版権問題で放映当時に使われていたOP曲は歌手が差し替えられてるのですけど、今回、聞いていたのは元のSMAP版。
この歌手グループは色々お騒がせだったなぁ。でも、現実のそれには殆ど関心無かったんですけどね。差し替え版を聞くとどうしても違和感があって、中古屋巡りでSMAPのアルバム買って「君色想いゲットだぜ」になった次第。
話は原作から大きく外れて、前半は魔法少女変身バトル。後半はほのぼの学園日常話になってましたね。私的には断然、前半のマジカルプリンセス編が好きですが。後半でも古川登志夫氏が演じる「殿」だけは認めるぞ(笑)。
あの世界の魔法。変身とか髪の色を変えるとかを除いて、殆どホウキとか貝殻ハウスみたいな物を出す召喚魔法なんだよね。面白い魔法体系だ。
今でも香取君を見ると「リーア」と思ってしまう。
「この世の者では無い……だと?」
足はあったぞ。
てな突っ込みはさておいて何を言っているのか、理解が出来なかった。
《この世。この世界に属しては居らぬ存在と言い直しましょう》
「つまり」
女神は押し黙る。
だが意を決した様に《この世界の外に存在する何者か。そうなります》と告げた。
「異次元から来た侵略者か」
良くある話だな。変形として〝未来の世界からやって来た子孫です〟的なアニメもあったけど。
《平行宇宙。または差異次元からやって来たのではありません。
それならば、まだ対処の仕様もあります》
いわゆる異次元人というのとは違うみたいだ。「となると、俺達三次元人から見たら、四次元とか五次元とかに属する存在とでも言うのかな?」と皮肉を込めて俺は言った。
《ある意味、この世の者では無いと言うのも合っていますね》
しかし、驚くべき事に彼女はそれを肯定する。
「ほう?」
《この世界でのゲルマは思念体。近い所で言うなら、実体を持たぬ幽霊だと思っても構いません》
「幽霊にしては、ワルガスダーやそれの使うメカは、ずいぶん三次元寄りだったが……」
別にアストラル体で出来ている様には見えなかったからな。
《今、送り込まれている存在は、この世界の理に沿って活動する為の手先に過ぎないのです》
彼女曰く、ゲルマ本体はまだこの世界に現れていないと言う。
《幽霊は意志を持ち、金縛りやら呪いの様な強力な異能を持っていますが、物体に触れる物理的な干渉が出来ません。
無論、念動で物を動かす事は可能ですが、それでは効率が悪過ぎます》
「だから、この世界に適した手下を用意して送り込んでいる。か?」
今、活動しているのは手下に過ぎぬ尖兵であり、彼女がゲルマと呼ぶ存在の本体がこの世界へ直接干渉していた訳ではないとの話だな。
それを伝えると、自称、女神は同意するかの様に大きく幹を振るわせた。
《はい。かつて戦ったゲルマ帝国がそうであった様に》
後に教えられたり、自分で調べたマルク創世神話の中で、女神はゲルマと戦っているとの記述がある。
ゲルマ帝国は宇宙を支配しようとする悪の帝国であり、巨大な移動要塞や母艦級の大艦隊を揃えて、宇宙を席巻しようとしていた。
それを打ち破ったのが、三人の勇士と共に超宇宙マシーンを駆って戦う女神であった。
ゲルマ帝国を率いる魔王は女神の力に敗れ去り、ゲルマ帝国軍も滅び去った。
《しかしゲルマは魔王を含めて、ゲルマ本体の傀儡でしか無かったのです。その本体は……》
「どうでも良いけど、エアロック付近がヤバイよ!」
マグの悲鳴にも似た声で、俺はモニターの方へ目を移した。
最初は蔦の方が奇襲効果もあって有利に戦いを進めていたが、流石は歴戦の傭兵、広域破壊タイプの掃討型サイボーグが前面へ出ると戦況か逆転していた。
主役は射角の広い拡散ビーム砲や、火炎放射器なんかを埋め込んでる強化兵だ。
基地内に酸素があるのが災いして、それらを浴びせられた蔦はあっという間に発火してめらめらと燃え上がる。
ワルガスダーの場合、この手の支援火力が欠けてたので圧倒されたが、傭兵部隊は抜かりが無く、たちまちエアロック付近の蔦を一掃して、続々と後続が突入して来る。
「目的は何だろう。占拠された基地を取り戻す為か?」
ガンが首を捻る。しかし、そうだとすれば最初に発砲はしない筈だ。
考えられる事は……。
