つべの動画でくねくね動く、不思議な踊りが印象的な脱力系のテーマですな。
たかやまりなさんの声で「お昼に目覚めて酒を呑む毎日♪」の下りが楽しそう。そんな生活したいなぁと憧れますね(笑)。
実は『ベガ大王』のツイン・テールのモデルがルツインテだったり、だから彼の台詞は、たかやまりな声で脳内アフレコすると彼になります。って、どうでもいい裏設定ですね。
このまま戦闘に突入するのかと危惧したが(何せこちらは手ぶらだから)、その前にランダムに立ち塞がる影があった。
「叔父上。何故、ゲルマの手先に……」
マグだ。
女物の制服を着て、髪を降ろしているので女にしか見えない。
「マグよ。お前がここに居る理由は聞かないでおこう」
「父上!」
ランダムは目を閉じて嘆息した。
「やはり、出生を知っておったのか」
「質問にお答え下され!」
「既に女神の下へと取り込まれたか。お前をウエストマルクのイヤハヤ家に預けたのは、こんな事態を避ける為であったのだがな。
よくも、我が子を生け贄にしようと画策したな。ラミア!」
ランダムはかっと目を開くと中央へそびえる、植物の幹へ向かって咆吼する。
自称、女神の植物はそれに答えず、無言で花を咲かせた。
そして大輪の花が萎れ、実を付けると落下する。
無論、これはキーラが生産されているのだ。
「何を……」
「ベガ殿下。私はドン・ランダム。オストマルクの武官であり、ハテサテ一族に属する者だ」
彼は自己紹介すると、俺に向かって一礼する。
いや、バクたちシシか聞かされているからお馴染みの様な気がしていたけど、そう言えば、ランダムとは初対面だった。
にしても、イオハヤ家にハテサテ家だって?
なんで、ここに『イヤハヤ南友』が出て来るんだよ。永井豪のコメディ漫画かよ。
そう言えば、確か『南友』の舞台ってイヤハテ県ハテサテ市だったな。
そうか、ここは女神の庭園イーヤハーテ。もしくはハーテサーテだから、そう言う事か!
「暫く、親子の会話がしたいのだが、構わぬであろうか」
「手短にね」
俺の了承を得たランダムは、我が子に向き直る。
「お前は我がハテサテ家の一族が、どの様な者であるかは知らぬだろう。
いや、お前もイヤハヤ家の秘儀を知っているから予想は付くだろうな」
「父上。父上はそれを知って……」
「無論である。イヤハヤ家はウエストマルクの、ハテサテ家はオストマルクの女神を守護する一族。だが、そのやり方はお前も知っての通り、血生臭く、この星の隠れた暗部を知ってしまう事であったからだ」
その時、俺のみにチューニングされたと思しき念波が届く。
《戦士よ。かの者を心の目で見極めるのです》
無論、主は自称、女神からだ。
新たに生まれ出たキーラは、ゴーマン配下のダビスタ兵へと向かって行く。
《何だって?》
《かの者に取り憑いたゲルマが見えるでしょう。そしてそれを取り除くのです》
心眼って事かな?
俺は目を瞑ると視覚を絶ち、超感覚でランダム達を見る。
すると、彼らの身体に重なる様に異形の人影が見えた。
現像時に二重露光した写真みたいに、恐らくワルガスダーの異星人らしき者が張り付いている。
『宇宙忍者でも、流星魔人でもない新種か』
ボディジャックと言う奴かも知れない。
取り憑いたゲルマを除けと言うが、どうやるのかは見当が付かないが、俺は試しにバクと斬り合ってる奴の方を向き、マインドブラストを放ってみた。
これはエネルギー衝撃波やサイコウェーブと違い、物理的な力は皆無であるが、精神にダメージを与えるので対生物には効く超能力だ。
「ぐわっ」
マインドブラストの直撃を受けたオストマルク人がのけぞる。
途端に、幽体離脱した様に奴の身体から異形の何かが分離した。
「ウスリー殿?!」
斬り合っていたバクが困惑するが、その様子から彼の目には分離したワルガスダーが見えてないらしい。こいつは不可視なのか。
『幽体系かよ。始末に悪いな!』
と思う間もなく、ぶよぶよした感じの幽体が目の前で実体化する。
格好は全身が黒尽くめの忍者みたいな姿だ。
一瞬、呆けた顔をしていたバクだが、目視出来た途端に袈裟懸けでそれを叩き斬った。
「ぐぉろーっ」
何とも言えない悲鳴を上げてそいつが消滅する。
俺は能力を使った反動でがっくりと肩を落とし、はぁはぁと息を整える。
