ベガ大王ですが、何か?   作:ないしのかみ

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今回の作業用BGMは『マンガジョッキー』から「マンジョキロックンロール」です。
これ、『ピンポンパン』的な1970年代の子供番組のOPなんですが、歌詞がとても危ない(笑)。「どうしていけないの。狂っちゃいけないの?」と問うとか、今の放送じゃ絶対に流せない、大人に反抗する不良御用達の様な代物ですが、大好きでしたね。
後に『タケちゃんマン』の挿入歌「ホタテのロックン・ロール」に曲が流用されてますが、原曲の危なさを知ってる自分としては、パンチ力に欠けるぜと不満でした。
だって「子供を舐めるなよ」「やりたい事やるぜ」「そんなのくそ食らえ」的な不良を育成する、反社会的な原曲の方がインパクト有るんだもん。


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「まだ時間はあるのだろう?」

 

 煙管の羅宇(らう)をしごきながランダムは振り返った。

 

「長くて30分程度だな」

「充分だ」

 

 こんと壁に煙管を叩くと、その火皿から灰になった煙草が落ちる。

 ランダムは替えの刻み煙草を取り替えながら、火を点ける。

 

「次の区画で最後なら、我らだけで突入するだけだ」

「植物が茂っているぞ」

「輻射熱が余計だ。こいつで枯らすだけでいい」

 

 発射筒を片手で持ち上げるオストマルク人。

 緑を焼き払う為の補助戦力を伴わず、少数精鋭で突入する気なのだろう。

 

「本気か。プリンツゴリの投入では不満なのか」

「機動兵器の破壊活動だけでは、女神を取り逃がす危険がある」

 

 顔をしかめるゴーマンにランダムが答えた。

 例え、建物を破壊して真空にした程度では女神の核は叩けないのを指摘する。

 女神と言うだけあって、普通の生命体を越えた、そんな非常識な存在であるらしい。

 

「実質では猶予は15分程だぞ」

「了解した。俺達に構わず、お前達は艦隊が押し寄せる前に去れ」

「任務に対する忠節、自己犠牲。ダイン精神という奴か。オストマルク人は……」

 

 やや呆れた様子の中尉だったが、配下に撤収の準備を命令する。

 しかし、自身と数体のダビスタサイボーグはそれから外す様子である。

 

「残るのか?」

 

 やや意外そうな顔をするランダム。

 ゴーマンは「指揮官としては王子抹殺を見届ける必要がある。そして俺には後が無い」と続け、「ベガ王子が我が星系の後継に収まるのは確定事項だ。俺はそれを阻止すべく表や裏から工作をして来たが、全ての手が尽きた」と明かす。

 

「この暗殺が最後の機会なのだ」

「起死回生の一手という奴だな」

 

 ゴーマンは頷くと、ホルスターから拳銃を抜いて弾倉を確かめる。

 拳銃と言っても、ごついEパック式の光線銃だ。出力の調整で気絶や麻痺から、一発でEパックを使い切るけど、人間を黒焦げにするまで威力の選択が可能だが、どう考えても殺傷レベル未満にセレクトしているとは思えないな。

 

「俺が悪党公団に魂を売り渡したのも、このベガ王子暗殺の為だ。

 元々、主戦派の中でないと俺には立場が無い。父が行ったダビスタ戦役の影響が大きすぎるからな」

「ベガ王子が亡くなれば、ルビーとベガ星域全てはブーチン王子の元へ転がり込む、か。何処の星もお家騒動と言う物は……」

「そうか、貴様も……」 

 

 ゴーマンが何かを言いかけたが、ランダムが片手を挙げてそれを制止する。

 曰く、「時間は金銀の如く貴重だ」である。

 ゴーマンも「確かに、今は昔語りをする暇は無いな。では爆破だ!」と命令した。

 隔壁扉に仕掛けられた爆薬が、轟音と共に爆風をもたらす。

 

「最後の隔壁が!」

 

 マグの絶叫。

 

《我が子らよ、戦うのです》

 

 自称、女神の念波。

 

「正念場だな」

 

 ガンの呟き。

 

「あれはなんでござるか」

 

 バクの疑問。

 

「アステカイザー!」

 

