ベガ大王ですが、何か?   作:ないしのかみ

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ベガ、お見舞いする。
内政はまだ先……。まずは足場固めに忙しい。


6

 俺はガンダルの病床を見舞っていた。

 病室はレトロな俺の居室と違って(何せ、扉だって手動だしな)、近代的な造りであるが、その分だけ無機質だ。

 余りにも殺風景だから、花束なんかを持参して飾り付けてやったら、ガンダルがおいおい泣いて喜んでいるの。いや、大袈裟なんだけどねぇ。

 

「半身が反逆者であった私に……」

「もう良い。君は僕に忠誠を尽くしてくれるなら、今までの不正を水に流そう」

 

 ガンダルは感涙している。

 そこで俺は話題を変えてみた。「ガンダル。ぼくの夢に付き合わないか?」と問うてみたのだ。

 

「夢……ですと?」

「君は今のヤーバンをどう思う?」

「偉大なる大王の威光が宇宙全体に広がり、あまねく世界を支配せんと陽のが昇る如く、星々を平らげ、偉大な帝国として君臨する……」

 

 通り一遍のお題目だな。

 俺は嘆息して「その大帝国を、ぼくが掌握する為にはどうしたら良いと思うか?」と尋ねた。

 

「それは…」

「世辞は良い」

 

 寝台から身を起こしたガンダルは沈黙した。

 俺は笑いながら「現状では難しいだろうね」と続け、中央へ打ってでるには実力不足であり、何の後ろ盾も無く、実績の無さから軍部も掌握出来ていない事実を淡々と述べた。

 ガンダルは沈黙を続けたが、俺の話が途切れた際に「では……」と口を開く。

 

「王子はヤーバン中央へ返り咲くお気持ちがあるのですな?」

「ああ。だが、その中心はヤーバンでは無い」

 

 俺は一旦、言葉を切ってから「それはこのベガ星だ」と告げる。

 ヤーバン本星での権力掌握に関しても当然工作は続けるが、既存の勢力を墜とす事は足場が無いに等しい俺では限界がある。

 それよりも、まずは自分が自由に振る舞える環境にあるベガ星の力を強め、勢力を拡大しようとの目論見である。

 

「この田舎惑星をですか?」

「潜在的なポテンシャルは高いぞ。ヤーバン中央は産出される放射線物質、ベガトロン鉱石にしか興味は無いみたいだけどね」

「はぁ」

「それに、今のぼくにはこの星しか無い。此処を足がかりにするより、方法が無いんだよ。

 まぁ、いきなり父上に制圧軍の指揮権を寄越せってねじ込んで、軍団……いや、師団の指揮官から始めるって手もあるけど、それは殆ど却下されそうだろ」

 

 大まかにヤーバン軍の編成は外征部隊である制圧軍と、属領を防衛する地方軍に大別される。

 外征軍。まぁ、侵略専門部隊だね、は軍の花形で、未だヤーバン大王の威光に触れていない〝蛮族の住む未開な惑星〟をヤーバンに組み込む為に派遣される暴力装置だ。

 対して地方軍は、田舎の軍隊と馬鹿にされるが、要するに制圧した星系の防衛部隊だ。近隣にヤーバン軍に対抗する勢力が少なくなった昨今、規模は余り大きくないのが多い。

 一応、ベガ星の地方軍は俺を最高司令官としており、指揮権も持っているが、外征軍に比較すれば内容は貧弱極まりない。

 

「いきなり外征軍の指揮権。それは確かに……」

「だろ。実績も何も無い王子が、単に我が儘三昧に要求したと侮られるし、実際の指揮権も現場の将官が渡さないだろうね」

「ブーチン様の二の舞を踏みたくないと、お考えですな」

 

 俺は頷いた。

 弟は外征軍の指揮権を要求し、父であるヤーバン大王は経験を積ませる為にそれを認めたのであるが、余り上手く行っていない。

 各戦線では勝利を重ねてはいるが、実際は優秀な幕僚達によって、何とかボロが出ない程度の実力でしか無く、事実上は将軍の玩具ではないかと俺は勘ぐっている程だ。

 

「前線のエピソードは伝わってくるが、道化だよ。あれは」

 

 乾坤一擲、敵旗艦に突入し、白兵戦で無類の力を発揮したとか、キャブ付きで紹介された事があるが、敵の大将の首を掲げて笑ってるのは単なる野蛮人だろう。

 大体、宇宙で火薬砲ぶっ放すスペースオペラじゃあるまいし、艦隊戦なら砲撃とか艦載機戦で勝負を付けるもんだ。UFOにソロン攻撃するのは氷河戦士だけでお腹一杯だよ。

 肝心な艦隊戦はこっちが全滅寸前になって、破れかぶれで敵旗艦に突入して逆転勝利とか、単なる幸運に過ぎないだろ。

 ヤーバンは蛮勇に対して高評価するから、国民的には受けが良いんだろうけど、俺だったら更迭するぞ、〝一将成って万骨枯る〟みたいな司令官。

 

「王子の夢、それは自身が大王へおなりになる事ですな」

「ああ。協力を頼めるかな?」

「不肖、このガンダル。殿下の為に忠義を尽くしたく思います」

 

 うん、取りあえず片腕の一人は確保したぞ。

 さて、次は奴だけど、どうやって呼び寄せようかな?

 

 

〈続く〉




どうでも良い裏設定。

宇宙で火薬砲ぶっ放すスペースオペラ。
『銀河戦国群雄伝ライ』
宇宙で普通の火薬式大砲を撃ち合い、接舷した敵艦へ移乗戦闘する凄まじい作品。どこのフラーケ族や九鬼水軍だ、おい(笑)。
『銀英伝』のローゼンリッターも真っ青だぞ。
氷河戦士。
『氷河戦士ガイスラッガー』
「ソローン」の掛け声で、UFOにラムアタックをかけて船内内部で暴れ回るサイボーグ達(含む、犬一匹)。
『銀英伝』のオフレッサーだって敵わないぞ(多分)。
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