ベガ大王ですが、何か?   作:ないしのかみ

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今回の作業用BGMは『提督の決断Ⅲ』から「防空戦」です。
敵機に空襲されるゲーム的には嫌な場面なんだけど、何故か、このOSTは好きなんだよね。まぁ、いつも太平洋艦隊だから、こちらは滅多に襲われないんだけど(敵の航空戦力は、反撃不可能なのを良い事に空撃範囲20+に改造したP38とベンチュラの長距離夜間攻撃で虱潰し!)。


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「あの輝き……。あれも古代文明の何かだな」

「へぇ、おたく、ああ言うのに詳しいんだね」

 

 アラーノ中尉の独り言にゴルヒ・フォックが物珍しそうに尋ねた。

 中尉はしかめっ面をしながら、「詳しい訳ではないが職業柄、あの手合いに遭遇してるからな」と答える。ああ、それはバトルホークの事だな。

 

「テイル殿の方が専門家だ」

 

 しかし、話を振られた方は、ぶんぶん首を振って否定する。

 

「専門家は兄の方です。あたしは聞きかじった門前の小僧に過ぎません」

「そう言えば、ツインには最近会ってないね。余り現場にも顔を出さなくなったらしいし……」

 

 俺の言にテイルは「何処かをほっつき回ってるのでしょう。あれは鉄砲玉です」と、うんざりした顔で吐き捨てる。

 では「門前の小僧で構わないから、君の意見を聞きたい」と告げると、テイル・テールは侍女長の顔を取り戻し、「私見ですか……」と語り出した。

 

「あの額の宝玉の輝き。あれは恐らく古代文明の産物です。

 我々が今まで目撃した遺跡や、光量子エンジンのクリスタルと同じ種類の光を持っていました。バトルホークの斧も同様です」

 

 うん、凄い輝度だった。

 俺が最初、あの怪人がアステカイザーだと気が付かなかったのは、原作に比較して輝きが異様に強かったせいもある。

 原作の宝玉。〝アステカの星〟はキラキラ輝く所か、黒ずんで目立たなかったからね。

 

「それと彼が口走った。古代アズテクの勇者ですが、心当たりがあります」

「それは?」

「古代文明の一つにアズテク帝国というのがあります。既に滅び去っていますけど」

 

 テイルによるとその物ずばり、アステカ星と言う惑星があるのだそうだ。

 今はヤーバン軍に占領され、単なる資源開発惑星になってしまっているが、元々は原住民が居た星で、かなり初期にヤーバン軍によって〝教化〟の洗礼を受けた星らしい。

 

「歴史の教科書に載ってるかと思いますよ。ヤーバンの総督、ゴルデスが征服した星の一つです」

「死神だな。インガ、マーヤンとかカーリブ星域を荒らしまくった私掠提督」

 

 ゴルデスは私掠船を率いて、宇宙を荒らし回った海賊の親分だ。

 私掠船とは国家に免状を貰って海賊行為を働く無法者で、自国以外の相手なら掠奪しても構わないと国家に認められている。その代わり、挙げた利益の幾割りかは国家に納めねばならない。

 

 ヤーバンが宇宙へ雄飛した時代。大王はこの私掠船制度を大いに利用して、勢力の拡大を図ったのだが、その中でもゴルゴス・ゴルデスは悪名高い存在であった。

 大船団を率いて文明度の低い異星に押しかけ、武力や策略を用いてヤーバンに〝教化〟臣従させると言う、かなり強引な手を使って宇宙を征服して行ったのだ。

 中でもマーヤン族を〝防疫を忘れて、うっかり疫病で全滅させてしまった〟とか、その非道なやり口から死神と恐れられた男である。

 

「その占領されたアステカ星にあったのが、アズテク帝国です」

 

 当時の占領政策は野蛮である。正規軍が充実してなく、国家としての基盤が弱い為、現地で暴走する総督達の勝手な行為を統制出来なかったのだ。

 現地の事情なんか一切考慮に入れない。占領したら掠奪はし放題。根こそぎ奪われるのは日常茶飯事だった。

 当然、貴重な古代遺跡なんかも、学術的な物よりも財宝としての価値の方が優先され、破壊、盗掘されてしまう事が多かったらしい。

 

「それで、アズテク帝国に関する資料とかは残っているのかい?」

 

 俺の危惧は当たった様だ。テイルは残念そうに「殆どありません」と首を振る。

 ただ僅かに残された文献とかを解読すると、古代のアズテク人は宇宙からやって来た民であり、その中で、〝アステカの星に認められた勇者が超人として悪と戦う〟との記述があるのだそうだ。

 

「バトルホークと似ているな。あっちも古の勇者だった筈だ」

 

 確か古代シャスタ族だったかな。

 シャーマン族の傍系か、近隣部族ではないかと見当を付けて調査中だけど、未だ確証は無い。

 

「出身星は違いますけど、恐らく、同系統の超人であると思います」

 

 しかし、そんな珍しい存在が二つ。立て続けに俺の、ベガ王子の前に現れるのは何故だ。

 偶然か?

 

『いや、何かの思惑が働いてるんじゃないか?』

 

 そんな時、消していたモニターから警告音が響いた。

 緊急の文字が映るが音声のみだ。

 中尉が咄嗟にコンソールを操作すると「助けて、兄さん」との女性の声が響く。

 

「ハーラ少尉か!」

「奴ら、正体を表したわよ。現在、交戦中!」

 

 爆発音が響いている。確か、ハーラはウエスターマルクの代表団に向かっていた筈だったな。

 中尉は「よし、今行く。持ちこたえろ」と答えて通信を切ると、慌ただしく立ち上がる。

 

「ハーラ少尉の救出に参ります」

「部隊は多めに連れて行けよ」

 

 しかし、アラーノは「時間優先です。援軍は後で送って下さい」と言い残すとダッシュした。

 が、何故かその後ろを追っかける馬面。何で?

 

「付いて来るなっ」

「あたいだって軍人だぞ。足手纏いにゃならないよ」

 

 まぁ、味方は多い方が良いよな。

 ちらりと俺の方を向いたゴルヒ・フォックに、おれは認めるとばかりに頷き返した。

 

「さっきは民間人だと強弁したろう」

「さっきはさっき。今は今!」

 

 ゴルヒがにんまりと笑うが、中尉は時間が惜しいとばかりに無視して室外へ出て行く。

 俺は二人を見送った後、「テイル!」と叫んだが、すでに彼女は軍の方に手を回していた。

 

「ここの一個中隊に出動を命じました。15分で出発出来るそうです」

「ご苦労」

 

 お前、本当に有能な秘書だよ。

 

「ウエストマルクの代表団。やはり、ワルガスダーの工作か何かだったのかな?」

「こればかりは、推測以外の何でもありませんから」

 

 そうなんだよな。

 全ては中尉達が帰還するまで不明って事だ。いや、ハーラ少尉が無事であればいいんだけど。

 

              ◆       ◆       ◆

 

 

〈続く〉 




ゴルゴス・ゴルデス。
うっかり? いいえ、邪魔な住民を一掃する為の確信犯ですよ。悪辣です。元ネタのコンキスタドーレス並にね。

別に岩に九つ人面が嵌まった怪人じゃ……でも、そっちの方が面白かったかも知れないな。
待てよ。某悪人軍団のヒトデヒットラーみたいに、ベガに退治されるワルガスダーの怪人とでも設定すれば……(石森ワールドに入るから駄目です。笑)。
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