「ワルガスダーが傭兵とつるんでいる。そして、奴らはゲルマの手先だと言うなら……待てよ」
思い付いた事があった。
俺は女神へ「貴方は古代アズテク文明の何かと関わりがあるのか?」と質問する。
質問の元にあったのは、ブラック・ミストが何気なく高次空間で呟いた「やはりアズテクの遺産の影響ネ」との台詞だ。もし、予想が当たったとすれば……。
《! どうしてそれを》
「やっぱりか。となると奴らの狙いは女神その物か、或いはぼくだ」
知る限り、ワルガスダーと古代アズテクの勇者ことアステカイザーは対立していた。
もし、マルク文明の祖がアズテクにあるとするならば、ゲルマと女神が対立するかの如く、その構図はワルガスダーと古代アズテク文明が敵対関係にあるとの推測が出来るからだ。
「王子を狙うって?」
マグが尋ね返した。
ヤーバンの王子に対して、同じヤーバンの兵が敵対するとは信じられないのであろう。
「宣戦布告も無しで!」
「暗殺って奴だよ。馬鹿正直に宣言する方が珍しいのさ」
作法に則っていないとか呟いて、シシ達は絶句する。
こいつらはサムライ的な形式主義だったな。そう言えばフリード星人もそうだったけど、戦いの前に儀礼的に名乗りを上げたり、戦う理由を宣言したりする古典的な礼儀って、この世界には多い様な気がする。
ヤーバンみたいな戦争に実利性を求める文明って、実は少数派なのかも知れないな。
「と言う事は、貴方は本物の王子だったのか」
「さあね。女神にでも聞いてくれ」
変な事を言うマグに俺はそう答えると、突入してくる傭兵達の観察に入る。
ガンに合図を送り、コンソールの一角に取り付くとスイッチを弄って無線の波長を合わせる。
「何をするんだ」
「奴らの会話が盗聴出来ないかやってみるんだ。それに女神の側は花粉が多すぎる」
他の三人と違って俺のはヘルメットじゃ無くて、循環マスクだ。
口と鼻の呼吸はガードされているが、目やら耳の方は無防備だからだ。
髪の毛に積もるのは良しとするにせよ、花粉が目に飛び込んでくるとヤバイのである。
「掴まらないな。軍用の奴だから、汎用通信帯は使用してないのか」
同時に「通信機の範囲を狭めよう」と警告する。
こっち同様、相手も通信傍受を謀っている筈だから、半径数m程度の極至近レンジに絞っておかないと、こちらの情報が筒抜けになってしまうからである。
「……気を付けろ。……による……したら、撃ち込め」
「は……尉。ブーチ……王子に栄光あれ」
途切れ途切れだが、傭兵達の会話をキャッチする。
やはり軍用通信。周波数に変調が掛かっているから、こちらの性能の低い民生用通信機では追い切れない。
『やはり弟の子飼いか』
これで俺の存在を抹殺する気配が濃厚になった。
ワルガスダーと、どんなやりとりがあって同盟を組んだのかは知らないが、やれやれ、こいつらは味方であって味方じゃ無いと確信出来た。
「うわっ、何だあれは?」
「ほほう。ダビスタ星人とは珍しいでござるな」
マグとバクの会話だが、確かにモニターに映るその光景は奇怪だった。
突如、騎馬隊の馬が変形したのである!
馬首の部分が歪み、まるで粘土細工の様にむくむくと人型となったのだ。
それは神話に出て来る、半人半馬のケンタウロスにも似た姿だ。
「ダビスタ星人。あれは全滅したんじゃ無かったのか。バク」
「確かに星は壊滅したでござるよ。ヤーバンに攻め滅ぼされて焦土と化したと聞いておる」
何か、胸に秘めた物でもあったのだろう。
大柄のシシは目を閉じて涙を流しながら、「最後まで抵抗した後、玉砕と言っても良い程、勇敢に戦って散っていた民族でござった」とその勇気を称えたのだった。
〈続く〉
『セントールの悩み』(笑)。
いや人馬兵を出したかったんですよ。マーダル軍のプロマキスみたいなの。
『エロエロンナ物語』ではゴーダー・カーンの人馬兵部隊とか既出ですけど、過去のお話なので具体的な描写はR-18の『草原の姫-アムダリアの産卵-』だけだしなぁ。余り、戦闘シーンとか描けなかった反省もあったし。
星人の名にも迷った。ウーマ星人。ケイローン星人とかも候補に挙がったけど、本棚に並んだ越智善彦のマンガ見て、「ああ、ダービースタリオンでいいか」とダビスタ星人に。安直だよなぁ。