「今のは……」
「憑依していたワルガスダーだよ。気絶したそいつを見てやれ」
「王子は大丈夫でござるか」
実はあんまり大丈夫じゃないけど。俺はひらひらと手を振って気にするなをアピールする。
やっぱり、超能力の攻撃系を使うと物凄く疲れるんだ。
バクは気絶したウスリーとか言う、オストマルク人の介抱に掛かっている。
『さて、ランダムとマグは……』
辺りを見回すとケンタウロス型になったサイボーグとキーラが戦っており、ガンも他のオストマルク人と斬り合っている様子だ。
「手を出すな」
「しかし、時間が無いのだろう?」
聞き慣れたゴーマンとランダムの声。
そちらへ振り向くと、拳銃を構えたゴーマンかランダムに何か言っている様だった。
「父上、父上はその男に騙されているのでは」
「いや、私は私の自由意志で女神討伐を買って出ている」
銃口を向けられているにも関わらず、マグがランダムに語りかけている。
ゴーマンは「面倒臭い事だ。まずは女神を倒してからにしろ」と吐き捨てたが、俺を発見すると千載一遇のチャンスとばかりに銃口の向きを変えた。
「べガーナ姫。ようやく会えましたな」
「ゴーマン中尉か。こんな所に居るのは何故だ?」
「自分如き、一介の士官を知って居なさるとは光栄の極み」
彼は皮肉っぽく言い放つと、「なーに、一寸したコネですよ」と呟く。
曰く、親父の時代から傭兵部隊には知古が多いからと説明する。
「いわゆるタカ派の連中が、傭兵へと鞍替えしたのは知っているが」
「誰の為だと思いますか、貴方の姉のせいですよ。
正規軍に残れず、仕方なくの転職ですからね」
ゴーマンは冷ややかな目で俺を見下す。
ダビスタ戦役事件に関わった多くの者が、軍を退役する事となったのは事実である。
第8外征師団自体は存続したが、ゴーガン・フソン将軍に連なる士官の多くは何等かの責任を取って処罰が与えられている。
司令官の暴走を止められなかった責任である。
降格や謹慎は良い方で、いわゆる肩叩きで軍を去った者も多い。
傭兵でフソン家に縁のある者も多いもその為だ。
「戦犯である父のお陰で、この歳でも俺はまだ中尉だ。
もっとも、父の率いた派閥のせいでこうして影響力を持つ事が出来たのも事実だが、だから、ここからのし上がる為に、殿下の命を頂きたく思うのは自然の流れでありましょう」
「それは、ぼくが困る」
「しかし、現状では俺の出世には望みが無い。閑職に回され、飼い殺しにされて佐官辺りで退役がせいぜいでしょう」
奴の言い分も判らなくはない。
ベガ軍やルビー軍に居る限り、出世の道は絶たれているから、弟に取り入って光明を見付けようとする算段だったのだろう。
その為の手土産が、ブーチンにとって邪魔であったベガ王子の首という訳だ。
様々な工作を行ってきたが、時間切れに近くなり、こうした強攻策に出たのだろうが、多分にワルガスダーの入れ知恵も入っているに相違ない。
切羽詰まったとは言うものの、やり方が乱暴すぎるからだ。もしかしたら彼もワルガスダーに憑依され、ボディジャックを受けているのかも知れない。
「死んで貰いますよ」
「ぼくを殺しても君の未来は無いよ。マザーバーンが間もなく来るからな」
冷徹な事実を告げる。
ここでベガ王子を殺害したとしても、現場を取り押さえられたら状況証拠からゴーマンに未来は無い。
テイルやズリルは、そんなに甘い相手じゃないのだ。
「君がブーチンに殉ずるなら話は別だけど、違うだろう?」
「……」
ゴーマンは沈黙で答える。
彼が狂信的な弟信者だったら危ない所だが、これまでの会話からゴーマンが望むのは立身出世、つまり自分の栄達である。
それは奴のレーザーガンが、問答無用に火を噴かない所からも判る。
「だから、勧めるよ。君は降伏……」
だが、俺の言葉は、突然起こった破壊音に遮られた。
ドームの外壁を破壊して現れたのは、〝アステカの星〟を額に輝かせた大柄の戦士。
アステカイザー!
〈続く〉
今回は約3,100文字ですね。
ベガ王子のエスパーぶりが目立ってきましたけど、相変わらず持続力無いです。
超人ロック並みに何でも派手に行使出来たら凄いヒーローなんだろうけど、一回毎にへろへろになるからかっこ悪いですね(笑)。