エンジンだと思われる物は、今、観測機器に接続されて調査が進行している。これに付いて、興味深い事実が見付かったそうだ」

「ああ……、特殊な揺らぎが発生するあれですか」

「意外だな。知っていたのか?」

 

 テイルはそっぽを向きながら「兄の研究の事は大体、知っています」と返答した。

 実は彼女、最近、良く休暇を取る様になっている。密かにツインのサポートをしているんじゃないかと疑っているんだよ。

 嫌いと公言しているが、『もしかして、実はお兄ちゃん子のツンデレじゃなかろうな?』との疑惑もある。

 

「短時間だけど次元振動が見られる様だ。もしかしたら、エネルギーの元は別次元で発生させるエントロピーをかすめ取っているのかも知れないと報告にある」

「とんでもない技術ですよね。出力的に限界があるとは言うものの、半永久機関ですし」

 

 そうなんだ。

 恒星間宇宙航法に常温核融合とか、今の技術力も21世紀の地球から見りゃ、凄まじいの一言に尽きるけど、これってそれ以上のテクノロジーなんだ。

 だって如何に進んだヤーバン星の科学力でも、動力源に燃料は不可欠だからだよ。

 基本的に今でも普通の動力は核融合炉だからね。もっともベガトロン鉱石のお陰で、その効率は遙かに向上している側面はある。

 一時期、ヤーバンも『マジンガーZ』で有名になった光子力エンジンとかにも注目した事もあったけど、ベガトロン鉱石の発見が全てを変えてしまった。

 

「もしかしたら、ベガトロン鉱石発見以来の革命になるかも知れないな」

 

 ベガトロン鉱石は放射性触媒だった。核動力用の燃料(ウランとかね)に添加すると出力が爆発的に増幅されるのみならず、ある特殊な現象を引き起こす。

 次元振動だ。

 ワープなんかの恒星間航行はある意味、次元の壁を越えて通常空間を跳躍するんだけど、ベガトロン鉱石はこの現象を容易にしてくれる性質があるんだよ。

 それまで出力的に膨大なエネルギーを注ぎ込んで次元に穴を開けていたのが、ベガトロン鉱石を利用する事により、それまでの数分の一、いや、この次元振動を利用する事で十数分の一程のエネルギーで、ワープが可能になってしまったんだよ。

 

「ベガトロン技術と組み合わせる事は不可能ですよ」

「まぁ、こいつは核融合を使ってる訳じゃ無いからね」

 

 ヤーバンの動力炉が極めて小型なのに高出力なのは、全てベガトロン鉱石の効果だ。しかし、如何にベガトロン鉱石でも、核動力とは全く異なる機関の出力を増幅は出来ない。

 だが、この光量子エンジンにも次元振動現象が見られるのなら、同じ様にワープに多大な影響を与えられる可能性が存在するって事になる。

 

「もっと研究が進めば、夢のエンジンの原型になれるかも、だな」

「謎の原理が発見出来れば、ですけどね」

 

 テイルは夢の無い事を言う。「シビアだね」と問いかけると、「私は兄と違ってロマンチストじゃ無いんです」との言が返ってきた。

 

「取りあえず、あれは遺跡内から研究施設へと移す。

 やはり遺跡内部では、各種測定機器を設置するのが煩雑だからね」

「兄は反対してましたけどね」

 

 移送に当たっては遺跡が傷付くとの意見もあり、反対理由はそれだろう。

 俺は移送に許可のサインをしたためようとペンを取ると、傍らにズリルに尋ねる。

 

「マザーバーンの建造進展は?」

「順調です。ただ、機関の手配がまだ目処が立っておりません」

 

 ふと思い付く。いや、いささか乱暴なんだけどね。

 

「いっその事、マザーバーンを光量子エンジンの実験艦にしてしまおうか?」

「なん……ですと」

 

 機関が空っぽなら、据え付ける手間だって難易度は高くないだろ。

 ズリルはポカンとした顔だったが、やがて「正気ですか?」と問うて来た。

 

「無論、海の物とも山の物とも知れない動力をメインには使わないよ」

 

 メインはあくまでベガトロン核融合炉。その補助として搭載しつつ、各種実験を行って行くつもりだ。

 だって、今の所、俺が使える大型艦ってマザーバーンだけだからな。

 

「予備エンジンとして搭載ですか。確かにサイズ的には、それ程の容量を食いませんが」

「結構。そのプランを任せるよ。ズリル」

 

 俺はそう言うと、中庭から宮殿へと歩を進める。

 テイルとハツメが俺の後ろに続き、屋内に左右に並んだ侍女達が傅いている。

 

「新顔が増えたね」

「余り、気分は良くありませんね」

 

 侍女長の不満も分かる。増えた分の新入りは彼女の指揮系統下にあって、半ば独立した存在であるからだ。

 横長の虹彩に橙色の髪で判別出来る。こいつらシャーマンだ。

 シャーマン服こそ着てないが、ヨナメの配下だろう。

 暗殺事件を受けたズリルの手配だろうけど、子飼いの部下でない分、テイルとしては扱いに困るんだろうな。 

 

「湯浴みの用意を」

「はっ、テイル様」

 

 しかし、新顔の侍女達はテイルの命令に、それでも表面上は逆らわない。

 水面下では色々あるんだろうかと思いつつ、俺は浴室へと向かう。

 まさか歩いてる最中にも侍女が寄り添って、着衣を一枚ずつ脱がして行く、映画みたいな非現実の出来事を経験出来るとは思わなかったよ。

 パンツ一丁になる。流石にこれだけは自分の手で脱ぎたいからな。

 

「これも姉上のセンスなんだよな」

 

 フリル一杯の下着を脱いで籠へ入れる。

 テロンナ姉様が選んでくれた下着類も女物に近い物が多い。

 融合前は気にならなかったけど、地球の男性的な感覚から言えば〝男が着るもんじゃねー〟的な、フリルとか装飾の多い、恥ずかしい類いのデザインが多い。

 まぁ、気にせず着てるけどさ。似合ってしまう所が今のベガだからね。

 

「今度ツインに聞いてみるか」

 

 かけ湯で汗と白粉を流しつつ、ふと呟く。

 奴も男の娘だけど、どうしてその格好をしているのかをだ。

 ベガ王子の場合、姉様が俺を着せ替え人形的にいじり回した結果、こうなったし、また、宣伝目的の為にこの姿をアピールする事で対外的なイメージ造りの武器としたが、ツインの奴は無論、そんな経緯からあの格好をしていない筈だからだ。

 

「何をですか?」 

 

 湯気の向こうから問うて来るテイル。

 無論、もし何かあったら責任問題なので、侍女は湯浴み中も湯殿に待機しているのである。

  

「いや、何でも無いよ。そう言えば、姉上専用機が建造中だって話を聞いてないかい」

 

 俺は話題を変えた。

 だって、ツインの事を出すとテイルの機嫌が目に見えて悪くなるんだもんな。

 テイルは「ああ、テロンバーンの事ですね。話は伺ってます」とか、俺の方向ずらしの話題に乗ってくれた様子だった。 

 俺は安堵しつつ、そいつを肴にテイルとの会話をやりとりしつつ、ゆっくりと湯船で疲れを癒やすのだった。

 

 

〈続く〉 




ベガのパンツは、ショーツと言うよりアンスコです。
ビスチェやらペチコートと言った下着類も着ますけど、BL男の娘漫画みたいなブラは、流石に胸が無いからしてません(笑)。

今回、約3,000文字か。1,000文字近く分量オーバー気味なのは駄目じゃん。
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