ベガ大王ですが、何か?   作:ないしのかみ

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今回の作業用BGMは『大鉄人17』から「オー!!大鉄人17」です。
ブレインロボットとの戦いみたいな描写を早く描きたいなぁ、と思いながら聴いてます。本編ではハスラー教授のファンでした。
背中に「B-58」と入れて、デルタ翼の四発爆撃機をシルエットにしたマントを羽織った怪人(無論、科学者です)を、何とかハスラーと言う名の教授にしてPBMの自キャラにしたいなぁと考えた事もあったなぁ。無論、「オーノォォ」とか大月ウルフみたいなインチキ外人調で喋って、動作もオーバーアクション(笑)。


71(閑話)

 

              ◆       ◆       ◆

 

「ベガが拉致されたそうですね?」

「面目次第もございません」

 

 ルビー星の宮殿でテロンナ王女は報告を受けていた。

 彼女は平謝りするブラッキー准将へ、「こちらのミスではありません。守り切れなかったのはベガ星軍の責任です」と語って彼を慰める。

 

「ウエストマルク大使館事件のせいで手薄になっていた様です」

「護衛も後手に回ってしまいましたしね」

 

 テロンナは続けて「ベガ星軍の方の対策は?」と尋ねる。

 大柄の武官は顔を上げて「追撃に入った模様ですが、ワルガスダーの妨害が顕著らしいですな」と答えた。探索に出た艦艇が襲われているのである。

 

「自分達が狙われる立場になっているのを気が付かなかったのは、ベガの責任です」

「姫様。それは余りにも……」

「厳しいですか?」

 

 ブラッキーは厳しい御方だと改めて思うが、それがあるが故に今ままでこの星を統治出来たのだ。ややあって、「例のフリード星での事件ですな」と告げる。

 十数年前に留学中の姫様が拉致された事件だ。黒幕はフリード星貴族。

 

「自分に当て嵌めるとそうなりますね」

「あの時、経験不足なのは、自分もそうでありますが……」

 

 ブラッキーが述べる。

 当時の彼は師団長どころか、未だ連隊長にもなっていなかった若僧の頃だった。

 両星に関わる政治的問題となり、表向きは無い事にされているが、ヤーバン大王はこれを奇貨に事件を画策したフリード星へ大幅な譲歩を迫り、テロンナ姫の輿入れを勝ち取った事で決着が付いている。

 

「ええ。あの時、私は自分の立ち位置と身分を改めて自覚しました。

 そう……自分は常に狙われているともね」

 

 あの時は先代の活躍でテロンナは救われた。

 しかし、今の彼らは未だ経験が乏しい。それ故に後手に回ってしまったのだろう。

 さて、今のベガの周りに居る者達は、ちゃんと働いてくれるだろうか?

 

「バレンドス中佐はどう出ますか?」

「ゴルヒ・フォックをベガ軍に転属させた模様です。彼女の存在をベガ軍内で警戒しているのはガンダルとズリルだけのようですが」

「結構。子飼いを手放しましたか。彼も独自に動いていると見えますね。少なくとも裏切りはしないでしょう」

 

 未だ弟との繋がりに関しては疑念があるが、まぁ、些細な事だ。

 もう一人の男に比べれば。

 

「奪われた宇宙船はそんなに性能の高い船ではありません。ワープ能力も低いので何処かの哨戒線に引っかかるのも、時間の問題でありましょう。それよりも……」

 

 ブラッキーは拉致された王子の生存を引き合いに出す。

 既に数時間経っている。亡き者にされている可能性が高いのである。

 

「大丈夫でしょう。私の予感では無事だと告げています」

「それならば……。

 しかし、影武者を立てていても、誤魔化せるのは一月有るか無いかですからな」

 

 猶予はテロンナ姫の輿入れまでだ。

 王女は頷いたが、「それまでに解決しないのであれば、あの子の命運もそれまでであると思いましょう」と述べる。これにはブラッキーも驚いた。

 

「それは……余りにも」

「大丈夫です。星の揺らめきはありますが、ベガのそれは明確に輝いています」

 

 と言われてもブラッキーは「はぁ」としか答えられない。

 ヤーバン王家に時折、予知や未来視を司る巫女的な人物が時々現れ、それらは総じて〝先見の姫〟と言われるが、それ系の言い草はエスパー要素の無い者には理解するのが難しい。

 

 ちなみに〝先見の姫〟は現れた割合が圧倒的に女性が多い為と、最初に能力を開花した者が王女であったせいで姫と呼ばれるだけだ。

 歴代の中には男性も居る。ベガ王子も恐らくその力を有しているだろうと、テロンナ姫は個人的に感じていた。

 

「それよりも心配なのはデュークです。未来が揺らいでいます。

 ブラッキー、テロンバーンの準備は?」

「突貫工事で完成に漕ぎ着けましたが、新型機関のテストはまだ遅れております」 

 

 王女専用機の進展具合に姫は「そう」と呟く。

 

「本来なら例の男が陣頭指揮する筈でしたが、オストマルク事件の余波でベガ星から離れられなくなっています」

「仕方ないでしょう。彼の所属は表向きベガ政府ですからね。

 これもワルガスダーの戦略なのかしらね?」

 

 大柄の武官は「まさか。奴らとて未来を見通す訳では……」と言いかけて、はっとなる。

 

「まさか、姫様はワルガスダーにも先見の力があると?」

 

 王女は首を縦に振って肯定した。

 

「可能性はあると見ます。我々だけが特別な力を持つと思うのは傲慢な考えです」

「しかし……」

「それは自分達が常に攻撃者であるとの思い上がりの視点で、攻勢準備中に奇襲された際『敵も攻撃してくる事が出来るのを忘れていた!』と、悔やんだ間抜けな指揮官の話と同じですよ」

 

 王女が微笑んだ。

 そう、それ故に今、ベガは危機に陥ったのだ。

 自分達が襲われると言う、視点を持てなかった故の失策である。

 

「この十数年、彼らの活動を監視していましたがこの所、明らかに活動が活発化しています」

 

 王女は天井を見上げ「それはベガの星が明らかに変質した頃からです。極めて弱く、運命の力に流されるままだった彼の星が、力強く、将星の力を得た頃から……」と断言し、「ワルガスダーの活動が活発化したのも、何等かの形でベガの力を知り、それを恐れているからとは思いませんか?」と問うた。

 

「小官には分かりかねます」

「私の考えも推論よ。さて、テロンバーンを輿入れまでに完璧な物にしたいですね。恐らく、それをしないとかなり拙い事になりそうだから」

「姫様。そろそろお時間です」

 

 ふうとため息をつくと、王女はくるりと武官に背を向けて侍女達の方を向いた。

 輿入れまでにやる事は山程有り、謁見の時間も限られているのである。

 

「大変だろうけど、ベガの事に関しては随時報告をお願いするわ」

「御意」

 

 隣室へと消えて行く王女の背中を見据えつつ、ブラッキーは腰を折って一礼した。

 

 

〈続く〉




ルビー星編です。デュークとの輿入れが迫って来ており、慌ただしい雰囲気ですね。
ワルガスダーに関しては、持ち前の予知と洞察力でベガ以上に何かを掴んでいる模様ですが、具体的にどう対処するかはベガにお任せと行った所です。
と言うか、巫女的な神がかりが掴んだ感覚的な物なので、他者に説明しにくいのですよ。呪術が作用している感じかな?

敵もまた、単なる科学力だけの存在では無いと思っている模様です。
え、例の男? 先代? はて、何の事かな(すっとぼけ)。
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