戦闘用のOSTの中でもお気に入りの曲の一つですね。華麗なんだけど勇壮で番組の雰囲気に合っている曲。
アニメ本編も大好きでした。百合と言う偏見で見る人も多いけど、ちゃんと戦争していて、しかも主人公側が敗戦に至る物語なんだよね。様々な政治的制約。物量に押される軍事的な圧倒。無謀な命令。宗教的な葛藤。それらが混然一体になりつつも、きちんと青春ドラマをしている。
人は全て女として生まれてきて、成人になったら性を選択するって設定は、一部、マルク編にも影響を与えてたりします。
壁が破壊された途端、気圧差から大量の空気が流出する。
ドーム全体に警告音が響き、周囲にあった書類や板切れみたいなガラクタ。枯れ葉みたいな微細な品が出来た穴に吸い込まれて行く。
前のボロ船の時と同じだ。轟轟と音を立てて空気がどんどん抜けて行き、それに伴って台風並みの風が巻き起こる。
「うわっぷ」
幸い循環マスクを付けていた俺は助かったが、マスクもヘルメットも装着していなかったマグやゴーマン立ちには、抜ける空気の奔流に呼吸が乱される事になって応えた筈だ。
強風に身体を持って行かれそうになるが、ここは何とか踏ん張って耐える。
腹が立つがそいつを引き起こした張本人、アステカイザーは意に介していないかの様にトライクから降りていた。床に脚が接着でもされているのかと思える程に、しっかりと地面に立って微動だにしない。
ややあって、付近の壁にあったエマージェンシーボックスがばかっと自動で開き、中から大小様々なオレンジ色の風船がふよふよと吐き出される。
風船は気流に乗って破損箇所に差し掛かり、その内小さなサイズの奴はそのまま外へ放り出されるが、破孔よりでかいサイズの物が壁に触れて破裂する。
『ファーストガンダムみたいだな』
そう、昔懐かしいウォームフィム処理って奴だ。
破損箇所で破裂した風船がトリモチ状の壁として破孔を塞ぎ、空気の流出を止めるというあれである。
壁の穴がトリモチで狭まった結果、今まで素通りしていた小さなサイズの風船も引っかかって破裂し、流失しようとする各種の破片なんかも絡まって、急速に破孔は塞がれて行く。
無論、これは応急処置に過ぎないが、とにかく強風が収まっただけでも有り難い。
「ワルガスダーを抹殺する」
アステカイザーはそう口走ると、ガンと斬り合っていたオストマルク人に襲いかかる。
直前の乱気流に翻弄され、剣戟も一時停止状態になっていたのだが、それでも迫る怪人から身を守るべく、ソリッドが再び構えられる。
《お止めなさい!》
念波と共に触手が伸び、アステカイザーが拘束される。
《我が子らを傷付ける事は許しません》
「笑止。あれは貴様の言うゲルマの手先であろう」
アステカイザーがラミアの言葉を鼻で笑う。
しかし、自称、女神は彼に対抗する様だ。
いつの間にかキーラが。十重二十重にアステカイザーを囲んでいる。
《彼らは取り憑かれているだけです。戦士の力を持ってすれば……》
「それを待ってはおれん」
アステイザーの視線が俺の方へ向く。
「ベガ王子の力に頼るつもりか。偽りの女神よ」
《……いけませんか》
「貴様と俺とでは目的が異なるからな。王子を利用せんとするやり方は気にくわん」
暴風とアズテクの戦士の乱入で、一時的に力の均衡状態が訪れた様な感じであったが、それを破ったのがワルガスダーだった。
正確には奴らの取り憑いた使節団員か。
マグと会話中だったランダムを除いて、残りの二名がソリッドを手に俺に襲いかかってくる。
「ちっ!」
王子としては行儀が悪いけど舌打ちした。
こうなっては悠長に心眼を使う、つまり視点を切り替える暇も無いから、襲いかかる奴に向かって立て続けにマインドブラストを浴びせる。
こいつの射程はそんなに長くない。
