たかたったかたたーん、たかたったかたたーん♪
たったったたーん♪
たかたったかたたーん、たかたったかたたーん♪
とミニフォーが飛んで来そうなBGMを背景に、ベガ王子、内政へ。
ガンダルが回復するのに一週間かかった。
その間、俺は自分が出来る範囲で政務を精査する。
すると出てくるわ、出てくるわ。俺が不在なのを良い事に不正を貪る木っ端役人達が。
「ガンダル」
「はっ」
「こいつらの中で、使える奴と使えない奴を選別しろ」
俺は資料の束をパンと叩いて命令する。
そして追加で「使えない奴でも、忠誠心がある様な奴なら見逃せ」とも伝える。
使えない奴でも忠誠心は貴重だ。無論、配置換えは前提だが、忠義無きクズ野郎と違ってこいつらには使い道はある。
清濁併せ持つと言う表現ならカッコイイのだが、差し当たって俺には人材が無いのだ。問題がある奴でも一掃してしまうと組織が回らなくなってしまう。
「使えなくて、かつ忠義心の無い者は?」
「ベガ星から追い出せ。残留して置くだけでも害悪になる。
命は取らない慈悲を持って対応してやれ」
ベガ星と言うか、ヤーバン全般が専制国家で良かったよ。しかし、流石に処刑とかはやり過ぎなので、俺はそれを思いとどまった。
いや、連座制度で一族郎党死刑とかも有り得るんだぜ。本当に。
民主政治とかなら考えられねえな。
意外に思ったのか、ガンダルは「殿下はお優しいですな」と口を濁した。
確かに父上やブーチンだったら、有無を言わさず極刑だろうよ。
「それとガンダル。お前の片割れが行っていた不正だが……継続しろ」
ガンダルは目を見開く。
俺は片手で水晶色の髪を掻き上げ、「但し、その利益はベガ星の為の隠し資金として使わせて貰う」と説明した。
「ヤーバン本国に悟られず、気兼ねなく使える資金ですな?」
「分かってるじゃないか」
俺の使える予算は限られている。
辺境惑星一個分だけあって全体的な資金は多い。確かにのんびり静養し、豊かで贅沢な隠居生活をするだけなら充分すぎるお金である。
だが、ヤーバン全体を掌握する支度金として考えれば、はっきり言って少ないのだ。
公共投資にせよ。軍事に費やす費用としてもだ。
「あくどい方法だけどね。私利私欲の為に使う金じゃ無いぞ」
「承知しております」
「まだ弟が油断している間に、軍備を整える必要があるからな」
元々、弟は次期大王を狙っている口であるが、今までは俺の存在を無視出来る物と高をくくっている。しかし、もし、俺が動き出したと知ったら、近い内にブーチンが俺に手を出してくる事は想定せねばなるまい。
「今のベガ軍の戦力は?」
「戦闘円盤125隻。地上戦力は警備大隊三つです」
「稼働率は低そうだな」
警備大隊は治安維持用だから、もしブーチンと戦闘になったら殆ど役に立たない。
「旧式機が中心ですから」
「リニューアルするのにも金が要るだろ?」
戦闘円盤も数だけ多いが、内容は前線から引き上げられた中古や旧式ばかりである。
「リニューアル? 新型機の導入には本国の許可が……」
「ベガ星の工科大学を動員する。新型機を作らせるんだ」
ガンダルの顔が呆然とする。その発想は無かった様だ。
「む、無謀では?」
「調べたけど、この星の技術力は高いぞ。意外な発想が転がっている」
俺はコンソールを操作するとベガ星工科大の論文を映し出した。
獣の動きを再現し、AIによって自立行動する斬新な発想の円盤を提案する論文だ。
「名付けて円盤獣ですか」
「なっ、面白かろう?」
俺は太鼓判を押した。だが、その記事を発見した時、小躍りして喜んだのは秘密だ。
その記事を書いた者。
工科大の学生でズリ星からの留学生、ズリルの名を。
〈続く〉
案外早く、ベガ王子の両腕が揃いそうです。
専制政治って怖いね。
三権分立を原則すら無視。越権で介入出来るのが王族の特権なんだろうね。
さて次回、オリジナルキャラが登場予定です。
と言っても侍女役。ブーチン程重要な役割ではありません。
だってガンダルはやって貰う仕事が多いので、ベガの秘書は別キャラ担当にしなきゃ、効率が悪すぎるのです。