 そして俺の驚愕の言、が同時にドーム内に響いた。

 

              ◆       ◆       ◆

 

 ……遡る事、数分前。

 ベガトロンビーム砲が黄色い戦闘艇を撃ち砕く。

 煩いハエみたいに飛び交っていたワルガスダーの軍団は、これで壊滅した。 

 

「大したものですね」

「兵が不慣れなのが心配でした。しかし、艦の性能で乗り切った感はありますね」

 

 テイルは背後の玉座に位置するベガ王子を振り返らずに言う。

 この第二ブリッジに詰める者は多くない。

 王子を筆頭に王宮に勤めるスタッフ、護衛のシャーマンや鷹部隊など王子の近習と言うべき者達だけで、一般の兵は第一ブリッジの方で仕事をしている。

 

「で、姫のシグナルは届いていますか」

「マルク本星から微弱ですが……」

「敵艦出現!」

 

 美しい女性と見まごう姿をしたベガ王子が、次の命令を発する前にモニターにワープアウトしてくる数隻の艦艇が映し出される。

 青く、十字型をしたワルガスダーの揚陸艇だ。

 先程戦った尻尾のある戦闘艇に比べれば、機動性は劣るが耐久力は高い相手である。

 

「足留め部隊ですね」

 

 テイルは金髪のポニーテールを揺らしながら、玉座の方へと振り返った。

 王子は頷くと「円盤獣に相手をさせなさい。マザーバーンは無視してマルクへ降下」と命ずる。

 

「姫の回収が第一です。此処で時間を失いたくはありません」

「了解。円盤獣射出」

 

 アラーノ中尉が王子の命令を伝え、すぐさま艦載機が射出される。

 マザーバーンが降下を開始したと同時に、再び交戦が開始されたのが見える。

 

「さて、王子は無事かな」

「ゴルヒ。王子は此処に居る。我々が、今、捜しているのは姫だ」

 

 第二ブリッジに詰める馬面娘にアラーノから突っ込みが入ると、ゴルヒ・フォックは舌をぺろっと出して「てへっ」と呟いた。

 そうなのだ。ここに〝王子は居る事になっている〟のだ。

 

「御免、ごめん。姫様だったね。うん、捜すのはお姫様」

「無事なのかは……。神のみぞ知るなんだが」

 

 ティアラに仕込まれたシグナルに反応しているのは確かであるが、それが所持者の生存を保障しているとの証拠にはならない。

 持ち主が死体となっていようが、外されて放置されていようが、システムが正常ならば構わずに信号を送ってくる仕組みであるからだ。

 

 到達範囲も狭く、惑星間距離でなら辿れる程度の距離でしかないが、第一次捜索部隊が奇跡的にそのシグナルを捉えた為、こうして本国艦隊が送り込まれた訳だ。

 因みに第一次捜索部隊は、ワルガスダーの攻撃によって壊滅している。

 

「我が艦隊にも攻撃をしつこく仕掛けてきた所から、姫様は無事だと思いたい」

「足留めするには訳がある、かぁ」

 

 ゴルヒの言葉にアラーノが頷く。

 何等かの理由で、ワルガスダーはマルク本星にベガ軍を行かせたくないのだ。

 だから、姫様、本物のベガ王子がその先に生存していると信じて、今は急行する必要がある。

 

「小型飛行物体、本艦の前を降下して行きます!」

「ワルガスダーの先行部隊か」

 

 慌ただしくなるブリッジ。

 映像が映し出され、そこに映った物体にそれを知らない者は呆れ、知っている者は戦慄する。

 それは宇宙空間に剥き出しの形で、三輪バイクに跨がった男であったからだ。

 

「うわぁっ、アラーノ、あいつ!」

「アステカイザーだと!」

 

 馬面娘の驚愕とアラーノの怒声混じりの叫びが、辺りを支配した。

 

 

〈続く〉




一日遅れたなぁ。
つーか、忙しくなって四日に一度の更新もツライかも。
感想などを貰えると嬉しいので、どうか宜しくお願いします。

さて、ランダム・ゴーマン連合軍とベガ王子達の直接対決と言う場面に、アステカイザーの出現。そして久々にテイル達、ベガ星キャラの再登場です。
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