せいぜい30mも届けば御の字なのだけど、幸い近距離なので何とか届いたみたいだ。
一人が突然、スタンを喰らったかの様に気絶する。
『次っ』
本来なら、抜け出るワルガスダーの幽体が見えた筈なんだけど、さっきも言った様にクレアボンスの力を発動していないので、そいつは見えない。
どっと疲労感が押し寄せて、身体ががくがくになるけど頑張ってもう一人に第二撃を放つ。
サイコウェーブとかと違い、マインドブラストは相手の脳に直撃を落とすので、光が出るとか気の塊が飛ぶとかの分かり易いエフェクトはまるで無い。
「ぐわぁ!」
敵は悲鳴を上げて吹き飛んだ。
しかし、こちらも危険な程に疲弊している。分かり易く言えば、眩暈がして気絶寸前。おまけに疲労で立っていられない状態で、既に片膝を着いてぜぃぜぃと喘いでいる。
もう一人。ランダムに対しても精神攻撃を敢行する予定だったんだけど、気を失わない様にするのが精一杯で、こりゃどう考えても無理だと俺は悟る。
先に攻撃した身体に憑依していたワルガスダーが実体化する。
こうなると普通の視覚でも見える様になるんだけど、実体化した二体はとっとと逃走する事を選択したみたいだ。
「な、何だ。あれは?」
最初にウスリーに取り憑いてたのは機転を利かせたバクが斬り捨てたが、今度の二体の方は呆気に取られたガンが取り逃がしてしまったのである。
まぁ、これはバクの例が僥倖だけだったと解釈すべきで、いきなり空間に出現するワルガスダーに咄嗟に対処しろと言うのも、不手際だとは非難は出来ないだろう。
「忍野(シノビーノ)を祓ったのか」
感心した様に呟いたのは、少し前から放置状態だったゴーマンだ。
あの新種はシノビーノと言うらしい。
「只の駄目王子かと思いきや、それでもヤーバン王家の血筋だけはあるのか……」
「はぁ……はぁ。そりゃ……どうも」
やっぱり、そんな目で見られていたかと思う。
王子としての評価としては個人的な資質に関してだから、この言葉も褒めているのではないだろう。
公的な立場としての俺を評価するのではなく、お馬鹿と思ってたベガに一寸、隠れていた才能がありましたと言うのを「おや、びっくり」と驚いた程度だからだ。
《これで、かの者達を倒す必要は無くなりました》
ゴーマンとの会話を交わしている時、女神の念波が割って入る。
しかし、アステカイザーは首を振って「まだ、取り憑かれた奴が居る。俺はそれを排除する」と宣言した。
「と言うのは拙者だな」
ランダムがずいっと身を乗り出した。
「父上……」
「聞け、マグ。そして怪人よ」
ランダムは前に出ようとするマグを制止すると、アステカイザーの方へと向き直る。
そして「偽りの女神。うむ、その怪人の言っている事は正しい」と告げる。
「何を……」
「何を……だと? マグ、お前も知っておろう。
イヤハヤ、ハテサケ両家が行ってきた大古からこの星、マルク本星に捧げられた秘儀を」
「父上、それは!」
「ラミア。そう、全てお前の我欲から始まった事であったのだ!」
〈続く〉
最近、ニコ2で邦子シリーズ(妹の作った痛いRPG)を知ってハマりました。
つーか、タイトルと内容見てると自分と感性が重なってて七転八倒。えろえろとか処女とかロリコンとか、そんな単語に反して、全くの健全でタイトル詐欺。いやーすげーわ。
しかし、主な舞台である川越(架空)って恐ろしい所だ(いや、昔、埼玉に住んでいたので、川越祭りとかで実在の小江戸には行った事あるけどね)。
私的にはアビーこと、ネクロマンサーのアビゲイルちゃんが好み。アバズレ・ビッチ呼ばわりされて必ず殺されちゃうけど、お肉や骨になっても地獄から甦るし(笑)。
とまぁ、近況報告はここまで。今回は約2,500文字でした。
マルク編もいよいよ佳境です。感想などをお待ちしております。